世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1627信(2022.03.28)

  • 戦車を止めようとしたウクライナ正教会司祭射殺=英メディア「BBC」
  • ロシアがウクライナ侵攻作戦の重心を南東部へ
  • バチカン改革へ教皇フランシスコが待望の文書に署名
  • 韓国の絵本作家イ・スジ、「児童文学界のノーベル賞」国際アンデルセン賞受賞
  • 女性初の米国務長官オルブライト氏死去
  • 《メディア展望》

 

◎戦車を止めようとしたウクライナ正教会司祭射殺=英メディア「BBC」

 【CJC】ウクライナのイリーナ・ウェネディクトワ検事総長は、3月23日現在、同検察官事務所が記録した事件は2472件にのぼるとして、それらの事件をどのように扱っているか、概要を内外のメディアに説明した。
 そして「ウクライナの司法権が有効で、犯罪加害者が物理的にウクライナにいる場合、私たちが取る戦略は一つだ。それがウクライナで成功しないとわかれば、国際刑事裁判所(IOC)に訴え、特定の人物、個人が処罰されるようにする」と述べた。
 英メディア「BBC」は、ウクライナで戦争犯罪の疑いがあるとして記録されている事件について、目撃証言などを集めた。
 その一つは次のようなものだった。ロシアがウクライナに侵攻して1週間余りの頃に起こったもの。首都キエフの西40キロにある小さな村ヤスノホロッカでは、隣人や友人たちか集まる有志グループが、コミュニティーの入り口を守る検問所で配置についていた。
 3月5日午後、同村の司祭のロスティスラフ・ドゥダレンコさん(45)は、検問所にいた。ドゥダレンコ司祭の役割は、近づいてくる車をチェックすることだった。その時、同司祭は私服だった。
 何が起こったのか、正確に立証することはできないが、攻撃の生存者の1人、ユヒムさん(仮名)はBBCに、ドゥダレンコ司祭を含む十数人と検問所を守っていたところ、3台のロシア戦車が村を通過したと知らされたのだと話した。そこで一行は森の中に隠れ、必要なら戦車に立ち向かおうと決めたのだという。
 検問所に近づくと、ロシア軍は「四方八方へ発砲」し始めたと、ユヒムさんBBCに語った。「私たちが草むらに隠れているとわかると、戦車で私たちをひき殺すために道路から外れ出した」。
 戦車が道路まで戻ってきたとき、ドゥダレンコ司祭さんは姿を現そうと決めたのだと、ユヒムさんは話した。
「司祭が十字架を頭上に掲げ、隠れ場所から立ち上がり、何かを叫びながら戦車に向かって歩いて行くのを見た。ロシア軍を制止したかったのかもしれない。私は司祭に声をかけようとした」
 すると、司祭の方向へ発砲があった。ユヒムさんの位置からは、直接ドゥダレンコ司祭に向かって撃ったように見えたと言う。「それでおしまいだった。彼は2,3歩歩いただけで倒れた」。
 ユヒムさんもこの攻撃で撃たれてけがを負った。その時点でウクライナ軍が到着してロシア軍を後退させなければ、その場のにいた全員が殺されていただろうと、ユヒムさんは思っている。
 ドゥダレンコさんが所属していた有志グループは、軍とは無関係だった。同じグループのエドゥアルドさん(仮名)によると、軍事訓練を受けていたのは数人で、東部ドンバスでロシアと長年続く紛争で戦闘を経験した人たちだという。ほとんどは50歳以上だという。
 エドゥアルドさんは当時、別の検問所を担当していた。エドゥアルドさんが到着した時にはロシア軍戦車は撤退した後で、道路には遺体が散らばっていた。その中にはドゥダレンコさんや、やはり丸腰だった輔祭、別の防衛志願者2人、そして見知らぬ人物が1人含まれていた。
 ドゥダレンコさんの母ナディイアさんは、一人息子は自分の役割を果たそうとしていたと語った。「息子はみんなを守れるようになりたいと思っていた」と、ナディイアさんはBBCに話した。
 「説得してやめさせようとしたけれど、反論できなかった」
 一行は猟銃に加え、少ないながらロシア軍のカラシニコフを所持していた。防弾チョッキはグループ全体に3着だけだった。しかし、ドゥダレンコさんは司祭として武器を持つことを拒否していたと、友人で同じく司祭のセルヒイ・ツォマさんがBBCに語った。
 ドゥダレンコさんがいざ戦車と対決しようと決めた時、撃たれればひとたまりもなかった。しかし、目撃者のユヒムさんによれば、こうした行動がドゥダレンコさんの本質だったという。


◎ロシアがウクライナ侵攻作戦の重心を南東部へ

 【CJC】ロイター通信などによると、ロシア国防省は3月25日、ウクライナ侵攻の作戦の重心を南東部マリウポリなど親露派武装集団の支配地域拡大に移す方針を明らかにした。当初計画していた首都キエフの攻略がウクライナ軍の抵抗で難航し、軌道修正したと見られる。
 ロシア軍は24日、マリウポリ中心部の教会を占拠した。市長が退避したとの情報もある。
 ウクライナ側によると、24日には侵攻開始後、初の捕虜交換が行われ、兵士10人ずつを交換した。


