世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1594信(2021.08.09)

  • キリストによる真の福音を告げるパウロ=教皇1カ月ぶり一般謁見
  • 新型コロナ、韓国で第4次流行の勢い衰えず、非首都圏への広がり抑制を
  • チョン・グァンフン牧師のサラン第一教会、また対面礼拝を強行
  • ソウル・城北区、禁止されている対面礼拝を強行した教会に「閉鎖」も
  • 岩窟教会群などエチオピア世界遺産の地域を反政府勢力占拠
  • 米、イラクに粘土版「ギルガメシュの夢」など返還へ
  • アメリカ正教会レオニード・キシュコフスキー司祭逝去
  • 《メディア展望》

 

◎キリストによる真の福音を告げるパウロ=教皇1カ月ぶり一般謁見

 【CJC】教皇フランシスコは8月4日、バチカンのパウロ6世ホールで、水曜日恒例の一般謁見を行った。7月中夏期休止されていた一般謁見が、約1カ月ぶりに再開された。
 バチかン・ニュースによると、教皇は6月より始めた聖パウロの「ガラテヤの信徒への手紙」の考察を続けながら、「福音はただ一つ」をテーマに講話した。
 教皇は、パウロがこの書簡を送っていた時代、四つの福音書はまだ記されておらず、パウロにとっての福音とは、彼の説教、すなわち、救いの源としてのイエスの死と復活を告げることであった、と説明した。
 パウロの告げた福音とは、「キリストが、聖書に書いてあるとおりわたしたちの罪のために死んだこと、葬られたこと、また、聖書に書いてあるとおり三日目に復活したこと、ケファに現れたこと」(参照=1コリント15・3~5)であり、約束の完成、すべての人にもたらされた救いであるこの福音を受け入れる者は、神と和解し、神の子として迎えられ、永遠のいのちを受け継ぐことを意味していた、と教皇は話した。
 教皇は、ガラテヤの信徒たちの問題は、彼らが良い意図に促されてのことに思われるだけに、一見、矛盾して見える、と指摘。ガラテヤの信徒たちが新しい宣教者たちに耳を傾けたのは、割礼を受けることで、より神の御旨に沿い、それによっていっそうパウロに喜ばれると考えてのことであった、と推測された。
 パウロの敵たちは、父祖たちから受け取った伝統への忠実に燃え、純粋な信仰は律法を順守することにあると考え、さらには、こうした忠実さから、伝統にあまり忠実でないように見えるパウロに対する、ほのめかしや疑いを正当化するまでになっていた、と、教皇は当時のガラテヤの教会における状況を振り返った。
 一方で、パウロ自身は、彼の使命が神から来たものであることを深く自覚し、福音の新しさに対する完全な情熱に動かされていたがゆえに、特に若いキリスト者たちに与える影響を司牧的に憂慮し、彼らに最高の真理を得させるために、この信徒たちの「良い意図がもたらした迷路」を解きほぐす必要を感じていた、と解説した。
 教皇は、歴史の中で、そして今日も、いくつかの運動が独自の方法で、時には真のカリスマをもって福音を説きつつも、最後には度を越して、福音を一つの「運動」に閉じ込めてしまうことがあった、と語り、これらはキリストの福音でなく、運動の創立者の福音であったために、深い根を張り実をもたらすことができなかった、と話した。
 それゆえに、ガラテヤの信徒たちに対するパウロのはっきりした言葉は、彼らにとってだけでなく、わたしたちにも有益なものである、と説かれた。


◎新型コロナ、韓国で第4次流行の勢い衰えず、非首都圏への広がり抑制を

 【CJC】韓国で新型コロナ第4次流行の勢いがなかな収まらない。強力な「ソーシャルディスタンス」(社会的距離)を確保しても首都圏と非首都圏の移動量が増加し、「デルタプラス」変異株も発生している。これに対して政府は、現行の社会的距離確保措置を22日までさらに2週間延長し、「私的な集まり」の人数制限も維持することにした。現地メディア「WoWコリア」(日本語版)が報じた。
 中央防疫対策本部は、8月6日午前0時基準の新規感染者は1704人で、30日以上4桁を記録している。 4日からは新規感染者が連日1700人台発生している。
 夏休みの影響で、全国の移動量が2週連続増加し、非首都圏への拡散の勢いも尋常ではない。首都圏の週間移動量は1億1347万件で前週比0・8%増加したが、非首都圏は1億2068万件で前週比6・4%増えた。
 さらに、「サラン第一教会」のチョン・グァンフン牧師が光復節を迎え、クァンファムン(光化門)広場で大規模集会を予定通り強行すると予告し、緊張が高まっている。
2日、チョン牧師が党代表としている国民革命党は会見を開き、「すべての弾圧や抑圧をくぐって必ずムン・ジェイン(文在寅)政権弾劾のための8・15国民大会を実現させる」と話した。


