世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1285信(2015.09.07)

  • ドイツの難民受け入れに国内外で反発が
  • 教皇やエジプト大富豪が難民受け入れ発表
  • 「妊娠中絶の罪」に許しを、と教皇が表明
  • カナダ教会がイスラエル経済制裁の必要確認
  • キリスト教団体抗議でニュージーランド「禁書」
  • 同性婚不受理の職員を米連邦地裁が収監
  • ≪メディア展望≫


◎ドイツの難民受け入れに国内外で反発が

 【CJC=東京】ドイツのアンゲラ・メルケル首相が9月4日、ハンガリーで足止めされていた中東・北アフリカからの難民や移民数千人の受け入れを決定した。これに対し、同国内外で称賛の声が挙がる一方、批判も噴出、メルケル首相が困難に見舞われる事態も起きそうだ。
 独南部バイエルン州のヨアヒム・ヘルマン内相は5日、公共テレビで、メルケル氏の決定は、「欧州に完全に誤ったシグナルを送るもので、是正されなければならない」と不満を表明した。最大与党『キリスト教民主同盟』(CDU)の姉妹政党で同州与党の『キリスト教社会同盟』(CSU)は、同決定を誤りだとしている。
 ドイツやフランス、英国の反移民を唱える政治家も、メルケル首相の決定は欧州を目指す難民を増やすと非難するとともに、欧州の他の国にも難民の受け入れを迫るドイツの姿勢に反発している。
 ドイツ政府は、今回の措置は1回限りのものと繰り返し強調している。しかしハンガリーのオルバーン・ヴィクトル首相は、難民に優しいドイツの移民政策と福祉制度のせいで、西欧に向かう難民が増加していると批判し、欧州の難民問題は「ドイツの問題だ」と指摘した。


◎教皇やエジプト大富豪が難民受け入れ発表

 【CJC=東京】教皇フランシスコは9月6日、欧州全土のカトリック教会や信者に、難民に宿泊先を提供するよう呼びかけた。具体的には教区や教会が移民を1家族ずつ受け入れ、保護するよう求めている。「キリスト教の教えは打ち捨てられた人々に連帯を示すことを求めている」として、まずバチカン市国内の2教区でまず1家族ずつを受け入れると表明した。
 エジプトでは大富豪が、無人島を購入し、難民のための国を作る、と発表した。同国最大級の通信企業グループを経営するナギブ・サウィリス氏で、「ギリシャやイタリアは島を売ってほしい」「難民たちの新しい国として、独立させ仕事を提供する」など救済策を発表した。トルコの海岸に打ち上げられていたシリア人の男の子「アイラン」を島の名にしたいと言う。
 米メディアCNNは、ドイツのサッカーチーム『バイエルン・ミュンヘン』がドイツ語の訓練や、サッカー用具を提供するとしたほか、スペインの『レアル・マドリード』も1億3千万円相当の支援を申し出たと報じている。


◎「妊娠中絶の罪」に許しを、と教皇が表明

 【CJC=東京】教皇フランシスコは9月1日、今年12月から始まる「いつくしみの特別聖年」に合わせ、「妊娠中絶の罪」を許す権限を世界中の司祭に与えると発表した。
 教皇は、「悔い改めた人に対する神の許しを否定することはできない」と述べた。中絶を決意したことで苦しみ、傷ついた多くの女性たちと会ってきたとして、「中絶するしかなかった女性たち」に同情を寄せ、「その決断に至らせた圧力についても十分認識している」と指摘した。
 バチカン(ローマ教皇庁)は発表について「教会の寛容の幅を広げる」措置と説明している。ただ教会の教え自体が変わるわけではなく、教皇の方針が適用されるのは今年12月8日〜来年11月20日までの「いつくしみの特別聖年」の間に限られる。


