世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1621信(2022.02.14)

  • 教皇、2025年の聖年の開催を告げる書簡
  • 教皇「真福八端はイエスの弟子のアイデンティティー」
  • 教皇ビデオ・メッセージ=「人身取引は暴力、人類に刻まれた深い傷」
  • ベネディクト16世が独ミュンヘン教区での虐待報告書めぐり書簡
  • 学校資金を横領した米修道女に禁錮1年1日
  • ミャンマー=クーデターから1年、デモ参加者を傷つけないよう警官に懇願した修道女
  • 米国の水泳大会で12歳の女子選手がBLMの水着であわや失格に
  • 国際人権団体アムネスティがイスラエル批判
  • 《メディア展望》

 

◎教皇、2025年の聖年の開催を告げる書簡

 【CJC】教皇フランシスコは2月11日、新福音化推進評議会議長サルバトーレ・フィジケッラ大司教に宛てた書簡を通し、2025年の聖年の開催に向けた準備を促した。バチカン・ニュースが報じた。
 教皇はこの書簡の中で、不安や恐れに覆われたパンデミックの2年間を経て、聖年の開催が「わたしたちが至急の必要を感じる再生」の一つのしるしとなることを願った。
 2025年に祝われる普遍の教会の聖年を希望の眼差しをもって見つめるよう招く教皇は、「希望の巡礼」を同聖年のモットーとして示した。
 21世紀の最初の四半世紀の節目を前に、わたしたちは、キリスト者たちがそのすべての司牧的配慮のうちに聖年を体験できるよう、その準備に取りかかるよう呼ばれている、と教皇は記した。
 新型コロナウイルスによるパンデミックがもたらした大きな傷を見つめつつ、教皇は、この2年間、突然のパンデミックの影響を受けなかった国はなく、人々は孤独と不安のうちに死の悲劇を間近に見、生活の不安定さはわたしたちの生き方を変えた、と述べた。
 そして、この間、キリスト者たちはすべての兄弟姉妹と苦しみや暮らしの制限を共にし、学校や工場、オフィスや商店と同様に教会もまた扉を閉ざした。パンデミックは自由を制限し、わたしたちの魂に苦しみだけでなく、疑念や恐れをもたらし、道を見失わせた、と教皇は振り返った。
 教皇は、こうした中、この感染症と闘い、少しずつ日常生活に戻るための方法を非常な迅速さをもって見出した科学界の関係者に感謝を述べながら、今後この危機が克服され、人間関係と社会生活が回復されることに、期待と信頼を寄せた。
 来る聖年が、人々が切望する新たな再生のしるしとして、希望と信頼の環境を再び醸成することを教皇は望みつつ、一方で、その実現のためには人々が普遍的な兄弟愛の精神を取り戻すことが必要と指摘。人間の尊厳にふさわしい生活を妨げる貧困の悲劇に目を背けることなく、貧しい人々の声に耳を傾けるようにと願った。
 また、聖年を準備するこの長い歩みの中で、地球環境に配慮すると共に、被造物の美しさを観想し、わたしたちの『共通の家』をいたわることを忘れないように、とアピールされた教皇は、「被造物のための配慮は、神における信仰とその御旨への従順の本質的な表現」であると説いた。
 教皇は、この聖年が「地方教会の司牧の意味あるステップ」となるように、熱心な信仰と、生きた希望、慈愛の業の実践のもとに、ふさわしい方法で準備され、開催されるよう願った。
 教皇は、しかるべき時に「聖年開催の布告」が発布されるのを待ちつつ、聖年の前年、2024年を大きな「祈りのシンフォニー」として、神の愛の多くの恵みに感謝し、その創造の業を賛美する年にしたい、と述べた。
 また、その祈りを通し、連帯と分かち合いのうちに、イエスがわたしたちに教えた「主の祈り」をわたしたちの「人生の計画」とすることができるようにと希望した。


◎教皇「真福八端はイエスの弟子のアイデンティティー」

 【CJC】教皇フランシスコは2月13日、バチカンで日曜正午の祈りの集いを行い、「お告げの祈り」をバチカンの広場の巡礼者たちと共に唱えた。
 この日の説教で、教皇はルカ福音書中のイエスが「真福八端」の教えを説く場面(ルカ6・17、20~26)を取り上げた。
 教皇の説教の要旨は次のとおり。
 
