世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1321信(2016.05.16)

  • 教皇が女子修道会総長たちと会見、女性の役割再考
  • 教皇発言の真意理解で微妙な差も
  • 教皇が秋篠宮ご夫妻と会見
  • 教皇、6月にアルメニアを訪問
  • ドゥテルテ次期比大統領「教皇は売春婦の息子」と発言
  • イタリアで同性カップル法成立
  • ≪メディア展望≫

◎教皇が女子修道会総長たちと会見、女性の役割再考

 【CJC=東京】教皇フランシスコは5月12日、女子修道会総長たちとの出会いを行った。バチカン放送(日本語電子版)が報じた。

 世界の女子修道会の総長・責任者らによる『国際女子修道女会総長連合』は9日から13日までローマで会議を開催した。総長たちは、その中でバチカン(ローマ教皇庁)のパウロ6世ホールで教皇との集いに参加した。

 集いは非公開で行われ、教皇は参加者との質疑応答を通して、女子修道会の抱える問題や、教会における女性の役割を討議した。具体的には、教会の決定プロセスにおける女性の立場、典礼における女性の役割、修道会の経済問題、カリスマに応じた活動など、様々なテーマが挙がった。

 教皇はフェミニズムの誘惑に注意しなければならないとし、「教会の中の女性の役割は、フェミニズムにあるのではなく、権利」と強調した。

 女性にも終身助祭への道が開かれるかについて研究する委員会を作ることができるか、との質問に、教皇はかつてシリア人神学者とこの問題について対話した内容を思い起こしながら回答。

 一時期、初代教会に「女性助祭」と呼ばれる人々がいたが、彼女たちの役割は明らかではなく、また、教会の助祭職について書かれた本はいくつかあるが、女性助祭の存在ははっきりしないと述べた。

 教皇は、教理省にこのテーマについて研究するよう依頼すると共に、この問題を研究する正式な委員会を設け、この問題を明らかにすることは、教会のためにも良いだろうと述べた。


◎教皇発言の真意理解で微妙な差も

 【CJC=東京】教皇フランシスコが5月12日、「女性助祭について研究するよう教理省に依頼すると共に、この問題を研究する正式な委員会を設け、この問題を明らかにすることは、教会のためにも良いだろう」と語ったことをバチカン放送(日本語電子版)が伝えたが、教皇発言の真意理解で微妙な差が生まれている。

 カトリック教会に、女性の登用を求める声は、米国の女子修道会から上がっていた。

 教皇の発言はバチカン(ローマ教皇庁)で教皇と面会した女子修道会総長たちからの質問にその場で答えたもの。総長たちは、教会において女性が主導的な役割を拡大できるよう具体的な方策を教皇に求めた。

 AFP通信は、教皇が、司祭の一つ下の階級に当たる助祭職に女性が就くことが可能か検討すると約束した、と報じた。

 一連の発言は、米カトリック系週刊紙『ナショナル・カトリック・リポーター』がいち早く報道。その後、バチカンの日刊紙『ロッセルバトレ・ロマノ』も同じ内容を伝えた。

 修道会総長たちは、なぜ女性は礼拝で説教することや助祭に任命されることが許されないのかといった質問をした。男性聖職者は「キリストの代理として」そうした役目を務めている、と教皇は答えた。

 初期の教会で助祭の役割を果たしていた可能性のある少なくとも1人の女性の存在が認められている。この点に関して教皇は、こうした女性の役割が不明だとした上で、バチカンに対して調べるよう話をすると答えたという。

 教皇が「調べさせる」と言ったのが、歴史上の女性助祭の役割についてなのか、将来的に女性を助祭に任命する可能性についてなのかははっきりしない。バチカン放送は、教皇の発言を、「女性司祭を復活させる可能性を検討する委員会の設置」を呼びかけたものだとしている。

 一方、バチカン広報事務所長フェデリコ・ロンバルディ神父は、この集いで言及された女性助祭問題について、教皇はこの問題を研究するための委員会を設けたいと述べたのであり、女性を助祭に叙階するとも発言していなければ、まして女性司祭について話したのでもないと、コメントしている。


◎教皇が秋篠宮ご夫妻と会見

 【CJC=東京】教皇フランシスコは5月12日、イタリアを訪問中の秋篠宮ご夫妻と、バチカン(ローマ教皇庁)の教皇書斎で約30分間会見した。皇室が教皇を表敬訪問するのは、天皇、皇后両陛下が1993年9月の欧州訪問で、先々代の教皇ヨハネ・パウロ2世と会見して以来。

 教皇から「ようこそいらっしゃいました」と歓迎を受けた秋篠宮ご夫妻は、教皇に有田焼の飾りつぼと写真立てを、教皇からご夫妻へは、教皇は環境保護への思いを込め、昨年発表した環境問題に関するカトリック教会の重要文書「ラウダート・シ」などを贈った。

