世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1383信(2017.07.24)

  • 若者の政治家や宗教家への信用が世界的に大きく低下
  • エルサレムと一神教をテーマとしたフォーラムがローマで
  • フェイスブックがカトリック関係のページを一時遮断
  • 韓国の「慰安婦」生存者37人に=『聯合ニュース』報道
  • 韓国司教団は文大統領の和解への働きかけを評価
  • 南北朝鮮仲介へバチカン意欲は通じるか
  • 「モスルは完全に破壊」とシリア典礼主教
  • イスラエル中部でアッシリア時代の貯水池発掘
  • ≪メディア展望≫

 

◎若者の政治家や宗教家への信用が世界的に大きく低下

 【CJC】米メディア複合企業『バイアコム』が主要30か国の2万8600人を対象に行った調査で、政治家や宗教的指導者といった人物への信用が、過去5年間に若者の間で大きく低下したと、調査結果が7月20日、発表された。AFP=時事通信が報じた。

 『バイアコム』は、MTVやニコロデオンなどの若者向けチャンネルやハリウッド映画スタジオのパラマウントを傘下に持っている。

 「The Next Normal:The Rise of
Resilience」と題された調査では、対象者の9%が宗教的指導者を信用すると回答し、自国の政治家を信用するとしたのはわずか2%にとどまった。

 2012年に行われた調査と今回の調査でともに対象となった27か国の30歳以下の若者に絞ってみると、宗教指導者では33%、政治家では25%の落ち込みがそれぞれみられた。

 幸福の定義を尋ねられた回答者は、2012年と2017年の両方の調査で、家族や友人と時間を過ごすことと回答している。だが2017年の調査では、特に先進国において、休暇や楽しみに時間を確保できることがその次に重要と位置付けられた。2012年の次点は金銭だった。


◎エルサレムと一神教をテーマとしたフォーラムがローマで

 【CJC】「エルサレムと一神教」をテーマとしたフォーラムが、7月19日から、教皇庁立ノートルダム・オブ・エルサレム研究センターで開催された。

 バチカン放送によると、「エルサレムと一神教:シンボル、態度、現実生活」と題されたこのフォーラムは、ローマ・ヨーロッパ大学の主催による。

 ユダヤ教徒、キリスト教徒、イスラム教徒にとってエルサレムとは何か、その価値・役割をそれぞれのアイデンティティーにおいて考えながら、より平和的な共存のために、異なるビジョンの出会いを通して橋を築くことを目的としている。

 会議には、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教から、それぞれ宗教関係者や研究者が参加した。

 フォーラムについて、聖地におけるキリスト教巡礼地の管理責任者、フランシスコ会のフランチェスコ・パットン神父は、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教が、それぞれの歴史とゆかりの場所を持つエルサレムの歴史的・文化的複雑さを指摘。ユダヤ教にとっての神殿の丘は、イスラム教にとってのモスクの丘でもあり、一方でキリスト教にとってエルサレムは特に聖墳墓やカルワリオを意味するように、それぞれの共同体の歴史をある意味で共有し、この都市とその文化に対する独占的考えから抜け出すことが必要とされていると話した。

 自身のアイデンティティーと繋がる自分の共同体の文化を知ることは当然重要であるが、少しずつ他の文化とアイデンティティーを知っていくことも大切とパットン神父は述べ、異なるアイデンティー間のこの相互の働きなしでは、誠実な対話は実現できないと語った。


◎フェイスブックがカトリック関係のページを一時遮断

 【CJC】有力ネットメディア『フェイスブック』が7月18日、カトリック関係のページを一部遮断した。それらのページは翌日復活したことが確認された。

 『フェイスブック』は、スパム防止機能が誤作動したものとしている。

 7月17日夜から18日朝にかけて『フェイスブック』はポルトガル語21ページと英語4ページを説明なしに遮断した。

 遮断されたカトリック関係のページは、それぞれ数十万から600万人の「フォロワー」がいると見られる。


◎韓国の「慰安婦」生存者37人に=『聯合ニュース』報道

 【CJC】韓国の『聯合ニュース』が報じるところでは、「慰安婦」被害者の金君子さんが7月23日、老衰のため、韓国人被害者が共同生活を送る施設『ナヌムの家』(京畿道広州市)で死去した。91歳。韓国政府に登録された慰安婦被害者239人のうち生存者は37人に減った。

 ナヌムの家によると、金さんは1926年に江原道・平昌で生まれ、10代初めに両親を亡くした。その後、親戚の家で生活していたが、1942年に中国吉林省・琿春の慰安所に連行され1945年に解放されるまで苦難を強いられた。

 金さんは生前、 非営利公益財団やナヌムの家、カトリック団体などに2億5000万ウォン(約2500万円)を超える寄付を行った。日本政府からの正式な謝罪と正当な賠償を受けることを願っていた金さんは、賠償金も寄付する計画だったという。


◎韓国司教団は文大統領の和解への働きかけを評価

 【CJC】韓国司教協議会は、朝鮮半島の平和を目指した文在寅大統領の働きかけを、教会の願いと一致する、と歓迎している。アジアのカトリック通信『UCAN』が7月17日報じた。

 「南北両朝鮮の将来の関係に対する文大統領が目指す方向に、心から同意する」とカトリック司教協議会会長の金ヒージュン大司教(光州)は述べた。

 文大統領は、就任以来、韓国が北朝鮮との平和共存をリードし、その目標を達成するための原則を提示すると述べてきた。文氏は、北朝鮮の安全保障と恒久平和体制の構築を通じ、朝鮮半島の非核化を計画していると述べた。
経済交流や広範な市民交流も行われよう、と言う。

