世界キリスト教情報 第1597信(2021.08.30)
- 英女王がCOP26出席へ、教皇の参加も
- ハイチ地震1週間、死者2200人超える 政情不安も影落とす
- パラリンピック=アフガニスタン代表2選手出場へ
- イスラエル軍に拘束されていたパレスチナ人キリスト者保釈
- ジェシー・ジャクソン牧師とジャクリーン夫人がコロナで入院
- 米ハーバード大学主任チャプレンに無神論者就任
- 聖アンデレ金生誕200年、教皇「英雄的な信仰の証し人」
- 2800年前の地震の痕跡をエルサレムで発見
- 《メディア展望》
◎英女王がCOP26出席へ、教皇の参加も
【CJC】共同通信が紹介するところでは、10月末に英北部スコットランド・グラスゴーで始まる国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)に、エリザベス英女王(95)が出席する。COP26の事務局側が8月27日、ツイッターで発表した。
ロイター通信は、スコットランドのカトリック教会関係者らの話として、健康状態次第では教皇フランシスコも参加すると伝えた。
英メディアによると、COP26ではチャールズ皇太子が演説する予定。ほかにもスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんが参加の意向を示している。
COP26では、産業革命前からの気温上昇を2度未満、できれば1・5度に抑えるとのパリ協定の目標実現に向け、各国が温室効果ガスの削減目標を引き上げるなど、気候変動対策を加速させられるかどうかが焦点となる。
◎ハイチ地震1週間、死者2200人超える 政情不安も影落とす
【CJC】マルセリーン(ハイチ)発ロイター通信によると、ハイチで8月14日に起きたマグニチュード(M)7・2の地震による死者は、22日時点で2207人に達した。被害に見舞われた同国南西部の各地では同日、教会の日曜ミサや葬儀が執り行われ、市民らは震災の死者を悼んた。
被害が大きかった南西部の都市レカイの郊外では、カトリック教会で震災後初となる日曜ミサが行われ、約200人の信者が集まった。教会が倒壊した地域では屋外で葬儀が行われ、マルセリーン村では損壊したカトリック系学校の前に数十人が集まり、同一家族の4人の死者の葬儀が執り行われた。
地震は、ジョヴネル・モイーズ大統領暗殺により政情が不安定化している中で起きた。人権保護全国ネットワーク(RNDDH)は、アリエル・アンリ首相が暗殺があった夜に主犯格の容疑者の1人、ジョセフ・フェリック・バディオ氏と電話で話したと伝え、国内で波紋を呼んでいる。
当局によると、地震ではなお344人が行方不明で、1万2268人が負傷した。
復旧活動は洪水や道路損壊によって停滞しており、支援の遅れにより南部の複数の町では物資を運ぶトラックの略奪が起きており、治安を巡り懸念が強まっている。
◎パラリンピック=アフガニスタン代表2選手出場へ
【CJC】国際パラリンピック委員会(IPC)は8月28日、東京パラリンピックへの参加を断念していたアフガニスタン代表の2選手が東京に到着したと発表した。
ロイター通信、英BBCなどの報道によると、テコンドー女子のザキア・フダダディ(22)と陸上男子のホサイン・ラスーリ(26)がパリからの飛行機で東京に到着した。両選手は当初は8月17日、東京に到着する予定だった。
しかし、アフガニスタンでタリバンが権力を握ると、他のアフガン国民と同様、出国できなくなった。
フダダディ選手は、パラリンピックに出場したいとビデオで助けを求めていたが、大会関係者は当初、アフガニスタン選手は不参加となる旨の発言をしており、2024年パリ五輪に出場できるよう手助けすると約束していた。
IPCのアンドリュー・パーソンズ会長は声明で「その発表がきっかけで、2人はアフガニスタンから避難することができた。そして彼らは無事、東京に到着した」と述べた。
両選手は新型コロナウイルスの検査を受けた後、選手村に入った。フダダディは9月2日に出場。ラスーリは3日、男子400メートルに出場する。
◎イスラエル軍に拘束されていたパレスチナ人キリスト者保釈
【CJC】7月7日、イスラエル治安部隊に逮捕されいたパレスチナ人キリスト者学生、ラヤン・ナシルさん(21)が保釈されたことを、エルサレムのセント・ジョージズ・カレッジのキヤノン・リチャード・スウェル学長が8月20日明らかにした。
ナシルさんは、ビルゼイト大学で栄養学を学んでおり、ビルゼイト聖公会の教区民。7月7日午前5時30分に自宅をイスラエル治安部隊が襲撃した際には、7人の兵士と軍用車両12台が参加した。
ナシルさんは、イスラエル政府が「非合法団体」と指定している学生組合のメンバーとして起訴された。
◎ジェシー・ジャクソン牧師とジャクリーン夫人がコロナで入院
【CJC】ジェシー・ジャクソン牧師(79)とジャクリーン夫人(77)がコロナ・ウイルスに陽性反応を示し、シカゴのノースウェスタン病院に入院した。米宗教専門RNS通信が8月21日報じた。
パーキンソン病と診断されているジャクソン牧師だが、投票権などを支持するデモに参加、6月と8月には、連邦議会議事堂で行われた人種差別と貧困の根絶などを掲げる運動団体「プア・ピープルズ・キャンペーン(貧者の行進)」主催のデモで演説を行い、逮捕された。
6月には、最高裁前で「自らを神の子とするなら、そのように振る舞うべきだ」と語った。その際、「今こそ、私たちが主張し、身体を張り、刑務所に入っても、死んでもいい」と宣言し、観客に訴えた。
