世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1221信(2014.06.16)

  • ユニオン神学校が化石燃料関係の投資引き揚げ
  • 米南部バプテスト連盟新議長にフロイド氏
  • 教皇が一般接見で「児童労働反対世界デー」に言及
  • 退位の時期は「神の助言を乞うて」と教皇
  • オーストリアは「空飛ぶスパゲティ教」を認定せず
  • 《短信》
  • 《メディア展望》


◎ユニオン神学校が化石燃料関係の投資引き揚げ

 【CJC=東京】ニューヨークのマンハッタン地区北西部にある、著名なユニオン神学校が6月10日から、1億840万ドル(約108億4000万円)の資産の内、化石燃料関係への投資全額を引き揚げる計画を開始した。石油・石炭を中心とした化石燃料が気候変動という「罪」を犯しているとして、その償いの一端とする。
 「聖書は、世界の全てが神の尊い創造であり、そこでのわたしたちの位置は、全体の健全さに配慮し尊敬すること」であり「社会正義に献げられた神学校として、この世界でわたしたちの価値を全うするという重要な召しを受けている。気候変動は破滅的な脅威であり、神の創造の管理人として、ただ行動しなければならないのだ」とセレーン・ジョーンズ校長。投資引き揚げは、理事会が一致して決定したもので、米国の神学校では、初めての措置という。
 ユニオン神学校は資産の11%に当たる約1200万ドル(約12億円)を化石燃料関係企業に投資している。
 ユニオン神学校は、これまでもタバコ、アルコール飲料、賭博関係への投資には反対の立場を貫いてきた、と同校投資委員会議長のマイケル・ジョンストン氏。同氏は世界最大の投資会社『キャピタル・グループ・カンパニーズ』の元副社長。大規模ファンドに寄託しているため、具体的な投資先は確認していない。
 今回の措置は、この9月23日にニューヨークで開催される国連気候サミットに先立だって、同校が「地球のための宗教」会議を開催することにも関連づけている。
 1980年代、南アのアパルトヘイト(人種隔離)政策反対のために発動されて以来、投資引き揚げは米国の主流プロテスタント各派の戦略となっている。2013年夏には合同キリスト教会が、化石燃料企業への投資を引き揚げる決定を、主流教派としては初めて決定した。
 少なくとも100の宗教団体、大学、市、郡などが投資を引き揚げたり、引き揚げ検討を始めている、と言う。
 ユニオン神学校は、米国の革新的なプロテスタント神学校とされており、ポール・ティリッヒ、ラインホルド・ニーバー、ディートリッヒ・ボンフェッファーなども教えていた。現在、同神学校には学生250人が在籍、教授陣は30人。


◎米南部バプテスト連盟新議長にフロイド氏

 【CJC=東京】米国では最大のプロテスタント教派、南部バプテスト連盟(SBC、本部=テネシー州ナッシュビル)は標語に「祈りによる修復とリバイバル」を掲げ、メリーランド州ボルチモアで6月10、11日に年会を開催した。年会は10日、フレッド・リューター議長の後任に、アーカンソー州にあるメガチャーチ「クロスチャーチ」の主任牧師ロニー・フロイド氏を選出した。任期2年。
 リューター氏はニューオーリンズの黒人主体のフランクリン・アベニュー・バプテスト教会牧師。圧倒的に白人主体の同派では創立以来167年で最初の「黒人」議長だった。
 議長選挙では、「メッセンジャー」と呼ばれる年会代議員5294人のうち3000人以上が投票したと見られる。フロイド氏は第1回投票で51・62%の票を獲得して当選した。2位がメリーランド州のデニス・マンプーン・キム氏40・70%、3位ケンタッキー州のジャレッド・ムーア氏5・91%だった。
 フロイド新議長は記者会見で「イエス・キリストの教会にリバイバルが起きるのを見たい。多くの人が信仰に導かれ、イエス・キリストを救い主と信じる所で、アメリカは、力ある御心によって覚醒させられる」と語った。
 年会は10日、トランスジェンダー(性同一性障がい者)の「倫理的妥当性確認」に反対することを決めた。「神の本来のデザインは、二つの別個で補完的な性を創造することだ。性別は、生物的な性によって決定するので、人の自己認識によってではない」とする提案は、トランスジェンダーに「キリストを信じ、福音における革新を経験するよう」勧めている。


◎教皇が一般接見で「児童労働反対世界デー」に言及

 【CJC=東京】教皇フランシスコは6月11日、バチカン(ローマ教皇庁)のサンピエトロ広場で水曜恒例の一般接見を行った。
 バチカン放送(日本語電子版)によると、教皇は6月12日の「児童労働に反対する世界デー」に言及、劣悪な状況下で搾取される多くの子どもたちへの関心を世界に呼びかけた。そして、すべての子どもたちの尊厳と健全な成長が守られるよう、家庭をはじめ皆の努力を訴えた。
 教皇は接見中、カテケーシス(教会の教えの解説)で、これまで「聖霊の賜物」をテーマに、聖霊の七つの賜物を考察し、「上智」「聡明」「賢慮」「勇気」「知識」「孝愛」を解説してきたが、この日はその締めくくりとして、「主への畏敬」を取り上げた。
 教皇は「主への畏敬」について、わたしたちを愛される父なる神を恐れる理由はないと述べつつ、むしろ神への畏敬は自分を小さい者と思わせ、「自分のお父さんの腕の中にいる子ども」のように感じさせると話した。
 また、神への畏敬は、わたしたちを神の愛に捕らえられた確信と情熱を持つキリスト者にすると共に、わたしたちを注意深い者にもすると指摘。この聖霊の賜物が根深い罪に対する「警報」ともなると説いた。