 これらの措置は、韓国の司教たちから完全な支持を得ている。「まず、周辺国からの支援受け、平和協定締結が必要で、次いで市民交流、開城工業団地の運営、金剛山観光などの南北交流を再開すべきだ」と金大司教は言う。

 この6月、韓国司教協議会民族和解委員会はシンポジウムを開催、平和協定が北朝鮮とのより良い関係を築く助けとなる、と強調した。

 金大司教は「各個教会は、医薬品を送ったり、農業開発を支援したりするなど、両国の間の交流に積極的に参加している」と言う。

 和解委員会幹事のイ・ヒョン神父は「文大統領の目指すところは私たちと同じだ」と述べた。ただその実現は容易ではないとしている。

 「平和な朝鮮への道は、北朝鮮のミサイル開発と刻々と変化する国際情勢の中で円滑に進まないだろう」と言う。

 「東西ドイツの統一にドイツの教会が重要な役割を果たしたように、韓国の教会は、北朝鮮との平和的共存のために声を上げるだろう」と神父は付け加えた。


◎南北朝鮮仲介へバチカン意欲は通じるか

 【CJC】教皇フランシスコが6月28日、バチカン(ローマ教皇庁)で枢機卿会議を開催。その中で新枢機卿5人の任命式を行った。

 その中でエルサルバドルのグレゴリオ・ロサ・チャベス大司教区・補佐司教(75)の任命は、韓国と北朝鮮間の仲介にバチカンが動き出した兆候との見方が出ている。

 韓国の文在寅大統領が5月、教皇フランシスコに書簡を送り、その中で「南北間の和解への仲介」を要請したことを受けてのもの、と言う。

 チャベス枢機卿自身、自らの役割を隠すことなく、南北朝鮮、さらにはそれ以外のどこにでも出向く、と決意を明らかにしてもいる。

 ただ具体的な行動は未だ報じられていない。北は文大統領の足元を見透かしてか、取り合わない姿勢のまま。

 バチカンは、中国との国交回復を働き掛けており、実務交渉も進んでいるが、台湾との国交断絶と司教の任命権をめぐって対立が解けず手詰まり状況。そこに南北和解も先行き不明とあっては、これまで一定の評価を得てきた、世界に12億人以上の信者を抱えるバチカン外交が見直されることにもなりかねない。


◎「モスルは完全に破壊」とシリア典礼主教

 【CJC】「モスルは完全に破壊されてしまった。何もかも再建しなければならない」と、シリア典礼カトリック教会のペトロス・モウシェ主教。

 同主教が7月21日、モスルを訪問して語った。

 「難民の中には故郷がどんな状況になっているか見に来た人もいるが、以前のように永住することはできない」と言う。


◎イスラエル中部でアッシリア時代の貯水池発掘

 【CJC】イスラエル考古局が7月20日、2700年前、アッシリア時代の貯水池が、最近、イスラエル中部テルアビブ郊外ロッシュ・ハアインで発見されたと発表した。保存状態は良好という。英字紙『エルサレム・ポスト』が報じた。

 発掘は、現場に隣接する新しい住宅地の造成を控え、考古学の学生の助けを借りて行われた。

 古美術品の発掘担当ディレクター、ギラッド・イタク氏によると、古代の貯水池は壁に多数の彫刻が施されており、乾期に住民の生存には重要だった。

 古代、雨水の収集と保管が不可欠だった。年間降雨量が500ミリの場合、冬の雨によって巨大な貯水池も満水に出来た。

 発掘された貯水池は長さ約20メートル、深さは4メートル以上に達する。

 床部分に発見された鉢植えの中には、貯水池から水を引き出すために使われた「船」と見られるものもあった。鉄器時代(紀元前8世紀後半から7世紀初頭)に建造物と貯水池が建設された可能性は高い。同720年にイスラエル王国が破壊された後、アッシリア帝国に支配された時代に建造されたもののようだ。ペルシャ帝国時代に建物は放棄されたが、近年まで貯水池は使用されていた可能性もある。

 
《メディア展望》

 =カトリック新聞(7月23日)=https://www.cwjpn.com/cwjpn/
★難民移住移動者委員会=部会「タリタクム日本」設置 =人身取引の根絶目指す
★米国と欧州の司教団=核廃絶の計画策定求める
★福岡・大分 豪雨=朝倉市に近い教会でボランティア宿泊所開設へ
★教皇=列福への新条件を追加=友のために命を捨てる英雄的行為
★「改正組織犯罪処罰法」施行に対し声明=日本カトリック正義と平和協議会

 

 =KiriShin(7月21日)=https://www.kirishin.com
★銀座の「名所」また一つ...=聖書図書館 37年の歴史に幕
★日本国際飢餓対策機構=九州豪雨で救援金とボランティア募る=九キ災と協力
★「宗教改革とユダヤ」テーマにシンポ=京都ユダヤ思想学会で一神教研究者ら
★多角的な立場から宗教改革を問う=日本宣教学会全国研究会開催
★ドイツ連邦議会=同性婚の合法化を可決

 

 =クリスチャン新聞(7月16日)=https://クリスチャン新聞.com
★新潟で第2回北朝鮮宣教セミナー="敵"を憐み、愛し、祈って
★銀座教文館で「ジョー・オダネル写真パネル展」=40年間封印の写真 再び世に
★芸術にフォーカスし都心で教会開拓=ブランド ニュー ライフ ミニストリー牧師 関智征さん
★九州豪雨で救援開始=九キ災=緊急対策本部を設置
★「孤立地域に温かい炊き出しを」=神戸国際支援機構現地で活動

 
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