 今日の福音の中心は「真福八端」(参照
ルカ6・20~23)である。イエスが、群集に囲まれているにも関わらず、「弟子たちを見て」(同6・20)この教えを説いたのは興味深いことである。実際、「真福八端」は、イエスの弟子であるためのアイデンティティーであると言える。この教えは弟子でない人には理解しがたいものであろう。しかし、イエスの弟子とはどうあるべきかと問う時、その答えはまさしく「真福八端」なのである。
 「真福八端」の最初にある「貧しい人々は、幸いである」(同6・20)という教えは、他のすべての「幸い」の基礎をなすものである。この言葉を通し、イエスはご自分の弟子の二つの特徴を示している。すなわち彼らは「貧しく」「幸い」であるということである。彼ら貧しいがゆえに、幸いなのである。
 これはどういう意味だろうか。それは、イエスの弟子はお金や、権力、物的豊かさにではなく、いのちや、自然、兄弟姉妹たちといった、神から毎日与えられる恵みに喜びを見出している、ということである。
 イエスの弟子は、所有しているものを分かち合うことをも喜びとする。それは神の論理である「無償性」を生きているからである。また、彼らは人生の意味をすでに悟っているようには考えず、それを毎日学ぶべきことと考えている。彼らは謙遜で、開かれた、偏見や頑なさを持たない人々である。
 イエスの弟子とは、別の言い方をするならば、「真福八端のパラドックス」を受け入れる人である。わたしたちは普通、富にあふれた人、皆から称賛を受けている人は幸いである、と人間的な考え方をする。それとは反対に、イエスは世俗的な成功は幸いをもたらさないと宣言する。
 「真福八端のパラドックス」を前に、イエスの弟子は戸惑うが、神がわたしたちの論理に従うのではなく、わたしたちが神の論理に入っていくべきであることを自覚している。それは時に困難もあるが、常に喜びを伴う歩みである。
 わたしたちがイエスの弟子として、開かれ喜びに満ちて生きることができるよう、主の第一の弟子である方、聖母マリアが助けてくださいますように。


◎教皇ビデオ・メッセージ=「人身取引は暴力、人類に刻まれた深い傷」

 【CJC】教皇フランシスコは、聖ジュゼッピーナ・バキータの日の2月8日、「人身取引反対のための祈りと考察の日」(テーマ=「いやしの力。女性、経済、人身取引」)を記念してビデオ・メッセージを明らかにした。
 バチカン・ニュースによると、聖ジュゼッピーナ・バキータ(1868~1947)は、スーダンに生まれ、幼少時に誘拐されて奴隷として売られ、耐えがたい苦難を体験した。16歳の時、イタリア領事の家に引き取られ、やがて領事の友人一家に託されて、イタリアに渡った。ベネチアでカノッサ修道女会と出会い、洗礼を受け、やがて同会の修道女として愛徳にあふれる奉献生活をおくった。
 教皇は、この祈りと考察の日を機会に、強制結婚や、家庭内あるいは労働上の隷属を含む、あらゆる形の搾取を受けている女性と少女たちの状態を心に留め、無数の女性たちが毎年人身取引の犠牲になっている現実を見つめるよう招いた。
 「人身取引は暴力です」と述べた教皇は、すべての女性・少女たちが受けた苦しみはキリストの体、人類、わたしたち自身に刻まれた深い傷である、と述べた。
 そして、人権が、多様性とすべての人間の尊厳の尊重のうちに、特に基本的権利を侵害された人々へのいたわりを重視するものとして宣言されるよう闘わなければならない、とアピールした。
 教皇は、聖ジュゼッピーナ・バキータの生涯は、神が一人ひとりに与えるいやしによってわたしたちが変えられてこそ、人生の変容が可能になることを示している、と述べ、神のいつくしみと愛によるいやしはわたしたちを深く変え、それによってわたしたちも兄弟姉妹たちを受け入れることができるようになる、と話した。
 「人身取引反対のための祈りと考察の日」を通し、教皇は「いやしの経済」を育て、人身取引のあらゆる搾取に全力をもって対抗しようと、すべての人に呼びかけた。


