世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1291信(2015.10.19)

  • 中国で宗教支配強化の兆し
  • バチカン担当者が中国側と会談
  • 今日の家庭の使命めぐりシノドス発表続く
  • 教皇が一連のスキャンダルに公式謝罪
  • バチカン教理省勤務の神父が同性愛公表
  • 韓日NCCが11年ぶりに共同協議会
  • 韓日NCCが「教科書国定化・集団的自衛権に反対」
  • アパレシーダに巡礼30万人、教皇17年訪問も
  • トルコ首都で親クルド集会に爆弾、最悪の自爆攻撃
  • 『ヨセフの墓』をパレスチナ人が襲撃
  • ニューヨーク州の教会で10代兄弟を両親が暴行
  • ジャスティンの新アルバムがイスラム圏で発禁?
  • ≪メディア展望≫


◎中国で宗教支配強化の兆し

 【CJC=東京】香港に本拠を置くカトリック系通信『UCAN』が、中国共産党は、習近平政権成立3年を迎え諸宗教への統制に本腰を入れている、と報じた。宗教問題を扱う『中国民族報』の10月8日論文を紹介したもの。
 同紙論文は、特定の宗教を取り上げてはいないものの、教会、聖職者、教区などを匂わす表現があるところから、カトリック教会始めキリスト教会を対象としていることは確か。
 習国家主席は、中国の体制に与える外国の影響を徹底的に排除しようとしている、と論文は指摘している。中国国内では全ての宗教は宗教団体によって運営されなければならない、という。「中国外のいくつかの集団や個人がこのことに懸念を持つ必要はない」としている。
 「宗教統制が強化されることは明らか」と自称「ペテロ神父」がUCAN通信に語っている。「これまでは理論や掛け声だった。今ではそれが戦うべき本物の試合になった」。


◎バチカン担当者が中国側と会談

 【CJC=東京】香港に本拠を置くカトリック通信UCANは10月16日、バチカン(ローマ教皇庁)の外交担当者が10月11日、北京に到着、中国側と会談したと伝えた。
 バチカン代表団は、中国側との会談を終えて既にローマに戻ったとUCANは報じている。会談に参加した双方の代表団の構成や人数、議題は明らかになっていない。ただ宗教の「中国化」を推進している問題に関する外交担当者の会談と見られている。さらに中国側は国務院宗教局の関係者も参加した模様。
 中国は1951年にバチカンと断交。中国のカトリック教会は政府公認の『中国天主教愛国会』と、教皇に忠誠を誓う非公認の「地下教会」に分かれ、バチカンと中国は、司教の任命権限を巡って対立している。
 前任教皇ベネディクト16世時代に対中接触を担当したバチカンのピエトロ・パロリン国務長官は11日、「教皇は中国行きを望んでおり、門戸が開かれればすぐにでも出かけると思う」と述べた。


◎今日の家庭の使命めぐりシノドス発表続く

 【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)で開催中の家庭をテーマとした世界代表司教会議・第14回通常総会(シノドス)は10月14、15日、全体会議が行われた。
 バチカン放送(日本語電子版)によると、全体会議では、シノドスの「討議要綱」第3部「今日の家庭の使命」をめぐり発表が続いた。
 発表の議題に挙げられたテーマは、多岐にわたるものとなった。たとえば、「養子」について、子どもを養子に迎えることは愛の行為であり、生みの親でなくとも「親」としての本質を損ねることなく、むしろ家族を受容と無償性の大切さに目覚めさせると指摘された。
 また、子どものいない夫婦についても、司牧的配慮の必要性が述べられた。特に代理出産に対し、倫理的な問題が指摘されると共に、子どもは神の贈り物であり、子どもを持つことを無理やりなしとげるべき目標のように考えることがないようにと強調された。
 異なる宗教間の結婚もテーマとなった。特にアジアやアフリカにおいてキリスト教徒とイスラム教徒の結婚が見られるが、カトリック信者の配偶者がイスラム教に改宗させられるケースが多く、信者の信仰生活をいかに守るかが課題として示された。
 一方で、カトリック信者と他のキリスト教教会の信者の結婚の場合、日常生活を通してエキュメニカルの歩みに有効な多くの視点が得られ、これをより価値付けることが重要と意見された。
 離婚・再婚した信者の聖体拝領の問題に対しても、様々な角度から意見が寄せられ、教会の教義に忠実に留まりながら、どのように神の憐れみを示す司牧を行なうことができるかが焦点となった。


