世界キリスト教情報 第1500信(2019.10.21)
- 「アマゾン特別シノドス」全体会議、2週目に入る
- ロザリオをバチカンがスマート化して発売
- 中国でキリスト教集会への参加禁止されたアフリカ出身留学生
- 英ウェストミンスター寺院で750周年記念礼拝、エリザベス女王出席
- カタルーニャ大規模デモでサグラダ・ファミリア営業停止
- 《メディア展望》
◎「アマゾン特別シノドス」全体会議、2週目に入る
【CJC】バチカン(ローマ教皇庁)の公営『バチカン・ニュース』が伝えるところでは、10月6日から3週間の会期で開かれた「アマゾン周辺地域のための特別シノドス」は、10日、11日の言語別グループ会議の後、12日、再び全体会議に戻った。
同日午前に行われた第7回全体会議の発表・討議では、アマゾンの人々の持続可能な発展を助ける統合的な教育がテーマの一つとして挙がった。そこでは、情報へのアクセスの平等、切り捨ての文化ではない、出会いの文化の促進、エコロジーや、良き共存の視点を持った教育の必要が注目された。
エコロジーと労働の関係もテーマとなった。人や自然を搾取する労働モデルからの脱却がアピールされたほか、アマゾンの若者たちの失業問題にも触れ、地域においても、都会においても隷属的環境に置かれる若者たち、さらには児童労働の悲劇についても報告があった。
同日午後の第8回全体会議では、再び、既婚男子の司祭叙階の問題をめぐり多くの発言が行われた。
この中で、召命不足はアマゾンだけの問題ではない、なぜこの地域だけに特定してこの問題を取り上げるのか、という指摘があった。そして、司祭の召命問題に特化したシノドスの開催の必要が提言された。
また、享楽的で世俗的な文化の圧力のもと、世間は宗教を理由とした独身性を最後に崩すべき砦のように見なしている、という発言もあり、司祭の独身性の価値を注意深く見つめる必要がある、と強調された。
一方で、アマゾン地域にとって、司祭叙階をめぐる新しいあり方を考察することは不可避であり、期待されること、との意見もあった。
他の教区や地域からの司祭の派遣の強化はもとより、賢明で信仰の篤い既婚男性を司祭に叙階することで、訪問司祭しかいなかった地域に、常駐の司祭を持つ道が開ける、との考えが述べられた。
「アマゾン周辺地域のための特別シノドス」は14日、開会2週目に入った。
同日午前に行われた第9回全体会議の発表・討議では、アマゾン地域で活動する修道会が目に見えて減少している問題が上がり、修道会に宣教への情熱を取り戻させるための対策の必要が、教皇庁の奉献・使徒的生活会省に提言された。
また、洗礼を準備している人々に対し、書籍による勉強だけでなく、要理教育に地元の文化やシンボルを取り入れるなどの、インカルチュレーション化が必要、との意見があった。同時に、神学や典礼をインディオの文化に照らして考えることも提案された。
一方で、福音宣教が社会福祉的な活動だけに偏らないようにとの注意、セクトや相対主義への挑戦、などについても発言があった。
同日午後の第10回全体会議では、信徒や女性の司牧への積極参加について多くの意見が交わされた。
ここでも、既婚男子の司祭叙階や、女性助祭などの重要なテーマは、地域特定ではなく、教会全体の普遍的なテーマとして話し合うべきとの視点から、これらを通常シノドスで話し合うことが提言された。
また、既婚者の司祭叙階を考える前に、既婚の助祭、すなわち終身助祭のあり方を熟考すべきではないか、との考えが挙げられた。
◎ロザリオをバチカンがスマート化して発売
【CJC】見た目は十字架のついたロザリオだが、スマートフォンと接続して祈りを捧げる様々な機能を備える「スマート」ロザリオが10月15日、バチカン(ローマ教皇庁)が記者会見で発表した。公営『バチカン・ニュース』が報じた。
同製品を販売するのは『教皇による祈りの世界ネットワーク』。175年の歴史を持つ組織で、台湾のパソコン関連企業『エイサー』の子会社『GadgeTek』と協力して開発した。
