世界キリスト教情報 第1622信(2022.02.21)
- バチカン教理省が組織再編、各担当責任者を置く2部門構成に
- 教皇自発教令:教皇庁のいくつかの権能を地方教会の司教らに移管
- 教皇、東方教会省の関係者と会見で「人類の戦争への執着は恥ずべきこと」
- ミュンヘン大司教区のマルクス枢機卿、独身制の廃止訴え
- 香港、コロナ急拡大で行政長官選挙をことし5月に延期
- 《メディア展望》
◎バチカン教理省が組織再編、各担当責任者を置く2部門構成に
【CJC】バチカン・ニュースによると、教皇フランシスコは2月14日、自発教令の形の使徒的書簡「フィデム・セルヴァーレ」を発表、教皇庁教理省の組織の再編を行った。
2月11日付けのこの教令で、教皇は同省を二つのセクション、「教理部門」と「規律部門」に分け、同省長官を補助する次官やその他の管理職を、それぞれの部門に設ける旨を説明した。
「教理部門」は、教理部を通して、信仰と倫理の教えの推進と保護に関する事柄を扱う。また、福音宣教に奉仕するための知性と信仰の伝達を高める研究を促進する。
「規律部門」は、規律部を通して、同省に託された罪の件を扱う。これらの件は同省内に設置された最高裁判所の司法権を介して取り扱われる。
同部門は、同省が司法の公正な管理を進めることができるよう、教会法の規則に沿った手続きを整え、作成する。
また、同部門は、担当司教や教会法関係者に同省が与える育成の機会を推進し、それぞれの専門分野に対する教会法の理解と適用を助ける。
この教令は、2月14日より施行。
◎教皇自発教令:教皇庁のいくつかの権能を地方教会の司教らに移管
【CJC】バチカン・ニュースによると、教皇フランシスコは2月15日、自発教令の形の使徒的書簡「アッセニャーレ・アルクーネ・コンペテンツェ」(「いくつかの権能を託す」の意)を発表した。
この自発教令を通し、教皇は教皇庁の管轄であったいくつかの権能を地方教会の司教たちに託すと共に、それに伴い、教会法典の規則の一部を変更した。
この教令による変更は、ラテン教会の教会法典と東方典礼カトリック教会の教会法典の両方に及ぶ。
教皇は自発教令で、普遍の教会の規律の一致を保証するための規則をめぐり、いくつかの権能を地方教会の執行責任者に託すことは、一致における教会の力学に呼応し、いっそう近接を高めるもの、と述べ、「健全な分権化」の大切さを強調した。
そして、そのための規則の変更は、教皇との一致を保証しながら、画一化することなく各々の違いを認める、分かち合いと多様性ある教会の普遍性を反映するもの、と述べている。
今回の自発教令が扱ういくつかの変更の中でも、特に重要なのは、カテキズムの発行をめぐるもの。これまで、地方教会においてカテキズムの発行には教皇庁の「認可」が必要であったが、今後は、教皇庁の「確認」を得た上で、その発行のための監修は司教協議会に帰属するものとなる。
また、教令は、神学校の設立について新しい規則を示している。神学校の創立は、以前は教皇庁の「認可」を必要としたが、今後は教皇庁の「確認」を得た上で、全地域のための神学校の場合は司教協議会によって、そうでない場合は関心ある司教らたちによって、諸教区の集合体による神学校を創立できる。
同教令は、この他、司祭育成や、聖職者の登録、修道者の各種許可、教会運営をめぐるいくつかの点についても、変更したことを記している。
2022年2月11日に署名されたこの教令は、2月15日より施行される。
◎教皇、東方教会省の関係者と会見で「人類の戦争への執着は恥ずべきこと」
【CJC】バチカン・ニュースによると、教皇フランシスコは2月18日、東方教会省(長官=レオナルド・サンドリ枢機卿)の定例総会で、バチカン宮殿に集った総会参加者に、挨拶した。
教皇は、今年、東方教会省の創設者、教皇ベネディクト15世(在位:1914~1922)の帰天から100年を迎えることに言及。「イエス・キリストの教会は、ラテンでも、ギリシャでも、スラブでもなく、カトリックである。その教会の子らの間にはいかなる分け隔てもなく、ラテン、ギリシャ、スラブ、そしてその他の国々の教会は、同じ重要性を持っている」(回勅「デイ・プロヴィデンティス」1917)という同教皇の言葉を思い起こした。
