世界キリスト教情報 第1523信(2020.03.30)
- 教皇、無人のサンピエトロ広場で異例の祝福とメッセージ
- 教皇、25日に全世界で「主の祈り」を呼び掛け=新型ウイルス感染
- イタリア北部で聖職者が相次ぎ死亡、医師の死者数超す
- 米牧師、州の集会禁止令無視し1000人規模の礼拝
- ソウル市長「礼拝に参加した信徒も罰金最大300万ウォン」
- 「世界水の日」にWCCが「手洗いの重要性」について「考察」発表
- 独オーバーアマガウの「キリスト受難劇」2022年まで延期
- ジョセフ・ロウェリー牧師死去、米公民権運動の指導者
- ≪メディア展望≫
◎教皇、無人のサンピエトロ広場で異例の祝福とメッセージ
【CJC】教皇フランシスコ教皇が3月27日、バチカンのサンピエトロ広場に一人で立ち、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)に苦しむ世界中のカトリック信徒のために祈りをささげ、信仰によって不安を和らげるよう呼び掛けた。
教皇は、サンピエトロ大聖堂の階段の上から無人の広場に向け、世界中で外出制限を受けている人々に対して、異例の「ウルビ・エト・オルビ」(ローマと全世界へ)の祝福を送った。
「ウルビ・エト・オルビ」の祝福が送られるのは通常、教皇が選出された時と、毎年のクリスマスとイースター(復活祭)だけ。歴史上初めて行われた今回の祝福は、テレビ、ラジオ、ソーシャルメディアを通じて発信された。
◎教皇、25日に全世界で「主の祈り」を呼び掛け=新型ウイルス感染
【CJC】教皇フランシスコは、3月22日の「お告げの祈り」(アンジェラスの祈り)で、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に対応するため、25日正午に、全世界のキリスト者が一斉に「主の祈り」をささげるよう呼び掛けた。
◎イタリア北部で聖職者が相次ぎ死亡、医師の死者数超す
【CJC】イタリア北部で、危篤に陥った新型コロナウイルス感染者らの臨終の際、祝福を与えた司祭少なくとも28人が3月19日までに、ウイルス感染により死亡した。亡くなった司祭の半数以上は80歳を超えている。一方、最も若年の司祭は54歳だった。カトリック系の『CNA通信』などが同日伝えた。
カトリック司教協議会発行の日刊紙『アベニーレ』は19日、新型コロナウイルスの感染が拡大して以降、同国北部で司祭30人が亡くなったと伝えた。このうち、少なくとも28人は新型コロナウイルスの感染が原因という。
ベルガモ教区では、同日までに新型コロナウイルス感染症により少なくとも司祭10人が死亡している。同教区は、新型ウイルスが最も猛威を振るっている地域。
同紙は、聖職者や教会員の死者数が「あまりにも多く、数えるのは難しい」と報じている。
司祭の死者が出ているのは、パルマ、ピアチェンツァ・ボッビオ、クレモナ、ミラノ、ロディ、ブレシア、モンフェラート、トルトナの各教区。このうちパルマ教区では6人、ピアチェンツァ・ボッビオ教区では3人が亡くなっている。さらに多くの聖職者らが、新型ウイルスに関連して亡くなったとの情報もある。
イタリアでは現在、結婚式や葬儀も含め、公開の宗教儀式は禁止されており、亡くなった司祭の葬儀は関係者のみで行われた。
伊ANSA通信による19日時点の集計では、新型ウイルスにより死亡した医師のは13人とされており、カトリック聖職者の死者数の多さが際立っている。
◎米牧師、州の集会禁止令無視し1000人規模の礼拝
【CJC】米ネットワーク『CNN』によると、新型コロナウイルスの感染が拡大する中、ルイジアナ州バトンルージュの『ライフ・タバーナクル教会』(トニー・スペル牧師)が大規模な集団礼拝を挙行している。
ジョン・ベル・エドワーズ州知事は50人以上の集会の開催禁止を命令しているが、教会側は複数回にわたりこれを無視。22日には約1000人の信者を集めて礼拝を行ったという。バス運行も実施、州内5パリッシュ(郡に相当)から信者を集めたとしている。
スペル牧師は24日、CNNの取材に答え「街中すべての建物が扉を閉ざすというのなら、私もそうしよう」「しかし、小売店は必要だから開けてもよいが教会はだめだというのは納得がいかない。それは信仰の迫害というものだ」と語った。
スペル牧師はまた、今回のパンデミック(世界的な流行)について「政治的動機に基づいたもの」との見解を示してもいる。
地元警察の幹部はCNNに対し、同教会の問題について「調査中」だと説明。スペル氏は先週、警察から州兵を派遣して集会を解散させると告げられたと主張したが、同幹部はそうした事実はないと反論した。
スペル牧師に対してはオンライン上で逮捕を求める署名活動が行われているほか、キリスト教信者からの批判の声も多く寄せられている。それでも同氏は、連邦政府などが示す互いの距離を確保するといった感染抑止のための指針には従っていると主張した。
スペル牧師がフェイスブックに投稿した22日の礼拝の動画には、信者たちが歌い、祈り、近距離で触れ合ったりする様子が映っている。信者の大半は屋外に設置されたとみられる天幕の下にいる。これらの1000人ほどの信者は、教会の七つの建物に分かれて参加したと牧師は説明している。
◎ソウル市長「礼拝に参加した信徒も罰金最大300万ウォン」
【CJC】朴元淳<パク・ウォンスン>ソウル市長が3月23日、礼拝など一切の活動ができないようにする集会禁止行政命令を発動した。現地紙『朝鮮日報』が報じている。
