世界キリスト教情報

世界キリスト教情報

世界キリスト教情報 第1502信(2019.11.04)

  • アブラハム系宗教、命の終末をめぐり共同声明
  • 『バチカン機密資料館』を『バチカン使徒資料館』に名称変更
  • 11歳の「天才」が「宇宙を創造したのは神」とホーキング博士に異議
  • WCC次期総幹事候補に2人指名
  • 2020年、トランプ氏支持する大統領選初投票の若者たち
  • 鳩山由紀夫元首相、韓国で「平和賞」を受賞
  • 《メディア展望》

 

◎アブラハム系宗教、命の終末をめぐり共同声明

 【CJC】「アブラハム系一神教」代表者たちは10月28日、バチカン(ローマ教皇庁)で共同声明を通じ、安楽死と自殺幇助を非難、どこにおいてもすべての人に開かれた緩和ケアを奨励した。公営『バチカン・ニュース』(日本語版)が報じた。

 「アブラハム系一神教」という用語は、ユダヤ教徒、キリスト教徒、イスラム教徒やその他の人々によって、信仰の父祖として認識されている旧約聖書の人物アブラハムに由来する。

 「わたしたちは、故意に、計画的に、生命を直接絶つ行為である、あらゆる種類の安楽死に反対します。医師による自殺幇助に対しても同様です――それは自殺を、故意に計画的に直接的に助ける行為です。これらは、人間の生命の不可侵的価値を根本的に否定するため、本質的にまたその結果として、道徳的に宗教的に間違っており、例外なく禁じられるべきです」

 代表者たちは、末期患者に対して、命を諦めるよう積極的に意図的に圧力をかける行為を明確に非難した。

 「末期患者の看護は、患者の回復が見込めない時であっても、神から贈られた命を守るというわたしたち信仰者の任務の一部であり、またそれは、苦しみながら死にゆく患者に対する人間的および倫理的責任の一部であります。」と代表者たちは記した。

 「末期患者の人間独特の精神的、宗教的な側面を認識すること ―
これは患者の、人間としての尊厳に敬意を払う全人的な看護が根本的に目指すものとしなければなりません。」

 声明の発起人は、イスラエル出身のユダヤ教指導者(ラビ)であるアブラハム・スタインバーグ氏。声明の提案を受けた教皇フランシスコは、それを教皇庁立生命アカデミーに託した。

 生命アカデミーの議長であるヴィンチェンツォ・パッリア大司教は、声明文を起草するため、諸宗教の代表者らを招き、一つの異宗教混合グループを編成した。

 30人の署名者たちは、声明発表の後、バチカンで教皇フランシスコと会見した。署名者の中には、数名の枢機卿やデイビッド・ローゼン氏をはじめとしたユダヤ教指導者ら、インドネシアで二番目に大きいイスラム教団体のムハマディヤのシャムスル・アンワール氏が含まれる。

 パッリア大司教は、この声明がエキュメニカルに、また諸宗教対話的に共同で発起されたことの重要性を強調した。大司教は、代表者らがこれをとおして共通項を見つけたこと、またこの交わりの実りは、すべての人々のうちに「神の息子と娘を見いだす」奉仕を提供することができるだろうと述べた。


◎『バチカン機密資料館』を『バチカン使徒資料館』に名称変更

 【CJC】バチカン(ローマ教皇庁)の『バチカン機密(秘密)資料館』は、今後『バチカン使徒資料館』と呼ぶように、教皇フランシスコが10月28日、自発教令を発布した。公営バチカン・ニュース(日本語版)が報じた。

 この決定は、様々な司祭や司教、特に資料館に務める職員らとの協議期間を設けた後に下され、名称変更は教令発布と同時に有効となる。

 自発教令は、資料館が17世紀初頭に設立されたことに言及している。当時の教会は、宗教的・世俗的生活両方に関する重要な文書や本を収集して保存した。資料館設立当初は学者などには公開されてはいなかったが、その代わりに、バチカン職員によって複写された文書がそれを依頼した世界各地の学者に送られた。

 このため、哲学者で数学者のゴットフリート・ヴィルヘルム・フォン・ライプニッツはバチカン資料館のことを「欧州の中心的資料館」と呼んだ、と教皇は述べている。

 資料館が、バチカンを訪れる学者に公開されるようになったのは、1881年だった。

 現在もカトリック教会の公用語であるラテン語では、これまで「機密」と訳されてきた「secretum」という言葉は、よく「私的」と訳されてきたという事実に教皇は触れ、資料館名称変更の理由を説明した。

