世界キリスト教情報 第1654信(2022.10.03)
- 教皇、今年11月バーレーン訪問、「対話のためのフォーラム」へ
- 教皇、ロシアとウクライナ両大統領に停戦をアピール
- ロシア正教会キリル総主教がコロナ感染、併合式典は欠席
- ロシアで部分動員令への抗議デモ続く、拘束者2000人超える
- ウクライナ難民は「社会保障目的の移民」 と独野党党首発言に非難殺到
- ブラザー・アンドリュー死去=「オープン・ドアーズ」創始者
- 《メディア展望》
◎教皇、今年11月バーレーン訪問、「対話のためのフォーラム」へ
【CJC】教皇フランシスコが、今年11月上旬、バーレーンを訪問されることが明らかになった。バチカン・ニュースが報じた。
バチカンのマッテオ・ブルーニ広報局長によれば、教皇は、東洋と西洋の人類の共存をテーマとする「対話のためのバーレーン・フォーラム」を機に、11月3日から6日まで、同国を訪れる。
同国滞在中、教皇は首都マナーマとアワリを訪れる。アワリには、2021年12月10日、ペルシャ湾の保護者「アラビアの聖母」に捧げたカテドラルが献堂された。
教皇がバーレーンを訪れるのは、これが初めて。また教皇フランシスコがアラビア半島へ赴くのは、2019年2月のアブダビ訪問以来となる。
◎教皇、ロシアとウクライナ両大統領に停戦をアピール
【CJC】バチカン・ニュース(日本語)によると、教皇フランシスコは10月2日、バチカンで日曜正午の祈りを信者と共に唱えた。教皇は、ウクライナにおける戦闘の激化に憂慮を表し、ロシアとウクライナ両国大統領に停戦をアピールした。
教皇は、「この恐ろしく理解不能な戦争は収まるどころか、流血の事態を増大させながら、さらに広がろうとしている」と重大な懸念を表明。
ここ数カ月に流された人々の血と涙、子どもたちをはじめとする無数の犠牲者に心を痛めていると述べると共に、大規模な破壊により飢えや寒さにさらされる多くの人や家族に思いを寄せた。
「ある種の行為は決して正当化できるものではない」と話す教皇は、「ブチャや、イルピン、マリウポリ
、イジューム、ザポリージャなど、言葉では言い表せない苦しみと恐怖の地となった土地の名前を通して、世界がウクライナの地理を学んでいるのは悲痛なこと」、「さらには人類が再び核の脅威に直面していることはもってのほか」と述べられた。
「この後、何が起きようとしているのか。戦争は決して解決ではなく、ただ破壊だけと知るからには、これからもいったいどれだけの血を流さねばならないのだろうか」と問いながら、教皇は神の名とすべての人の心に宿る人間性の名のもとに、即時の停戦をアピールした。
教皇は、国際法の原則に反する行為によってもたらされた最近の深刻な状態に深い遺憾の念を表明。「このような状況は核によるリスクを増大し、コントロール不可能な世界レベルの大災害を引き起こしかねない」と警告した。
こうした中、教皇はロシア連邦大統領に対し、この暴力と死の連鎖を、自国民への愛のためにも、止めるようにと訴えた。
同時に、ウクライナ国民が攻撃によって受けた膨大な苦しみを深く悲しむ教皇は、ウクライナ大統領に対し、平和のための真剣な提案に心を開くよう信頼をもって呼びかけた。
加えて、教皇は国際社会や各国の責任者らに、危険なエスカレーションに巻き込まれることなく、この戦争を終結させ、対話の取り組みを推進・支援するための可能な限りの努力を望まれ、「若者たちに、狂気である戦争に汚染された空気ではなく、平和の健全な空気を呼吸させよう」とアピールした。
◎ロシア正教会キリル総主教がコロナ感染、併合式典は欠席
【CJC】ロシア正教会は9月30日、最高指導者キリル総主教が新型コロナウイルスに感染し、自主隔離を行うと発表した。「近日に予定されていた会合や訪問は全て中止」となり、「静養と隔離」が必要であるとした。AFP通信(日本語)が報じた。
キリル総主教はウラジーミル・プーチン大統領を強力に支持してきた。
「部分的動員」発表後に抗議デモが起こり、多数のロシア人男性が出国する事態になると、キリル総主教は25日の説教で、ウクライナで死んだロシア兵は天国に行けると示唆する発言を行った。
