世界キリスト教情報 第1562信(2020.12.28)
- コロナの雲に覆われて世界各地のクリスマス
- 教皇、使徒的勧告『愛のよろこび』の考察深める特別年布告
- 中絶胎児の細胞使用問題でバチカンがコロナワクチン使用容認
- 中国本土の新規感染21人、4日連続確認の北京市は規制強化
- 香港高裁、蘋果日報(リンゴ日報)創業者の保釈を許可
- ブラジル・リオ市長を汚職容疑で逮捕、再選目指す大統領に打撃
- 沖縄本島中部の教会でクラスター=クリスマスへ県が注意を喚起
- ≪メディア展望≫
◎コロナの雲に覆われて世界各地のクリスマス
2020年、世界各地で祝われたクリスマスは、コロナの雲に覆われ、例年とは様変わり。さまざまなメディアが報じた一部を紹介する。
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キリスト生誕の地とされるパレスチナ自治区のベツレヘム。例年、クリスマスツリーやミサを目当てに世界中から人々が訪れるが、今年は世界遺産の聖誕教会前で光り輝くツリーの前も人影はまばらだ。地元の人たちが写真を撮り合う姿がちらほら。
パレスチナ自治区やイスラエルでは感染拡大を防ぐための都市封鎖が断続的に続き、外国人観光客が訪れることが難しい状況が続いている。聖誕教会に隣り合う聖カテリナ教会で24日夜に開かれたミサも、今年は聖職者しか参加できなかった。
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国民の9割余りがキリスト教徒のフィリピンでは、25日各地でミサが行われた。新型コロナウイルスの影響で参列者の人数が制限される中、感染拡大を防止するため、政府は、ミサに参列する人を定員の3割にするなどの規制をしている。
首都マニラのサント・ドミンゴ教会では、警備員が入場する人の体温を測ったり、教会の中で互いに1メートル以上の距離を取るよう呼びかけていた。異例のミサとなったが、フェイスシールドやマスクをつけた信者たちは熱心に祈りをささげていた。
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韓国では、ソウルの明洞(ミョンドン)聖堂で24日深夜、初めてオンラインでのミサが行なわれ、廉洙政(ヨム・スジョン)枢機卿が、「いま私たちは、とても厳しい時間を送っている。疎外された人たちや貧しい人たちのことに、より多くの関心を持つべきだ」と呼びかけた。 信者たちは、インターネットや放送を通じて、それぞれの場所で、対面しない異例の形のミサに出席し、平穏な日常が1日も早く戻るよう祈りを捧げた。 ソウルなど首都圏では、5人以上のすべての私的な集まりが禁止され、クリスマスイブの24日も、繁華街は閑散としていた。
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トルコでは、レジェプ・ターイプ・エルドアン大統領が、「この地は1000年にわたり平和と平穏のうちに暮らした人々の故郷であり、宗教、言語、民族、宗派の区別なく、尊敬と愛情に基づく古の文明を受け入れてきた」として、「この古の無二の文明の構成員として、我々は、この地域における様々な文化を、類まれな豊かさ、文明のモザイクの稀有な一部として受け入れている。歴史を通して我々が築いてきた諸国家において、共存し、この地を栄えさせてきたように、今日も明日も、お互いの違いを豊かさとみなし、お互いに敬意を抱いて未来をより一層繁栄させるために努めていく」と述べた。 そして「キリスト教の様々な宗派、伝統、教会に属する我が国民が信仰し祝福するクリスマスが、トルコにおける連帯を発展させるきっかけとなることを願っている。この気持ちと考えとともに、キリスト教徒の我が国民をはじめ、全キリスト教世界のクリスマスを改めて祝福し、その平穏と幸福を祈る」と述べた。
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イギリスのエリザベス女王は25日午後、事前に録画されたスピーチで、大切な人の死を悲しみながらクリスマスを迎えている人や、感染予防のため家族や友人と集まれずひとりで過ごしている人を思いやり、「あなたはひとりではありません」と語りかけた。 女王と夫フィリップ殿下は今年3月以来、パンデミック対策のためロンドン郊外のウィンザー城で生活している。
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24日からイタリア全土で都市封鎖が始まった。
カトリック教会は、国内の信者に対し、近所の教会でクリスマスのミサに参加するよう呼びかけた。ローマにある教会のパウエル・プルスツィンスキ司祭は「クリスマスを家族で祝うことを忘れないで欲しいが、今年は新型コロナに苦しむ世界中の人を思い、みんなで祈りたい」と話した。
例年なら多くの信者や観光客が詰めかける、バチカンのサンピエトロ大聖堂前広場に立てられたクリスマスツリーとキリスト生誕の場面の模型「プレゼピオ」にも人影はまばら。
教皇フランシスコが執り行うクリスマスイブのミサも、例年数千人の信者が参列するが、ことしは新型コロナウイルスの感染予防のため、大聖堂に入る聖職者は最小限に絞られ、参列者はおよそ100人と大幅に制限された。参列した人はマスクを着用し、互いに距離をとっていた。教皇は「試練の暗いトンネルから抜け出せないと不安になっていないか」と問い掛けた上で、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が続く状況を念頭に「神は勇気を持とうと言っている」と呼び掛け、共に乗り越えたいとの考えを示した。
イタリアでは午後10時から夜間の外出が禁止されているため、ミサ開始も2時間早めて午後7時半からになった。
