世界キリスト教情報 第1582信(2021.05.17)
- 教皇、自発教令で「信徒カテキスタ」を制定
- 教皇、半年ぶりに対面で一般謁見、喜び語る
- 米国務省が年次報告書発表、「北朝鮮の核と人権問題はトレードオフはない」
- 米福音ルーテル教会がローラー牧師をトランスジェンダー初の監督に選出
- ウォーレン牧師のサドルバック教会が南部バプ連の規定に反し女性牧師任命
- 《メディア展望》
◎教皇、自発教令で「信徒カテキスタ」を制定
【CJC】教皇フランシスコは5月11日、自発教令『アンティクウム・ミニステリウム』を通し、「信徒カテキスタ」の務めを制定、現代世界における福音宣教のための急務として示した。バチカン・ニュースが伝えた。
「グローバル化した文化の拡大」を前に、「洗礼によって受けた力のもとに、要理教育の奉仕への協力に召されたと感じる男女の信徒たちの存在を認めることが必要」と教皇はこの教令で述べた。
また、教皇はこの中で、「若い世代との真の出会い」の重要性と共に、「教会の宣教の変化に適合した福音の告知を可能にする教育方法論や創造的手段の必要」を強調した。
カテキスタというこの新しい務めは、非常に古い起源を持っている。その萌芽はルカによる福音書や使徒聖パウロのコリントとガラテアの信徒への手紙にすでに見られる。そして、第二バチカン公会議以降、「カテキスタの役割の最大の重要性」や「キリスト教共同体の成長」におけるその必要性に対する認識がより深まることになった。
信仰の証人・師・同伴者として、カテキスタは、洗礼の秘跡の準備から、生涯の育成にいたるまで、司牧に奉仕するよう招かれている、と教皇は説明。信徒によるカテキスタの務めは、「信者一人ひとりの特性を生かした宣教への取り組みを最大限に際立させる」ものであり、それは「いかなる聖職者化のしるしもなく、完全に信徒の立場において」行われるべきもの、と述べている。
教皇は、信徒カテキスタは「深い信仰を持ち、人間的に成熟し」、キリスト教共同体の生活に積極的に参加している男女でなくてはならない、と述べている。同時に、「人を受け入れ、寛大で、兄弟的な交わりを生きる」ことができる人、聖書的・神学的・司牧的・教育的な視点から形作られた人、あらかじめ要理教育の経験を積んだ人、司祭・助祭と誠実に協力できる人、そして、真の使徒的熱意に生かされた人であるべき、と記している。
◎教皇、半年ぶりに対面で一般謁見、喜び語る
【CJC】教皇フランシスコは5月12日、恒例の一般謁見(えっけん)を、半年ぶりに対面で行った。AFP通信は、久々に大勢の信者らと触れ合った教皇が喜びをあらわにした光景を伝えている。
バチカンの聖ダマソの中庭で、教皇は赤ちゃんにキスをしたり、本にサインをしたり、信者にもらった帽子をかぶったりした。教皇の絵を描いて持参した子どもたちと言葉を交わす場面もあった。
謁見には約300人が参加。教皇以外は全員マスクを着用した。
教皇は間隔を空けて着席した信者らに対し、「この対面形式を再開できてうれしい。カメラに向かい、何もないところで話すのは気分の良いものではないから」と語った。教皇は、新型コロナウイルスのワクチン接種を済ませている。
◎米国務省が年次報告書発表、「北朝鮮の核と人権問題はトレードオフはない」
【CJC】米国務省が5月12日、2020年版の「世界の信教の自由に関する年次報告書」を公表、北朝鮮や中国など人権侵害問題が提起されてきた国家の宗教的抑圧の実態を指摘した。対北朝鮮政策の見直しを終えて北朝鮮との対話再開を試みる状況でも、信教の自由をはじめ人権問題を優先順位の後方に押しやる考えがないことを、バイデン政権が明確にした。韓国の有力紙「東亜日報」が14日報じた。
報告書は、北朝鮮が宗教活動をする住民を処刑、拷問、逮捕する事例を指摘し、今年も北朝鮮を、信教の自由の「特定懸念国」に指定した。19年連続の指定。報告書は、韓国の北朝鮮人権情報センター(NKDB)が、2007年から19年まで脱北者からの聴き取りに基づいて、死亡者126人、行方不明者94人など、信教の自由に対する北朝鮮政権の権利侵害事例1411件を報告したと伝えている。
国務省で国際的な宗教上の自由に関する問題を担当するダニエル・ナデル氏は、電話会見で、「バイデン政権は人権問題を外交政策の中心に置こうと考えている」とし、「人権問題と国家安全保障問題を扱う時、両者にトレードオフはない」と明らかにした。
