世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1641信(2022.07.04)

  • 「アル・ジャジーラ」アブアクラ記者死亡めぐりイスラエルとパレスチナの間に確執
  • 教皇庁が米最高裁の中絶違憲判断を称賛、社会支援も訴え
  • グリーン・デイのボーカルが米市民権放棄を表明、中絶めぐる最高裁判断受け
  • ペロシ下院議長が教皇に謁見、聖体拝領受ける
  • レバノンの政治家ミカティ氏、4度目の首相指名、権力闘争が表面化で組閣難航も
  • 九州大学准教授の武田秀太郎さんにナイト勲章、マルタ騎士団の一員に
  • ウクライナ東部セベロドネツクが陥落、ロシアの「完全な占領下」に
  • ロシア、ウクライナの商業施設をミサイル攻撃、少なくとも13人死亡
  • 東部リシチャンスク陥落=ウクライナ軍、撤退認める
  • 貧しい人々と共に「オッセルバトーレ・ディ・ストラーダ」創刊
  • 10年に一度のキリスト受難劇、今年は予定より2年遅れて上演
  • 《メディア展望》

 

◎「アル・ジャジーラ」アブアクラ記者死亡めぐりイスラエルとパレスチナの間に確執

 【CJC】サウジアラビアの英語メディア「アラブ・ニュース」によると、5月11日にヨルダン川西岸地区でイスラエル軍の襲撃中に「アル・ジャジーラ」(カタールの衛星メディア)のシリーン・アブアクラ記者が死亡し、その状況をめぐってイスラエルとパレスチナの間に確執が生じている。
 イスラエルは7月3日、同記者を殺害した弾丸が、自国兵士が撃ったものかどうかを判断するために、検査を行うと発表した。
 パレスチナ側は、2日に弾丸を米国の安全保障調整官に引き渡した。
 パレスチナ側は、イスラエル軍が故意に同記者を殺害したと非難している。イスラエルはこれを否定し、アブアクラ氏は軍の誤射か、イスラエル軍と衝突していたパレスチナ人武装集団の1人に撃たれた可能性があるとしている。
 バイデン米大統領は7月13日から16日にかけて、パレスチナとイスラエルの指導者と個別に会談する。アブアクラ記者の件は、イスラエルのヤイール・ラピード新首相にとって、外交上および内政上の試練となろう、と「アラブ・ニュース」は伝えている。


◎教皇庁が米最高裁の中絶違憲判断を称賛、社会支援も訴え

 【CJC】バチカン市発ロイター通信によると、バチカン(ローマ教皇庁)の生命アカデミーは6月24日、米連邦最高裁が人工妊娠中絶を憲法上の権利と認める1973年の「ロー対ウェイド判決」を覆す判断を下したことを巡り、生命について考えるよう世界に問題提起したと称賛した。一方、女性が中絶しなくてすむよう社会変革を求めた。
 生命アカデミーは声明を発表し、生命は「広範囲な社会的重要性」を持つ問題であり、生命の保護を個人の権利によって制限できないとの見解を示した。
 生命アカデミーは、あらゆる段階の生命を保護しやすくなるよう、社会環境の変革に期待。「母親やカップル、まだ生まれていない子どもたちに対し、社会全体で盤石の支援を提供する必要がある」と訴えた。
 カトリックを信仰するバイデン米大統領は、この日を米国人にとって「悲しい日」として判断を非難。最高裁の保守派判事らを「極端だ」と糾弾した。


