世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1341信(2016.10.03)

  • ジョージアとアゼルバイジャンを教皇が訪問
  • ジェンダー論を学校で教えるのは「教化」と教皇
  • 教皇が2017年中にインドとバングラデシュ訪問へ
  • イスラエルのペレス前大統領死去に教皇が弔意
  • 安藤忠雄氏が「山の教会」を台湾に建設へ
  • 沖縄・勝連城跡からローマ帝国時代コイン
  • ≪メディア展望≫

 

◎ジョージアとアゼルバイジャンを教皇が訪問

 【CJC】教皇フランシスコは、9月30日から10月2日まで、ジョージアの首都トビリシと古都ムツヘタ、またアゼルバイジャンの首都バクーを訪れた。

 教皇フランシスコの登位後、16回目の海外司牧訪問(イタリアを除く)。今年6月に訪れたアルメニアに続き、コーカサス地方への訪問は2度目。

 バチカン放送(日本語電子版)によると、教皇フランシスコは、9月30日午前ローマを出発、同日午後3時前、最初の訪問国ジョージアの首都トビリシ国際空港に到着した。

 教皇は空港でギオルギ・マルグヴェラシヴィリ大統領夫妻と全ジョージアの『カトリコス』イリヤ2世総主教の出迎えを受け、歓迎式に臨んだ。

 市内に入った教皇は、まず大統領官邸にマルグヴェラシヴィリ大統領を表敬訪問され、大統領と個人会談を行った後、官邸の中庭で、ジョージアの各界要人・外交団を前に挨拶した。

 教皇は、文明と文化の出会いと交流の地、聖ニロの宣教によって4世紀から息づく長いキリスト教の歴史を持つ国、ジョージアを訪れた喜びを述べた。

 世界の様々な場所で、自分と異なるものを認めない風潮が広がっていることを懸念される教皇は、市民間の対話のあるところに、理性や穏健さや責任が育ち、民族・言語・政治的信条・宗教の違いは、互いを豊かにし、共通善に寄与するものとなると話した。

 カトリック教会が、当局や、ジョージア正教会をはじめとする諸教会・諸宗教との協力のうちに、ジョージアの社会に奉仕することを願われた教皇は、同国に神の祝福と、平和と発展の賜物を祈った。

 教皇フランシスコは、首都トビリシにある、ジョージア正教会の総主教庁で、全ジョージアのカトリコス総主教ムツヘタとトビリシの大主教イリヤ2世に迎えられた。

 イリヤ2世と教皇は個人会談の後、謁見の間で両教会の関係者と、ジョージアの文化人らを前に、公式の会見を行った。

 この出会いでは、ジョージア正教会の聖歌隊によって、イリア2世自身作曲の「アベ・マリア」が歌われた。

 その後、教皇は、カルデア典礼の共同体と交流された。トビリシの聖シモン・バル・サバ教会には、東方カトリック教会のカルデア典礼に属する小さな共同体がある。この共同体は過去の歴史の中で迫害や暴力を逃れて難民となったカルデア典礼の信者たちによって生まれたもの。しかし今世紀に入り、特にイラクとシリアの内戦から避難した信者らが増加している。

 2009年に完成した新教会堂は、世界中に離散したカルデア典礼の信者たちの寛大な寄付によって建てられた。

 カルデア典礼のルイス・ラファエル1世サコ・バビロン総大司教と共に、詰め掛けた約300人の信者たちは、教皇の訪問を熱心に歓迎した。

 祈りの後、聖堂の外に出られた教皇は、信者たちに囲まれながら、平和の象徴として一羽の鳩を飛ばされた。

 ジョージア訪問2日目の10月1日、首都トビリシの競技場で行われたラテン典礼の教皇ミサには、カトリック教会の他典礼に属する信者や、正教会など諸キリスト教会の関係者らも参列した。

 リジューの聖テレーズ(幼きイエスの聖テレジア)を記念したこの日、教皇は説教で、特に教会を支える女性たちの役割に言及した。

 教皇は、聖ニノに始まる古いキリスト教の歴史を持つジョージアで、信仰を守り伝え、紛争など困難な状況の中で神の慰めをもたらし続けてきた、多くの祖母や母たちの存在を示した。

 ミサの後、午後から教皇はトビリシ市内の聖母被昇天教会で、ジョージアのカトリック教会の司祭や修道者、神学生らと会見、その後、カミロ修道会の医療センターを訪れ、病者らに祝福を与え、医療従事者やカリタス関係者を励ました。