命令は、前日の22日、日曜礼拝を強行した『サラン第一教会』(ソウル市城北区長位洞、チョン・グァンフン牧師=拘束中)に対するもので、これに違反した場合、信徒個々人にも最大で300万ウォン(約26万円)の罰金を支払わせるというもの。丁世均<チョン・セギュン>首相も同日、同教会に対し集会禁止命令など法的な措置が必要との見方を示した。
朴市長は、同教会に対し行政命令を発動した事実を発表し「集会禁止行政命令が発動している4月5日まで、これに違反すれば個々人に300万ウォン以下の罰金と共に、感染者が発生すれば感染者と接触者全員に対して治療費の一切と防疫費も請求する」と述べた。
朴市長は『サラン第一教会』を名指ししたが、22日には他の281教会で礼拝が行われた。クァンリム教会(江南区)、ヨンセ中央教会(九老区)、イムマヌエル教会(松坡区)など大型教会8カ所もこれに含まれる。ソウル市はそれ以外の教会に対しても、市が定めた方針を順守しない場合、同一の措置を取ることができるとの考えを示した。
このように複数の集団施設の中で教会だけを狙い撃ちした制裁について「政治論理が介入した決定」「憲法が保障した宗教の自由を侵害している」との指摘も出ている、と『朝鮮日報』。
教会に対する厳しい基準の適用にプロテスタント教会団体も反発している。プロテスタント系二大教派の一つ『大韓イエス教長老会合同教団』は3月21日、加盟1万1000以上の教会に「3月22日の礼拝に対する指導、監督次元で一部公務員が強制的に礼拝堂に侵入しようとする態度を示した」と伝え、「これは宗教弾圧であり、神聖冒とく」との考えを示した。
◎「世界水の日」にWCCが「手洗いの重要性」について「考察」発表
【CJC】1992年12月、国連総会で、毎年3月22日が「世界水の日」として定められた。この日には、世界のさまざまな国で、水の大切さを多くの人に知ってもらうための会議やセミナー、展示会などが開かれることになっていたが、今年ばかりは、新型コロナウイルスによる感染被害が急拡大、「パンデミック」の真っ只中にあるとの指摘もある中で、WCC(世界教会協議会)は、「手洗いの重要性」について、次のような「考察」を発表した。
何百万人もの人々、特に子どもたちには、基本的な手洗いはおろか、安全で清潔な水を飲むための十分な方策がないため、出来ていない。
「家や学校に水道の蛇口がなければ、手洗いがどれほど大変か想像出来るか」と問うまでもなく、これが世界中の何百万人もの子どもたちにとっての現実なのだ。
WCC・エキュメニカル・ウォーター・ネットワーク(WCC‐EWN)のコーディネーター、ディネス・スーナが書いたこの考察は、水と気候変動、そして気候と水をより協調的かつ持続可能な方法で管理することの重要性についても探求している。
太平洋上の島国では、海面上昇による気候変動の影響で、何百もの村が移転している。「人々は自分たちの土地と何世代にもわたって受け継がれてきた記憶を失った」と「考察」は記している。
「考察」は、WCCの「水不足を覚える7週間キャンペーン」の一環としてWCC‐EWNが制作した。
◎独オーバーアマガウの「キリスト受難劇」2022年まで延期
【CJC】ドイツ南部バイエルン州ガルミッシュ=パルテンキルヒェン郡の村オーバーアマガウで10年に一度開催される「キリスト受難劇」は、当初2020年5月16日(土)~10月4日(日)の日程で開催される予定だったが、新型コロナウィルス感染拡大の影響により、2022年まで延期されることとなった。
◎ジョセフ・ロウェリー牧師死去、米公民権運動の指導者
【CJC】米公民権運動の指導者、ジョセフ・ロウェリー牧師が3月27日、南部ジョージア州アトランタの自宅で死去した。98歳。
1921年、南部アラバマ州生まれ。50年代にキング牧師と出会い、後に公民権運動の中心的役割を担う南部キリスト教指導者会議の立ち上げに尽力。64年の公民権法成立へとつなげた。
バラク・オバマ大統領誕生に貢献、2009年1月の就任式では祝辞を述べた。同年、オバマ氏から文民に贈られる最も名誉ある「大統領自由勲章」を授与された。
《メディア展望》
=カトリック新聞(3月29日)=https://www.cwjpn.com/cwjpn/
★教皇フランシスコ=伊北部の司祭たちに感謝=「創意工夫」で司牧続ける
★教皇=ローマで小巡礼=パンデミック収束を祈る
★仙台教区平賀徹夫司教が引退=教皇が願いを受理
★一般社団法人 カリタス南三陸設立=いのちを感じる場として"喜び"これからも
=代表理事・千葉道生さんに聞く
★新型コロナ特措法に宗教者有志が「緊急声明」
=KiriShin(3月21日=既報)=https://www.kirishin.com
=クリスチャン新聞(3月29日)=https://クリスチャン新聞.com
★ZOOM使ったオンラインミーティング開催=集まることをやめないために=はこぶね便事務局鈴木氏 新しい選択肢提示
★就学支援家族に食のサポート=新型コロナ感染拡大で急きょ開催=目白聖公会
★理不尽な多くの死の背後に神の御手が=3・11「超教派一致祈祷会」で坪井永人氏=映像で現地報告
★宗教者が緊急声明=特措法改正に反対=「緊急事態」の名を借りた権力集中懸念
★分科会「オール・アビリティ―スポーツ」で山本創示氏=「障がい者」と関わったイエスを模範に=オリンピック・パラリンピック宣教ナショナルキックオフ大会