◎退位の時期は「神の助言を乞うて」と教皇

 【CJC=東京】AFP通信によると、教皇フランシスコは6月13日、スペイン・バルセロナの地元紙ラ・バンガルディアのインタビューに応じ、前教皇ベネディクト16世と同様、自身も退位の時期については「神に助言を乞う」考えであることを明らかにした。AFP通信が報じた。
 教皇は「寿命が延び、われわれは物事をそれまで通りにやっていけなくなる年齢まで生きるようになった」と語り、前教皇ベネディクト16世の生前退位について、「偉大な行動」だったと述べた。ベネディクト16世は昨2013年、中世以降で初めて自らの意思によって生前退位し、名誉教皇となった。
 教皇は、「わたしも前教皇にならうつもりだ。その時がいつ来るのかお示しになり、どう行動すべきか教えて下さるよう神に祈る。神は必ず、それらを知らせてくれるだろう」と述べた。
 教皇はまた、専用車「ポ-プモービル」に乗らなければ命を失う危険もあることを認める一方で、専用車の防弾ガラスを「壁」と表現。「たとえガラス張りでも、イワシの缶詰のように窮屈な車の中からでは人々にあいさつをすることも、愛していると伝えることもできない」と述べた。
 「私の身に何か起こり得るというのは事実だ。だが、現実的に考えれば、私の年齢なら失うものはそれほど多くない」と語ったとAFP通信は報じている。


◎オーストリアは「空飛ぶスパゲティ教」を認定せず

 【CJC=東京】既存の宗教を揶揄(やゆ)することを目的の一つとして創始された『空飛ぶスパゲティ・モンスター教会』が、正式な宗教団体としての認定をオーストリア宗教関係当局に申請していたが、6月11日に拒否された。AFP通信が報じた。
 当局は、同教会がキリスト教でないことを理由に、正式な「教会」とは認められないとの判断を下した。
 同教会オーストリア支部の「上級マカロノ」を務めるフィリップ・セイガー氏は声明で、当局の決定を残念に思うものの、当局から決定を直接聞いていないので、それ以上のコメントはできないと述べた。
 『空飛ぶスパゲティ・モンスター教会』は、既存の宗教教義を笑い飛ばし、学校で天地創造説の一種「インテリジェント・デザイン」説を教えることに異議を唱えるために、米国で創設された。現在は数か国に支部がある。
 「空飛ぶスパゲティ・モンスター」は、支持者が「信仰」する創造主。同教会は別名を「パスタファリアニズム」と言い、支持者は「パスタファリアン」と呼ばれる。
 AFP通信によると、「創造主」が初めて登場したのは2005年に、学生のボビー・ヘンダーソンさんがカンザス州教育委員会に送った公開書簡の中だった。
 ヘンダーソンさんは、知性ある存在が世界の設計に関与したとする「インテリジェント・デザイン」説に科学的根拠があると言うなら、「空飛ぶスパゲティ・モンスター」が宇宙を創造したという信仰も同程度に根拠がある、と主張した。


《短信》

〇米アリゾナ州の教会で銃撃、神父死亡

 アリゾナ州フェニックスのカトリック教会で6月11日夜、銃撃事件が発生、神父1人が死亡、別の神父1人も重傷を負った。教会所有の車1台が盗まれ、乗り捨てられていたのが発見された。(CJC)


《メディア展望》

 =カトリック新聞(6月15日)=https://www.cwjpn.com
★聖地の平和祈る=教皇フランシスコ「神の助け必要」=イスラエル・パレスチナ指導者に
★教皇、安倍首相と会談=迫害時の「魔鏡」受け取る
★岡田司教協会長=首相の教皇訪日要請受け=教会の要請理由を説明=被災地での祈り/平和のメッセージ発信
★釜石=新ベース開所=地元NPOと運営するスペースも=岩手
★佐世保地区に新小教区設立=聖堂は倉庫改修で=長崎教区

 =キリスト新聞(6月14日)=https://www.kirishin.com
★東京地裁=牧師による性加害を認定=女性信者らに計1540万円賠償を
★日基教団奥羽教区、集団的自衛権行使に反対
★「信仰の起点は〝受け取る〟」=ICUキリスト教週間で内田樹氏講演
★フクシマを共に生き、祈り合う=「宣教フォーラム・福島」の書籍化を記念

 =クリスチャン新聞(6月15日)=https://jpnews.org
★「ムスリム世界のための30日の祈り」6月28日から=拡大するイスラム教
★好評のドラマ「花子とアン」=ゆかりの場、教文館で「村岡花子」展
★職業は生活の糧を得る手段ではない!=使命が分かると天職が分かる=東京・練馬グレースチャペルで職業観セミナー
★山梨=墓で困っている人に=クリスチャン共同墓地建設
★聖書考古学資料館20周年=モーセが対峙したエジプト王の実像に迫る


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