主の降誕の祭日25日正午から、教皇はローマと世界に向けたメッセージと祝福、「ウルビ・エト・オルビ」(ローマと全世界へ)で「私は全ての人、国家や企業、国際機関の指導者に呼び掛ける。競争ではなく協力を促すよう、全ての人のための解決策を見つけるように」と述べた。そして全ての人にワクチンを、特に、地球の全ての地域の最も弱く最も助けを必要としている人々にワクチンが行き渡るように、と教皇は願った。 この祝福は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、バチカン宮殿の「祝福の間」で行われ、インターネットなどで配信された。(CJC)
◎教皇、使徒的勧告『愛のよろこび』の考察深める特別年布告
【CJC】『バチカン・ニュース』によると、教皇フランシスコ、聖家族の祝日を迎えた12月27日、正午の祈りをバチカン宮殿からビデオを通して行った。この席で教皇は、新年3月に迎える、使徒的勧告『愛のよろこび』発表5周年を機に、同文書をめぐり考察を深める特別年を開催する旨を明らかにした。
この特別年は、聖ヨセフの祝日、2021年3月19日から始まり、22年6月にローマで開催予定の『第10回世界家庭大会』をもって終了する。
◎中絶胎児の細胞使用問題でバチカンがコロナワクチン使用容認
【CJC】バチカン市発ロイター通信によると、バチカン(ローマ教皇庁)は12月21日、カトリック教徒に対し、新型コロナウイルスワクチンの生産過程で妊娠中絶された胎児の組織由来の細胞株が使用されていたとしても、接種は道徳上容認可能との見解を示す教書を発表した。こうしたワクチンはほかに選択肢がない場合は容認できるとしている。
教書は、ワクチン使用は自主的なものとしながらも、「良識的には、特に最も弱いまたは最も感染にさらされている人々を守るために推奨される可能性がある」とした。
◎中国本土の新規感染21人、4日連続確認の北京市は規制強化
【CJC】上海発ロイター通信は、中国保健当局の12月28日発表として、本土では27日、新型コロナウイルスの新規感染者が21人報告されたと報じている。前日の22人から減少した。
一方、4日連続で市中感染が確認されている首都北京市では27日、ホリデーシーズン中に感染が一気に広がる恐れがあるとの懸念が高まり、行動規制が強化された。
感染者が集中している順義区では、警戒レベルが引き上げられた。現在、約80万の全住民にウイルス検査を行っている。26日に報告された感染者は全て既に感染した人の濃厚接触者だった。
北京市当局は、公務員に対して新年1月1日から休暇まで市内にとどまるよう指示。一般市民にも不要不急の外出を控えるよう呼びかけている。
本土の感染者は累計8万6976人、死者は4634人となった。一部都市で感染が拡大している。当局は2月11日から始まる旧正月休暇までに、リスクが高い人5000万人を対象にワクチン接種を行う計画。
◎香港高裁、蘋果日報(リンゴ日報)創業者の保釈を許可
【CJC】香港高等法院(高裁)は12月23日、香港国家安全維持法(国安法)違反と詐欺の罪で起訴された香港紙、蘋果日報(リンゴ日報)創業者の黎智英氏が申請した保釈を許可した。
同地発で共同通信が報じるところでは、黎氏は中国の習近平指導部が危険人物と見なす民主派の大物とされている。同法施行により中国の統制強化が進む中、司法の独立が一定程度機能していることを示した形になった。
保釈条件には、メディアのインタビューやツイッターなどを通じた言論の発表禁止のほか、外国政府職員との面会禁止、原則として自宅を離れないことが含まれている。保釈金は1千万香港ドル(約1億3千万円)。
◎ブラジル・リオ市長を汚職容疑で逮捕、再選目指す大統領に打撃
【CJC】ブラジル・リオデジャネイロ州検察局は12月22日、リオデジャネイロ市のマルセロ・クリベラ市長を汚職や資金洗浄容疑で逮捕した。当局はクリベラ容疑者が組織的に行われていた汚職事件の主犯格だったとみている。
地元メディアによると、クリベラ容疑者は「私はリオ市長の中で最も汚職と闘ってきた。正義を求める」と容疑を否認している。
同容疑者は再選を狙った11月の選挙で、リオを地元とするジャイル・ボルソナロ大統領の支援を受けたが決選投票で敗北。12月31日に任期満了で退任の予定。
反汚職を掲げ2022年に再選を目指す大統領にとってさらなる打撃となった。
同容疑者は元プロテスタント牧師。有名なカトリックの行事、リオのカーニバルを嫌悪していたことでも知られている。
◎沖縄本島中部の教会でクラスター=クリスマスへ県が注意を喚起
沖縄県は12月23日、新型コロナウイルス感染症について、沖縄本島中部の教会で新たなクラスター(感染者集団)を認定したと発表した。現地紙『琉球新報』が報じるところでは、認定は42例目。
クラスターはこの教会に通っていた30~70代の男女それぞれ4人の計8人で、10日から23日までに感染が発表されていた。
県によると、教会では決まった日に礼拝をしており、歌を歌ったり、礼拝後に食事会を開いたりしていた。食事会では参加者が料理を持ち寄り、マスクの着用は無かったという。
県の糸数公保健衛生統括監は「クリスマスで(友人・知人と)集まることも多いと思うが、飛沫感染のリスクにならないようにソーシャルディスタンスをとる、換気する、マスクを着用する、体調が悪いときは参加しないなどを心がけてほしい」と呼び掛けた。(CJC)
《メディア展望》
=カトリック新聞(12月20日・既報)=https://www.cwjpn.com/cwjpn/
=KiriShin(12月25日)=https://www.kirishin.com
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=クリスチャン新聞(12月20・27日・既報)=https://クリスチャン新聞.com