◎ベネディクト16世が独ミュンヘン教区での虐待報告書めぐり書簡

 【CJC】名誉教皇ベネディクト16世は、ドイツのミュンヘン・フライジング大司教区における聖職者たちによる未成年者虐待問題への歴代大司教の管理対応をめぐる報告書を受け、羞恥と苦しみを表すと共に誠実に赦しを願う書簡を発表した。報告書には、戦後から現代までの同教区の歴代大司教たちの同問題への管理対応がまとめられている。バチカン・ニュースが2月8日報じた。
 かつて約5年にわたりミュンヘン・フライジング大司教区の大司教を務めた名誉教皇ベネディクト16世は、この報告書を受け、同大司教区の信者たちに宛て自ら書簡を発表した。名誉教皇は悔悛の念に満ちたこの書簡を通し、ご自身の思いを「告解」しつつ、「自分が役職にあった特定の場所、時代において明らかになった虐待事件と過ちに対する苦しみ」を表明した。
 ベネディクト16世は、聖職者たちによる虐待の被害者らと面会し、対話した時のことを思い起こし、「多くの司牧訪問時をはじめ、聖職者による虐待の被害者の方々とのすべての面会において、わたしは一つの重大な罪がもたらす結果を目の当たりにすることになった。そして、わたしたち自身も、しばしば起こりうるように、成り行きにまかせ、それをおろそかにしたり、必要な決断と責任をもって対応しない時に、この重大な罪に引き込まれることを学んだ」と書いている。
 そして、「これらの面会でそうであったように、性的虐待のすべての被害者の方々に対し、わたしは改めて深く恥じ入ると共に、大きな悲しみを表明し、誠実に赦しを乞うことしかできない。わたしはカトリック教会において大きな責任を負っていた。自分が役職にあった特定の場所、時代において明らかになった虐待事件と過ちを前に、その苦しみはさらに深いものである。一つひとつの性的虐待事件は恐ろしいものであり、もとには戻らないものである。性的虐待の被害者の方々の苦しみに心から寄り添いたいと思うと共に、その一つひとつの件のために後悔している」と述べている。
 ベネディクト16世は、書簡の終わりに次のように記している。「もうすぐわたしは人生の最後の審判の前に立つことになるだろう。わたしの長い人生を振り返る時、恐れを抱くような理由がもしたくさんあったとしても、わたしの魂は喜びのうちにあるだろう。それは、主に固く信頼しているためである。主は正しい裁判官であるだけでなく、同時に友、また兄弟であり、わたしの足りなさのためにすでにご自身が苦しまれた。主はわたしの裁判官であると同時に、弁護者(パラクリトス)である。裁きの時を前に、キリスト者であることの恵みをこれほどまでにはっきりと感じる。キリスト者であることは、わたしに自覚と、それ以上に、わたしの裁判官である方との友情を与え、死の暗い扉を信頼をもってくぐることを認めてくれるのである」。


◎学校資金を横領した米修道女に禁錮1年1日

 【CJC】米カリフォルニア州の連邦地方裁判所は2月7日、勤務先の学校の資金83万5000ドル(約9600万円)を横領し、ギャンブル旅行などに充てていたとして、修道女のメアリー・マーガレット・クルーパー被告(80)に禁錮1年1日の有罪判決を言い渡した。AFP通信の報道を紹介する。
 クルーパー被告は60年前、清貧を誓って修道女となった。しかし、ロサンゼルス近郊のカトリック系小学校の校長を務めていた時に学校資金を横領。ラスベガスへのギャンブル旅行やリゾート地タホ湖への豪華旅行に充当していた。
 ロサンゼルス・タイムズ紙によると、クルーパー被告は法廷で「罪を犯し、法を破った。弁解の余地はない」と語った。
 昨年の審理では、通信詐欺とマネーロンダリング(資金洗浄)の罪を認めていた。
 授業料や寄付金を自身が管理する秘密口座に送金。監査で不正流用が発覚しそうになると、不利な証拠を部下に隠滅させた。
 地裁のオーティス・D・ライト2世判事は、クルーパー被告は長年にわたって優れた教師だったと認めた上で、「ただどこかで完全に道を踏み外した。自分でも理解していると思う。少なくともそうあってほしい」と述べた。


◎ミャンマー=クーデターから1年、デモ参加者を傷つけないよう警官に懇願した修道女

 【CJC】2月1日、ミャンマーで軍がクーデターを起こしてから1年を迎えた。当時、反クーデターデモの参加者を撃たないようひざまずいて警官に懇願した修道女アンローズ・ヌトーンさんはAFP通信のインタビューに対し、その時のことを思い出すと今でも体が震えると語った。
 北部カチン州ミッチーナで昨年3月、ヌトーンさんが警官にひざまずき、両手を広げてデモの参加者を撃たないよう懇願する様子を捉えた写真は世界中に拡散された。
 混乱の中、写真を撮られたことにも気付かなかった。「家に着くと、家族や友人がとても心配していたので気付いた」と話す。母親からはなんて危険なことをしたのかと、涙ながらに怒られた。
 ヌトーンさんは、牧師の父と教師の母の間に生まれた。少数民族武装組織と軍の衝突が長年続いてたカチン州では、軍を避けるのは子どもの頃から常識だった。
 9歳の時には、兵士から逃れるため家族で避難せざるを得なくなった。その際の恐怖感は脳裏に焼き付いており、今の子どもたちも同じような目に遭うのではないかと心配している。
 看護師の研修を受けたことがあるヌトーンさんは、現在はカチン州内の国内避難民キャンプで働いている。
 「神の御加護で生きています。私を永遠にお使いになりたいのかもしれません」とヌトーンさん。 信仰が希望と目的意識を与えてくれる、と言う。