◎教皇が一連のスキャンダルに公式謝罪

 【CJC=東京】AFP通信は、教皇フランシスコが10月14日、水曜恒例のサンピエトロ広場での一般接見の冒頭、「わたしは教会を代表し、最近ローマとバチカンで起きたスキャンダルについて、皆さんに許しを乞いたい」と発言したと報じている。
 教皇は、聖書の一説を引用し、「スキャンダルが起きるのは避けられないが、『罪の誘惑のもとになる人は、わざわいである』」と述べた。AFP通信は、予想外の公式謝罪としている。


◎バチカン教理省勤務の神父が同性愛公表

 【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)教理省に勤めるポーランド出身のハラムサ神父(43)が10月3日、自身が同性愛者だと公表した。
 ハラムサ神父は、ローマでパートナーと共に記者会見に臨み、「祈り部屋から飛び出した。とても幸せだ」と述べるとともに、教会に「同性愛者の苦しみや愛への渇望に目を向けよ」と訴えた。


◎韓日NCCが11年ぶりに共同協議会

 【CJC=東京】韓国の聯合ニュースによると、韓国キリスト教会協議会(NCCK)と日本キリスト教協議会(NCCJ)の共同協議会が10月15日、ソウルのキリスト教会館で開幕した。両団体の共同協議会開催は2004年以来11年ぶり。
 協議会は「北東アジアの平和=日本と韓国教会の役割」をテーマに17日まで開催される。
 聯合ニュースは、協議会が日米防衛協力指針の改定や、集団的自衛権の行使容認を含む日本の安全保障関連法の成立、旧日本軍の慰安婦問題などをめぐり、平和への懸念が高まる中、両国教会の協力策を模索する、と報じた。


◎韓日NCCが「教科書国定化・集団的自衛権に反対」

 【CJC=東京】韓国キリスト教教会協議会(NCCK)は、歴史教科書の国定化と日本の集団的自衛権法に反対するため、日本キリスト教協議会(NCCJ)と北東アジア平和のために共同対応することにした。現地紙『中央日報』(日本語電子版)が報じた。
 韓国キリスト教教会協議会は10月15〜17日にソウルで開かれた第9回韓日教会協議会共同協議会で「わい曲された歴史観に基づいた歴史教科書問題が韓日両国の未来に深刻な悪影響を及ぼすことを憂慮する」として韓国の国定教科書反対運動に力を合わせることにした、と18日明らかにした。
 また、日本の安倍政権の安全保障関連法案の強行通過にも憂慮を示しながら、両教会協議会が平和憲法の精神を守るためにも連帯していく、としている。


◎アパレシーダに巡礼30万人、教皇17年訪問も

 【CJC=東京】ブラジル・サンパウロ州のアパレシーダ聖堂には同国の連休中、約30万人の巡礼者が訪れた。邦字紙ニッケイ新聞などが報じた。
 巡礼者が最も多かったのはやはり「聖母アパレシーダの日」10月12日で、この日だけで18万人が訪問した。同日朝の最初のミサには3万人が集まり、サルバドール教区のムリロ・セバスチアン・クリエジェル大司教がミサを取り仕切った。
 アパレシーダの責任者であるブラジリア教区のライムンド大司教は、家庭に関する司教会議出席のためバチカン(ローマ教皇庁)にいるが、同司教はバチカン放送で、2017年に教皇がアパレシーダを訪れる予定と発表した。同年は、アパレシーダのシンボルである褐色の聖母マリア像が発見されて300周年の記念年にあたる。
 教皇は13年7月に「世界青年の日」出席のためリオデジャネイロを訪れた際、アパレシーダにも立ち寄っている。


◎トルコ首都で親クルド集会に爆弾、最悪の自爆攻撃

 【CJC=東京】ロイター通信によると、トルコの首都アンカラの主要鉄道駅近くで10月10日午前10時ごろ、親クルド派などによる集会を狙った自爆攻撃とみられる爆発が2回あり、少なくとも95人が死亡、246人が負傷した。同国での自爆攻撃としては過去最悪の惨事となった。
 政府と武装組織『クルド労働者党』(PKK)の戦闘再開で数百人の犠牲者が出ていることへの抗議のため、クルド系野党・人民民主党(HDP)支援者、左派活動家、労働組合、市民グループなどのデモが開かれていた。