 教皇は10月1日、ジョージア訪問最後の公式行事として、ジョージア正教会の精神的中心であるムツヘタのスヴェティツホヴェリ大聖堂を訪問した。

 ムツヘタは、ジョージア東部に紀元前3世紀から紀元6世紀にかけて存在したイベリア王国の首都。教皇が訪問したスヴェティツホヴェリ大聖堂と、その他の二つの修道院は、ムツヘタの歴史的建造物群として、ユネスコの世界遺産に登録されている。

 大聖堂を訪れた教皇は、前日に続き、全ジョージアのカトリコス総主教イリヤ2世に迎えられた。

 同大聖堂にはキリストの聖なるトゥニカ(上衣)が保管されてきたという古い伝承がある。

 総主教と教皇は、キリストの聖なるトゥニカと共に聖シドニアが葬られたといわれる祭壇に、共にろうそくを捧げ、祈った。

 教皇は、キリスト者たちが分裂を前に諦めることなく、むしろキリスト教的兄弟愛の精神に力づけられ、その裂け目を再び縫い合わせることが必要と強調。ジョージア正教会とカトリック教会のあらゆるレベルにおける兄弟愛と協力を育んでいくことを要望した。

 10月2日朝8時、ジョージアを後にした教皇は、2番目の訪問国アゼルバイジャンに向かい、午前9時半に到着した首都バクーのヘイダル・アリエフ国際空港で、教皇は同国の政府・教会関係者の出迎えを受けた。

 バクー市内に入られた教皇は、サレジオ修道会の司牧センターに隣接した無原罪の聖母教会で、アゼルバイジャンのカトリック共同体のためにミサを捧げた。

 教皇は、首都バクーの大統領府で歓迎式に臨み、続いてイルハム・アリエフ大統領と官邸で個人会談を行った。

 この後、教皇は、アゼルバイジャンの自由と国家の統一のために命を落とした人々に捧げられた戦没者記念廟を訪問し、祈りを捧げた。

 バクーのアリエフ・センターで行われた各界要人との出会いの席で教皇は、アゼルバイジャンが今月18日に独立25周年を迎えることに触れ、同国のこれまでの発展を振り返ると共に、今後の課題に考えをめぐらされた。

 教皇は、アゼルバイジャンのこれまでの経済・社会の目覚しい発展と、そのための大きな努力を称賛、同国が弱い立場の人をはじめ、すべての人々に関心を持ち、異なる民族・宗教による多文化の長所を認識した社会の構築を続けることに期待を示した。

 教皇は、コーカサス地方が対話と交渉を通じて係争を乗り越え、かつて聖ヨハネ・パウロ2世が同国訪問で述べたように、「東洋と西洋を結ぶ扉」となることができるようにと要望した。

 教皇は、首都バクーのモスクで、コーカサスにおけるイスラム教指導者アッラーシュクル・パシャザデ師に迎えられた教皇は、同師と個人会談を行った。

 続いて、教皇は同師と共に、アゼルバイジャンの正教会や、ユダヤ教、他のキリスト教教会などの、諸宗教の指導者たちと会見した。

 「神の名のもとに決して暴力が振るわれることがないように」と強調した教皇は、世界で多くの紛争が広がるこの「夜」に、「諸宗教が平和の曙となるように」と願った。

 この会見をもってコーカサス2カ国訪問を終えた教皇は、バクーのヘイダル・アリエフ国際空港での送別式を経て、ローマに向けて出発、同日夜、バチカンに帰着した。


◎ジェンダー論を学校で教えるのは「教化」と教皇

 【CJC】教皇フランシスコは10月2日、学校で子どもたちにジェンダー論を教えることは「油断のならないインドクトリネーション(教化)」だとの見解を示した。その一方で、同性愛者や体と心の性の不一致を強く感じるトランスセクシュアルに対しては常に敬意を払っていると主張した。AFP通信が報じた。

 3日間のカフカス地方訪問を終えてローマに戻る特別機の中で、教皇が同行記者団に対し、「同性愛の性質や性別変更が存在することと、それを学校で教えることは別だ」と述べた。

 教皇はさらに、ジェンダー論は伝統的な家族観や結婚に対する「世界規模の闘い」の一部だと主張。学校で子どもに教えるような方法で「考え方を変え」ようとすることは「イデオロギーの植民地化」だと語った。

 一方で教皇は、記者団から同性愛者やトランスセクシュアルについて聞かれると、こうした人々は可能な限り社会に歓迎され、受け入れられ、溶け込むべきだとの呼び掛けを繰り返し、「私はこうした傾向のある人々、同性愛の慣行に寄り添い、神のそばへ導いてきた」「一人たりとも見捨てたことはない」と答えた。


