世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1524信(2020.04.07)

  • 教皇、新型コロナウイルス感染拡大に「世界の武力紛争停止を」呼び掛け
  • フランスのプロテスタント純福音派の「メガチャーチ」でコロナ集団感染
  • ウガンダで新型コロナ存在否定する牧師を逮捕
  • ケニアのカトリック放送局がミサを毎日放送
  • モルモン教会が新型ウイルス対策に非公開会議
  • WCC第11回総会のため、祈りと音楽を募集
  • WCCのトゥベイト総幹事、10年超す任期終える
  • ≪メディア展望≫

 

◎教皇、新型コロナウイルス感染拡大に「世界の武力紛争停止を」呼び掛け
 【CJC】教皇フランシスコは3月29日、新型コロナウイルス感染の世界的大流行(パンデミック)の中で、アントニオ・グティエレス国連事務総長の世界的な停戦の呼び掛けに参加し、平和を求めて建設的な対話の必要性を強調した。
 教皇は同日、バチカン宮殿内の図書館から正午の「お告げの祈り」を唱えた後に演説した。
 教皇は「グティエレス国連事務総長は、『世界のあらゆる隅々での全面的かつ即時の銃撃を停止する』という呼び掛けを開始し、国境を超えて知らない現在の緊急事態を想起させ、完全な停戦への呼び掛けを行った」と述べた。
 グティエレス国連事務総長は3月21日、新型コロナウイルスとの「さらなる戦い」を支援するため、戦火を交えている世界中の当事者に「武器を捨てる」よう促した。「ウィルスの猛威は、戦争の愚かさを物語っている」という。
 呼び掛けに応え、カメルーン、フィリピン、イエメン、シリアの武装グループが、暴力を減らすための最初の措置を講じている。イエメンでは5年に及ぶ内戦により、世界で最悪の人道的危機が生じている。シリアでは、新型コロナウイルスの潜在的な発生が、9年間の紛争の影響で苦しんでいる650万人の国内避難民に致命的な脅威を与えている。
 教皇は、パンデミックの危機にある世界に、武力紛争の即時停止と人道支援の回廊構築の促進を、次のように呼び掛けた。バチカン・ニュースによって紹介する。
「親愛なる兄弟姉妹の皆さん
 数日前、国連事務総長は、現在の新型コロナウイルスによるとどまることを知らない危機的状況の観点から、「世界各地の紛争のグローバルかつ速やかな停戦」を訴えました。これは、完全な停戦へのアピールです。
 わたしはこのアピールを受け入れる人々と心を合わせると共に、あらゆる形の武力的対立を止め、人道支援回廊の構築を促し、外交に開き、最も弱い立場にある人々に配慮するようよう呼びかけたいと思います。
 パンデミックに対抗するための共通の取り組みを通して、唯一の家族の一員として兄弟愛に基づく絆を強める必要に、皆が気づくことができますように。特に、当事国や関係国の指導者に、敵対関係を克服するための新たな努力を呼び覚ますことができますように。
 対立は戦争では解決しません。敵対や反目を超え、対話を通し、建設的に平和を追求することが必要です。


◎フランスのプロテスタント純福音派の「メガチャーチ」でコロナ集団感染
 【CJC】仏当局は、同国で確認された新型コロナウイルス症例のうちおよそ2500件が、東部アルザス地方のミュルーズにあるプロテスタント純福音派の「メガチャーチ」『ポルト・ウベール・クレティエンヌ教会』(主任=サムエル・ペーターシュミット牧師)が2月18日に行った行事で発生した集団感染に関係していると断定した。同教会には2200人以上の信徒が所属し、礼拝に常時出席する人は1500人で、福音派としてはフランス第2の規模という。
 当日も、毎年恒例とする行事に出席するため、数百人の信者が集まった。中には海外から訪れた信徒もいた。
 密集した会場に、新型コロナの感染者が含まれていた。そこから、仏最大の新型コロナウイルスの集団感染が発生した。
 仏当局は、同国で確認された症例のうち約2500件が、この行事につながっていたと断定した。
 教団は、この集会で感染した信者17人が死亡したことを明かした。
 当時、仏国内で確認された新型コロナの患者数は12人と安定していた。社会も、この感染症に対して警戒心を抱いていなかった。
 その後、関係者の間で感染が拡大。最終的には教団創設者ジャン・ペーターシュミット牧師の家族も感染した。
 創設者の孫ジョナサン・ペーターシュミット牧師はロイター通信の取材に、当時コロナは自分たちの周囲に差し迫った問題とは思えなかった、と語った。
 さらに集会を終えた信者たちは、自らが感染したとは知らずにブルキナファソや仏領ガイアナ、コルシカ島、スイスなどへと散っていった。
 その1人が教団の人気牧師、ママドゥ・カランビリ牧師。ブルキナファソに戻った牧師と妻は、3月1日に陽性反応を示した。自主隔離生活に身を置いた牧師は、信者たちにこう告げた。
 コロナウイルスは世界を破滅に追い込むための「悪魔の計画」だ。しかし「神はわれわれを見守り、救ってくださる」と。


