世界キリスト教情報 第1581信(2021.05.10)
- エルサレムでパレスチナ人とイスラエル当局が連日衝突
- 聖職者に愛国義務 強まる宗教「中国化」
- シャルル・ド・フーコー神父ら7人が「聖人」に
- 信徒参加の教皇一般謁見、5月12日より再開
- カトリック教会放火の罪で男を起訴 米カリフォルニア州
- 《メディア展望》
◎エルサレムでパレスチナ人とイスラエル当局が連日衝突
【CJC】イスラエルとパレスチナが領有権を争う東エルサレムで、イスラム教の宗教行事ラマダン(断食月)最後の金曜日5月7日から連日、パレスチナ人とイスラエル警察が衝突、多数の負傷者が出ている。
英BBCによると、7日夜、イスラム教の聖地「アルアクサ・モスク」などでイスラエル当局とパレスチナ人が衝突し、200人以上のパレスチナ人が負傷。イスラエル警察も、少なくとも警官17人が負傷したという。
パレスチナ赤新月社(赤十字に相当)は、少なくとも80人のパレスチナ人が負傷し、14人が病院に運ばれたとしている。
8日には衝突に先立ち、多くのパレスチナ人を「アルアクサ・モスク」へ運ぶバス数十台を、イスラエル警察が停止させたほか、前日夜の衝突後にはパレスチナ人が複数逮捕された。
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、自分たちは信仰の自由を保障しながらも法と秩序を維持するため責任をもって行動しているのだと述べた。一方で、パレスチナ自治政府のマフムード・アッバス議長は、イスラエルによる「罪深い攻撃」を非難した。
「アルアクサ・モスク」はイスラム教徒にとってきわめて重要な聖地の一つだが、同じ場所はユダヤ教徒にとっても聖地「神殿の丘」にあたり、長年にわたり双方が対立を繰り返してきた。
イスラエルは1967年の第3次中東戦争以来、東エルサレムを占領し、エルサレム全体を国の首都としているが、国際社会の大半が認めていない。一方、パレスチナ自治政府は、東エルサレムが将来建設する国家の首都になるとしている。
◎聖職者に愛国義務 強まる宗教「中国化」
【CJC】北京発時事通信が、中国で宗教聖職者に「祖国への熱愛」を義務付ける新たな規則が施行されたと伝えている。
5月1日に施行された宗教聖職者に関する規則は「聖職者は、共産党の指導や社会主義制度を支持しなければならない」と明記した。聖職者が「宗教の中国化を進める役割を果たす」ことも求めている。
習政権は、宗教団体が外国の組織やテロ集団と関わることを警戒。それを反映した形で、規則は「宗教的過激思想や外国勢力の侵入への抵抗」を聖職者の義務に挙げた。
さらに、聖職者の禁止行為として「過激主義の宣伝や支援」「テロ活動」などを列挙。違反すると、刑事責任が問われることもあると記した。
一方、聖職者の養成学校に関する規則でも「中国化」教育を行うことを強調している。
◎シャルル・ド・フーコー神父ら7人が「聖人」に
【CJC】バチカン・ニュース(日本語版)によると、教皇フランシスコは5月3日、「列聖の件」をめぐり枢機卿会議を開き、シャルル・ド・フーコー神父ら、7人の福者の列聖を決定した。
この会議により、司祭、探検家、トゥアレグ族の言語および文化研究者としてサハラ砂漠で観想生活を生き、58歳で盗賊団に殺害されたシャルル・ド・フーコー神父ら、7人の福者の列聖が決定した。列聖の日・場所については、「パンデミック」の状況を考慮し、追って発表される。
この日、列聖が決まった福者たちは以下のとおり。
・シャルル・ド・フーコー(司祭 フランス1858~アルジェリア1916)
・ラザロ(デヴァサハヤム・ピライ 信徒、殉教者 インド1712~1752)
・セザール・ドゥ・ビュス(キリスト教教理司祭会創立者 司祭、フランス1544~1607)
・ルイジ・マリア・パラッツォーロ(貧しき者の修道女会創立者 司祭、イタリア1827~1886)
・ジュスティーノ・マリア・ルッソリッロ(司祭、神の召命会・神の召命修道女会創立者 イタリア1891~1955)
・イエスのマリア・フランチェスカ(アンナ・マリア・ルバット 修道女、ロアーノのカプチン律修第三会創立者 イタリア1844~1904)
・マリア・ドメニカ・マントヴァーニ(修道女、聖家族の小さき姉妹会共同創立者 イタリア1862~1934)
※《参考》シャルル・ド・フーコー神父(シャルル・ウジェーヌ・ド・フーコー・ド・ポンブリアン)
