世界キリスト教情報 第1492信(2019.08.26)
- 教皇が11月訪日に合わせタイも公式訪問=バチカンの関係者
- 豪の州最高裁、児童性的虐待でペル枢機卿の控訴棄却
- スリランカで非常事態解除 テロから4カ月
- カタールが中国のウイグル族弾圧を支持する書簡への署名撤回
- 中国でデータ収集アプリが宗教監視を後押し?
- マカオ警察が香港デモの支持者7人拘束
- アッセンブリーズ・オブ・ゴッド教団、総幹事にバレット牧師
- 《メディア展望》
◎教皇が11月訪日に合わせタイも公式訪問=バチカンの関係者
【CJC】教皇フランシスコが11月にタイを公式訪問する見通しになった。ロイター通信にバチカン(ローマ教皇庁)の関係者3人が明らかにしたもので、間もなく発表されるという。
教皇のタイ訪問は1984年の故ヨハネ・パウロ2世以来35年ぶり。教皇はすでに11月に日本を訪問する予定を明らかにしており、訪日に合わせてタイも訪問する。両国訪問は11月20日前後から7日間程度となる見込み。
◎豪の州最高裁、児童性的虐待でペル枢機卿の控訴棄却
【CJC】オーストラアリアのビクトリア州最高裁判所は8月21日、複数の性的暴行罪に問われていたバチカン(ローマ教皇庁)の前財務長官ジョージ・ペル枢機卿(78)の控訴を退けた。
メルボルン地裁の陪審団は昨年12月、ペル枢機卿は、メルボルン大司教に就任した1996年、セント・パトリック大聖堂内でミサの後、当時13歳だった聖歌隊の少年2人に性的暴行を働いたとして有罪評決を下し、今年3月に6年の禁錮刑が言い渡されている。
枢機卿は、性的暴行で有罪となったカトリック教会の聖職者としては最高位。控訴が棄却されたことで、枢機卿は仮釈放が認められる2022年10月まで服役する。ただ枢機卿が、オーストラリア高等裁判所へ上告する可能性もある。
訴えによると枢機卿は、少年たちが聖餐のワインを飲んだことをとがめ、それぞれの少年にわいせつ行為を強制したという。被害者のうち1人は、1997年にも虐待を受けた。
公判では、被害者の1人が証言した。もう1人の被害者は2014年、薬物の過剰摂取で死去している。
アン・ファーガソン裁判長は、「クリス・マクスウェル裁判官と私は、原告は有力な目撃者であり、うそをついていないことは明らかで、夢想家でもなく、真実を目撃していたという検察側の意見を受け入れる」と説明した。
◎スリランカで非常事態解除 テロから4カ月
【CJC】スリランカ大統領府は8月23日、日本人1人を含む250人以上が死亡した4月の連続爆破テロを受けて発令していた非常事態宣言を解除されたことを明らかにした。
マイトリーパーラ・シリセナ大統領が延長の手続きを取らず、失効した。
共同通信が伝えるところでは、非常事態宣言により令状なしで容疑者の身柄拘束が可能になり、警察や軍の権限が拡大されていた。警察当局はテロの容疑者全員を殺害または逮捕したという。
テロでは4月21日、最大都市コロンボの高級ホテルやカトリック教会などで爆発があった。キリスト教の復活祭(イースター)に当たったため、警察当局は地元過激派がキリスト教徒や外国人を狙ったとみて捜査。過激派組織『イスラム国』が犯行声明を出した。
◎カタールが中国のウイグル族弾圧を支持する書簡への署名撤回
【CJC】『ブルームバーグ』通信などによると、カタールは8月20日、国連人権理事会(コリー・セック議長=セネガル)に、中国によるウイグル族に対する弾圧を支持する7月12日付け書簡への署名を撤回する、と通告した。
ウイグル族300万人、カザフ族他の民族数万人のイスラム教徒を新疆ウイグル自治区の強制収容所に拘束する中国の行為を支持する書簡に7月12日行った署名をカタールが正式に撤回したもの。
『ブルームバーグ』は、反対に強制収容所を非難する書簡に署名した22カ国を列挙していたが、正確にはイタリアが加わり、23カ国になった。
中国の行為を支持する国はカタールの署名撤回でロシアなど36カ国になった。
一部のメディアは、カタールはサウジアラビアとの地域紛争において米国の支持を必要としているため、署名の撤回に至ったと推測しているが、中国の宗教抑圧監視メディア『ビター・ウインター』は、中国で弾圧を受ける同じスンニ派イスラム教徒(ムスリム)への支援欠如に関して同国の市民社会と知識人の間で不満が広がったことが、撤回を政府に決意させたと報じている。
今年、カタールはウイグル族の人権保護活動家のアブリキム・ユセフ氏の中国送還を土壇場で中止し、代わりに米国へ向かう飛行機への搭乗を認めていた。
◎中国でデータ収集アプリが宗教監視を後押し?
