世界キリスト教情報 第1601信(2021.09.27)
- スイス、同性婚の合法化に多数が賛成
- バチカン訪問者、10月から「グリーンパス」必要に
- 教皇、アルメニア典礼キリキア新総大主教承認
- 教皇が冗談「私の死を望む人々もいた?」
- 仏修道士が5G基地局に放火、電波の健康被害訴え
- ギルガメシュ叙事詩の粘土板、米からイラクに戻る
- ソドムを滅ぼしたのは隕石? 国際研究チームの研究結果
- 《メディア展望》
◎スイス、同性婚の合法化に多数が賛成
【CJC】スイスで9月26日、同性婚の合法化をめぐる国民投票があり、約64%が合法化を支持した。同性婚を合法と認めるのは、スイスが世界で30カ国目となる。英BBCが報じた。
スイス政府と、国民党以外のすべての主要政党が支持している今回の合法化案は、昨年12月に議会で可決されていた。
しかし反対派が合法化の阻止に動き、国民投票に必要な署名を集めた。投票前には、キリスト教会系団体や保守的な政党が、伝統的な家族の形を損なうとして合法化に反対した。
支持者たちは今回の国民投票を、スイスのLGBT(性的少数者)の権利にとって歴史的なものとなったとたたえた。
同性婚が合法化されれば、同性カップルは血縁のない子どもを養子にできる。女性カップルが結婚した場合は、精子提供によって子どもを持てるようになる。
合法化を支持する「イエス」運動を展開してきた組織のヤン・ミュラー氏は、「スイスにとって歴史的な日であり、同性カップルの平等にとっても歴史的な日だ。さらにLGBTコニュニティー全体にとっても重要な日だ」とAFP通信に話した。
カリン・ケラー=ズッター法相は、最初の同性婚は来年7月に成立するとの見通しを示した。
一方、右派政党スイス国民党の政治家で合法化に反対しているモニカ・ルイガー氏は、子どもと父親が敗者だと述べた。
◎バチカン訪問者、10月から「グリーンパス」必要に
【CJC】バチカンを訪問する人は、10月から、新型コロナウイルスのワクチン接種済みか感染症回復を証明する「グリーンパス」、またはウイルス検査の陰性証明書が必要となる。
現在の公衆衛生危機に対応するために、バチカン市国においてあらゆる適切な予防・管理対策を講じるようにとの、教皇フランシスコの指示に従い、バチカン市国行政庁が制定した条例をバチカン市国委員会が、9月18日付で公布した。10月1日から施行される。
バチカン市国内、およびラテラノ条約が定める区域(バチカン市国外のバチカンに属する諸機関の建物、教皇直属バシリカ、ラテラノ宮殿、カステルガンドルフォ教皇離宮博物館など)に入るためには、新型コロナウイルスのワクチン接種済み、または同ウイルス感染症からの回復証明書「グリーンパス」かウイルス検査(PCR検査または抗原検査)の陰性証明書が必要となる。
この規定は、「バチカン市国の市国民、居住者、バチカン市国行政庁および教皇庁諸機関・関連施設で働くあらゆる立場の人々、すべてのビジター、サービスの利用者」に適用される。
唯一の例外として、ミサの参加者にはこの規定は適用されない。しかし、儀式に必要な時間内に限られ、ソーシャルディスタンスの適用、マスク着用、人流・密集に関する制限等、衛生上定められた規則を尊重することが求められる。
バチカン美術館では、すでに8月6日から入館のために「グリーンパス」の提示が義務付けられている。
◎教皇、アルメニア典礼キリキア新総大主教承認
【CJC】教皇フランシスコは9月24日、アルメニア典礼カトリック教会のキリキア新総大主教として、このたび選出されたラファエル・ベドロス21世ミナシアンを承認した。バチカン・ニュースが伝えた。
アルメニア典礼カトリック教会キリキア総大主教区のシノド(教会会議)はローマで9月23日、今年5月に逝去したキリコル・ベドロス20世の後任総大主教を選出する選挙を行った。
この選挙で、ラファエル・フランソワ・ミナシアン大主教が選出され、新総大主教ラファエル・ベドロス21世ミナシアンとなった。
アルメニア典礼カトリック教会で、キリキア総大主教は最高指導者の地位にある。
教皇は、ラファエル・ベドロス21世ミナシアン総大主教をバチカンに招き、新総大主教選出に喜びを表すと共に、アルメニア典礼カトリック教会の歩みに寄り添う全カトリック教会の祈りを伝えた。
この中で、教皇は特にアルメニア典礼カトリック教会があるシリアとレバノンに思いを向けた。
教皇は、アルメニアのキリスト教の1700年にわたる歩みと、その苦難の歴史の中で、聖人、殉教者、教会博士らの聖性と叡智また芸術を通してもたらされた豊かな実りに言及。この世のあらゆる敵対の力に対し信仰の勝利を証しする、アルメニアのキリスト者たちを称えた。
◎教皇が冗談「私の死を望む人々もいた?」
【CJC】教皇フランシスコ(84)は、自身が結腸の手術を受けた後、枢機卿が自分の後任を選ぶ準備をしていたとして9月21日、「私の死を望む人々もいた」と冗談を言った。早速メディアが報じた。ローマ発AFP=時事通信によって紹介する。
修道会イエズス会の機関誌ラ・チビルタ・カットリカによると、教皇はスロバキアの首都ブラチスラバを訪問していた12日、イエズス会の会合で出席者から体調を聞かれ、「まだ生きている。私の死を望む人々もいたようだが」と答えた。