◎『ヨセフの墓』をパレスチナ人が襲撃

 【CJC=東京】ヨルダン川西岸のナブルスにあるユダヤ教の聖地『ヨセフの墓』が10月16日、パレスチナ人による放火を受けた。電子メディア『ハフィントン・ポスト』が報じた。
 ナブルスはイスラエルが占領する地域。パレスチナ側の行為はイスラエル側を刺激することは間違いなく、報復の連鎖につながる恐れがある。
 『ヨセフの墓』は1967年のイスラエルによるナブルス占領以降に建てられたもので、占領以前、この場所にはモスクがあった。パレスチナ人は、この場所には同地を治めていた部族の長老の墓があると考えているため、イスラエル側によるこの地にヨセフの墓があったとする主張は捏造(ねつぞう)で、この場所を支配するための口実にすぎないと見ている。
 今回の襲撃では、『ヨセフの墓』へ火炎瓶が投げ付けられて霊廟が炎上。イスラエル軍によると、この場所にパレスチナ治安部隊が到着して事態を収拾する前に、100人ほどが集まっていたという。


◎ニューヨーク州の教会で10代兄弟を両親が暴行

 【CJC=東京】米ニューヨーク州オナイダ郡ニューハートフォードのワード・オブ・ライフ教会で開かれていた霊的カウンセリング集会で、19歳と17歳の兄弟が暴行を受け、兄が死亡、弟が重傷を負う事件があった。地元警察が10月15日、発表した。兄弟の両親を含む6人を殺人や暴行の容疑で逮捕したという。AFP通信が報じた。
 警察当局によると、父親のブルース・レナード容疑者(65)と母親のデボラ・レナード容疑者(59)は、第1級故殺の重罪に問われている。同教会の会員4人が第2級暴行罪で訴追されている。
 近隣住民は地元ニュースサイト『シラキュース・コム』に、事件が起きた教会は「カルト集団」で、元は学校だった建物で真夜中に集会を開き歌ったり祈ったりしていたと話している。


◎ジャスティンの新アルバムがイスラム圏で発禁?

 【CJC=東京】英紙デイリー・メールによると、話題を呼ぶ行為でメディアを飾るカナダの歌手ジャスティン・ビーバーが新曲「Purpose」のジャケットに使う写真を10月9日発表したが、そのイメージがあまりにキリスト教的で挑発的すぎるとの理由から、イスラム教の国々から敬遠されているという。
 問題のジャケットは、上半身裸のジャスティンが、祈るような姿勢で下を向いたもので、胸の中央に彫られた十字架のタトゥーがはっきり見えるもの。
 ジャスティンの事務所は、すべての国でアルバムが発売できるよう急ぎジャケットの写真やデザインを変更することも検討しているという。
 ジャスティンはキリスト教に傾倒していることを明らかにしており、「僕自身はキリストを愛しているし、それが僕の救いなんだ」と米男性誌『コンプレックス』10・11月号で語っている。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(10月18日)=https://www.cwjpn.com
★シノドスは「聖霊に聞く場」=教皇 参加者に"勇気""率直さ"促す
★世界宣教の日=教皇メッセージ=「宣教はイエスと人々への情熱」

★教皇=「家庭から学ぼう」=教会・社会に呼び掛け
★外航海運業の現状は=船員司牧(AOS)全国会議
★司祭、牧師が"打ち明け話"=超教派でトークイベント=大阪

 =キリスト新聞(10月17日)=https://www.kirishin.com
★「教会と地域福祉」第4回シンポ=互いに祈り、祈られて=〝死は始まりの時〟共有
★安保関連法の成立受け抗議続く
★日キ教会が50年ぶり信徒大会=大阪=世代超え950人超が参加
★〝「神学する」視点を次世代に〟=関学で栗林輝夫氏を偲ぶ会
★戦争する国になるのは愚かなこと=JEA社会委・青年委が「戦後70年」の集会

 =クリスチャン新聞(10月18日)=https://クリスチャン新聞.com
★津波被害に遭った北茨城市の牧師、旅館の女将証言=予期せぬ喜びに気づく=第6回東日本宣教ネットワーク
★一足早いクリスマス=見本市 キリスト教ブックフェア 特別講演
★県も認めた小児甲状腺ガン多発─いわき市からの報告─=原発後処理 福島の子どもたちの肩に
★福島=健康被害口に出せない空気に=原子力災害は進行している=関西宣教フォーラムで「福島の現場」報告
★牧師の会=安保法制成立後 野党重鎮訪問し懇談=志位和夫氏 平和のため共に祈り合わせ

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