 「ラテン語という言語と語源の間に密接なつながりがあるという意識があった時代には、こうした説明は必要なかったであろうし、Archivum
Secretumという名称を弁護する必要さえなかった」と教皇は記している。

 しかし、言語が発展していくうちに「Secretum」という言葉は、次第にネガティブな意味合いを帯びるようになり、スキャンダルを恐れて公共から隠す必要のある知識や情報を指す言葉となった。

 「これは、バチカンの資料館の従来の在り方とこれからあるべき姿とは全く逆のものである」と教皇は記し、名称変更の説明をしている。

※参考
 ▽バチカン機密(秘密)資料館=Archivum Secretum Vaticanum
 ▽バチカン使徒資料館=Archivum Apostolicum Vaticanum


◎11歳の「天才」が「宇宙を創造したのは神」とホーキング博士に異議

 【CJC】アインシュタインやホーキング博士といった稀代の物理学者が唱えた宇宙理論。宇宙の始まりについて当たり前だとされてきたこれらの理論を否定する天才少年が現れました。米名門大学に通う11歳のウィリアム・マイリス君が、「神が宇宙を創造した」ことを証明できると話している。ニューヨークに本部を置く『エポック・タイムズ』(大紀元時報=日本語版)が報じた。

 米ペンシルベニア州出身のウィリアム君は天文学者になることを夢見ている。生後7カ月で完璧な文章を話し、1歳過ぎで足し算を、2歳で掛け算を習得。9歳で高校を卒業し、11歳で名門校カーネギーメロン大学に入学している。

 ウィリアム君は、ギリシャ正教会主教である父親の影響を受け、信仰心の強いキリスト教徒でもある。その彼が目指しているのは、神の存在を科学の力で証明すること。アインシュタインやホーキング博士の唱えた宇宙理論、特に「神は存在しない」とした考え方は間違いであり、全く賛同できないと言う。

 ホーキング博士は「神の存在を信じない」と公言していた無神論者。「『神が宇宙を創造した』という古い考えは科学の進歩により説明がつかなくなった」とも断言する。

 しかし、ウィリアム君は逆の考え。ホーキング博士が言うように「何もないという状態から宇宙が出来る」はずはなく、「外的要因」つまり「神」が宇宙を創り出したと結論付ける方が理にかなっている、と考えているのです。

 「無神論者は『神は存在しない』って言うけど、そう考えるにはよっぽどの信念が必要になる。『何かが宇宙を創り出した』と考える方が、『宇宙は自らを創り出した』と考えるよりずっと理にかなってる。

 「宇宙は今13・8億歳。つまり初めは、全宇宙は素粒子よりもずっと小さい特異点っていう「無」の状態だった。でも、宇宙の始まりである特異点と重力の両方が存在していたのなら、宇宙は無限に存在してて宇宙の年齢自体なくなってしまう。でも宇宙には年齢があるし、何かを生み出すには『何もない状態』からでは不可能だから『何かが存在』してなければならない。だから、『何か他の物』がこの特異点を生み出したと考える方が理にかなう。そして僕には、その『何か』は『神』だとしか考えられない」。


◎WCC次期総幹事候補に2人指名

 【CJC】世界教会協議会(WCC)は、現任のオラフ・フィクセ=トヴェイト総幹事が、任期5年の総幹事への再任を求めない、と2018年6月、中央委員会で発表、2020年4月1日で総幹事職は空席となるため、次期総幹事選任のため中央委が任命した選考委員会が11月1日、アグネス・アボウム議長に、選考結果を報告した。

 選考委員会は、フェルナンド・エンズ委員長を通じて、アボウム議長に、選考経緯と候補者との面談を終え中央委員会に候補者2人の氏名を提示することで合意に達した、と報告した。

 候補者は次の通り。(ABC順)

 ▽エリザベス・ジョイ氏(1961年生まれ=インド。英チャーチズ・トゥゲザー「ディレクター」・評議員。マランカラ正統シリア教会)

 ▽ジェリー・ピレー牧師(1965年生まれ=南アフリカ。プレトリア大学神学・宗教学部長。南ア合同長老教会)

 最終決定は、ジュネーブで2020年3月に開催する中央委での選挙による。


◎2020年、トランプ氏支持する大統領選初投票の若者たち

 【CJC】2020年の米大統領選まで、あと1年となった。大統領選での投票が初めてとなる10代、あるいは20代になったばかりの若者たちの間で、ドナルド・トランプ大統領の単刀直入な話し方や移民政策、これまでの在任期間中に達成した好景気が評価されている、とAFP通信が解説する。

