世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1663信(2022.12.05)

  • クリスマス目前、ベツレヘムやバチカンでツリー点灯
  • バチカン・サイトにサイバー攻撃=ウクライナ大使はロシア非難
  • 教皇、ロシア軍の少数民族部隊が「最も残酷」=ロシアは反発
  • 教皇の発言は「非キリスト教的」=ロシア外相が非難
  • 米、中国のコロナ規制デモ受け、平和的な抗議活動の権利支持表明
  • 史上初、キリスト教徒が半数下回る=英国勢調査
  • 《メディア展望》

 

◎クリスマス目前、ベツレヘムやバチカンでツリー点灯

 【CJC】イエス・キリストの生誕の地とされるパレスチナ暫定自治区のベツレヘムでは12月3日、キリストが生まれたとされる洞穴の上に建てられた「聖誕教会」の前に、毎年恒例の、高さ10メートルを超えるクリスマスツリーが飾られ、カウントダウンに続いて、盛大な花火の打ち上げとともに点灯式が行われた。新型コロナウイルスの感染対策として導入された渡航制限の解除を受け観光客が大勢訪れた。
 バチカンのサンピエトロ広場でも、毎年恒例のクリスマスツリーの電飾の点灯が行われた。キリスト降臨の場面を再現した模型「プレゼピオ」も設置された。サンピエトロ大聖堂を背に、高さ約30メートルのツリーが輝き始めると、広場に集まった人々が拍手し歓声も上がった。
 サンピエトロ広場にツリーを飾ることは、1982年に当時の教皇、故ヨハネ・パウロ2世が始めたという。


◎バチカン・サイトにサイバー攻撃=ウクライナ大使はロシア非難

 【CJC】AFP通信(日本語)によると、教皇庁(バチカン)の公式ウェブサイトが11月30日午後から夜にかけ、閲覧できない状態となった。サイバー攻撃を受けたとみられる。ウクライナの駐バチカン大使は、ロシアによるものだと非難している。
 ロシア政府は11月29日、教皇フランシスコがウクライナに侵攻するロシア軍について、最も残虐なのは「ロシアの伝統に属さない」「チェチェン人、ブリヤート人ら少数民族」だと28日公開のインタビューで発言したことに「憤り」を示していた。
 ウクライナのアンドリー・ユラシュ駐バチカン大使はツイッターに、「ロシアのテロリストがきょう、バチカン市国のウェブサイトに侵入し、バチカン各部署のオンラインページの多くがアクセス不能となった」と英語で投稿した。「ロシアのハッカーがまたしてもロシア政治の本性を証明した」とし、サイバー攻撃は教皇の「直近の重要な声明への反応」の可能性が高いと主張した。


◎教皇、ロシア軍の少数民族部隊が「最も残酷」=ロシアは反発

 【CJC】英メディア「BBC」が11月29日伝えたところでは、教皇フランシスコは、米イエズス会系雑誌「アメリカ」によるインタビューの中で、チェチェン人とブリヤート人部隊が「最も残酷だ」と述べた。
 また1930年代に旧ソビエト連邦がウクライナで引き起こした大飢饉(ききん)「ホロドモール」はジェノサイド(集団虐殺)に当たると述べた。
 インタビューの中で教皇は、ロシアのウクライナ侵攻を直接的に非難するのをためらっているように見えるのはなぜかと質問を受けた。
 教皇はこれに対し、「部隊の残酷さについて多くの情報」を受け取っていると説明した。「一般的に、最も残虐なのはロシアの伝統に沿っていないロシア人、例えばチェチェン人やブリヤート人などだろう」と述べた。一方で、「侵略しているのはロシア国家だ」と付け加えた。
 教皇はまた、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領と電話で数回、会談したと明らかにした。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領とも、在バチカン・ロシア大使を通じて連絡を取ったという。
 ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は、これらの発言を非難。「もはやロシア恐怖症どころではなく、どう呼んでいいのかさえわからないレベルの曲解だ」と述べた。
 ザハロワ氏はその後、通信アプリのテレグラムに、「私たちはブリヤート人、チェチェン人、そして多国籍・多民族から成る私たちの国の他の代表者たちと共に、一つの家族だ」と書き込んだ。


