講演「科学と宗教」、科学カフェ京都、京都大学理学研究科セミナーハウス、2016年7月9日
【概要】
科学と宗教という言葉を並べたとき、両者に何の関係があるのかと思う人も少なくないだろう。あるいは、科学と宗教は正反対のものと考える人もいるに違いない。科学は、実証不可能な、それゆえ、迷信的な宗教的考えを克服したものとして理解する立場もあるからである。しかし、歴史を紐解けば、両者を必ずしも対立的に考える必要はないことがわかる。いや、むしろ、学問が極度に細分化され、互いのコミュニケーション不足が深刻な機能不全(原発事故はその一例)を引き起こす現代にあって、宗教を含む人文知と科学をより包括的な視点から見ることが必要ではないだろうか。
こうした課題を考えるために、近代的な大学および学問の来歴を振り返り、また、科学と宗教の関係を考える素材の一つとして進化論論争をとりあげる。進化論論争は米国において先鋭化され観察されるが、それに象徴される科学と宗教の緊張は近代日本においても見られる。
これらのテーマの他に、私がセンター長を務めている同志社大学 良心学研究センターの取り組みや、エネルギー問題など現代の倫理的な課題についても時間の許す範囲で論じたい。
■当日配付資料(PDFファイル、32KB)