世界キリスト教情報

世界キリスト教情報

世界キリスト教情報 第1571信(2021.03.01)

  • NZ地震10年=シンボルの大聖堂、修復に動きだす
  • 教皇が3月5日からイラク初訪問、イスラムとの融和演出か=毎日新聞
  • スイス新型コロナウイルスに伴うセミロックダウンの段階的緩和計画、国内メディアの評価分かれる
  • 「三一節」の大規模集会申告は計95件で「禁止措置」に=韓国ソウル警察庁
  • 韓国野党・安哲秀氏の「LGBT」発言が物議=ソウル市長選
  • 安楽死望む患者の「意思尊重」命じる判決=カトリックの国ペルーで
  • 「記者殺害はサウジ皇太子承認」米が報告書、高官に制裁
  • ≪メディア展望≫

 

◎NZ地震10年=シンボルの大聖堂、修復に動きだす
 【CJC】シドニー発時事によると、ニュージーランド南島クライストチャーチ市で大地震が起きてから2月22日で10年が経過した。市内には震災から時が止まったように放置された建物もあるが、「市のシンボル」の大聖堂は修復に向けてようやく動きだした。
 大聖堂は震災前には年間70万人が訪れる観光の目玉の一つだった。地震で尖塔(せんとう)が倒壊し、聖堂も壁などが大きく損傷した。教会側は当初解体するとしたが、「遺産的な価値がある」と保存を求める声に押されて、2017年に修復が決まった。
 修復費用は総額1億5400万NZドル(約120億円)以上。このうち政府や市の拠出を除いた5100万NZドルは教会側が自ら調達する意向。修復事業の担当者は「この(修復)決定にさまざまな意見があるが、地域はおおむね市の将来にわたる投資だと理解している」と説明した。作業は昨年5月に始まり、28年の完了を目指している。


◎教皇が3月5日からイラク初訪問、イスラムとの融和演出か=毎日新聞
 【CJC】教皇フランシスコ(84)の3月5~8日、イラク公式訪問を、毎日新聞がカイロ発で2月26日伝えた。歴代教皇のイラク訪問は史上初。外遊自体も新型コロナウイルスの世界的流行が始まって以降では初めてで、19年11月の訪日以来となる。ただイラクの首都バグダッドでは今年1月、約30人が死亡する自爆テロが起きるなど現地の治安は依然として不安定で、厳戒下の訪問となりそうだとしている。
 イラクは人口約3800万人の大半がイスラム教徒だが、キリスト教徒も数十万人が暮らしている。湾岸戦争時にフセイン政権の外相を務めたアジズ元副首相(15年死去)もキリスト教徒だった。一方、過激派組織「イスラム国」がイラクの一部で台頭した14~17年には、支配地域で多くのキリスト教徒も殺害されるなどの迫害を受けた。教皇は今回の訪問でイスラム教との融和を演出しつつ、キリスト教徒が少数派の中東で存在感を示す狙いがあるとみられる。
 滞在中、教皇はイスラム教シーア派の聖地ナジャフを訪れ、イラクのシーア派最高権威シスタニ師(90)と面会する。旧約聖書に登場する預言者アブラハムの故郷ウルでは宗教間対話に臨む予定だ。アブラハムはユダヤ教、キリスト教、イスラム教に共通する「信仰の父」とされている。


◎スイス新型コロナウイルスに伴うセミロックダウンの段階的緩和計画、国内メディアの評価分かれる
 【CJC】スイスの視点を10カ国語で紹介するサイト『スイスインフォ』によると、スイス政府は2月24日、新型コロナウイルスに伴うセミロックダウンの段階的緩和計画を正式に決定し、発表した。小売店、美術館、屋外スポーツ施設の再開は3月1日から。
 政府はレストラン・カフェのテラス席再開を4月1日に第2弾緩和で行う案を策定し、州に意見を求めた。外食産業や一部の州はより早期の再開を求めたが、意見聴取の段階でそうした州は過半数を割った。ただし第2弾緩和の実施を3月22日に前倒しした。
 この措置に対し、国内メディアの評価は分かれた。
 独語圏の日刊紙NZZは、レストラン・カフェのテラス席再開を第1弾緩和(3月1日)に含めなかった政府の判断について「危険なミスを犯した」と批判した。
 同紙は「外食産業の屋外エリア再開を認めていれば、内閣は大きなリスクを負うことなく、心理的に重要なシグナルを国民に示すことができただろう。その頑固さはあきれるほどだ」と批判。テラス席開放よりも優先すべき事項はあるとした一方で、セミロックダウンによる国民の不満といら立ちが募る現状では、そうしたマイナーな側面も大きな役割を果たすと述べた。
 さらにNZZは「屋外の感染率はほかの場所に比べ明らかに低い」と指摘。「天気が良ければ人はどちらにせよ外で集う。その時に対人距離を確保できるテーブルがあった方が賢明ではないのか」と論じた。
 一方、別の独語圏日刊紙ターゲス・アンツァイガーは、政府が「気骨を示した」と前向きに評価した。
 同紙は「制限の対象となっている人たちにとっては非常に厳しいものだが、政府の決定は残念ながら正しい」とコメント。新型コロナウイルス変異株が今後どう広がるか見通しが不透明なことや、国内のワクチン接種がまだ初期段階であることを理由に挙げた。
 また、連邦内閣7人のうち4人が早期緩和を求める政党出身者であるにもかかわらず、内閣の判断はそれとは異なるものだったことも驚きだったとした。同紙はこの4人が「ある意味極めてポピュリスト的な緩和要求に左右されなかった」と評価した。


