世界キリスト教情報 第1607信(2021.11.08)
- 仏司教協、児童虐待で教会の「責任」認める
- 教皇、バチカン行政責任者に初の女性任命
- 教皇、12月2日から6日までキプロスとギリシャ訪問
- 11月の教皇の祈りの意向「うつ病に苦しむ人々のため」
- 「胎児の死亡待つしかない」=中絶禁止のポーランドで妊婦死ぬ
- 韓国のヨイド純福音財団「平壌の病院建設再開」
- ガス管の敷設工事現場から2000年前の墓地遺跡=ペルー
- 《メディア展望》
◎仏司教協、児童虐待で教会の「責任」認める
【CJC】AFP通信報道によると、仏司教協議会は11月5日、カトリック教会で過去70年間に起きた数十万件の児童虐待について、教会側の「組織的責任」を認めた。
エリック・ドムーランボーフォール会長によると、同協議会は年次総会で、教会が対応を怠ったため虐待が「全体に及ぶ」ものとなったことも認めた。
1950~2020年にあった虐待を調査する独立委員会は10月5日、2500ページ近くに及ぶ報告書を公表し、21万6000人の未成年者に対する虐待があったと結論。数十年間にわたり「沈黙のベール」で隠蔽(いんぺい)されてきた「大規模な現象」と表現した。被害者の「大部分」はさまざまな生い立ちの思春期前の少年だった。
ドムーランボーフォール氏は当時、この調査結果について「恥と恐怖」を表明。教皇フランシスコも、「大きな悲しみ」を感じていると述べた。
◎教皇、バチカン行政責任者に初の女性任命
【CJC】バチカンは11月4日、「教皇フランシスコが、バチカン市国行政庁長官にラファエラ・ペトリーニ修道女(52=フランシスコ会)を任命した」と発表した。行政庁長官に女性が任命されたのは初めて。
行政庁長官は、バチカン市国の首長である行政庁長を補佐し、行政全般を総括するポスト。年間600万人が訪れるバチカン博物館をはじめすべての組織運営の責任を負う。慣例的に司教が事務局長を務めてきたが今回破格の人事が行われたと、バチカン・ニュースは伝えた。
ローマで生まれたペトリーニ氏はローマのルイス大学、聖トマス・アクィナス大学を卒業した後、2005年から教皇庁内の海外布教業務を担当する福音宣教省で働いてきた。聖トマス・アクィナス大学教授でもある。
◎教皇、12月2日から6日までキプロスとギリシャ訪問
【CJC】教皇フランシスコは、12月2日から6日まで、キプロスとギリシャを訪問する。トルコ系の北側とギリシャ系の南側が対立する地中海の分断国家キプロスへは、初めての訪問。
バチカンのマッテオ・ブルーニ広報局長の声明によると、教皇は2日から4日まで、南側のキプロス共和国の首都ニコシアを訪問する。続いて4日から6日まで、ギリシャの首都アテネと中東などからの難民が多く暮らす東部レスボス島を訪問する予定。
2カ国への訪問は、それぞれの政府と司教協議会の招きを受けて行われる。教皇は2016年にも同島を訪問している。その時はシリア難民12人を飛行機に乗せ連れ帰った。
◎11月の教皇の祈りの意向「うつ病に苦しむ人々のため」
【CJC】カトリック教会は、毎月、「教皇の祈りの意向」を示し、教会全体が日々の祈りの中で、その意向に基づいて祈るように招いている。
教皇フランシスコは、11月の祈りの意向について、「うつ病に苦しむ人々」をテーマに、次のようなビデオメッセージを3日寄せた。
「うつ病や燃え尽き症候群に苦しむ人々が、支援を受け、生活を取り戻す光を見いだすことができますように。」
過度の労働やストレスが、多くの人々を精神・感情・愛情・身体の面で極度に消耗させている。
しまいには、悲しみ、無気力、精神疲労が、今日の暮らしのリズムに押しつぶされた人々の生活を支配することになる。
疲れ切った人、希望もなく、悲観の中にある人のそばに、多くの場合、ただ静かに耳を傾けながら、寄り添いましょう。なぜなら、わたしたちはある人のところに行って、「違ちがう。人生はそんなものじゃない。ただ、わたしが解決法を教えようう」と言うことはできない。そこに解答はない。
こうした不可欠で、助けとなる、有効な心理的寄り添いと共に、イエスの言葉も救いとなることを忘れないようにしよう。
わたしの頭と心には、この言葉が浮かんできます。「疲れた者、重荷を負う者は、だれでもわたしのもとに来なさい。休ませてあげよう」。