◎ウガンダで新型コロナ存在否定する牧師を逮捕
 【CJC】アフリカ東部ウガンダからのAFP通信によると、首都カンパラで、新型コロナウイルスの存在を否定したアウグスチン・イガ牧師が逮捕された。
 現地警察が3月30日発表したところでは、逮捕されたイガ牧師は27日、テレビを通じ「コロナウイルスはウガンダにも、アフリカにも存在しない」と信者に訴えた。
 警察は「感染拡大を引き起こしかねない。この病気と戦う政府の努力を台無しにし、国民を危険にさらす行為だ」と牧師を非難した。
 牧師は、預言者を名乗って自身の教団『復活キリスト教会』を率い、テレビ局も経営する。有罪なら最長禁錮7年の刑が言い渡される。
 ウガンダの感染者は3月末で約30人。ヨウェリ・カグタ・ムセベニ大統領は、外出規制を命じ、今後1カ月、学校は休校、娯楽施設は閉鎖、公共交通の利用も禁止された。


◎ケニアのカトリック放送局がミサを毎日放送
 【CJC】ケニアのカトリック放送局が、新型コロナウイルスの流行を考慮して、ミサを毎日放送することにした。
 バチカン・ニュースによると、教会に集まることが出来なくなった1100万人以上のカトリック信者を霊的に護り続けるための方法。ケニア政府が新型コロナウイルスの蔓延を防止するため、教会、モスクなどの宗教的な集会をすべて停止したことをきっかけに実施することにした。
 キリスト教会とモスクは、命令違反で非難を浴びている。現地メディアの中には、「反抗的な教会とモスクは、コロナウイルス蔓延に対するケニアの闘いにおける弱点」と指摘するところも出ている。
 ムタヒ・カグウェ保健長官は、当局が示した「社会的距離」の要件に対する宗教団体の不遵守を嘆いていました。カグウェ氏は、新しい保健指導には、結婚式、葬式、その他の社交的な集まりも含まれているこ、と強調している。


◎モルモン教会が新型ウイルス対策に非公開会議
 【CJC】米国で独自に発生したキリスト教系新宗教の一つ『末日聖徒イエス・キリスト教会』(モルモン教会=本部・ユタ州ソルトレークシティー、信徒数約1600万人)は4月4日、年2回開催する教会会議で、ラッセル・M・ネルソン大管長が、自派の信仰が世界中でどのように知られ、認められているか改善するため、新しいシンボルを込めた「ロゴ」を発表した。
 今回の会議は、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、出席者は小型講堂の中に、お互い合い言葉となった「6フィート」(約2メートル強)離れるという「ソーシャル・ディスタンス」(社会的距離)に関する指針を順守した。
 ネルソン大管長は演説で、パンデミックに大きく触れなかった。その代わりに、創設者ジョセフ・スミスによる同派創設200周年記念イベント計画に力を入れた。
 ネルソン大管長はまた、これまでの「モルモン教会」や「LDS教会」などの略称ではなく、完全な教会名を世界に使用するための努力を報告した。合唱団の名称変更や、ウェブサイトやソーシャルメディア・アカウントの名も変更したことを強調した。
 「教会名から主の名を削除するとき、私たちは主を信仰の対象であり生活の中心的な焦点であることまで削除してしまいかねない」とネルソン氏は言う。
 今回の会議は、戦時中の旅行制限が行われていた第二次世界大戦以来の、出席指導者者が極端に少ない最初のものとなった。
 指導者たちは、ソルトレークシティーの小型講堂で、スピーチした。通常なら、同派の有名な合唱団の後ろにステージ上に並んで座っているはずだったが、今回、合唱団はいなかった。
 ネルソン大管長は、パンデミックを抑えて経済を強化できるよう、教会員に4月10日の「聖金曜日」に断食して祈るよう呼びかけた。
 ネルソン氏によると、パンデミックは事故、自然災害など予期せぬ心の痛みを伴う人生の試練の一つ。
 「どのようにしてそのような試練に耐えることができるか。主は"あなたが備えられているのだから、恐れてはならない"」と言われた。「もちろん、食料、水、貯蓄を自分で用意することもできる。しかし、私たちの個人的な"霊的倉庫"を信仰、真実、そして証しで満たす必要性も同様に重要」だ。
 ほとんどの人には、コロナウイルスは発熱や咳などの軽度または中程度の症状を引き起こすだけだ。しかし高齢者や健康に問題のある人は、肺炎などの重篤な症状を引き起こす可能性がある。
 同派の指導者を見ると、ネルソン氏の95歳を始めとして、カウンセラーのダリン・H・オークス氏は87歳、2番目のカウンセラー、ヘンリー・B・アイリング氏が86歳といずれも超高齢者。
 同派は、20世紀後半から、バプティスト派、カトリック、ディサイプル、ルター派(ルーテル派教会)、メソジスト派とともにアメリカにおけるキリスト教6主要グループの一つとされてきた。ただ聖書の他にモルモン書など独自の聖典を持ち、教義では三位一体説を否認するなど、主流各派からは異端とされている。