◎グリーン・デイのボーカルが米市民権放棄を表明、中絶めぐる最高裁判断受け

 【CJC】米メディアCNNによると、米最高裁が人工妊娠中絶の憲法上の権利を認めた「ロー対ウェイド判決」を覆したことを受け、米ロックバンド「グリーン・デイ」のボーカル、ビリー・ジョー・アームストロングさんが6月24日、米市民権を放棄する意向を明らかにした。
 アームストロングさんは24日、ロンドンスタジアムでの公演中にいら立ちをあらわにし、「米国なんてくそくらえ。私は市民権を放棄する。ここに来る」と観客に表明した。
 続けて「この世界にはくそみたいな馬鹿げたことが多すぎる。国とも言えないあの哀れな場所に戻るわけにはいかない」とコメント。「皆さんはこれから私のことを見る機会が増えるだろう」とも述べた。
 ここ数日、アームストロングさんの他にも多数の米国人アーティストが「ロー対ウェイド判決」を覆した判断に言及している。英国の音楽祭「グラストンベリー・フェスティバル」では、フィービー・ブリジャーズさんやビリー・アイリッシュさん、ケンドリック・ラマーさん、オリビア・ロドリゴさんなどが今回の判断を非難した。


◎ペロシ下院議長が教皇に謁見、聖体拝領受ける

 【CJC】ナンシー・ペロシ米下院議長(82)が6月29日、教皇フランシスコと謁見、ローマの保護者とされている使徒聖ペトロ・聖パウロの祭日のミサに参列して聖体拝領の秘跡を受けた。バチカン市発ロイター通信が報じた。
 教皇自身がこうした行事で聖体を授けることはなく、目撃者によると、議長は司祭の1人から拝領を受けた。
 議長はカトリック教徒だが、人工妊娠中絶の権利を支持しているため、地元のサンフランシスコ市ではサルバトーレ・コルディレオーネ大司教の意向で拝領を禁止されている。
 一方で教皇は、米国の保守派司教らは個人的に中絶に反対でも他者のために権利として支持するカトリック教徒の公務員を政治利用していると日ごろから批判しており、ミサ前に個別にペロシ氏と面会する決定はこうした非難の表明とみられる。
 コルディレオーネ大司教は先月、教区内でペロシ氏の聖体拝領を禁じるよう命令。以来少なくとも3人の司教が拝領を禁止した。このためペロシ氏は、司教が拝領を許可した首都ワシントンの教区で定期的に拝領を受けている。


◎レバノンの政治家ミカティ氏、4度目の首相指名、権力闘争が表面化で組閣難航も

 【CJC】レバノンのナジーブ・ミカティ首相は、この10月31日に任期を終えるが、6月23日、ミシェル・アウン大統領が招集した協議の中で、128人の国会議員のうちイランを後ろ盾とするヒズボラ系議員を含む54人の支持を確保し、4度目の首相指名を受けた。
 ロイター通信報道によると、レバノンの支配層の間には深い亀裂が走り、ミカティ氏による組閣は難航が予想されている。政治的空白が生じ、援助を実施するために国際通貨基金と合意した改革に支障をきたす恐れもある。
 レバノン国民の54%がイスラム教、次いで40%強がキリスト教。キリスト教の内訳はマロン派(マロン典礼カトリック教会)が多数派。他に正教会、プロテスタント、ローマ・カトリック(ラテン典礼)なども。
 マロン派のビシャーラ・ブトロス・アル・ライ枢機卿(アンティオキア総主教)は26日、10月末までに実施される大統領選挙に関係当局が備えるため、分裂している政治家らに対し政権樹立を急ぐよう促した。
 「私は改めて、国がすぐにでも必要としている政権樹立を急ぎ、国を救う大統領を選出する準備に直ちに集中できるようにすることを求める」。ライ枢機卿は、説話の中で、「私たちはすべての関係者に対し、首相指名に協力することを要求する」と述べた。