「もし義務感や誓いを果たす必要性に駆られた誰かが、己の使命を全うし従軍中に命を落とせば、彼は間違いなく犠牲に等しい行為を行ったことになる」と述べた。さらに「こうした犠牲は、彼が犯した全ての罪を洗い流すと確信している」との考えを示した。
◎ロシアで部分動員令への抗議デモ続く、拘束者2000人超える
【CJC】ロイター通信(日本語)によると、ロシアでは、プーチン大統領がウクライナ侵攻を巡り9月21日に出した部分動員令への抗議デモが全土で続き、治安当局の拘束者は2000人を越えた。招集兵の戦地派遣が始まる中、状況を悲観した国民がフィンランドやジョージアなどを目指す動きも見られる。
政府系メディアからも批判的な声が上がる。国営放送RTのある編集者は、招集令状が対象条件と合致しない男性に送られるといった問題が「人々を激怒させている」と指摘した。
ロシア国防省は23日、「特定のハイテク産業や金融システムの稼働を保証する」ため、重要産業で働く人の招集を免除すると表明。IT、電気通信、金融のほか、「システム上重要な」報道機関などが対象とされている。
◎ウクライナ難民は「社会保障目的の移民」 と独野党党首発言に非難殺到
【CJC】AFP通信(日本語)によると、ドイツ野党の中道右派、キリスト教民主同盟(CDU)のフリードリヒ・メルツ党首は9月27日、ウクライナ難民が「ウエルフェア・ツーリズム(社会保障目的の移民)」を行っていると非難したことを謝罪した。メルツ氏は今年、アンゲラ・メルケル前首相からCDU党首を引き継いだ。
メルツ氏は独紙ビルト系列のテレビ局のインタビューで26日夜、ウクライナ難民に対する特別待遇が「無視できないゆがみ」を生んでいると指摘、「ウクライナ難民の間で、ドイツに行ってはウクライナに戻る、ドイツに行ってはウクライナに戻るという、ウエルフェア・ツーリズムが行われている」とか「大勢が制度を悪用している」と主張した。
この発言に非難が殺到したことを受け、メルツ氏は27日、ツイッターで謝罪文を発表した。「厳しい運命に直面しているウクライナ難民を非難するつもりは毛頭ない。私が選んだ言葉で気分を害されたなら、心から謝罪する」として、「ウエルフェア・ツーリズム」という言葉を使ったことを後悔しているとした。
◎ブラザー・アンドリュー死去=「オープン・ドアーズ」創始者
【CJC】聖書密輸で20世紀後半知られた「オープン・ドアーズ」の創始者ブラザー・アンドリュー(本名アンネ・ヴァン・デル・ビジル)がオランダ東部ヘルダーラント州ハルデルウェイクで9月28日死去した。94歳。
ブラザー・アンドリューは1955年に、当時は共産主義国家だったポーランドで、迫害されていたキリスト教徒へ聖書を密輸することを決意、「オープン・ドアーズ」を設立した。
邦訳書に「神の密輸商人」 (有賀英子訳、いのちのことば社=1971年)がある。
《メディア展望》
=カトリック新聞(10月2日)=https://www.cwjpn.com/cwjpn/
▼教皇、カザフスタン訪問=「武器ではなく、平和のために」
▼ミャンマー国軍の兵士=教会を占拠し地雷敷設
▼世界宣教月間・世界宣教の日=「宣教合唱動画」を募集=教皇庁信仰公布事業
▼琉球列島福音宣教再開75周年=押川寿夫名誉司教=宣教師の手紙訳し本に=教区で記念ミサ祝う
▼イエズス会4司祭の被爆体験記=『宣教師の見たその日』=「ぶどうの木in湘南」作成
=KiriShin(10月1日)=https://www.kirishin.com
▼検証・"協会"の実相と教会の課題(4)=キリスト教とは大きな隔たり=宗教学者・島薗進
▼平和をつくり出す宗教者ネット=国葬反対集会で「弔意を強制するな!」
▼宗教リテラシー向上委員会=秋を告げる新年(ローシュ・ハシャナー)=テルアビブ大学東アジア学科講師・山森みか
▼〝ロシア軍が司祭を拷問〟とウクライナ正教会大主教=NHK取材に
▼教皇、宗教の政治利用に警鐘=ロシア正教会批判か
=クリスチャン新聞(10月2日)=https://クリスチャン新聞.com
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