◎米国の水泳大会で12歳の女子選手がBLMの水着であわや失格に

 【CJC】米メディア「CNN」は、ウィスコンシン州スペリオルで開催されたダルース地区ファミリー・YMCA水泳大会で、黒人女子選手が人種差別への抗議運動「ブラック・ライブズ・マター」(BLM=黒人の命も大切だ)の水着を着ているという理由で参加資格を失いかけた、と報じた。
 大会は2月6日、同市内の高校で開催された。ライディ・ライオンズさん(12)が「ブラック・ライブズ・マター」と書かれた水着で競技に出ようとしたところ、ボランティア・スタッフから参加できないと言い渡された。政治的な表現を禁止している米水泳連盟の規定に反するとの理由だった。
 母のサラ・ライオンズさんによると、普段から正義感の強いライディさんは、出場するために別の水着に着替えるのはいやだと主張した。サラさんは「その調子」と、励ましの言葉をかけた。
 ライディさんは結局、ダルース・YMCAスタッフの判断で出場を認められた。失格を言い渡したボランティアスタッフは今後、同YMCAが主催する水泳大会への参加を禁止されるという。
 同YMCAは、今後も人種差別反対の立場を貫き、多様性に向けた運動を支持すると表明した。


◎国際人権団体アムネスティがイスラエル批判

 【CJC】国際人権団体アムネスティ・インターナショナルが2月1日、「イスラエルはパレスチナ人への抑圧と支配を制度化し、アパルトヘイト(人種隔離)を実践している」と非難する報告書を発表した。イスラエル外務省は「報告書は現代の反ユダヤ主義に基づき作成された」と反発している。
 米メディアCNNがエルサレム発で報じるところでは、約300ページの報告書は、パレスチナ人に対する「強制移住、勾留、拷問、不法殺傷などの非人道的行為、および基本的人権や自由の否定、迫害」について詳述し、「パレスチナ人に対する組織的抑圧と支配の体制」が作り出されたと指摘。「イスラエル国家は、パレスチナ人を劣等の非ユダヤ人集団とみなしている」と結論づけた。
 アムネスティのアニエス・カラマール事務局長は1日、「我々がアパルトヘイトと呼ぶのは、これが国際法に基づくアパルトヘイトだからだ」と述べ、「パレスチナ人に対する統制と支配を徹底させる目的で、体系化された法律、政策、慣行、入り組んだ官僚機構が存在していることが分かった」とCNNに語った。
 この報告書についてイスラエル外務省は報告書の発表前に開いたオンライン記者会見で、アムネスティが「ユダヤ人の故国としてのイスラエルの存在を否定する目的で」二重基準を用いていると非難。外務省は別の声明で「これこそまさに、現代の反ユダヤ主義の構成要素」と位置付けた。
 米国務省のネッド・プライス報道官は1日の記者会見で、報告書について「イスラエルの行為がアパルトヘイトに当たるとの見解は受け入れない」と述べている。


《メディア展望》
 
 =カトリック新聞(2月13日)=https://www.cwjpn.com/cwjpn/
教皇フランシスコ=ウクライナの平和訴える
ベネディクト会司祭=聖地の破壊行為は少数過激派の犯行
眠くなる説教やめて=「昼の祈り」で教皇が強調
教皇の一般謁見講話=恐れや困難に助けと勇気
「カリタスみちのくの集い」=引き続き被災地を支援
 
 =KiriShin(2月11日)=https://www.kirishin.com
論点2022=コロナ後の教会の可能性=オンライン化で問われる新しい共同体(仲程愛美)
「バチカンと日本100年プロジェクト」=加藤一二三九段が講演「聖書は知恵の宝庫」
明治学院歴史資料館=デジタルアーカイブズを公開
ビザンツ帝国時代の教会=ガザ地区で一般公開
台湾に生涯ささげた英国人宣教師=生き様描いた漫画が出版へ
 
 =クリスチャン新聞(2月13日)=https://クリスチャン新聞.com
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