祈りのための「スマート」ロザリオは、教会最高の宗教的伝統と最先端技術を融合するプロジェクトで、バチカンが時代の流れに乗っていることを証明するものと、デジタルガジェット専門ニュース『エンガジェット』は報じている。
スマートロザリオはブレスレットのように手首に巻きつけられ、スマホ向けの専用アプリと接続して使う。十字を切ると起動する。ランニング距離やカロリー燃焼を計測するフィットネス用のスマートブレスレットにもなるという。
価格は99ユーロ(約1万2000円)。既に購入可能。
◎中国でキリスト教集会への参加禁止されたアフリカ出身留学生
【CJC】中国では、アフリカ出身の留学生が礼拝の場を持つことも、中国人の教会への参加も禁止された状況にある。その上、監視下に置かれ、極秘の捜査を受けている。
中国共産党は、「海外勢力の宗教を介した侵入の阻止」を理由とした外国とのつながりを持つ教会の取り締まりを積極的に実施している。この政策が、中国で暮らす留学生の生活にも影響を及ぼしている、と「中国の宗教抑圧を監視する」イタリアのメディア『ビター・ウインター』が報じた。
中国北東部の遼寧省では、80人を超えるアフリカからの留学生のグループがキリスト教の教えを実践する場所を見つけることに苦労しているという。
今年9月、アフリカ出身の留学生のグループが出席していた『三自教会』(三自愛国教会。中国共産党の主導によって設立された中華人民共和国の合同教会。自養、自治、自伝から三自の名称が付けられている)の責任者に対し、集会への外国人の参加を禁止する命令が政府から下された。
学生たちは政府の根拠を理解することができなかった。「わたしたちは集会の場を求めているだけです」と留学生は不満を述べた。
この教会に通う中国人の信者は「本当は留学生に教会に留まって欲しかったです」と話した。この信者によると、8月に行われた「宗教を介した侵入への反対」に関するシンポジウムで、政府職員が教会の責任者に対し、外国に関連する活動を実施しているかどうか尋ねていたようだ。その直後、留学生は教会から追放されたという。
政府は別のキリスト教の集会施設にも圧力をかけ、脅していた。アフリカ出身の留学生が別の『三自教会』に集会への出席を希望したところ、断られた。現在もこの留学生のグループは適切な集会所を見つけることができていない。
中国中央部、湖北省の大学に通う40人以上のアフリカ出身の留学生も同じ問題を抱えている。昨年10月以降、以前留学生が出席していた、政府の管理下にある教会は、繰り返し政府の職員から脅しを受けていた。政府は教会の指導者に留学生を締め出すよう求めた。現在、この留学生のグループは誕生日会を装い、極秘で祈りを捧げている。
留学生の1人は、中国には「信教の自由」が存在すると政府が主張する根拠が理解できないと話した。さらにこの留学生は「中国の指導者たちが、宗教の集会を実施する権利を外国人に認めない理由が私には分かりません。そのため、私たちは隠れて教えを実践しなければならないのです」と困惑した表情で述べた。
外国とのつながりを持つ宗教団体への取り締まりが強化される中、留学生及び外国出身の教員に対する管理体制はさらに厳格化されている。『ビター・ウインター』は、黒竜江省、吉林省、河南省及びその他の地域の大学が発行した文書を入手した。これらの文書は、留学生と海外出身の教員の監督を強化し、信仰の状況を調査することを要求していた。また、文書は、国外の教員の採用手続きと大学の外国関連の学術的な交流活動の徹底的な見直しを求めていた。
中国南東部、江西省九江市にある大学の管理部門の職員は、表面上は、政府はアフリカ出身の留学生を厚遇しているものの、実際には密かに監視していると話した。さらに、この職員は「留学生とあまりにも親しい関係にあると見なされると、双方が監視と調査の対象になる。しかし、ほとんどのアフリカ出身の留学生は監視されていることに全く気付いていない」と説明した。