ジャクソン牧師入院のニュースが流れると、宗教指導者たちが祈りを捧げた。
「プア・ピープルズ・キャンペーン」の共同議長バーバー・ジュニア牧師は、私たち「プア・ピープルズ・キャンペーン」ファミリー全員で、ジャクソン牧師とジャクリーン夫人のために祈っている、とツイートした。
ジャクソン牧師と並ぶ公民権活動家のアル・シャープトン牧師は「ジャクソン牧師夫妻のために祈ろう。私たちの真摯で熱心な祈りが求められている。祈りは事態を変える!」と呼びかけた。
◎米ハーバード大学主任チャプレンに無神論者就任
【CJC】米マサチューセッツ州ケンブリッジにあるハーバード大学は、400年近く前にピューリタン(清教徒)の入植者たちによって設立された名門校。その主任チャプレンに初の無神論者、グレッグ・エプスタイン氏(44)が就任した。同氏は「ありがたく、光栄に思っている」とツイッターに投稿した。
エプスタイン氏は2005年から、ハーバード大学で人文主義者のチャプレンを務めており、ベストセラーとなった「神なき善=10億人の無宗教者が信じるもの」(ウイリアム・モロー社ニューヨーク)の著者。
主任としては、キリスト教、ユダヤ教、ヒンズー教、仏教など約20の宗教・信条を代表する40人以上のチャプレンを率いることになる。
エプスタイン主任はニューヨーク・タイムズ紙に、「どの宗教的伝統にも共感できない人々が増えているが、善良な人間であることや倫理的な生活を送ることの意味についての対話やサポートが必要だと痛感している」として、「わたしたちは、神に答えを求めない。わたしたち自身が互いの答えだ」と語った、とAFP通信が伝えている。
◎聖アンデレ金生誕200年、教皇「英雄的な信仰の証し人」
【CJC】韓国カトリック教会における最初の司祭、聖アンデレ金大建(キム・テゴン)の生誕200年を祝うミサがバチカンで捧げられた。
バチカン・ニュース報道によると、金神父の生誕200年を記念した8月21日、バチカンの聖ペトロ大聖堂の司教座の祭壇で、聖職者省長官、兪興植(ユ・フンシク)大司教の司式により、ローマ在住の韓国のカトリック共同体とともに、記念のミサが捧げられた。
教皇フランシスコは、この機会にメッセージをおくられた。教皇のメッセージは、ミサの中で兪大司教によって読み上げられた。
この中で教皇は、金神父を、迫害と苦難に満ちた時代における英雄的な信仰の模範的な証し人、疲れを知らぬ福音宣教の使徒として思い起こされた。
教皇は、メッセージの中で、韓国の教会共同体が大きな寛大さをもって、最も貧しい国々のために新型コロナウイルスワクチンの促進を支えていることに心からの感謝を表された。
同時に、教皇は、朝鮮半島の和解に尽力する人々が、平和をつくる者としての努力を新たにし、より素晴らしい未来のために尊重ある建設的対話をすべての人に促すことを願われた。
おとめマリアと韓国の殉教者たちの取り次ぎを祈られた教皇は、カトリック共同体のすべての人に祝福をおくられた。
金神父は、忠清道のソルメ村(現在の忠清南道唐津市牛江面)に生まれた。金神父の家系は、多くの殉教者を生んでいる。パリ外国宣教会のピエール=フィリベール・モーバン神父から洗礼を受けた彼は、神学生として選ばれ、ソウルで、次いでマカオに渡り勉強に励んだ。1845年、上海でジャン・ジョセフ・フェリオール司教より司祭に叙階された。キリスト教徒への弾圧が続く朝鮮半島に戻り、各地で宣教した。1846年、逮捕され、ソウルで殉教した。
1984年、教皇聖ヨハネ・パウロ2世の韓国訪問の際に、他の102人の同志殉教者と共に列聖された。
◎2800年前の地震の痕跡をエルサレムで発見
【CJC】エルサレム発共同通信によると、イスラエルの考古学チームが8月29日までに、エルサレム市内で約2800年前に発生したとみられる地震の痕跡を発見したと発表した。
エルサレムでこの時代の地震の跡が見つかるのは初めて。旧約聖書でも地震について触れられており、記述を裏付ける発見として注目を集めている。
チームの考古学者、ジョー・ウジエル氏は「考古学的発見と聖書の記述が結びつくことで、新たな歴史像を描ける。他にも地震の痕跡を見つけたい」と話した。
見つかったのは崩壊した石造りの建物や無数の土器の破片を含む破壊の痕跡を示す地層で、土器の特徴などから時代を特定した。
《メディア展望》
=カトリック新聞(8月29日)=https://www.cwjpn.com/cwjpn/
カリタスイタリア=アフガンでの活動中止=イエズス会なども退避
教皇の一般謁見講話=律法がもたらすのは自由
教皇、広告キャンペーンで指摘=ワクチン接種は慈善の業
教区レベルでの「世界青年の日」=バチカンの指針=邦訳を公表
人間の大地で、今=いのちを守る「難民認定」と「在留特別許可」=外国人の長期収容・送還問題を考える
=KiriShin(8月21日・休刊)=https://www.kirishin.com
=クリスチャン新聞(8月29日)=https://クリスチャン新聞.com
敗戦76年 各地で8・15集会=宗教は「名誉の死」に利用される=「『終戦の日』を前に戦争を考えるミニ集会」で星出卓也氏
九キ災=佐賀県武雄市にスタッフ派遣=浸水被害地域に支援活動開始
戦後76年「8・15平和祈祷会」で戒能信生氏=「平和の種は蒔かれている」
エキュメニカルな平和活動従事=鈴木伶子氏逝去
大竹一行氏逝去=高校生伝道に長年貢献hi-b.a.元代表