◎チョン・グァンフン牧師のサラン第一教会、また対面礼拝を強行

 【CJC】チョン・グァンフン牧師が主導しているソウル市ソンブク(城北)区のサラン第一教会が「ソーシャルディスタンス」(社会的距離)確保4段階で全面禁止されている対面礼拝を8月8日午前11時ごろから4時間ほど対面礼拝を行った。首都圏の社会的距離確保が4段階とされてから4回目。現地メディア「WoWコリア」(日本語版)が報じた。
 市・区役所や警察関係者10人以上が対面礼拝開始に先立ち、午前10時35分と11時頃の2回、教会内に進入を試みたが全て阻止された。
 城北区の関係者は、「路地の入口からサラン第一教会弁護団が立ちはだかっており、入れなかった」と述べた。
 防疫当局は、首都圏の「社会的距離確保」第4段階の防疫指針に基づき、宗教活動は非対面礼拝のみ許可し、対面礼拝は全面禁止、としている。
 ただし7月16日、ソウル行政裁判所が収容人員の10%で20人未満なら礼拝が可能と判断し、対面礼拝を制限的に許容することにしたが、宗教施設防疫上の注意違反で行政処分を受けたり、新型コロナウイルスの感染者が発生して閉鎖されたりした宗教施設は除外している。


◎ソウル・城北区、禁止されている対面礼拝を強行した教会に「閉鎖」も

 【CJC】ソウル市と城北(ソンブク)区が、8月1日に対面礼拝を強行した「愛第一教会」に対し施設閉鎖の手続きを進めている。韓国メディア「WOW!コリア」が2日報じた。
 「愛第一教会」は、1日午前9時頃から体温検査と名簿作成などを行い、礼拝する人たちを入場させ、午前11時頃から対面礼拝をおこなった。
 同教会は、「首都圏社会的ソーシャルディスタンス政策」第4段階にありながら、対面礼拝が禁止されていた7月18日にも対面礼拝をおこない、ソンブク区から運営中断命令と共に、過料150万ウォン(約15万円)の処分を受けた。さらに教会は、25日にも対面礼拝を行っている。


◎岩窟教会群などエチオピア世界遺産の地域を反政府勢力占拠

 【CJC】ナイロビ発共同通信は、ロイター通信によるとして、エチオピア北部での連邦政府とティグレ人民解放戦線(TPLF)の紛争で、TPLFは8月7日までに世界遺産の岩窟教会群で知られる北部アムハラ州のラリベラを支配下に置いた、と報じた。多数の住民が避難を強いられ、有数の観光地だった世界遺産の保全も懸念されている。
 ラリベラの住民はロイター通信に、武装したTPLFの戦闘員数百人を目撃したと証言した。連邦政府に協力する立場を取ってきたアムハラ州政府の当局者らは、既にラリベラを脱出したという。


◎米、イラクに粘土版「ギルガメシュの夢」など返還へ

 【CJC】1991年の湾岸戦争、2003年のイラク戦争で多くの遺物を略奪されたイラクに、古代メソポタミア文明の遺物が多く含まれた遺物1万7千点が米国から返還された。韓国紙「東亜日報」が8月5日報じた。今回の返還に含まれてはいないが人類最古の文献の一つとされる3500年前のギルガメシュ叙事詩の一部が書かれた粘土版「ギルガメシュの夢」も近く返還されるという。
 AP通信などによると、イラク政府は3日、記者会見を行い、「先週、米国を訪れたアルカディミ首相とともに遺物が戻って来た」と明らかにした。アルカディミ氏は、訪米前から遺物返還に向けて米国と接触し、先月26日のバイデン米大統領との会談でもこの懸案に言及した。
 米国が返還した遺物のうち約7割の約1万2000点は、これまで首都ワシントンの聖書博物館が所蔵していた。多くがメソポタミア文明の有名都市「アイリサグリグ」関連の遺物だ。
 特に、早ければ数週内に返還される「ギルガメシュの夢」に大きな関心が集まっている、と東亜日報。ギルガメシュ叙事詩は、古代メソポタミア都市国家ウルク第1王朝の王ギルガメシュに関する伝説を意味する。「ギルガメシュの夢」の大きさは横15センチ、縦12センチで、聖書に出てくる大洪水、エデンの園などに言及する内容もある。
 この粘土版は、03年に米骨董品仲介人が英ロンドンで購入した後、密かに米国に搬入した。14年に米美術工芸品店「ホビー・ロビー」が購入した後、聖書博物館で展示してきた。最近、米連邦裁判所は、同店が「ギルガメシュの夢」を不法なルートで入手したとし、イラクへの返還を命じる判決を下した。


