世界キリスト教情報 第1579信(2021.04.26)
- 教皇、一般謁見で「口で唱える祈り」の大切さ説く
- バチカンで司祭叙階式=教皇「いつも神の民の近くにいるように」
- 教皇、ウクライナ東部情勢に和解と平和呼び掛ける
- プーチン露大統領がゼレンスキー・ウクライナ大統領の会談提案に「モスクワで」
- アルメニア人「ジェノサイド」認定は米国への信頼損なう=トルコ外務省
- イスラエルで「死海文書」の新たな断片発見か=共同通信報道
- 《メディア展望》
◎教皇、一般謁見で「口で唱える祈り」の大切さ説く
【CJC】教皇フランシスコが4月21日、水曜日の一般謁見をバチカン宮殿から中継で行った。バチカン・ニュース報道を紹介する。
謁見中、教皇は「キリスト教的祈り」をめぐるカテケーシスとして、「口に出して唱える祈り」について考察された。
「祈りは神との対話である。すべての被造物は神と対話している」と述べた教皇は、人間の中でその対話は、祈りの言葉や、歌、詩となっていく、と話された。
聖書は、心に隠された苦しみをはじめ、あらゆる人間の営みをも切り捨てることなく、すべてを言葉の光のもとにもたらすよう人を育んだ、と教皇は述べ、それゆえに聖書は、時には大胆な言葉で祈ることをわたしたちに、教えていると話した。
教皇は、人間の祈りの原型は、常に言葉となって自然に口にのぼるもの、と指摘。祈るとはただ言葉を繰り返すことではないとわたしたちは知っているが、しかしながら、声を出し唱える祈りは最も確かで、常に可能な祈り方である、と話された。
そして、教皇は、「口祷は、キリスト教的生活には欠くことのできないものである。イエスの沈黙の祈りに引きつけられた弟子たちに、イエスは『主の祈り』という一つの口祷を教えられた」と、口祷の重要さを示された。
教皇は、教会でしばしば低い声で祈りを唱えているお年寄りたちの、その謙遜さに学ばなければならないと述べ、こうした謙遜な祈りが、小教区のための大きな取りつぎの祈りとなり、年々育って多くの人を覆う樫の木のようになっていく、と語った。
また、教皇は、あるロシア人巡礼者の手記として知られる霊的な書に触れ、この中で絶え間なく唱えられる「イエス、キリスト、神の御子、主よ、罪びとであるわたしたちをあわれんでください」という祈りに、キリスト教的祈りの精神を見つめられた。
教皇は、さらに口に出す祈りの言葉は、わたしたちの手を取り、確実に神へと導く、と述べ、口祷の価値を再発見し、それを大切にするように勧めた。
◎バチカンで司祭叙階式=教皇「いつも神の民の近くにいるように」
【CJC】カトリック教会の「世界召命祈願日」が、「よい牧者の主日」と呼ばれる復活節第4主日の4月25日に記念された。
バチカン・ニュースによると、司祭や修道者への召命のために祈るこの日、教皇フランシスコは、バチカンの聖ペトロ大聖堂でミサを捧げ、この中でローマ教区の司祭の叙階式を行った。
この日、司祭に叙階されたのは、イタリア、ルーマニア、コロンビア、ブラジルを出身国とする9人の助祭。
この叙階ミサは、パンデミック拡大防止対策に従いながらも、教皇はじめ、バチカンとローマ教区の聖職者の代表たち、そして新司祭の家族や友人、神学院や小教区関係者らの温かい眼差しのもとに行われた。
教皇はミサの説教で、司祭が常に「近づくべき」四つの対象について話した。
まず、司祭が、何にも増して近づくべきなのは、神である、と教皇は述べた。司祭は祈りと秘跡とミサを通して、神の近くにいる。常に主のそばで、主と対話することが司祭には必要であり、祈らない司祭は、聖霊の火を次第に消していってしまうことになる、と教皇は注意した。
第二に、司祭が近寄るべきなのは、司教である。司祭たちは司教のうちに一致する、と述べた教皇は、司祭は神に仕え、司教に協力する者である、と話された。
第三に、教皇は、司祭同士の交わりを挙げられた。司祭の間で何か意見の相違があっても、噂話などをせず、率直に対話し、司教の助けを得て、常に一致を保つようにと助言された。
そして、教皇は最後に、司祭は常に聖なる忠実な神の民の近くにいるべき、と強調。司祭は自分の意志でなるものではなく、神の民の間から召された存在である、と指摘しつつ、自分がどこからやって来たか、自分の家族や人々を思い出し、「役人」ではなく、「神の民の司祭」となるように、と励まされた。
ミサの後半、司祭叙階の儀式がとり行われた。
叙階を受ける9人は、教皇が述べる司祭が果たすべき約束に対し、「はい、果たします」「はい、約束します」とそれぞれ答えた。
この後、教皇による按手と聖別の祈り、司祭の祭服の授与と着衣、両手への聖香油の塗油、パンとぶどう酒の授与が行われ、こうして新司祭たちは、司祭団に温かく迎えられた。
◎教皇、ウクライナ東部情勢に和解と平和呼び掛ける
