世界キリスト教情報 第1430信(2018.06.18)
- 「史上初」の米朝首脳会談、時はなお流れる
- 世界の核弾頭1万4465発
- WCCが創設70周年迎え記念式典
- 米国聖書協会が「エバンジェリカル」路線に転換
- 教皇が移民問題で「他者を積極的に受け入れよう」
- 故ヨハネ・パウロ2世の像を仏広場から撤去
- アフガン一時停戦中の連続テロで50人超死亡
- ≪メディア展望≫
◎「史上初」の米朝首脳会談、時はなお流れる
6月12日、シンガポールで会談したドナルド・トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は、双方が署名した共同声明を発表した。「史上初」や「歴史的な首脳会談」を強調したが、焦点だった北朝鮮の「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」(CVID)や、朝鮮戦争の終結への言及はなかった。
会談の開催を最優先にし、難題を先送りにしているのを見て、『米朝あいまいすぎる合意』(朝日新聞)、『米朝首脳、非核化と北朝鮮の体制保障で合意
具体性に疑問符も』(ロイター)、『トランプ氏「偉業」固執、正恩氏「制裁緩和」狙う』(毎日新聞)、『米朝雪解け、日韓の心境複雑
「体制保証」争点に』(ウォールストリート・ジャーナル)などの見出しを付けて各メディアは報じた。
しかしどこも事実(ファクト)を抑えないままに、推測・希望を報じるのでは、首脳会談を「バラエティショー」にしようとした両者の思惑にのっただけ、というファクトを明示するしかなかった。
日本にとって最大の関心事である「拉致」についても、明確な進展は伝えられなかった。拉致されたままの被害者も、父母兄弟など関係者も、期待を裏切られながら、時の流れゆくままに置かれたままだ。
キリスト教世界でも、米朝首脳会談への期待は高かったが、それは満たされなかった。会談では北朝鮮のキリスト教徒についても言及した、とトランプ大統領は語ったが、「言及」の中身は明らかにされないまま。
バチカン(ローマ教皇庁)も『世界教会協議会』(WCC)も、落胆を示す言動は避けている。
会談を「真に歴史的」「長く困難の多い道のりの始まりにおいて、重要なページを開いた」「より平和で安全な未来に向けた道のりにおいて重要な最初の一歩」などと位置づけ、「両国の首脳に、平和のための対話の道を求め続け、衝突を招く過去のレトリックに逆戻りしてしまう衝動に抵抗するよう求める」などと述べるに留まった。(CJC)
◎世界の核弾頭1万4465発
【CJC】スウェーデンの『ストックホルム国際平和研究所』(SIPRI)が6月18日、2018年版『世界の核軍備に関する年次報告』を発表した。
世界の核保有国は米国、英国、フランス、中国、ロシア、インド、パキスタン、イスラエル、北朝鮮の9カ国で、18年初の保有核弾頭の合計は1万4465発だという。1年前は1万4935発だった。
各国とも核兵器の近代化を進め、中国は弾頭数も前年より10発多い280発、北朝鮮は前年と同じ10~20発と推定されている。
◎WCCが創設70周年迎え記念式典
【CJC】世界教会協議会(WCC、本部ジュネーブ)は創設70周年を迎え、記念式典など様々な催しを展開する。
すでにジュネーブ近郊ボセーの『エキュメニカル研究所』で、6月13~14日に常議員会、15~21日に中央委員会と開催が相次いでいる。
コンスタンチノープルのエキュメニカル総主教バルトロメオス1世始め世界各地から各派指導者が記念式典に参列する。最終日21日には、教皇フランシスコもジュネーブ訪問の際に参加する予定。
中央委員会は隔年に開かれ、委員150人は、WCC加盟348教会の4割近くを代表している。常置委員25人は中央委で選出され、毎年2回開催される。
◎米国聖書協会が「エバンジェリカル」路線に転換
【CJC】米国聖書協会(ABS)が、職員に「伝統的な」キリスト教信仰を忠実に守るよう促す新就業方針を2019年から導入する。厳格な性倫理の要求事項もあり、「性的少数派」を自認する職員の中にはすでに退職した人もいる。
新方針で職員は、聖書が神の霊感を受けた書物であることを承諾するだけでなく、中には、職員は結婚外の性行為を慎むことに努めるといった項目もある。