◎カナダ教会がイスラエル経済制裁の必要確認

 【ジュネーブ=CJC】世界教会協議会(WCC)が9月7日明らかにしたところでは、カナダ合同教会(UCC)は、イスラエルのパレスチナ自治区への進出占領を止めさせるため、経済制裁の必要があることをこのほど確認した。
 UCCの最高議決機関「総会」が、パレスチナ自治区への占領を止めさせるため、イスラエルに経済的圧力を加えるとした2012年の決定を再確認したもの。
 平和支持に経済行動を取ろうとしているWCC加盟教会は、UCCの他、合同メソジスト教会、米長老教会(PCUSA)、英メソジスト教会、スウェーデン教会。


◎キリスト教団体抗議でニュージーランド「禁書」

 【CJC=東京】ニュージーランドで若者向けの小説『イントゥ・ザ・リバー』(テッド・ダウ著、ランダムハウス社)が発売・流通禁止の暫定措置を受けた。英紙ガーディアンはこれまで20年以上もなかったとしている。
 同国の『フィルム・文学評議会』(FLBR)が保守的キリスト教団体『ファミリー・ファースト』の抗議を認めたもの。性的に露骨な内容、ドラッグ使用、女性器への隠語使用があると抗議があったという。
 暫定措置は9月3日発効し、正式処分は10月までに決定される。違反者は個人の場合3000ニュージーランド・ドル(約23万円)、企業は1万ニュージーランド・ドル(約75万円)の罰金。
 『イントゥ・ザ・リバー』は2013年に『ニュージーランド・ポストチルドレンズ・ブック賞』を受賞した。ティーンエイジを対象にしたもので、読者の多くは男性を想定している。著者のダウ氏は、この読者層は手強いと言う。
 『図書館情報協議会』のジョアンナ・マシュー代表は、『イントゥ・ザ・リバー』の禁書を言論の自由にとって見逃せないと指摘。『ファミリー・ファースト』のボブ・マコスクリー責任者は声明で、暫定禁止措置を歓迎、ニュージーランドの若い読者に不適切な内容を制限する基準となろう、としている。


◎同性婚不受理の職員を米連邦地裁が収監

 【CJC=東京】自らのキリスト教信仰と矛盾するとして、同性カップルへの婚姻証明書の発行を拒んでいた米南部ケンタッキー州ローワン郡のキム・デービスさん(49)は、裁判官の命令に背いて職務を履行しなかったとして、連邦地裁判事によって9月3日収監された。
 デービスさんは婚姻証明書の発行を拒否されたカップル計4組から訴えられていた。
 連邦最高裁が8月31日、宗教上の理由で自治体の職員が婚姻証明書の発行を拒むことはできないとの判断を示したが、デービスさんは従わず、9月1日にも複数の同性カップルの申請を拒んでいた。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(9月6日)=https://www.cwjpn.com
★家庭に必要な祈りの時間=神の愛に気づく心=教皇、就任後100回目の一般謁見で語る
★安保法案に反対=8月30日抗議集会=宗教界代表し、司教が発言
★札幌で全国大会=教区が3年準備=日本カトリック障害者連絡協議会
★震災後の生き方学ぶ=地域の人と"カフェ"勉強会=福島・原町教会
★横浜教区高校生大会="同じ年頃"の体験聞く=戦時中10代だった人ら招待=静岡

 =キリスト新聞(9月5日)=https://www.kirishin.com
★―本紙標語の実質を問う―3=若者を戦地に送ってきた責任(吉松繁氏=日基教団王子北教会牧師)
★小橋孝一NCC議長が敗戦70年談話
★戦争法案に反対する宗教者が声明
★被爆70年、広島・長崎で平和祈る=WCC訪問団も参加、核兵器廃絶へシンポも
★「道徳の教科化」で行動と心が統制=8・15東京集会で池田賢市氏が講演

 =クリスチャン新聞(9月6日)=https://クリスチャン新聞.com
★K2インターナショナル 若者の自立支援27年
★東京の教員ら"TOLDs"結成=教室に平和の種蒔く=キリスト者ら中心に都内外教師500人強
★"E‐net"第1回協議会開催=エキュメニカル運動元気にしたい=NCC・WCC・CCAの国際連帯で
★若者の生きづらさ回復のカギは認め許し合う生活=K2グループ
★米と国交回復のキューバで聖書ぶブーム=「生きる指針を見いだしたい」

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