◎「三一節」の大規模集会申告は計95件で「禁止措置」に=韓国ソウル警察庁
 【CJC】韓国の情報サイトWoW!Korea(日本語版)によると、新型コロナウイルス感染症の散発的な拡散が続く中、韓国ソウル警察庁が防疫基準に違反した「三一節」の大規模集会を許可しないことを2月22日決定した。「三一節」(3月1日)は、1919年の三・一独立運動記念日。
 警察庁は「集会禁止区域や制限基準人員9人を超えて申告した10団体の集会計95件を禁止措置とした」と明らかにした。
 また、警察は、集会禁止区域外で申告された集会や9人以下の集会であっても新型コロナウイルスの大規模な感染拡散の懸念があれば防疫当局と検討し、必要に応じて禁止・制限する方針。
 これに先立ち、サラン第一教会のチョン・グァンフン牧師が率いる団体などは、「三一節」にソウル都心で大規模集会を予告していた。
「集会禁止は、明らかに集会の自由を弾圧すること」と主張している。


◎韓国野党・安哲秀氏の「LGBT」発言が物議=ソウル市長選
 【CJC】ソウル発時事によると、4月7日投開票のソウル市長選の有力候補、野党「国民の党」の安哲秀代表が、毎年ソウル中心部で行われる性的少数者(LGBT)のパレードについて2月18日のテレビ討論で「拒否する権利も尊重されるべきだ」と否定的見解を示し、物議を醸している。
 保守系最大野党「国民の力」との野党候補一本化をにらみ、中道系の安氏が保守層の支持を広げる狙いがあったとみられている。
 安氏は24日、「そういう(差別する)意図はない」と釈明しつつ、文在寅大統領が大統領候補だった2017年に「同性愛は好きではない」と述べたことを挙げ、「今まで聞いた政治家のヘイト発言のうち最もひどい発言」と矛先を政権に向けた。


◎安楽死望む患者の「意思尊重」命じる判決=カトリックの国ペルーで
 【CJC】カトリック教徒の多い南米ペルーの裁判所が2月25日、安楽死を望むポリオ患者の意思を尊重するよう政府に命じた。AFP通信が報じた。安楽死を認める判決は同国初。
 憲法裁判所は、保健省と社会保険庁が「安楽死によって人生を終わらせたい」というアナ・エストラーダ・ウガルテさん(44)の「決断を尊重」しなければならないとする判決を下した。
 現地メディアによると、心理学者のエストラーダさんは12歳の時から、治療法がなく進行するポリオに苦しんでいる。体のほとんどがまひ状態で、1日の大半をベッドの上で過ごし、排せつにも介助を必要としている。
 判決を受けて、エストラーダさんは現地ラジオRPPに、「言葉にできないほど興奮している。大きな喜びを感じている」と述べ、「この時が来れば自由になれると、常日ごろはっきり言ってきた。その時が今訪れた。このために私は今まで闘ってきた」と語った。


◎「記者殺害はサウジ皇太子承認」米が報告書、高官に制裁
 【CJC】サウジアラビア人記者ジャマル・カショギ氏が2018年に殺害された事件は、サウジの事実上の最高権力者ムハンマド皇太子が「カショギ氏を捕らえるか、殺害する作戦を承認した」と、米国の国家情報長官室が2月26日公表した報告書で明らかにした。米財務省も同日、殺害に関与したとして、元情報機関高官と皇太子の警護隊を金融制裁の対象に指定。カショギ氏を含む海外の反体制派弾圧に関わったサウジ人76人へのビザ(査証)制限も発表した。
 サウジ外務省は同日、国営通信を通じて報告書は「間違いであり、完全に拒絶する」と反発する声明を出している。
 米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)によると、バイデン大統領は皇太子には直接制裁を科さないことを決めたとされ、ビザ制限の対象には含まれていないとみられる。対テロ戦やイランへの対抗など中東戦略の柱として重視してきた地域大国サウジとの決定的な対立は避けた形になっている。


《メディア展望》
 =カトリック新聞(2月28日)=https://www.cwjpn.com/cwjpn/
★2021年度定例司教総会=環境問題への取り組みに向け「ラウダート・シ」チーム(仮称)発足=東日本大震災から10年、3月11日にメッセージも
★教皇フランシスコ=中心は神か自分か=四旬節に問い直す
★教皇ビデオメッセージ=「現代の殉教者」追悼=リビアで6年前に惨殺
★ミャンマーの修道女ら=クーデター抗議に参加
★バチカンも「深く憂慮」

 
 =KiriShin(3月1日)=https://www.kirishin.com
★無料相談会=「持続可能な教会会計」話し合う="キャッシュレス献金"など具体案も
★外キ協オンラインで全国集会=外国人留学生らの苦境も共有
★性差別テーマに僧侶交え討議=教会でも「わきまえ」ず声上げよう
★「水陸機動団」常駐密約報道に=バプ連臨時委「驚愕と恐怖」
★バチカンがコロナ禍で赤字拡大の見通し

 
 =クリスチャン新聞(2月28日)=https://クリスチャン新聞.com
★"福祉"から考える「教会と国家」=2・11同盟基督 信教の自由セミナー
★エチオピア北部紛争=危機に陥る子どもたちへ=ワールド・ビジョンが緊急支援
★東日本各地で最大震度6強の地震発生=「3・11余震 今も続くとは...」=その時福島のクリスチャンは
★ミャンマークーデター=危険と隣り合わせの抗議行動=「怖い。でも今、声を上げないと」
★ミャンマー・バプ連声明に理事会書簡=「貴連盟の祈り」に連帯=日本バプテスト連盟

月別の記事一覧