世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1501信(2019.10.28)

  • 既婚男性も司祭に、と提言=「アマゾン特別シノドス」閉幕
  • 米福音同盟新会長に韓国系のウォルター・キム氏
  • 露正教会キリル総主教が2020年に訪日
  • 観光名所の四川省凌雲山から芸術価値の高い仏像が消える
  • 仏住宅の台所で見つかったチマブーエの絵が29億円で落札
  • 《メディア展望》

 

◎既婚男性も司祭に、と提言=「アマゾン特別シノドス」閉幕

 【CJC】「アマゾン周辺地域のための特別シノドス」は10月25日午後行われた第15回全体会議で、特別シノドスの結果を踏まえた指針を今後実施に移すための、実行推進委員会のメンバーが選挙された。

 この後、同シノドス議長クラウディオ・フンメス枢機卿によって、シノドス中の全体会議・言語別グループ会議での発表・討議の総まとめといえる「最終文書」が提示された。アマゾン地域の既婚男性が司祭となることを認めるよう教皇フランシスコへの提言も含まれている。

 6日から3週間にわたって開かれた司教会議には、世界各国の司教180人以上が出席。この約6割がアマゾン地域の南米9カ国からだった。

 司教たちは、アマゾン地域の先住民族代表、専門家、修道女らと共に、気候変動、貧困、土地の収奪、水銀による水質汚染、女性に対する暴力など、同地域が抱えるさまざまな問題を協議した。中でも最も熱い議論が交わされたのが、司祭が不足しているへき地において適格者と認められた既婚男性が司祭に就くことを容認するか否かという問題だった。こうした遠隔地では、司祭不足のためにミサを行うことが難しくなっている。

 26日午後、第16回全体会議で、アマゾン地域の既婚男性が司祭となることを認めるよう教皇フランシスコに提言する「最終文書」が採択された。

 会議は、アマゾン先住民族コミュニティーの伝道活動で中心的な役割を担う女性たちのために、公式な役職を設けることも提言した。これに対し教皇も、年末までの対処を約束した。

 提言の影響は、広大なアマゾンの孤立地域のみでなく、カトリック教会全体におよぶ可能性もあり、欧州や北米の司祭を中心とする超保守派は強く反発、例外を認めれば、世界規模で司教独身制が廃止されることになりかねないと抗議した。

 27日午前、教皇フランシスコと参加司教らの共同司式によるミサをもって、3週間にわたった「アマゾン周辺地域のための特別シノドス」は幕を閉じた。


◎米福音同盟新会長に韓国系のウォルター・キム氏

 【CJC】福音派を中心に全米4万5000教会が加盟する米福音同盟(NAE)は10月17日、ミネソタ州セントポールで開いた理事会で、2006年から会長を務めているリース・アンダーソン氏が任期満了を迎える今年末で退任する意向を受けて、韓国系米国人のウォルター・キム氏(51)を新会長に選出した。来年1月1日に就任する。白人以外から会長が選出されるのは、1942年のNAE創設以来初めて。

 キム氏は現在、バージニア州シャーロッツビルにあるトリニティー長老教会の牧師。NAE会長に就任後も同教会の牧会チームの一員として牧師の働きは継続する。

 米ノースウェスタン大学で学士号(哲学、歴史学)、カナダのリージェント大学で修士号(神学)、米ハーバード大学近東言語文化研究科で博士号(Ph.D)を取得。アメリカ長老教会(PCA)と保守会衆派キリスト教会議(CCCC)で牧師としての資格を有する。『クリスチャニティー・トゥデー』誌の理事も務めている。

 理事会はこの他、新議長にグレナーデン第一バプテスト教会牧師(メリーランド州)のジョン・ジェンキンス氏を、新副議長にウェスレアン教会(インディアナ州に本部を置くメソジスト派教団)名誉総監督兼大使のジョー・アン・リオン氏を選出した。


◎露正教会キリル総主教が2020年に訪日

 【CJC】ロシアの『スプートニク通信』は、ロシア正教会のキリル総主教が2020年9月に日本を訪問し、日本正教会の創始者であるニコライ大主教(聖ニコライ)列聖50周年、日本正教会の自治教会承認50周年などの記念行事を取り仕切るほか、天皇陛下や日本政府の上層部とも会見する、と10月25日報じた。

 日本正教会は1870年から存在し、1970年、ロシア正教会に自治教会として承認された。日本正教会には東京、京都、仙台の3主教区が存在し、約60教区、40人の聖務執行者で構成されている。信者の総数は推定1万人。

 ロシアでも、日本に正教を伝えた聖ニコライの功績が注目されている。今年8月、聖ニコライの生誕地トヴェリ州にある聖ニコライ教会では、記念像の除幕式が行なわれた。

 近年、日本文化に詳しい東洋歴史学者ナタリア・エロフェーエワ氏が、日本への正教会伝道に生涯を捧げた聖ニコライの足跡を追い、日露友好につなげるプロジェクト「聖ニコライの道=白樺から桜へ」を進めている。


◎観光名所の四川省凌雲山から芸術価値の高い仏像が消える

 【CJC】中国共産党は膨大な資金と労働力を費やし、屋外の宗教関連のシンボルを取り壊したり、隠したりして排除している。中国の宗教抑圧を伝えるイタリアのメディア『ビター・ウインター』(BW=日本語版)が報じている。