【CJC】教皇フランシスコは、4月18日の正午の祈りで、緊迫化するウクライナ東部情勢に、和解と平和を呼び掛けた。バチカン・ニュースが報じた。
ここ数カ月、ウクライナ東部のいくつかの地域で停戦合意違反の増加を非常に案じていると述べた教皇は、軍事行動の活発化に深い憂慮を示した。
こうした状況に対し、教皇は、緊張拡大を回避し、相互信頼を育み、人々が切望する和解と平和の推進を可能とする姿勢を、強く呼び掛けた。
◎プーチン露大統領がゼレンスキー・ウクライナ大統領の会談提案に「モスクワで」
【CJC】トルコ放送協会が伝えるところでは、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領はウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領とモスクワで両国関係を協議することができると表明した。
プーチン大統領は、ロシア大統領府(クレムリン)でベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領と会談する前に、ゼレンスキー大統領がドンバスで会談を提案したことに対する返答がどうなるかというある記者の質問に答えた。
最近、現ウクライナ政権がロシア・ウクライナ関係を損なう措置を講じている、と主張したプーチン大統領は、これらの措置が直接二国間関係や、ロシア正教会、ロシア語、ウクライナでロシア語を話す国民との関係に影響を与えており、遺憾であるとし、「もし両国関係が議題ならば、ゼレンスキー大統領と彼の都合の良い時にモスクワで会談できる」と述べた。
◎アルメニア人「ジェノサイド」認定は米国への信頼損なう=トルコ外務省
【CJC】ロシアのスプートニク通信が伝えるところでは、ジョー・バイデン米大統領がオスマン帝国時代のトルコでアルメニア人が虐殺された事件を「ジェノサイド」として公式に認定したことで、米国への信頼関係と友好に深い傷を与えた、とトルコ外務省が声明で表明した。
米ウォールストリート・ジャーナル紙は、ジョー・バイデン米大統領がオスマン帝国時代のトルコでアルメニア人が虐殺された事件を「ジェノサイド」として公式に認定する方向で調整を進めている、と報じていた。
トルコ外務省の声明は、米国が行ったこの認定は歴史的事実を歪めたものであり、トルコの国民が受け入れることは決してないし、相互に築いてきた信頼関係と友情に深い傷を与えるもの、としている。声明はさらに米大統領に対し、この深刻な過ちを修正し、地域における平和な共存実現に向けた我々の実践を支援するよう求めている。
トルコ大統領府のイブラギム・カルン報道官も声明を発表し、「我々は米大統領に自らの歴史と、その国の現状を振り返ることをお勧めしたい」と皮肉を込めて記し、批判を返した。
4月24日はアルメニア人の虐殺が始まった日とされている。トルコのタイイップ・エルドアン大統領はアルメニア使徒教会のサハク・マシャラン総主教に宛てた書簡の中で、トルコ国民とアルメニア国民が共生してきた歴史を強調すると同時に、虐殺の犠牲者らに哀悼の意を表した。
なお、バイデン大統領の声明を受け、トルコのタイイップ・エルドアン大統領は同盟国アゼルバイジャンのイルハム・アリエフ大統領と電話会談し、共同で対処する方針を確認した。会談の中でアリエフ大統領は「ジェノサイド」公式認定について「歴史的過ち」と批判した。
◎イスラエルで「死海文書」の新たな断片発見か=共同通信報道
【CJC】イスラエル考古学庁(IAA)がこのほど、現存する最古の聖書写本として知られる「死海文書」の新たな断片を同庁調査団が発見したと発表した。エルサレム発共同通信が4月25日伝えた。調査団はさらなる発見を目指し死海西部の砂漠で活動を続けるという。
考古学庁によると、見つかったのは羊皮紙の断片80点超で、最大のものは長辺が十数センチと手のひらほどの大きさ。「完全な正義を尽くせ」などと聖書ゼカリヤ書の文章が書かれた断片もあった。一部を除き古代ギリシャ語という。
≪編集注意≫イスラエル考古学庁は3月16日、「死海文書」の新たな断片を発見したと発表している。
《メディア展望》
=カトリック新聞(4月25日)=https://www.cwjpn.com/cwjpn/
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=KiriShin(4月21日)=https://www.kirishin.com
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=クリスチャン新聞(4月25日)=https://クリスチャン新聞.com
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