◎九州大学准教授の武田秀太郎さんにナイト勲章、マルタ騎士団の一員に

 【CJC】900年以上の歴史があり、世界約120カ国で医療支援や食料配布といった人道活動をしている「マルタ騎士団」(本部・ローマ)が6月24日、九州大学准教授の武田秀太郎さん(33)にナイト(騎士)の勲章を授与した。オーストラリア・シドニーの大聖堂で叙任式が行われた。シドニー発共同通信が報じた。
 武田さんが青年海外協力隊としてバングラデシュでインフラ支援活動をしたことや、香港の貧困家庭の児童へのリモート授業を支援したことが評価された。騎士道に関する論文があることも授与の理由となった。
 武田さんは「騎士団の唯一の日本人となり、重責に身が引き締まる思いだ。騎士としての誇りを持って国際支援活動にまい進したい」と語った。


◎ウクライナ東部セベロドネツクが陥落、ロシアの「完全な占領下」に

 【CJC】キーウ/ポクロウシク発ロイター通信によると、ロシア軍は6月25日、ウクライナ東部ルガンスク州の要衝セベロドネツクを完全に占領した。ロシアとウクライナ双方が確認した。
 セベロドネツクのストリュク市長は「今やロシアの完全な占領下にある」と認めた。セベロドネツクの陥落は、南東部の港湾都市マリウポリの先月の占領以降、ロシアにとって最大の勝利。
 ゼレンスキー大統領は、セベロドネツクなどこれまでに失った都市を取り戻すと演説。同時に「(戦争が)いつまで続くのか、勝利が見えてくるまでにあとどれだけの犠牲を払わねばならないのか分からない」と述べた。


◎ロシア、ウクライナの商業施設をミサイル攻撃、少なくとも13人死亡

 【CJC】ロイター通信によると、ウクライナ中部ポルタワ州クレメンチュクのショッピングセンターに6月27日、ロシアのミサイル2発が撃ち込まれ、少なくとも13人が死亡、50人が負傷したと地元当局者が明らかにした。
 ウクライナのゼレンスキー大統領は、攻撃があった際、ショッピングセンターは混み合っており、1000人以上の人がいた。死者や負傷者の詳細については明確にしなかったものの、「犠牲者の数を想定することさえ不可能だ」し、「ロシアに良識と慈悲心を期待するのは無意味だ」と非難した。
 ポルタワ州のルニン知事は、この攻撃で13人の死亡が確認されたとテレグラムに投稿。21人が病院に搬送されたほか、29人が怪我の手当を受けたと明らかにした。
 クレメンチュクはドニエプル川沿いの工業都市で、2月24日のロシアによる侵攻開始前の人口は21万7000人。ウクライナ最大の石油精製施設がある。
 ウクライナ空軍によると、ロシアのカルーガ地方にあるシェイコフカ飛行場から飛来したTu─22M3爆撃機が、長距離ミサイル「X─22」2発をショッピングセンターに向けて発射した。


◎東部リシチャンスク陥落=ウクライナ軍、撤退認める

 【CJC】AFP通信が報じるところでは、ウクライナ軍は7月3日、東部ルガンスク州の最後の拠点リシチャンスクから撤退した。ロシア側は、同州全域を制圧したとしている。
 ロシア軍はリシチャンスクを掌握したことで、ルガンスク州に隣接するドネツク州のクラマトルスクやスラビャンスクへの攻勢を強める足掛かりを得たことになる。
 ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は当初、リシチャンスクを制圧したとするロシア側の主張を否定していたが、ウクライナ軍は3日夕、撤退を発表。大統領は、兵員、装備の面でより強力なロシア軍を相手に徹底抗戦すれば「致命的な結果を招く」として、「ウクライナ兵の命を守るため、撤退を決めた」と説明した。
 ゼレンスキー氏は3日夜の演説で、ウクライナは戦い続けると強調。「多くの交渉が必要となる」としながら、軍に「最新鋭兵器」を提供できるよう確実なものとすると語った。