中国も、信教の自由の「特定懸念国」に指定されている。ナデル氏は特に、イスラム教徒である新疆ウイグル族に対する中国政府の弾圧を指摘し、この地域が「野外刑務所」と化していると非難した。ナデル氏はロイター通信に、「中国のイスラム教徒への弾圧は、数十年にわたる宗教弾圧の集大成」と強調した。
◎米福音ルーテル教会がローラー牧師をトランスジェンダー初の監督に選出
【CJC】米福音ルーテル教会(ELCA)シエラ・パシフィック・シノッドは5月8日、サンフランシスコのグレース・ルーテル教会のメーガン・ローラー牧師(41)を監督に選出した。同派では初のトランスジェンダー監督。宗教専門RNS通信が報じた。
ローラー牧師は、2006年に同派では初のトランスジェンダー牧師に就任した。街頭活動や説教、執筆活動でLGBTQの権利を主張していることで知られ、ホームレス支援活動でも評価されている。テレビドラマ「クィア・アイ」への出演や、タイム誌やコスモポリタン誌で、若きLGBTQ(セクシュアルマイノリティ)のキリスト者として、また自分の性別を肉体的にも精神的にも受け入れようとする人としての葛藤を語ったことで、有名になった。
ローラー牧師は「シエラ・パシフィック・シノッドに召されたことを光栄に思う。同性愛者は最悪と想像する人がいる今、トランスジェンダーの人たちが神の美しい子どもである、とELCAは再び宣言した。今回の召し出しを受け入れるにあたり、私と私の家族のために祈ってくれた皆に感謝する」とRNS通信にコメントを寄せた。
◎ウォーレン牧師のサドルバック教会が南部バプ連の規定に反し女性牧師任命
【CJC】米南部バプテスト連盟(SBC)では、テキサス州ヒューストンのセカンドバプティスト教会に次いで大きく、影響力のあるリック・ウォーレン牧師の本拠地南カリフォルニアのサドルバック教会が、同派では認められていない女性牧師に3人を任命、批判されている。宗教専門RNS通信が報じた。
「サドルバック教会にとって歴史的な夜でした!
私たちはスタッフとして長く活動してきたリズ・パファー、シンシア・ペティ、ケイティ・エドワーズの3人を牧師に任命しました!」と、同教会のフェースブックが5月8日発表した。
これに対し、ケンタッキー州ルイビルにある南部バプテスト神学校のアルバート・モーラー学長は、バプテスト派と聖書の教えに反するとして、女性を牧師と呼ぶことは「賢明ではなく、混乱を招く」と指摘している。
女性牧師の禁止は、SBCの信仰声明「バプテスト・フェイス・アンド・メッセージ」に「牧師の職は、聖書によって資格を与えられた男性に限定される」と条項が2000年に追加されている。
「サドルバック教会は南部バプテスト連盟の教義に反する行為を行った」とモーラー氏はRNS通信のインタビューに答えている。
SBC年次総会で会長候補となっているモーラー氏は、サドルバック教会がSBCから排除されるべきとは述べなかった。それは年次総会に出席する代表(メッセンジャー)が決めることという。
別の会長候補マイク・ストーン牧師も、サドルバック教会を批判し、同教会の行動はバプテスト信仰声明に違反しており、「聖書的なバプテストの教会論からの歴史的な逸脱」として調査されるべきだと述べた。
《メディア展望》
=カトリック新聞(5月16日)=https://www.cwjpn.com/cwjpn/
教皇、ロザリオの祈りで願う=軍備増強費用の転用=パンデミック防ぐ研究促進に
教皇の一般謁見講話=観想は信仰と愛のわざ
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=KiriShin(5月11日)=https://www.kirishin.com
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入管法改悪に危機感=教会共同声明に58団体賛同
原発処理水の海洋放出に抗議=日本YWCAと矯風会が声明
韓国カトリック枢機卿が家族概念の拡大に懸念
「準備が整えば訪問」=教皇が訪朝の意思再表明
=クリスチャン新聞(5月16日・休刊)=https://クリスチャン新聞.com