祈りましょう。うつ病や燃え尽き症候群に苦しむ人々が、支援を受け、生活を取り戻す光を見いだすことができるように。
◎「胎児の死亡待つしかない」=中絶禁止のポーランドで妊婦死ぬ
【CJC】欧州で最も敬虔なカトリック教徒の国の一つ、ポーランド。妊娠22週目を迎えた30歳の妊婦イザベラさんが、胎児に異常があったにもかかわらず医師が中絶を拒んだため、敗血症性ショックで死亡した。これを受け、同国全土で中絶禁止への抗議活動が起きた。ロイター通信によって紹介する。
憲法裁判所は昨2020年10月、胎児に異常がある場合も中絶は違憲との判決を出した。
人権活動家によると、イザベラさんは、医師が胎児の心臓が停止するのを待った後、敗血症性ショックで死亡。中絶を違憲とする判決後、妊婦として初の死亡例だという。
イザベラさんの母親であるバーバラさんは、民間放送の取材に応じ、9月に娘が病院から送ったメールを読み上げた。
「医師は、(胎児が)死ぬか、何かが起きるまで待つだろう。でなければ、私は敗血症になる」
同国政府は、これは医療ミスで中絶法によるものではないと主張、病院は11月5日、2人の担当医師を停職処分にしたと発表した。
欧州で最も敬虔なカトリックの国の一つ、ポーランドの中絶法に抗議し6日、数千人が同国全土に集結した。
大統領は昨年、胎児が生存できない場合、中絶を可能にする法改正を提案したが、この法案はまだ審議されていない。
◎韓国のヨイド純福音財団「平壌の病院建設再開」
【CJC】国連安全保障理事会傘下の対北制裁委員会は11月6日、「ピョンヤン(平壌)に病院を建てるための資材・装備の対北搬入許可を」という韓国ヨイド(汝矣島)純福音財団の要請を承認したことを明らかにした。
韓国の電子メディア「WoWコリア」によると、制裁委員会は10月28日付けの書簡で「平壌心臓専門病院を通した北朝鮮内のぜい弱層の中症疾患治療事業など、ヨイド純福音財団の対北人道的支援活動に対する制裁免除を承認する」と答えていた。
委員会が対北搬入を承認した物品は、平壌心臓専門病院の建設に使うパイプ・圧縮機・木材・貯水用タンクなどの建築資材と、CTスキャン・MRI・病床・手術台・注射器など。
制裁免除期間は、2022年10月28日まで。
平壌心臓専門病院は、ヨイド純福音教会の故チョ・ヨンギ(趙ヨン基)牧師が2007年に北朝鮮の朝鮮キリスト教連盟と合意して平壌に建てようとした病院。
米政府運営の国際放送「ボイス・オブ・アメリカ」(VOA)は、病院は2007年末に着工し、地下1階から地上7階・延べ面積2万平方メートル・総病床数280規模で進められていたが、2010年のチョナン(天安)艦沈没事態以降、工事が中断されている、と伝えた。
◎ガス管の敷設工事現場から2000年前の墓地遺跡=ペルー
【CJC】南米ペルーの首都リマで行われていたガス管の敷設工事の現場から古代の墓地遺跡が見つかった。リマ発AFP通信が報じた。現場からは約2000年前の埋葬用容器も出土した。考古学者セシリア・カマルゴ氏が11月4日発表した。
カマルゴ氏は、「これまでに大人と子ども合わせて6人の遺骨が見つかった。埋葬のために作られたとみられる焼き物の容器も一緒だった」と語った。
専門家らによると、市内のラビクトリア地区で見つかった遺跡は、リマを流れるチジョン川、リマック川、ルリン川の3河川の渓谷で栄えたとされる文化「Blanco
sobre Rojo」に関連するものとみられるという。
発掘現場からはこれまでに、この文化に関連する遺物が40点ほど見つかっている。
《メディア展望》
=カトリック新聞(11月7日)=https://www.cwjpn.com/cwjpn/
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=KiriShin(11月1日)=https://www.kirishin.com
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=クリスチャン新聞(11月7日)=https://クリスチャン新聞.com
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