ABSのロイ・ピーターソン会長兼最高責任者(CEO)は、昨年12月5日に発表した新方針で、聖書に個人として深く根差した職員と理事によって運営されることになる、という。
「職員が聖書と深く個人的な関係を持つことで、一致と透明性がもたらされる。そのようにして3世紀目の働きを続けていく。誰もが自分自身の良心に従い、神の召しを理解して生きていかねばならない」という立場は、これまで200年にも及ぶ、エキュメニカル(教会一致を目指す)姿勢からエバンジェリカル(聖書霊感信仰)に方向転換するもの。
ピーターソン氏は、職員が新方針に同意せず、転職を選ぶなら、その決断を支持する、という。同氏は、新方針が聖書頒布の使命に影響することはない、と強気の見通し。
◎教皇が移民問題で「他者を積極的に受け入れよう」
【CJC】バチカン(ローマ教皇庁)とメキシコ間の外交関係締結25周年を記念して、国際的移民問題についての懇談会がバチカンとメキシコの間で開催された。バチカンは社会から見放された貧しい人々のための働きを続行するために両国の絆をますます強めていくためのよい機会だとさらなる両国の協力を強く訴えた。
教皇フランシスコは、メッセージの中で「今日、各自のメンタリティーを根本的に変革する必要があります。異なる人々や他人を自分たちの安全を脅かすものだという考え方から、かれらの異なる人生経験や別世界の人々の持つ様々な価値観が自分たちの既成社会により豊かな富をもたらすものなのだという考え方に変えていく必要があります。ですからここで一人一人が真剣に考え、受け取るべき姿勢は何よりも他者を知り理解するために、排除するのではなくかえって積極的に受け入れていこうとする態度です」と開かれた心とメンタリティーの必要性を強調した。
◎故ヨハネ・パウロ2世の像を仏広場から撤去
【CJC】フランス北西部ブルターニュ地方のプロエルメルで6月11日、故ヨハネ・パウロ2世教皇の銅像が広場から撤去され、約30メートル離れた私有地に移設された。AFP通信が報じた。
重さ13トンのこの像を設置場所が公共の広場だったため、「世俗主義者」から批判の声が上がっており、行政裁判所も政教分離を定めた1905年制定の『政教分離法』に違反するとの判断を下していた。
AFP通信は、プロエルメル教区のクリストフ・ゲガン司祭は「フランスの法律を順守し、世俗主義を尊重した結果」として、「町に平和が訪れる」ことを望むと語ったと報じている。
◎アフガン一時停戦中の連続テロで50人超死亡
【CJC】共同通信の伝えるところでは、アフガニスタン東部ナンガルハル州で6月16日、自爆テロがあり、保健省によると36人が死亡、65人が負傷した。ラマダン(イスラム教の断食月)明けの祝祭(イード)にあわせた政府と反政府武装勢力タリバンとの一時停戦を祝うため、国軍兵士とタリバン戦闘員が一緒にいた場所で発生した。
州都ジャララバードでは17日も自爆テロがあり、地元メディアによると少なくとも18人が死亡、49人が負傷した。
16日のテロは、過激派組織『イスラム国』が犯行を認めた。
《メディア展望》
=カトリック新聞(6月17日)=https://www.cwjpn.com/cwjpn/
★キリストを見いだすのは「見捨てられた聖櫃」=教皇、聖体の祭日ミサ説教
★教皇の一般謁見講話=悪口と陰口は聖霊のたまものを壊す
★大阪教会管区=司教5人が青年と交流=身近なことから信仰・人生まで「WaiWai語る」
★共にアフリカのために=政治・宗教・NGOの専門家ら議論=東京・上智大
★「解放の神学の父」90歳に=グスタボ・グティエレス神父=教皇が感謝の言葉
=KiriShin(6月11日・既報)=https://www.kirishin.com
=クリスチャン新聞(6月17日)=https://クリスチャン新聞.com
★若者対象に「世界難民の日」特別シンポジウム=「難民とともに生きる」とは
★ユーオーディア結成30周年=キリストの香り奏で続け
★宇佐神正海氏=日本創造宣教40年を語る=第3回全アジア創造カンファレンス 沖縄で
★「新しいヤマザキ 工場全焼から出発」=「第3回首都圏宣教セミナー」で飯島延浩氏
★中国で「キリスト教系」団体=日本人の男女21人拘束
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