世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1290信(2015.10.12)

  • 世界代表司教会議で聖霊の働きを教皇強調
  • 教皇の2016年メキシコ訪問をバチカン確認
  • 『国境なき医師団』が病院空爆で職員撤収
  • 「イスラム国」がパルミラの凱旋門を爆破
  • イスラム国「日本人を殺害」と表明
  • ≪メディア展望≫


◎世界代表司教会議で聖霊の働きを教皇強調

 【CJC=東京】家庭をテーマにした世界代表司教会議(シノドス)の全体会議が10月5日、バチカンのシノドスホールで始まった。
    ◇
 バチカン放送(日本語電子版)によると、初日の挨拶で教皇フランシスコは、シノドスとは、皆の合意を追求する議会ではなく、信仰の目と神の心を通して現実を読み取るために共に歩むという、「教会的な表現」であると述べた。
 教皇は、シノドスが教会が聖霊の働きを体験する場所であり、聖霊はすべての人の言葉を通して語られ、常に人を驚かせる神の導きにわたしたちを委ねると説いた。
 教皇の挨拶に続き、エステルゴム=ブダペスト大司教ペーテル・エルド枢機卿が基調講演を行った。
 同枢機卿は、現代の家族が直面する問題に耳を傾け、家庭の使命と召命を考え、困難な家庭状況を生きる人々に真理のうちにいつくしみをもって寄り添うという、3点を重要なものとして示した。
 また、貧しい家庭を支援し、いのちを受胎から自然の死に至るまで擁護する必要をアピールした。
 全体会議では、シノドスのために用意された「討議要綱」の第1部「家庭の挑戦に耳を傾ける」をテーマに司教らによる発表が行われた。
 全体会議は6日も行われた。同日午前の会議で教皇は、カトリックの結婚をめぐる教義は変わっていないこと、昨年のシノドス・第3回臨時総会でもそのことは確認されていることに注意を促し、幅広く問題を扱うべきシノドスが、離婚者の再婚問題など、特定の問題だけに偏らないことを要望した。
 全体会議は午前・午後に分かれ、1日2回会議が行なわれる。6日午前までの会議で、72人の司教が様々な視点から家庭司牧をめぐり意見や提案を述べた。
 その中では特に、家族や夫婦がキリスト教的生活の中に成長することの大切さが強調され、今日の社会において、その福音的な成長を助けるための教会の司牧、ミッション性の必要が示された。
 また、世界の地域ごとに異なる文化や社会において、家庭の役割や生きる状況の違いも明らかにされた。
 特に、中東の司教から、現在のカトリック教会が置かれた難しい状況、迫害の試練を生きるキリスト教共同体、難民生活を迫られる家族たちの現状が証言された。
 6日午後から8日午後まで、言語(英語・フランス語・イタリア語、スペイン語・ドイツ語)とテーマ別に設けられた13の分科会で協議が続いた。
 9日には全体会議が再開された。始めに行われた三時課の祈りで、教皇はこの祈りを中東の和解と平和のために捧げたいと提案した。
 シリア・イラク・エルサレム・ヨルダン川西岸地区で高まる暴力が、無実の市民を巻き込み、大規模な人道危機を引き起こしていることに憂慮を示した教皇は、「希望と進歩は、平和という選択によってのみ得られる」と呼びかけた。
 そして、シノドス参加中の中東の総大司教や司教、また同地域の司祭、信徒、すべての住民らと心を合わせ、主に信頼して祈るよう述べた。
 教皇は同様の紛争状態にあるアフリカにも目を向け、中東とアフリカを『平和の元后マリア』に託して祈った。
 第1部のテーマ「家庭の挑戦に耳を傾ける」をめぐる13分科会での討議内容がまとめられ、9日午前の全体会議で提出された。
 その内容は、現代社会で家族が直面する諸問題の列挙や分析に偏ることなく、反対に、教会が家庭に置く信頼や希望に光を当てたものとなっているという。
 同日午後からは、「討議要綱」第2部「家庭の召命の認識」をテーマとした全体会議に入った。
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 今回のシノドスは、家族のあり方に関するカトリックの教義を見直す2回目で最後の会議。しかし開幕前日、バチカン(ローマ教皇庁)教理省に務めるポーランド人のクシシュトフ・ハラムサ神父が同性愛を公表し、「教会内の制度化された同性愛嫌悪」を改革するための10項目の「解放マニフェスト」を発表したことで、シノドスに与える影響が注目されている。
 同性愛は、シノドスで話し合われる多数の議題のうちの一つ。カトリックの教義では同性愛は「内因性の障害」とされているが、近年、性的指向は先天的との見解を示しす神学者も出ている。