◎貧しい人々と共に「オッセルバトーレ・ディ・ストラーダ」創刊

 【CJC】バチカン広報省の企画・制作で、貧しい人々と共にある月刊紙「オッセルバートーレ・ディ・ストラーダ」が創刊された。バチカン・ニュースが報じた。
 同紙は、タイトル通り「ストラーダ(道)」から、貧しい人々や、社会における疎外された人々の声を伝えることを目的としている。
 同紙の使用言語はイタリア語。12ページからなり、印刷版と電子版がある。今後、毎月第1日曜日に発行を予定しており、印刷版は、教皇の正午の祈りの集いの際に、聖ペトロ広場で貧しい人々の手によって巡礼者らに配布される。同月刊紙は無料だが、受け取った人の寄付は自由。
 使徒聖ペトロ・聖パウロの祭日、6月29日、教皇フランシスコによるお告げの祈りの後、「オッセルバートーレ・ディ・ストラーダ」の創刊号が、バチカンの近くの施設で支援を受けているホームレスの人々の協力を得て配布された。
 教皇はお告げの祈りの際、同紙創刊について、次のように紹介された。
 「今日、この広場で『オッセルバートーレ・ディ・ストラーダ』の創刊号が配布されます。それは『オッセルバートーレ・ロマーノ』の月刊紙です。この月刊紙の中では、貧しい人々が主役になります。実際、貧しい人や社会の片隅にいる人たちが、同紙の編集作業や、記事、インタビュー、イラスト制作に参加します。この月刊紙は無料で配布されます。寄付をしたい方は自発的にそうすることもできますが、どうか皆さんのご自由に受け取ってください。これは貧しい人々による、疎外された者の声としての、素晴らしい仕事だからです。」


◎10年に一度のキリスト受難劇、今年は予定より2年遅れて上演

 【CJC】ドイツ南部バイエルン州ガルミッシュ=パルテンキルヒェン郡オーバーアマガウ村で10年に一度演じられるキリスト受難劇(パッションプレイ)が、今年は5月14日から10月2日まで行われている。
 この劇は1634年に初めて上演され、それ以降、ほぼ10ごとに行われている。伝染病からの救済を求め、定期的に上演する、と村人たちが誓いを立てたことから始まった。全住民のうち1800人あまりが参加し、出演、制作、舞台設営、音楽演奏に至るすべての役割をこなす。
 前回2010年の次は2020年の予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、2022年に延期する旨が2020年3月19日に発表された。


《メディア展望》
 
 =カトリック新聞(7月3日)=https://www.cwjpn.com/cwjpn/
▼ミャンマーの司教団=いのちの尊厳を求める
▼教皇の一般謁見講話=高齢者を捨てる「裏切り」
▼ベルギーの名誉司教=枢機卿任命の取り消し願う
▼いのち・信徒・家庭省=1年間の「求道の行程」=結婚の準備をより長く
▼「外国人技能実習制度」=見直しと撤廃求め、支援団体等が取り組み
 
 =KiriShin(7月1日)=https://www.kirishin.com
▼少女漫画雑誌『ハレルヤ』登場=有志がSNS介して協力=沖縄の専門書店では完売
▼台湾先住民の「正名運動」の歴史と展望
▼「香港を覚えての祈祷会」書籍化=執筆者らと出版記念会
▼NCCと正平協「慰霊の日」に声明=「軍事大国化の道」に警鐘
▼米最高裁、半世紀ぶり判例覆し中絶の権利認めず
 
 =クリスチャン新聞(7月3日)=https://クリスチャン新聞.com
▼ウクライナ=戦争を反映=祈るため、何を知るか
▼「私の国が焼け野原になったら」=自由学園でウクライナ支援活動
▼「孤児世話する姿に〝自分もそうありたい〟と」=「第19回結祈」=山舗岳タンザニア教育宣教師が宣教報告
▼自衛戦力は交戦権行使でなく戦争回避のため=対立の種取り除くために行動=2022年参院選立候補の金子道仁氏に聞く
▼生島陸伸氏逝去=カンバーランド高座教会を牧会
▼盛永進氏逝去=ロンドンJCFを牧会

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