教皇は、ベネディクト15世が戦争を「無用の惨劇」と呼び、その野蛮さを非難したにも関わらず、その忠告は第一次世界大戦に参戦する国々の責任者たちに聞き入られることはなかった、と回想。同様に、聖ヨハネ・パウロ2世のイラク戦争回避のアピールも当事者たちは顧みることがなかった、と振り返った。
教皇は、人類が戦争に執着していることは悲劇であり、恥ずべきことと述べ、わたしたちはこの態度のために神に赦しを祈らなければならない、と話した。
今世紀に入ってからの、中東、シリア、イラク、エチオピアなど、各地の紛争を見つめた教皇は、今では東欧にも紛争の風が吹き、貧しい人々、無実の人々の心の叫びは置き去りにされている、と警告した。
様々な紛争や危機のために、多くのキリスト教徒が信仰の歴史ある土地から流出していることにも触れた教皇は、福音宣教の中で、祖国を離れ各地に散らばったこれらの人々の司牧に配慮し、様々な教会の伝統の豊さを尊重しつつ、調和ある一致を目指して欲しいと関係者らに願った。
◎ミュンヘン大司教区のマルクス枢機卿、独身制の廃止訴え
【CJC】独カトリック教会ミュンヘン大司教区のラインハルト・マルクス枢機卿(68)が南ドイツ新聞(SDZ)2月3日付電子版とのインタビューで、「聖職者の強制的な独身制は廃止すべきだ。セクシュアリティーは人間性の一部であり、決して過ぎ去るものではない」と指摘した。聖職者に婚姻するか独身でいるかの選択権があるべきだという。
マルクス枢機卿は、教皇フランシスコを支える枢機卿顧問評議会メンバー(現在7人構成)の1人。
同枢機卿は、2019年10月の「アマゾン周辺地域のための特別シノドス」で、既婚の聖職者について、「聖職者が不足している地域での独身制の撤廃は想像できる」と語っていたが、今回のように「婚姻に対する聖職者の選択権」まで踏み込んだ発言は初めて。
背景には、1月20日に公表されたミュンヘン・フライジンク司教区の聖職者の未成年者への性的虐待報告書とも関連しているようだ。同枢機卿は「聖職者の独身制」と未成年者への「性的虐待問題」との関連については、「関連があると一般的には答えられない。ただ、独身制と男性だけの世界に引かれる人々がいることは事実だ」と説明するのに留めている。
◎香港、コロナ急拡大で行政長官選挙をことし5月に延期
【CJC】香港政府トップの林鄭月娥行政長官は、2月18日夜、記者会見し「感染がこれまでになく厳しい状況にあり、対応に集中する必要がある」として、来月27日に予定されていた行政長官選挙を5月8日に延期すると発表した。
NHKの報道によると、延期手続きには、行政長官の判断でさまざまな措置を取ることができる「緊急状況規則条例」を適用する。
香港では新型コロナウイルスの感染が急速に拡大し、今月初めには100人程度だった1日当たりの感染者は、17日には初めて6000人を超えた。
5年に1回行われる行政長官選挙をめぐり、林鄭氏自身は再選を目指すのか態度を明らかにしていない。
《メディア展望》
=カトリック新聞(2月20日)=https://www.cwjpn.com/cwjpn/
薬物まん延のミャンマー=教会が初の女性回復施設
北アイルランド=「血の日曜日」50年=マーティン大司教が英国を批判
オロリッシュ枢機卿=教会の同性愛についての教え=「もう正しいとは言えない」
大阪教区=高山右近列聖祈願の「つどい」=生涯を描いた絵画も公式披露
長崎教区=日本二十六聖人殉教記念ミサ=西坂の聖堂でささげ 動画配信
=KiriShin(2月21日)=https://www.kirishin.com
論点2022=香港 国安法から1年半=激化する統制への懸念(松谷曄介=金城学院大学宗教主事)
ミュンヘンのマルクス枢機卿、独身制の廃止訴え
日本国際ギデオン協会=元全国会長ら除名で裁判
早稲田奉仕園スコットホール=献堂100周年で記念礼拝
キリスト教文書センター=公式サイトをリニューアル
=クリスチャン新聞(2月20日)=https://クリスチャン新聞.com
東日本大震災国際神学シンポジウム=A・マクグラス氏講演=再生を意味づける原動力は信仰
JEA女性委員会「かたりば」で伊東綾さん=災害支援やる?やらない?=防災 日頃の話し合い大切
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