 中国南西部、四川省南充市に位置する凌雲山は国家が認める景勝地で、仏教と道教の巡礼地でもある。屋外のいたるところに数千の宗教関連像や岩壁の彫像が見られる。しかし最近、宗教撲滅運動の一環として、中国共産党は芸術的価値の高いこれらの宗教的シンボルをすべて覆い隠した。そのために少なくとも800万人民元(約1・2億円)を費やしたと伝えられる。

 2018年9月、この景勝地からすべての宗教的要素を取り除くよう命令が出された。屋外の巨大な像7体とそれよりも小さい像のすべて覆われ、シンボルや看板だけでなく、像の場所を指し示す案内板までことごとく撤去された。景勝地の公式ウェブサイトやその他のオンラインプラットフォームからは宗教関連の像を宣伝する内容が一掃された。

 有名な、釈迦の死の物語を描いた全長72メートルの涅槃像はどこからも見えないように完全に覆われた。

 ある村民は、彫像製作に要した費用を超える200万人民元(約3000万円)が涅槃像を隠す作業に費やされたことを『ビター・ウインター』に話した。

 ある観光客は、政府は宗教の彫刻を隠すために税金を浪費し、労働力と資源を無駄にしていると話している。

 凌雲山で最も有名なスポットは、未完成の阿弥陀仏像だ。この彫像はもともと、高さ99メートル、取り囲む岩壁に9千999の小さな仏像をあしらい、「万仏崖」にする計画だった。

 しかし、仏陀の胴部(高さ約48メートル)と小像が7千体以上ができたところで建設作業は中止された。政府がこの彫刻を屋外宗教像の排除運動の標的に定めたためだ。

 現在、作業員たちは10月末までに終わらせなければならない彫刻を隠す仕事に追われている。情報提供者によると、仏像の「是正」にかかる費用は570万人民元(約8千700万円)という。

 中国内では同様に、巨大な崖に掘られた宗教の象徴を覆うだけでなく爆薬を使って解体した事例がある。しかし凌雲山ではこの方法は使われなかった。地滑りなどの災害を引き起こす可能性を当局が恐れたからだという。

 観音像33体、羅漢像24体、石窟仏の像11体は、外側に植えられた竹に取り囲まれて見えなくなった。

 凌雲山道教寺院の中庭に飾られていた大きな像5体は、新しく用意された天幕に覆われ、宗教的なシンボルが一切見えなくなった建物だけが残った。

 三清殿の前に立っていた、道教における「完成者」慈航真人の像はまず木の板でふさがれ、像の頭部しか見えないおかしな姿になった。後に黒いトタン板で封じ込まれた。

 周辺地域の住民が『ビター・ウインター』に話したところによると、地元当局に威嚇された上、像を隠す作業を妨害すれば特別警察を配備して逮捕すると言われたという。

 ある村民は、「普通の人は怒っていますが、声を上げようとはしません。面倒に巻き込まれるからです。毛沢東の時代には寺院が解体され、菩薩像が壊されました。今、同じことが起きています。習近平主席に命令されたら最後、誰が拒否できるでしょうか」と、語っている。


◎仏住宅の台所で見つかったチマブーエの絵が29億円で落札

 【CJC】フランス北部の町、コンピエーニュに住む女性宅の台所と居間の間の壁に掛けられていたイタリアのルネサンス初期のフィレンツェ派絵画の祖チマブーエによる作品「あざ笑われるキリスト」が10月27日、競売にかけられ、落札予想価格の約5倍の2400万ユーロ(約29億円)で落札された。AFP通信が報じた。

 競売を主催したパリ郊外の町サンリスのオークションハウス『アクテオン』は落札者の身元を明らかにしていない。

 チマブーエ(本名チェンニ・ディ・ペーポ、1302年ごろ没)は先駆的な初期の画家であり、その作品が競売にかけられたことは過去数十年間なかった。

 アクテオンによると、今回の落札価格は中世絵画としては最高額、中世および古典派巨匠絵画としては8番目に高い価格となる。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(10月27日)=https://www.cwjpn.com/cwjpn/
★台風19号被災地=東北のベース4カ所がボランティア活動支援
★教皇=ニューマン枢機卿ら列聖=「やさしき道しるべの光」
★日韓で平和使徒職共有=ソウルで集会=38度線非武装地帯でミサ
★近年頻発する災害=避難所環境に問題提起=横浜旭ロータリークラブ公開講座「気候変動と防災」
★将棋士 加藤一二三さん=歴代教皇を語る=宮城・仙台白百合女子大学

 

 =KiriShin(10月21日・既報)=https://www.kirishin.com

 

 =クリスチャン新聞(10月27 日)=https://クリスチャン新聞.com
★台風19号で各地に被害=川越キングス・ガーデン浸水=床が一面泥で覆われ
★今、教育の担い手に求められていることとは=「破れを抱えながら生きる」=「基督教共助会」創立100周年記念シンポ
★JECAで初めて「全国信徒大会」開催
★ネパールの少女支援にCD制作=癒しと自立のために人身売買救護「かみさまのひとみ」
★映画「人生、ただいま修行中」ニコラ・フィリベール監督に聞く="誰かの役に立つ存在になりたい"=看護生たちの願望が奮闘の支えに

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