また、この職員は「家庭教会(非公認教会)の集会に参加している、または、他の学生に布教活動を行っていることが判明した場合、アフリカの留学生には直ちに退学処分が科される」と続けた。そして、実際に大学は、中国人の同級生に福音を説いたアフリカ出身の留学生を既に1人退学させていると加えた。この学生はその後母国に強制送還されたという。
9月には、吉林省の延吉市の大学に以前、勤めていた韓国人の教授が中国への再入国を拒否された。2018年10月、朝陽街にあるキリスト教徒の集会施設を警察が急襲し、この教授を含む数名の韓国人の教員が参加していたことが判明した。一部の教員はその後韓国に送還された。
◎英ウェストミンスター寺院で750周年記念礼拝、エリザベス女王出席
【CJC】英国の首都ロンドンにある英国国教会(聖公会)のウェストミンスター寺院で10月15日、同寺院の750周年記念を祝う礼拝が行われた。ジョン・ホール首席司祭が礼拝を導き、エリザベス女王のほか、チャールズ皇太子の妻カミラ皇太子妃らが出席した。
現在の寺院は1269年10月13日、ヘンリー3世の臨席の下で聖別された。寺院はもともと、エドワード懺悔(ざんげ)王によって1065年に、ロマネスク様式の修道院として建設されたが、ヘンリー3世が現在のゴシック様式へと大改修した。礼拝は、大改修750周年を記念するもの。
11月に引退するホール氏はメッセージで、宗教学校、特にイスラム教の学校に対する政府の支援拡大を要望。支援の拡大は、人種や宗教の融和を促進するとした。
またホール氏は、「過去1世紀以上にわたり、宗教は徐々に衰退し、時代遅れになると、多くの人が声高に予測している。わが国も世界も、敬虔さや宗教の束縛から徐々に解かれていくと一部の人は見ている。しかし、その証拠は見当たらない」と述べた。
◎カタルーニャ大規模デモでサグラダ・ファミリア営業停止
【CJC】スペイン北東部カタルーニャ自治州で10月18日、独立派住民による5日連続の大規模デモが行われた。州都バルセロナの世界遺産のサグラダ・ファミリア(聖家族)教会は、デモ隊に入り口をふさがれ、来場者の安全確保ができないとして営業を停止したと発表した。
デモは、同国最高裁が14日に州独立を問う住民投票を強行した前州閣僚らに禁錮刑を言い渡したことに抗議して住民が立ち上がったもの。
多数の幹線道路がデモで通行を遮断されたほか、ゼネストも呼び掛けられ、バルセロナ空港では一部の便が欠航となった。
《メディア展望》
=カトリック新聞(10月20日)=https://www.cwjpn.com/cwjpn/
★アマゾン特別シノドス=教皇の第1回全体会あいさつ=先住民に耳を傾ける時に
★台風19号被害=栃木教会で床上浸水
★188殉教者ゆかりの教区の集い=列聖願い連携深める
★教皇を迎える準備を=青年有志が企画立ち上げ=ウェブサイトも作成
★福島・松木町教会=イエスへの「一歩」踏み出そう=仙台教区第7地区大会開催
=KiriShin(10月21日)=https://www.kirishin.com
★日本基督教団川崎戸手教会=台風19号で1階水没=「困窮する人々と共に」
★天皇代替わり儀式に関して=福音ルーテル教会が抗議と要望
★「韓国擁護すれば非難される」=勝谷太治司教が韓国で
★「キリスト教の中国化」のために祈りを求める当局
★教皇が枢機卿叙任式=日本ゆかりの大司教も
=クリスチャン新聞(10月20 日)=https://クリスチャン新聞.com
★「異端カルト110番」開設に各界から期待=正しい情報を教会へ=「くびきをともにしてはいけない」
★サーフィン、ボルダリング、スケートボードが五輪種目=アクションスポーツ通じ伝道を=開催1年前にカンファレンス
★最優秀賞にロングライフ葛西=利用者の思い尊重 見守るケアを=東京でロングライフ国際学会開催
★中国への祈りから始まった=大阪・シェラトン都ホテル朝祷会が千回
★聖書信仰運動に精励=後藤茂光氏逝去