さらに、「教皇の病状が公表されている内容よりも深刻だと考えた高位聖職者が会議を開き、教皇選挙(コンクラーベ)の準備をしていたことも知っている」と述べた。
教皇は7月4日に結腸憩室炎の手術を受け、10日後に退院している。
◎仏修道士が5G基地局に放火、電波の健康被害訴え
【CJC】AFP通信によると、フランスの検察は9月20日、5G(第5世代移動通信システム)基地局に放火したとして、南東部ローヌ地方のヴィルフランシュ・シュル・ソーヌ付近にあるカプチン修道会の39歳と40歳の修道士2人を訴追したと明らかにした。2人は5Gの電波による健康被害を訴えたかったとしている。
2人は、14日深夜に、リヨンの北西サンフォルジュの5G基地局1カ所に火を付けたと供述している。翌夜、隣村の別の基地局に放火しようとしたところを、待ち伏せていた警察に拘束された。
フランス各地では、健康被害があるとして5Gの基地局設置に対して反発が出ている。
カプチン修道会も、2人ほど狂信的ではないにせよ、2人その考えを支持しているようだ。
修道会の広報担当者は地元紙ル・プログレに、5Gの電波は「人体に極めて有害で、2人は人類の幸福のために行動したかった」と説明した。一方、放火については、若気の至りだと話している。
◎ギルガメシュ叙事詩の粘土板、米からイラクに戻る
【CJC】30年前にイラクの博物館で盗まれ米国に密輸された「ギルガメシュ叙事詩」を記した粘土板が9月24日、イラクに返還された。
国連教育科学文化機関(ユネスコ)のオードレ・アズレ事務局長は、ギルガメシュ叙事詩は「人類共通の宝」だとし、粘土板が本来あるべき場所に帰ることは「遺産の破壊者に対する国際社会の大きな勝利だ」と述べた。
ギルガメシュ叙事詩は、古代メソポタミアの王ギルガメシュが不死を求めて放浪する物語で、世界最古の文学作品の一つ。ほぼ13センチ×15センチ大の粘土板は、シュメール語が楔形文字で刻まれている。
盗まれた粘土板は、2001年に英国で発見された。米国の美術商が03年、ロンドン在住のヨルダン人から購入。米国に密輸し、偽の鑑定書を付けて07年に5万ドル(約550万円)で古美術商に売却した。
14年には、ハンドメイド用品チェーン「ホビーロビー」のオーナーで、ワシントンに「聖書博物館」を創設したスティーブ・グリーン氏が、同博物館で展示するため、盗品だとは知らず167万ドル(約1億8400万円)で購入した。
しかし17年に博物館の学芸員が鑑定書が正規のものでないと気付いた。
イラクでは、数十年にわたり歴史的文化財が略奪されている。米国は今夏、約1万7000点の文化財をイラクに返還したが、その大半はメソポタミア最古の文明の一つである約4000年前のシュメール王朝時代のものだった。
◎ソドムを滅ぼしたのは隕石? 国際研究チームの研究結果
【CJC】旧約聖書で神が滅ぼしたとされるソドムの街は、実際には隕石で滅びたとする国際研究チームの研究結果が、英科学誌サイエンティフィック・リポーツに掲載された。ロンドン発時事通信が9月24日報じた。
聖書「創世記」では、死海周辺の都市ソドムとゴモラは住民の不道徳な生活のために神の怒りに触れ、天から降った硫黄と火によって滅ぼされたとされる。
爆発は紀元前1650年ごろに発生、広島型原爆の1000倍以上のエネルギーに達した。
研究チームの米カリフォルニア大サンタバーバラ校のジェームズ・ケネット名誉教授は「『創世記』に書かれている全ての観察結果は、宇宙からのエアバースト(空中爆発)と一致している」と指摘。「しかし破壊された都市が旧約聖書のソドムだという科学的証拠はない」と述べている。
《メディア展望》
=カトリック新聞(9月26日)=https://www.cwjpn.com/cwjpn/
教皇、スロバキアを訪問=「マリアの信仰を模範に」
▽訪問2日目=ブラチスラバ=首都で指導者らと会見=人を大切にする社会と教会
▽訪問3日目=プレショフ=東方典礼「聖体礼儀」で十字架の証しをたたえる
▽訪問3日目=ロマの共同体と青年に=「教会は皆さんの家」
▽訪問4日目=「悲しみの聖母」巡礼地でミサ=信仰は「反対のしるし」
「世界難民移住移動者の日」教皇メッセージ=さらに広がる"わたしたち"へと向かって
=KiriShin(9月21日)=https://www.kirishin.com
特集「敬老の日」座談会=〝老い〟の意味と教会の役割=長沢道子×佐光紀子×佐々木炎
オンラインで「日本伝道の幻を語る会」=若者と共に日本伝道のビジョンを!
WCRPが核廃絶に向けシンポ=宗教者の立場から意識の転換を
東アジアのリアル=中国の教会が届ける「ケアとキュア」
米国同時多発テロから20年=追悼式典で6回の黙祷
=クリスチャン新聞(9月26日)=https://クリスチャン新聞.com
「コロナ禍の教会」ウェスレーとメソジストの視点から=〝聖餐のリアル〟コロナ禍でも=第22回日本ウェスレー・メソジスト学会
ライフセンタービブロス堂=9月11日プレオープン=沖縄の文書伝道に新拠点
ヨイド純福音教会創立者=趙鏞基氏逝去=「一千万救霊」掲げ日本宣教
20~30代教会リーダーの「今んとこ」とこれから=個々の積み重ねが壮大な全体に=AAJウェビナー
下稲葉康之氏逝去=末期医療の患者への緩和ケアに貢献