◎バチカン改革へ教皇フランシスコが待望の文書に署名

 【CJC】教皇フランシスコが3月19日(聖ヨセフの祝日であり、教皇職を正式に始めてから9年目の土曜日)に、カトリック教会の中央機関、「バチカン」(ローマ教皇庁)を改革する「使徒憲章」と呼ばれる重要文書を発表し、その実現に向けた決定的な一歩を踏み出した。バチカン・ニュースの発表を元に、仏カトリック・メディア「ラクロア」の報道を紹介する。
 新しい使徒憲章は「教皇庁と教会と世界への奉仕に関する」250条項からなり、「プラディカーテ・エバンゲリウム(福音を宣べ伝えよ)」と名付けられた。
 2013年3月、前回コンクラーベ直前の数日間、枢機卿たちが集まり、教皇庁改革を次期教皇の最優先事項とすべきと話合ったが、教皇フランシスコは即座にこれを取り入れたことになる。
 6月5日に施行され、1988年6月にヨハネ・パウロ2世教皇が発布した現行憲法「パストル・ボヌス(よき羊飼い)」に取って代わる。
 「プラディカーテ・エバンゲリウム」はイタリア語で発表されたが、他言語への翻訳が予定されている。


◎韓国の絵本作家イ・スジ、「児童文学界のノーベル賞」国際アンデルセン賞受賞

 【CJC】絵本『夏が来る』を手掛けた韓国の作家のイ・スジが、児童文学界のノーベル賞と呼ばれるハンス・クリスチャン・アンデルセン賞(国際アンデルセン賞)を受賞した。朝鮮日報(日本語版)が3月22日報じた。
 国際児童図書評議会(IBBY)は21日(現地時間)、イタリアのボローニャで開かれた国際児童図書展の開会式で、イ・スジが国際アンデルセン賞のイラストレーター部門の受賞者に選ばれたことを明らかにした。韓国の作家が国際アンデルセン賞を受賞するのは今回が初めて。国際アンデルセン賞は、19世紀のデンマーク出身の童話作家ハンス・クリスチャン・アンデルセンを記念するため1956年に作られた賞。児童文学界最高の権威を認められている。
 国際アンデルセン賞は、特定の作品ではなく作家がこれまで創作してきた全ての作品を対象とすることから、受賞者にとって非常に大きな名誉と認識される。これまでエーリッヒ・ケストナー、モーリス・センダック、クリスティーネ・ネストリンガー、アンソニー・ブラウンなど世界的な絵本作家が受賞している。イ・スジは2016年に韓国の作家として初めて国際アンデルセン賞イラストレーター部門の最終候補になったが、受賞には至らなかった。
 イ・スジは米国や欧州で広く名前の知られている。イ・スジは英国で学び、世界各国で絵本を出版した。『ウサギたちの復讐(ふくしゅう)』で「スイスの最も美しい本」賞を、『このあかいえほんをひらいたら』でボストン・グローブ・ホーンブック賞絵本部門の次点作品に、『カンイ』で韓国出版文化賞を取り、『なみ』がニューヨーク・タイムズ紙で優秀絵本に選ばれた。


◎女性初の米国務長官オルブライト氏死去

 【CJC】女性初の米国務長官を務めたマドレーン・オルブライト氏が3月23日、がんのため死去した。84歳だった。オルブライト氏の家族がツイッターで公表した。
 ロイター通信によると、1937年、旧チェコスロバキアのプラハに生まれた。第二次世界大戦中はナチスを逃れて家族とともに英国などで暮らし、48年に米国へ移住。その後コロンビア大学で政治学博士号を取得した。民主党のクリントン政権下で93年から97年まで国連大使、さらに97年から2001まで国務長官を歴任した。
 米国務省のプライス報道官はオルブライト氏について「彼女はある日、なぜ100万人以上の軍隊を持ちながらそれを使おうとしないのかと言い放ち、国防総省のトップを怒らせたことがある」と振り返った。


《メディア展望》
 
 =カトリック新聞(3月27日)=https://www.cwjpn.com/cwjpn/
教皇=ウクライナでの「虐殺」やめるよう訴える
バチカンの2枢機卿=ウクライナとハンガリーに希望をもたらす使命帯びて
教皇庁国務省長官=ロシア外相と電話会談=「教皇の憂慮を伝える」
世界のカトリック信者数=13億6千万人で微増維持=アフリカとアジア増える
聖母奉献修道会創立者マリー・リヴィエ列聖承認
 
 =KiriShin(3月21日)=https://www.kirishin.com
ウクライナ危機=教界から支援と連帯の声=キリスト教主義学校もメッセージ
ウクライナ戦争の一因はプライドパレードとキリル総主教
安息日を破る時(山森みか)
東日本大震災11年記念礼拝=日基教団東北教区がオンラインで
核廃絶の議論活発化を緊急に=米サンタフェ大司教が呼び掛け
 
 =クリスチャン新聞(3月27日)=https://クリスチャン新聞.com
教会が建ち続けている=岩手3・11集会各沿岸報告=説教は大塚史明氏
日本人牧師ら駆けつけ=ウクライナ難民支援
ウクライナの平和も祈る=福島3・11記念集会
フルート奏者ソン・ソルナム氏=ポーランド国境で慰問演奏
キリスト教大学から抗議声明続く=学長から緊急メッセージと祈り


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