◎WCC第11回総会のため、祈りと音楽を募集
 【CJC】世界教会協議会(WCC=本部ジュネーブ)は、2021年にドイツ南西部バーデン=ヴュルテンベルク州のカールスルーエで開催する第11回総会のための祈りと音楽のを募集している。募集要領では、「キリストの愛が世界を和解と統一に導く」という総会の主題をどのように反映させるかについて説明している。
 オラフ・フィクセ=トゥベイト総幹事は、総会主題を「愛の運動としてのエキュメニカル運動に焦点を絞り、キリストにならい、正義と平和、そしてそれに基づく一致を求めることに表わされるキリストの愛を証しする」重要な要素と述べた。
 総会は、WCCの最高立法機関で、8年ごとに開催される。総会の目的は、プログラムを見直し、WCCの全体的な方針を決定することに加え、会長選出、中央委員任命などを行い、次回総会まで最高統治機関としての役割を果たす。
 総会の「核心」は霊的な生命で、そのために作成された祈りや音楽は、総会終了後も長く利用される。
 音楽と祈りの提出期限は、最近の情勢を考慮して、4月30日に変更した。


◎WCCのトゥベイト総幹事、10年超す任期終える
 【CJC】世界教会協議会(WCC)を10年以上率い、3月末退任のオラフ・フィクセ=トゥベイト総幹事は、特に新型コロナウイルス感染の急拡大という世界的な危機に直面している今こそ、「私たちの羊飼い」である神を信じている、と言う時だと述べた。困難な時代にWCCを率いる、という選ばれた職務を「特権」と「祝福」と表現し、「教会一致という」エキュメニカルな動きについて「楽観」を覚えつつその職務を離れる、と語った。
 トゥベイト氏は、4月1日からノルウェー教会(ルター派)の総裁監督に就任する。
 トゥベイト氏は、『WCCニュース』と、イタリア・プロテスタント連合の通信社NEVのインタビューに応じた。イタリアは、新型コロナウイルスで約9万30000人が感染し、1万人以上が死亡するなど、どの国よりも多くの被害を受けている。
 「教会が共に歩み、祈り、共に働いていると言えることが非常に重要」とトゥベイト氏は言う。
 トゥベイト氏はインタビューで、「私たちのキリスト教信仰が、巨大な課題の下で生きている人々にとってどれほどの意味があるのかを理解すること、また紛争、貧困だけでなく、どこにいても日々の生活の課題に対処していること」について語った。
 トゥベイト氏は、信仰の大切さについて語った。「私たちは、今まで見たことのないものを見ることを恐れている。私たちはウイルスを恐れている。パンデミックを恐れている。それらが、貧富の差を問わず世界中の人々に与える影響を恐れている」と言う。
 「世界中の多くの人々の日常生活に影響を与え、それが生死の問題であるという意味でも、私たちの信仰について容易に、表面的な方法で話す時ではない」と指摘した。
 「しかし、今は私たちの羊飼いであるイエス・キリストを通して私たちに恵みを示してくださる神を信じている、と言う時」とトゥベイト氏。
 「私たちが共に祈っていること、皆がお互いのために祈っている、と知ること、また、何人かが特に私の使命と私の職務、私と私の家族のために祈っていると知ることは、とても大きかった」と指摘した。
 トゥベイト氏は、この恵みはイエス・キリストの十字架と復活によって与えられたもの、と述べた。


《メディア展望》
 =カトリック新聞(4月5日)=https://www.cwjpn.com/cwjpn/
★教皇、ローマと全世界を祝福=神の裁きの時ではなく生き方をあらためる時
★教皇フランシスコが主導=世界一斉の「主の祈り」
★「世界青年の日」メッセージ=うわべだけで生きてはいけない
★「福島やさい畑」が悲鳴=ミサ中止続き 休業余儀なく
★「毎日のミサ」電子書籍版=4月1日から発売開始
 
 =KiriShin(4月1日)=https://www.kirishin.com
★新型コロナウイルス感染拡大=神戸改革派神学校=改革派に向け「神学的考察」を発表
★「信教の自由」侵害を懸念=コロナ対策新法に宗教者が反対
★「命を守ることを最優先に」=WCCが加盟教会に牧会書簡
★伊北部で聖職者相次ぎ死亡=医師の死者数超す
★独オーバーアマガウ「キリスト受難劇」=2022年まで延期
 
 =クリスチャン新聞(4月5日)=https://クリスチャン新聞.com
★パンデミック=WEA、WCC、ローザンヌが世界に呼びかけ=受難を覚え、光となって
★感染拡大国の教会覚え祈り=「ひろばグローカル」の定例会
★先手打って準備 混乱を最小限に=大阪女学院中学校・高等学校
★工夫をこらして卒業式挙行=寮生は実家へ=敬和学園高等学校
★新型コロナ感染者=米首都初の一人は聖公会牧師

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