◎教皇の2016年メキシコ訪問をバチカン確認

 【CJC=東京】教皇フランシスコがメキシコを2016年に訪問する、とメキシコ司教協議会とバチカン(ローマ教皇庁)が確認した。
 プエブラ補佐司教のユーゲニオ・リラ・ルガルシア司教協議会事務局長が、カトリック・ニュースサービス(CNS)に語った。ただ詳細は未定としている。
 バチカン(ローマ教皇庁)報道事務所長のフェデリコ・ロンバルディ神父(イエズス会)も『テレビサ・ネットワーク』に明らかにした。旅行は2016年前半に行われ、首都メキシコ市にも立ち寄るという。
 身代金目当ての麻薬組織による殺人や誘拐が多発するなど世情不安が取りざたされるメキシコだが、教皇は、カトリック信徒の多いフィリピンを訪問以来、同様のメキシコ訪問も検討していた。
 教皇は世界でも巡礼が多く訪れる『グアダルーペの聖母』聖堂訪問とともに、米国への移住を望む「移民のへの友愛と援助のしるし」としてメキシコから米国へ歩いてわたる希望を述べていた。


◎『国境なき医師団』が病院空爆で職員撤収

 【CJC=東京】国際非政府組織(NGO)『国境なき医師団』(MSF)はアフガニスタン北部クンドゥズで運営している病院が10月3日、米軍に爆撃されたことについて、独立した国際機関による調査を4日求めた。
 MSFのクリストファー・ストークス事務局長は声明で、「攻撃に関与した関係者による内部調査の情報に頼るのでは不十分だ」と指摘、「戦争犯罪があったという確信のもと、独立した国際機関による完全で透明性のある調査を要求する」としている。
 空爆は3日、反政府武装勢力タリバンに対するアフガニスタン当局の軍事作戦中に発生。治療を受けていた子ども3人を含む患者10人と職員12人の死亡が8日現在確認されている。
 MSFは4日、「病院はもはや機能していない」とし、クンドゥズからほとんどの職員を撤収させたことを明らかにした。職員の一部はクンドゥズの外にある病院で患者の治療に当たっているという。
 アシュトン・カーター米国防長官は5日、MSFが運営する病院に対し、米軍が誤爆したことを認めた。カーター長官は声明で「罪のない人が犠牲になったことを心から遺憾に思う」とし、調査結果を早期に示し、必要あれば関係者の責任を問う考えを明らかにした。
 バラク・オバマ米大統領は7日、MSFに、「米軍の誤爆により死傷した職員と患者に対し謝罪し、哀悼の意を表し」、透明かつ徹底的な調査を約束した。
 MSFは8日、クンドゥズの病院が米軍機の空爆を受けた事件で、職員24人、患者9人の安否がいまだ分かっていないことを明らかにした。空爆当時、病院には職員461人と患者105人がいたという。


◎「イスラム国」がパルミラの凱旋門を爆破

 【CJC=東京】イスラム過激派組織「イスラム国」は10月4日、シリア中部パルミラにある凱旋(がいせん)門遺跡を爆破した。シリア文化財博物館総局のマムーン・アブドルカリム総局長が5日明らかにした。
 同総局長はAFP通信に「現地から、凱旋門が4日破壊されたとの知らせを受けた。数週間前、凱旋門に爆薬が仕掛けられていた」と語った。パルミラの歴史的な柱廊の入り口に位置する凱旋門について、同総局長は「パルミラの象徴」と説明している。


◎イスラム国「日本人を殺害」と表明

 【CJC=東京】バングラデシュ北部で星邦男さん(66)が殺害された事件をめぐり、過激派組織「イスラム国」は10月4日、運営するラジオ局アルバヤンで「イスラム国の戦闘員が日本人を殺害した」と表明した。共同通信が報じた。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(10月11日)=https://www.cwjpn.com
★教皇、米東部歴訪=フィラデルフィア訪問 聖霊の働き受け入れて=「世界家庭大会」閉会ミサ 互いに仕え合うよう促す
★家庭シノドス開会ミサ=「教会の使命を誠実に、真理と愛のうちに」
★司教総会=特別委設置を承認=『いのちへのまなざし』改訂へ
★わすれない=復興支援の現場から=岩手・宮古=ともに手を取り合い
★京都聖母学院中学校・高等学校=「アンネ・フランク展」に1600人=「杉原千畝展」も同時開催


 =キリスト新聞(10月10日)=https://www.kirishin.com
★戦後70年企画=連続インタビュー「本紙標語の実質を問う」(5)森本あんり氏=憲法制定時の決意尊ぶべき
★本当は知らない〝キリスト教〟と〝アメリカ〟=森本あんり氏らがニコニコ生放送
★常総市の水害復旧支援を=地元要請に教会もボランティア募集
★独歌集『ゴッテスロープ』を歌う=日本賛美歌学会、A・フランツ氏迎え
★山下りん・日比和平のイコン展示=玉川大博物館で、静岡ハリストス正教会寄贈


 =クリスチャン新聞(10月11日)=https://クリスチャン新聞.com
★「宣教のうねり」起こす教会協力=祈りとビジョン共有し前進=関西宣教フォーラム in 大阪2015
★新キャンプハウスでキルトキャンプ=端切れが豊かな物に=シオン錦秋湖
★「3・11を生きるキリスト教」=苦しめるものとの戦いに実を結ぶ=被災地支援 エマオ専従者佐藤真史さん講演
★50+20ワークショップ=ヘイトスピーチは差別心から=マイノリティーを恐れないで
★バイク・ツーリングとロックフェスのコラボ=神を信じ悔いのない人生を=松原湖バイブレーション・ジャム

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