1858年9月15日、ストラスブール生まれ、1916年12月1日死去。探検家、地理学者として知られる。信仰を失い、無規律な生活を過ごしたが、軍人になり、モロッコ探検を機に、神の現存に心を揺り動かされ28歳で回心、サハラ砂漠で遊牧民トゥアレグ族の友であろうと努め、奴隷制度と闘い、言葉と文化を学び、トゥアレグの叙事詩を収集し、タマハク語の辞書を編集した。1888年に著書『モロッコのルネサンス』を発表した。1890年に厳律シトー会に入会、1916年12月1日、サハラの奥地で暗殺された。2001年4月24日に教皇ヨハネ・パウロ2世によって尊者に、2005年11月13日に、教皇ベネディクト16世によって列福された。
フーコー神父の伝記や霊的手記が多数出版されている。邦訳書に次のようなものがある(現在、在庫なく絶版のものも含む)。
・『シャルル・ド・フコーの霊的遍歴』(ジャン=フランソワ・シックス著、倉田清訳)エンデルレ書店 1976年
・『シャルルとイエズス』(シャルル・プチ著、大久保昭男著)エンデルレ書店 1981年
・『人人のあいだに・人人のなかに――イエスのシャルルに続く者たち』(ルネ・ヴォワイオーム著、澤田和夫訳)ドン・ボスコ社 1996年12月
・『シャルル・ド・フーコー』(ジャン=フランソワ・シックス著、倉田清訳)聖母文庫・聖母の騎士社 1998年11月
・『霊のあふれの手記』(シャルル・ド・フーコー著、澤田和夫訳)サンパウロ社 2000年2月
◎信徒参加の教皇一般謁見、5月12日より再開
【CJC】バチカン・ニュースによると、教皇フランシスコは、信徒参加のもとに行われる一般謁見を、5月12日よりバチカンの聖ダマソの中庭(コルティーレ・ディ・サン・ダマソ)で再開する。教皇公邸管理部が7日発表した。
一般謁見は、昨2020年3月11日より、新型コロナウイルス感染拡大防止対策のため、信者を伴わない形で、バチカン宮殿内からビデオを通し行われるようになった。その後、パンデミック状況の安定と制限の緩和に伴い、同年9月2日以降は、聖ダマソの中庭で、さらに10月からはパウロ6世ホールで、信者と共に開催された。しかし、感染の再拡大により、同年11月4日からは、バチカン宮殿内からのビデオ中継に戻っていた。
◎カトリック教会放火の罪で男を起訴 米カリフォルニア州
【CJC】CNNニュース(日本語版)によると、
米カリフォルニア州南部サンガブリエルにあるカトリック教会で昨年発生した火災をめぐり、男1人が放火罪などで起訴された。
この教会では昨2020年7月11日、建立250周年を記念した改修工事の最中に火災が発生した。地元検察が5月4日に発表したところによると、ジョン・デービッド・コーリー被告(57)が放火と侵入盗の重罪などに問われている。
教会は18世紀のスペイン人宣教師、フニペロ・セラ神父が州内に建てた伝道所の一つ。各地に残るセラ神父の像は先住民に対する暴力と抑圧の象徴として、昨年夏の反人種差別デモで標的となり、次々に倒された。
《メディア展望》
=カトリック新聞(5月9日・休刊)=https://www.cwjpn.com/cwjpn/
=KiriShin(5月1日・既報)=https://www.kirishin.com
【東日本大震災 特集】「それぞれの10年」=支援の意味問い続けて(佐々木 歩=クラッシュジャパン元スタッフ)
東アジアのリアル=イデオロギー的重圧下での中国の教会学校(ヴィクター・リー)
那覇市の教会でもクラスター発生=会食を伴う集会が原因か
「犠牲者の遺骨を蔑ろにするな」=カトリック正平協が抗議
バチカンの財政がコロナ禍で緊縮に追い込まれる
=クリスチャン新聞(5月9日)=https://クリスチャン新聞.com
入管法改定は「追放政策」=同盟基督「教会と国家」委員会=「難民と共に生きる」で佐藤信行氏=「あるべき姿からの全力での逆走...」
永井敏夫氏「ネットとネットつながりキリストの身体に」=集まりの中に安心、信頼を=災害前の信頼関係が災害時に大きく関係=キリスト全国災害ネット第3回会合
「香港の民主化運動と信教の自由」テーマに松谷曄介氏=終焉に見える民主化運動でもどれだけ息長く戦えるか=「教会と政治」フォーラムの第21回例会
コロナ感染で16日間闘病=「神様との濃密な交わり経験」=久遠キリスト教会 三浦真信牧師
30年以上の労力かけアストゥリアス語聖書完成