◎教皇の発言は「非キリスト教的」=ロシア外相が非難

 【CJC】教皇フランシスコが、ウクライナ侵攻で「最も残虐」なのはロシアの少数民族の部隊だと発言したことについて、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は12月1日、教皇の発言は「非キリスト教的」だと述べた。AFP通信(日本語)報道を紹介する。
 ラブロフ氏はテレビ放送された発言の中で「フランシスコ教皇は対話を呼び掛けているが、最近、理解し難い発言をした。完全に非キリスト教的で、ロシアの2共和国を名指し、戦争中なら虐殺に及びかねないというような特定のカテゴリーに分類した」との考えを示した。
 ロシア政府は、9月に部分動員令を出した際、他の地域と比べ不釣り合いに多い人数をシベリア、カフカス両地域から動員したとされる。また、ウクライナで戦死した兵士は、ロシア民族に比べ、貧困層の多い地方部の少数民族出身者が多いという指摘もある。
 一方で、ロシア軍が民間人を殺害したとされるウクライナ・ブチャなどでは、少数民族出身のロシア兵が極めて大きな役割を担ったとする見方もある。


◎米、中国のコロナ規制デモ受け、平和的な抗議活動の権利支持表明

 【CJC】米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官が11月28日、中国の国民が平和的に新型コロナウイルス規制に対する抗議活動を行う権利を支持すると表明し、全土に波及する抗議活動によるサプライチェーンへの影響は見られないと述べた。ワシントン発ロイター通信(日本語)が同日報じた。
 中国では新型コロナウイルス新規感染者が5日連続で過去最多を更新、週末には上海や北京など各地で抗議活動が行われ、上海ではデモ隊と警察が衝突するなど、習近平体制下で異例の事態となっている。
 カービー氏は記者団に対し「人々は集会する権利や、問題視する政策や法律、指示に対し平和的に抗議する権利が認められるべきだ」とし、「ホワイトハウスは平和的な抗議の権利を支持する」と言明した。
 習近平・中国国家主席の退陣を求めるデモ隊に対するバイデン大統領の反応を問われたカービー氏は「大統領は世界中のデモ参加者の主張を代弁するつもりはない」と答えた。


◎史上初、キリスト教徒が半数下回る=英国勢調査

 【CJC】英イングランドとウェールズで、キリスト教徒が人口の半数を下回ったことが、11月29日公表された2021年実施の国勢調査結果で分かった。こうしたことは統計が始まって以降で初めてという。ロンドン発時事通信によって紹介する。
 「自分はキリスト教徒」と申告した人は46.2%で、11年の調査時点(59.3%)から大幅に下落。一方、イスラム教徒は4.9%から6.5%に上昇し、「無宗教」も25.2%から37.2%に増えた。その他はヒンズー教やシーク教など。英国の国勢調査は10年ごとに実施されている。


《メディア展望》
 
 =カトリック新聞(12月4日)=https://www.cwjpn.com/cwjpn/
▼教皇インタビュー=ウクライナ侵攻=停戦のためなら何でもする
▼教皇=カトリック校教員に=イデオロギー支配へ注意促す
▼教皇の一般謁見講話=悲しみは神に近づく招き
▼アルぺ神父の列福調査団=列聖省が日本に派遣
▼日本カトリック書人協会=半世紀以上の活動に幕
 
 =KiriShin(12月1日)=https://www.kirishin.com
▼第27回国連気候枠組み条約締約国会議=「地獄へのハイウエー走る」危機に世界の教会は"無駄にする時間はない"
▼東アジアのリアル=「我哀しむ故に我在り」の不在を考える(洪伊杓)
▼熊本で第60回朝祷会全国大会=久々の再会喜び合う
▼宗教者、記者交え「信仰の意味」問う=「たとえ教会が少なくなっても」
▼米上院選決選投票=中絶反対派候補に中絶強要疑惑
 
 =クリスチャン新聞(11月27日)=https://クリスチャン新聞.com
▼「日本に住む外国人と共に生きる」テーマに福田崇氏=「諸国民導く主の願う方向へ」=第11回首都圏宣教セミナー
▼教会堂事例30以上=田淵諭教授=多摩美術大学で「光と祈りの建築展」
▼ラブ・ソナタ宮崎=「ゴスペルナイト」で大田裕作氏=「あなたを罪に定めない」
▼ギフトと共に"つながり"届ける=ОBJ=クリスマス・ギビング・キャンペーン
▼WCC総幹事代行=モスクワでキリル総主教と会見
 =クリスチャン新聞(12月4日)=https://クリスチャン新聞.com
▼横田早紀江さんを囲む拡大祈祷会3年ぶり=「もう少しだよ」と神が=めぐみさん拉致から45年
▼奪わず栽培する資源で平和=風力発電研究者牛山泉氏講演=第五回聖書的環境シンポ
▼世界は私たちの町にある=「日本に住む外国人と...」=首都圏宣教セミナー=横山誠氏発題
▼「簡素にして豊かな建築」=大阪教会献堂100年=ヴォーリズ建築が語る日本宣教
▼福音功労賞に三橋信昌、竿代照夫、三谷六郎、唄野隆、柏木哲夫の5氏=主と人に仕え、広がる

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