 別れ際に教皇は「天皇、皇后両陛下や、お子さまたちにもよろしくお伝えください」とあいさつ、ご夫妻は「ありがとうございます」と応じた。

 秋篠宮ご夫妻は17日に帰国の予定。


◎教皇、6月にアルメニアを訪問

 【CJC=東京】教皇フランシスコは6月24日から26日まで、アルメニアを司牧訪問する。

 バチカン(ローマ教皇庁)広報事務所はこのほど教皇のアルメニア訪問の詳細な日程を明らかにした。

 6月24日(金)午前、教皇は特別機でローマを出発、午後、アルメニアの首都エレバンのズヴァルトノッツ国際空港に到着。空港で歓迎式に臨む。

 続いて、エチミアジンにアルメニア使徒教会の大聖堂を訪問、全アルメニアの総主教・カトリコス・ガレギン2世と会見。

 夕方、大統領官邸にセルジ・サルキシャン大統領を表敬訪問。この後、アルメニア各界要人と外交団との会見、ガレギン2世と個人会談。

 25日(土)午前、ツィツェルナカベルトの虐殺犠牲者追悼モニュメントを訪問。この後、ギュムリに移動し、同市内の広場でミサ。
 午後、ギュムリのアルメニア使徒教会のカテドラル、次いで同地のカトリック教会のカテドラルを訪問。エレバンに戻り、市内の広場で平和のためのエキュメニカルな祈りの集いに参加。

 26日(日)午前、アルメニアのカトリック司教団との出会い。アルメニア使徒教会のカテドラルで聖体礼儀に参列後、カトリック教会とアルメニア使徒教会関係者のエキュメニカルな昼食会に出席。

 午後、アルメニア使徒教会関係者らと会見し、共同声明に署名。夕方、ホルヴィラップ修道院で祈りの時を持った教皇は、エレバン空港での送別式を経て、ローマへ戻る。


◎ドゥテルテ次期比大統領「教皇は売春婦の息子」と発言

 【CJC=東京】フィリピンの大統領選挙で勝利したロドリゴ・ドゥテルテ氏(71)が、教皇フランシスコを「売春婦の息子」呼ばわりした。

 AFP通信によると、ドゥテルテ氏は大統領選に出馬表明する際の演説で、話が横道にそれ、カトリック教徒が大半を占めるフィリピンの首都マニラを教皇が昨年訪れたときに大渋滞を引き起こしたとして教皇を非難したもの。

 「われわれがホテルから空港まで行くのに5時間もかかった。誰が来るのかと聞いたら、教皇だというじゃないか。私は彼にこう言ってやりたかった。売春婦の息子である教皇よ、自分の国に帰れ。二度とこの国に来るな」と述べていた。

 ドゥテルテ氏はこのことについて直接謝罪したいとしてバチカンへの訪問を計画していることが分かった。ドゥテルテ氏の報道担当者が12日、明らかにした。

 ドゥテルテ氏が市長を務めるフィリピン南部のダバオで、この報道担当者は記者団に、「ドゥテルテ氏は、選挙で勝とうが負けようが、バチカンを訪れたいと何度も口にしてきた。教皇を表敬訪問するためだけではなく、教皇に釈明して許しを請う必要があるからだ」と語った。


◎イタリアで同性カップル法成立

 【CJC=東京】イタリアで5月11日、同性カップル法が成立した。同性のカップルに結婚に準じた法的な権利を与えるシビル・ユニオン(共同生活)法が下院で賛成多数で可決された。

 同性愛をタブー視するバチカン(ローマ教皇庁)の影響力が強いイタリアは、西欧主要各国の中で唯一、同性婚は認められず、同性カップルを公的に認める法律もなかった。

 同法の成立により、社会保障や相続などで、結婚に準じた権利が認められることになる。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(5月15日)=https://www.cwjpn.com
★広がるボランティア=福岡教区=熊本・菊池教会に支援拠点
★教皇=司牧者は「奉仕」を=聖職者主義の危険性指摘
★勝谷太治司教=流血の衝突に遭遇=比の児童養護施設近く
★熊本の状況も確認=東北の支援拠点担当者ら会議
★"乗っ取り"教団 日本にも=カトリックへ接触、注意を=東京で異端対策セミナー

 

 =キリスト新聞(5月14日・休刊)=https://www.kirishin.com

 

 =クリスチャン新聞(5月15日)=https://クリスチャン新聞.com
★熊本・大分=震災1か月=息長い"心"の関わりを
★倒壊の熊本東聖書キリスト教会=神の計画信じ「最後の礼拝」
★「憲法9条にノーベル」鷹巣直美さん講演="戦争しない"を当たり前に=日本長老教会社会委員会主催「ヤスクニ学習会」
★群馬県高崎市に新たな文書伝道の拠点=「聖書店オリーブ」4月開店
★キリスト者学生会来年70周年=新総主事に大嶋重徳氏

 
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