 激戦州といわれるオハイオ州の若者らもトランプ氏支持だ。18歳のクレイ・ダネクさんとオリビア・マイアーズさんは、しばらく前から誰に投票するか大体決めているという。

 キリスト教系の高校に通う2人は、米保守派団体「ターニング・ポイントUSA」が州都コロンバスにあるオハイオ州立大学で開催した集会に参加、この集会で2人とも、自分たちの選択が間違っていないと確信を強めた。

 前回大統領選時のトランプ氏のスローガン、「アメリカを再び偉大に」と書かれた帽子とパーカーを身に着けたマイアーズさんは、「保守的」な家庭で育ったと話す。だが、「左派、右派両方の意見を調べ、2020年(の大統領選)は保守派に投票すると自分で決めた」とAFP通信の取材に述べた。

 一方、トランプ氏の再選キャンペーン用のTシャツを着ていたダネクさんは、トランプ氏の「価値観と道徳的信条」が重要と話す。「私は懸命に働いてはしごを上った家族で育った」「トランプ氏はしっかり稼ぐ家族を支援し、懸命に働いて家族を養えることに税を課したり、罰したりしない。これは非常に重要なことだと思う」

 保守派団体「ターニング・ポイント」は、少なくとも書類上はトランプ氏の選挙活動と正式な関係はないが、同氏を支援し、全米1500カ所以上の大学で活動を行っている。

 集会参加者は、会場のオハイオ州立大の講堂に入る前に、「革命的社会主義者」と自称する反トランプ派からブーイングを浴びていた。

 クリス・バティスティさん(24)は、同大学で歴史を学んでいる。バティスティさんは、若者がトランプ氏に投票する行為を「体制に中指を立てる」ようなことだと例える。無作法な指導者を支援するのは反逆行為に近く、「現代のパンクロック文化」だいう。

 だが、ターニング・ポイントの地域リーダーを務めるネイト・ターナーさん(21)は、バランスを心がけ、トランプ氏の対立を招きがちな物言いからは少し距離を置いていると説明、「トランプ氏のツイッター投稿は本当に面白い時があるし、私もいいねを押している。しかし、トランプ氏支持に回るはずの多くの有権者を遠ざけたくなければ、少々口を閉じるべき時も彼にはある」と述べた。


◎鳩山由紀夫元首相、韓国で「平和賞」を受賞

 鳩山由紀夫元首相が10月28日、ツイッターを更新した際、「第1回三・一運動国連ユネスコ」平和大賞国際部門の受賞者に選ばれ、26日にソウルの国会議員会館大講堂で行われた授賞式に出席して感じた思いなどを投稿した。

 鳩山氏は「韓国の国会の中で3・1運動ユネスコの世界記録遺産登録推進の財団より国際部門で平和賞をいただいた」と投稿した。「植民地時代に独立を求める運動の敵であった日本の人間に平和賞を与える韓国のみなさんの度量の大きさに感銘を覚えた。日本の指導者にこの度量があれば、日韓関係は昔の良好な状態に戻るだろう」という。(CJC)

 
《メディア展望》

 =カトリック新聞(11月3日)=https://www.cwjpn.com/cwjpn/
★アマゾン特別シノドス最終文書=新たな奉仕職も提言=先住民文化と環境の保護を強調
★教皇、「世界食料デー」に=ゆがんだ食生活を批判
★JOC(カトリック青年労働者連盟)70周年祝う=働く若者ら 現状を証言
★エッファタ!をテーマに=日カ聴会全国大会開催=ミサや交流で自らの使命を再確認
★教皇を思い、食卓を囲む集い=街の人たちと☆フランシスコナイト!=広島の青年信徒らが企画

 

 =KiriShin(11月1日)=https://www.kirishin.com
★[次世代牧師座談会]前編=神学の学びと教会の未来=いま、私たちに求められるものとは?
★日本基督教団全国信徒会=青年伝道主題に講演とフォーラムも
★"破れをかかえながら生きる"=「基督教共助会」100周年記念シンポ
★沖縄で宗教者平和会議=「軍事同盟も基地もなくそう」
★「世界死刑廃止デー」に死刑執行停止求める声明

 

 =クリスチャン新聞(11月3日)=https://クリスチャン新聞.com
★10・21緊急記者会見="違憲状態"の天皇の即位儀式に抗議= "国事行為で既成事実化"警鐘
★「とにかく祈って」=現地ルポ=香港デモと祈りの集い
★香港の声と祈り=守望香港祈祷會=政府の謙遜さ、信徒の敬愛求める
★「小さないのちのドア」1周年記念公演=子どもが笑顔で 生きる国に
★中国でキリスト教集会に参加禁止=アフリカ出身留学生

月別の記事一覧