◎教皇が2017年中にインドとバングラデシュ訪問へ

 【CJC】教皇フランシスコは10月2日、来年中にインドとバングラデシュを訪問するとの予定を発表した。ジョージア(グルジア)、アゼルバイジャン歴訪からの帰路、特別機中で、来年の外遊予定を問う同行記者団の質問に答えた。

 教皇は9月30日、出身国である南米アルゼンチンの国民に向けたビデオメッセージの中で「来年はアジアとアフリカで仕事の予定が入っている」と述べていた。


◎イスラエルのペレス前大統領死去に教皇が弔意

 【CJC】教皇フランシスコは、9月28日に死去したイスラエルのシモン・ペレス前大統領を悼まれた。バチカン放送(日本語電子版)が報じた。

 イスラエルのルーベン・リヴリン大統領に宛てた電報で、教皇はペレス前大統領の死去に深い悲しみを表明、同国民に心からの弔意を述べた。

 教皇はペレス前大統領との出会いを思い起こしつつ、同大統領の平和のための尽力に大きな感謝を表した。そして、ペレス前大統領への追憶が、民族間の平和と和解のために働く緊急な必要性をすべての人に喚起するようにと、教皇は希望した。

 教皇は、ペレス前大統領の遺族をはじめ、同氏の死を悲しむすべての人々のために祈ると共に、イスラエルに慰めと力をもたらす神の祝福を祈り求めた。


◎安藤忠雄氏が「山の教会」を台湾に建設へ

 【CJC】台湾の中央社通信によると、建築家・安藤忠雄氏は台湾南部・嘉義県の観光地、阿里山に「山の教会」を建設することを決めた。

 安藤氏は9月24日、張花冠県長の招きを受けて建設予定地を視察。建築形式について呉芳銘副県長や県幹部職員らと意見を交換した。

山の教会の建築用地は長さ167メートル、幅70メートルで面積約1万340平方メートル。

 張県長はあいさつの中で、「逆境の中でいかに乗り越えるか考え、活路を見出す」という安藤氏の理念は、逆境の中で嘉義の現状を打破しようとする県政府の姿勢と合致すると言及した。


◎沖縄・勝連城跡からローマ帝国時代コイン

 【CJC】沖縄県うるま市教育委員会は9月26日、同市勝連にある世界遺産「勝連城跡」内で、ローマ帝国とオスマン帝国時代のコインが発見されたと発表した。琉球新報などが報じた。

 発見されたコインは鋳造製の銅貨計10枚。そのうち4枚は3〜4世紀代のローマ帝国時代、1枚は1669〜79年に製造されたオスマン帝国時代のコインと推測される。そのほか5枚の年代については調査中。

 市教育委の横尾昌樹主任主事は「勝連城が西洋との接点があったことは確かだ。勝連城の廃城後の歴史は分からないことが多々あり、今後の解明につながる貴重な資料になる」としている。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(10月2日)=https://www.cwjpn.com
★アッシジで諸宗教平和祈祷集会=教皇=「聖なる戦争はない」
★教皇=「いつくしみの金曜日」にいのちの聖性を強調
★マザー・テレサ列聖=記念ミサ 東京で=全国各地から千数百人が参加
★司教連名で文書=基地建設の問題点を指摘=那覇教区平和委
★ベトナムの教会=初の大学開校

 

 =キリスト新聞(10月1日)=https://www.kirishin.com
★ルーテル学院大に新オルガン=〝教会は音楽で生まれ変わる〟=ガルニエ社の兄弟が提言
★「日本伝道のために祈る会」全国へ=日基教団東和歌山教会・阿部倫太郎牧師が報告
★文学作品を通して見える宗教性=島薗進氏が上智人間学会で基調講演
★販売協会幹事長に日キ販社長・戸塚邦夫氏=「読んでおきたい100選」も披露
★バチカンとWCCがスイスで協議=エキュメニカル関係の位置づけ検証

 

 =クリスチャン新聞(10月2日)=https://クリスチャン新聞.com
★韓国民主化運動の先駆者朴炯圭氏死去=戦いの前線で信仰の証し
★バザーで防災アピール=東京・板橋 常盤台バプテスト教会&めぐみ幼稚園
★神戸学生青年センター館長・飛田雄一氏語る=「震災前のことが 震災時に起きた」
★バングラデシュBMISのモモタ氏が来日視察=「方向見えた」視覚障害女性自立支援に
★11月ジョイジョイキッズへ決起集会開催=次世代の福音化のため祈ろう=よみうりランド集会の予約開始

 
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