◎アメリカ正教会レオニード・キシュコフスキー司祭逝去

※レオニード・キシュコフスキー司祭画像参考=https://mcusercontent.com/f0244f95e31455f10903cff36/_compresseds/85187f26-af20-ad02-ef8d-bae4cc9b185f.jpg

 

 【CJC】アメリカ正教会(OCA)で広く知られ、尊敬されているレオニード・キシュコフスキー司祭が8月3日夜、78歳で逝去した。現地紙ワシントン・ポスト報道によって紹介する。
 キシュコフスキー司祭の仕事の多くは、他の東方正教会やプロテスタント、カトリック、その他の宗教の代表者など、教団外の人々との関係に関わるものだった。
 1989年には、プロテスタントが数十年にわたって主導してきた米教会協議会で、初の正教会会長に選出された。プロテスタントと正教会の両方からなるエキュメニカルな組織米教会協議会は、リベラルなプロテスタントのプロジェクトと見なされていたが、キシュコフスキー司祭は教派間だけでなく、イデオロギー間の溝を埋めようと努力した。
 ロシア系のキシュコフスキー司祭は、1943年3月24日、ナチスに占領されたポーランドのワルシャワで生まれた。両親は翌年にドイツに逃れ、51年に避難民としてロサンゼルスに定住した。
 南カリフォルニア大学で政治学と歴史を学び、64年卒業。67年、ニューヨーク州ヨンカーズの聖ウラジミール正教会神学校を卒業した。
 キシュコフスキーは青年宣教活動に従事し、後に妻となるカナダ・モントリオール在住のアレクサンドラ・ミミ・クーロンジンと学生時代のリトリートで出会った。69年に二人は結婚し、キシュコフスキーは同年末に司祭に叙階された。
 サンフランシスコで5年間の奉仕活動の後、74年にニューヨーク州ショセットにあるOCA本部で働き始め、ニューヨーク州シークリフの近くにあるカザンの聖母教会の院長も務めた。
 82年には、教団の主要な定期刊行物『ジ・オーソドックス・チャーチ』の編集を担当した。
 キシュコフスキー司祭は、世界教会協議会(WCC)、チャーチ・ワールド・サービス(CWS)、レリジョン・フォア・ピース・USAなど、他のエキュメニカル団体やインターフェイズ団体でも、様々な役割を果たした。
 キシュコフスキー氏には、妻、娘のソフィアとマリア、そして5人の孫がいる。
 アメリカ正教会は、ロシアとその周辺のスラブ地域にルーツがある。しかし米国の他の正教会と同様に、様々な民族的背景を持つ会員が増えている。2010年時点で551小教区、約8万5000人の会員を擁している。


《メディア展望》
 
 =カトリック新聞(8月8日)=https://www.cwjpn.com/cwjpn/
教皇、ミサ説教で強調=高齢者は「残り物」ではなく貴重な滋養を与えてくれる
教皇フランシスコ=旧ミサの挙行制限を復活=教会の一致を保つため布告
バチカンの2020年赤字=約86億2800万円=聖座財産管理局も予算公表
居場所失った人に「一時的な住まい」提供=利用者を温かく見守る=東京・麹町教会=あしたのいえプロジェクト=内外から賛同の声
田中健一名誉司教 逝去
 
 =KiriShin(8月1日・既報)=https://www.kirishin.com
首都圏宣教セミナー=教会マネジメント再考=〝福音の本質〟問う覚悟=オンラインで山崎龍一氏
「いのちを守り、平和をつくる」=カトリック司教協議会会長が談話
大石又七氏の死を受け教皇が哀悼の意を表明
アヤソフィアのモスク化=ユネスコの非難にトルコが反論
濱口竜介監督新作にエキュメニカル審査員賞
 
 =クリスチャン新聞(8月8日)=https://クリスチャン新聞.com
「笑顔があふれる夫婦関係」栗原加代美さん講演=愛を築くために「傾聴」大切=傾聴の時は「さ行」で相づちを=JEA女性委員会「かたりば」
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「神の形の人間 その関係構築と回復を」=「第1回ファミリー・ミニストリーサミット」開催=家族関係団体交流促進
クラファン目標3倍達成=聖書プロジェクトBOOK=自分用だけでなく人に
仮放免者のケアを教会ネットワークで=「入管収容者方を覚えて」渡辺聡氏

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