【CJC】昨2018年以降、中国では全域の宗教の信者と宗教施設を網羅する、政府運営のデータベースを用いて、宗教を信仰する住民を登録し、調査する運動が勢いを増している、と中国の宗教抑圧に関する情報メディア『ビター・ウインター』(BW)が報じた。宗教信仰に対する体系的な調査が、政府機関、軍隊、国営企業、学校、病院などで行われている、という。
『ビター・ウインター』によると、中国共産党の公式ウェブサイトには、中国中央部、河南省の複数の地域政府が、「宗教事務補佐」を対象とした研修プログラムに着手、宗教を信仰する住民に関する情報を集め、リアルタイムで上級の当局と共有するための専用のモバイルアプリを使っていることが報じられている。
河南省のある地域の「統戦部」(党統一戦線工作部=共産党のソフトパワーを浸透させる機関)と「民族・宗教事務局」が発行した文書『郷及び村を基準とした宗教事務の「2名の補佐」の作業記録』を『ビター・ウインター』が入手した。この文書は、「宗教事務補佐」に対し、家庭教会やその他の非公式集会施設の状況を直ちに上級当局に報告することを要求している。また「宗教事務補佐」は、国公認の宗教施設の調査を週1回実施し、写真と動画を添付した報告書を提出しなければならないとしている。
さらに「宗教事務補佐」は、日曜日にキリスト教の施設を、金曜日にイスラム教の礼拝施設を検査することが義務づけられている。仏教及び道教の施設に関しては、毎月旧暦1日と15日、祝日、寺院の儀式が行われる日及びその他の重要な日に調査を行う。
また「宗教事務補佐」は、宗教関連の印刷媒体などの売上を調査し、報告する必要がある。それには宗教色のある名前の会社や「サウジ化」または「アラビア化」の要素を有する建物の調査も含まれている。他地域の布教活動者、や「邪教」に指定された宗教団体が主催した活動を発見した場合、さらには邪教に関連していると疑われる場合は、上司に直ちに報告しなければならない。宗教の象徴やスローガン、または慈善活動中に布教に関する内容を見つけた場合は、すぐに介入し、中止させることが求められている。
◎マカオ警察が香港デモの支持者7人拘束
【CJC】マカオ警察当局は8月19日、香港の抗議活動を支持する市民7人の身柄を拘束した。米『ラジオ・フリー・アジア』(RFA)が20日報じた。中国当局に近いマカオ政府は、抗議デモがマカオへ広がることに神経を尖らせている。
RFA報道によると、マカオ市民は19日に、観光名所セナド広場で香港市民の抗議デモを支援する集会を行う予定だった。マカオ警察当局が集会を許可しなかったため、主催者側は集会をキャンセルした。
警察は同日午後から、私服警官も含め、セナド広場の周辺に約100人の態勢で警戒に当たった。夜になると、黒いTシャツを着た一部の市民は広場に集まり、沈黙のままその場に立つことで香港市民にエールを送ろうとした。その後、当局はマカオ市民4人、中国本土出身者2人と香港市民1人の計7人の身柄を拘束した。
RFAによると、20日早朝に解放された香港市民の男性は「拘束中、警官は絶えず私に『どこから集会のことを知ったのか』と質問した」と明らかにした。集会の様子を撮影するためマカオを訪ねたと言うこの男性は、平和な集会を禁止されたことは、「中国当局の恐怖政治が、すでにマカオまで拡大していることを反映している」と話している。
マカオは香港と同様に、「一国二制度」の下で、中国特別行政区として高度な自治を保障されている。
◎アッセンブリーズ・オブ・ゴッド教団、総幹事にバレット牧師
【CJC】米アッセンブリーズ・オブ・ゴッド教団(AG、教会数1万3000以上、教会員約320万人)理事会は8月2日、総幹事にドナ・バレット牧師(59)を選出した。専門週刊誌『クロスチャニティ・トゥデイ』が報じた。女性の総幹事選任は同派105年の歴史で初めて。
バレット氏は、前任者が4年の任期途中で辞めた昨年から、同派のナンバー3とされる総幹事に推されていた。
同氏の指名は、教派が若返り、多国籍になってきていることを反映している。内部調査によれば、AG会員の半数は35歳以下、43%がマイノリティー。
1914年の創立以来、AGは、女性が説教し、教会の指導者になることを認めている。
《メディア展望》
=カトリック新聞(8月25日)=https://www.cwjpn.com/cwjpn/
★長崎=平和祈願祭=「被爆十字架」を奉納=74年ぶり 米国から浦上の聖堂へ
★東京=「よい政治は平和に寄与」=祈りのリレーに1万6千人参加
★大阪=52小教区で平和行事=ゴジラから平和考える講演も
★「戦争しない・させない」=青年と共に考える「平和の集い」=名古屋
★高松教区=「新たな福音宣教」へ終身助祭を2人叙階
=KiriShin(8月21日・休刊)=https://www.kirishin.com
=クリスチャン新聞(8月25日)=https://クリスチャン新聞.com
★「和解」テーマに東アジア各国から社会人364人=「新しい"私たち"」となる旅へ=EAGC 東京で開催
★第25回英連邦戦没捕虜追悼礼拝で関田寛雄氏=兵士たちの献身に応え「隔ての壁取り除く」働きに加わる
★日基教団議長=伝道推進訴え=全国千700の教会が生かされるように=聖霊刷新協議会教職研修会
★東海キリスト者災害ネット第1回総会で連携広がる=伊勢湾台風から学ぶキリスト者の支援
★「教会ネットワークの必要性」テーマに山尾研一氏=「顔と顔の見える信頼関係の構築を」=「災害支援セミナー~その心得と実践~」セッション1