世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1220信(2014.06.09)

  • イスラエルとパレスチナ首脳がバチカンで祈る
  • 安倍首相が教皇に来年の訪日招請
  • 教皇がアルメニア教会のアラム1世と会見
  • 2025年の超教派会合をバチカン確認せず
  • モスクワ総主教は教皇の呼びかけに応答せず
  • 北朝鮮が聖書残した、と米国人拘束
  • 伊オーディション番組で「歌う修道女」優勝
  • 《短信》
  • 《メディア展望》


◎イスラエルとパレスチナ首脳がバチカンで祈る

 【CJC=東京】パレスチナ自治政府のマフムード・アッバース議長(大統領)とイスラエルのシモン・ペレス大統領は6月8日夕、教皇フランシスコの招きを受けてバチカン内の庭園で会談、共に平和への祈りをささげた。教皇はイエス・キリスト生誕地ベツレヘムで5月25日に行ったミサでアッバース大統領とペレス大統領を平和への祈りに招くと表明していた。
 会談には、教皇フランシスコの招きで、コンスタンチノープルのエキュメニカル総主教バルトロメオス1世も参加した。
 米CNN放送によると、ペレス大統領は、「平和が遠く離れて見える時でも、それを近付けようと希求しなければならない」と指摘、アッバース大統領は「主よ、聖地、パレスチナとエルサレムに平和を」「パレスチナとエルサレムがすべての信者にとって安全な地となり、祈りと礼拝の場となりますように」と祈りの言葉を述べた。
 教皇は今回の会談について、敵としてではなく兄弟姉妹として生きたいという人たちの願いに応えたと述べ、「これが我々を結び付けるものへの旅となり、分断の克服に向けた旅となることを願う」と語った。
 会談後、アッバース大統領とペレス大統領は互いの頬にキスを交わし、教皇、バルトロメオス1世と共にオリーブの木を植樹した。
 今回の会談は、暗礁に乗り上げた和平交渉の前進を目指し、教皇がペレス、アッバース両首脳に開催を呼び掛けて実現した。両首脳は象徴的存在としての性格を強めているものの、教皇と共に両氏が祈りをささげたことで、中断している和平交渉再開に向けた機運の高まりも期待される。


◎安倍首相が教皇に来年の訪日招請

 【CJC=東京】教皇フランシスコは6月6日午前、バチカン(ローマ教皇庁)を訪れた安倍晋三首相と会見した。首相は来年の訪日を招請、教皇は「ぜひ日本を訪れたい」との意向を示した。
 安倍首相は、ベルギーで開催された先進7カ国(G7)サミットを終えた5日午後イタリア入り、翌朝、バチカン(ローマ教皇庁)に教皇を訪問した。
 バチカン報道事務所の発表によると、教皇と安倍首相の会談では、日本と教皇庁間の友好関係、特に国内の教育・社会・医療分野などにおけるカトリック教会との協力が想起された。さらに、アジア地域と国際情勢上のテーマとして、アジアの平和と安定を推進する取り組み、アフリカでの協力をはじめ、発展のための日本の国際協力、環境への配慮、核軍縮などが取り上げられた。首相は国務長官ピエトロ・パロリン枢機卿と外務局長ドミニク・マンベルティ大司教とも会談した。
 教皇フランシスコが日本の首相と会見するのは今回が初めて。日本の首相のバチカン訪問としては、2009年7月のベネディクト16世と麻生太郎首相との会見以来5年ぶり。
 アジアニュースによると、安倍首相は和鏡を教皇に贈った。光を当てると、その反射光の中にキリスト像が浮かび上がるこの金属鏡は、日本のキリスト教禁教時代、隠れキリシタンが使っていたのと同様の技術で作られたもの。
 首相が贈り物に和鏡を選んだのは、教皇フランシスコが「日本に司祭はいなくなってしまいました。......250年の後、日本に宣教師が戻った時......、何万人ものキリスト者が隠れ場所から出てきたのは、洗礼のおかげで生き残った」と述べたのを憶えていたからだという。
 首相はまた、1615年、慶長遣欧使節としてローマを訪問した支倉常長と、その時、使節と会見した教皇パウルス(パウロ)5世の肖像画2枚を贈った。2015年は同使節のローマ到着から400年にあたる。
 教皇からは、聖ペテロの肖像が描かれたメダルが首相に贈られた。
 教皇と会見した際、安倍首相は、2011年に日本を襲った津波の被害者に教皇が慰めメッセージを贈ったことに感謝を表明した。
 報道事務所の発表では触れられていないが、安倍首相は教皇に来年の訪日を招請、教皇は「ぜひ日本を訪れたい」との意向を示した。
 首相は、「隠れキリシタン」の存在が明らかになって、来年で150周年になることから「こうした節目に来ていただきたい」と招請した。 
 首相はまたアフリカ支援について、力を入れていく考えを表明。教皇は「アフリカは大きな問題。弱者も健康な暮らしを送れるようにする取り組みが重要」と述べた。

※画像参考=https://en.radiovaticana.va/news/2014/06/06/pope_francis_meets_with_prime_minister_of_japan/1101451


◎教皇がアルメニア教会のアラム1世と会見

 【CJC=東京】教皇フランシスコは6月5日、アルメニア使徒教会のキリキアのカトリコス、アラム1世と会見した。
 バチカン放送によると、教皇はアラム1世への挨拶で、アルメニア教会とカトリック教会間の友好関係の進展に感謝しつつ、キリスト者の一致に向け今後の一層の取り組みを期待した。
 また、アルメニア教会が前世紀に受けた大規模な迫害が今も信者たちの間に深い傷を残していることに言及した教皇は、「わたしたちはこの傷をキリストの体の傷として見つめ、そこから神の憐れみにおける固い希望と信頼を汲み取らなくてはならない」と述べた。
 この後、教皇とアラム1世は、バチカン宮殿内のレデンプトリス・マーテル礼拝堂で、共に祈りの時を持った。
 アラム1世は、教皇ヨハネ・パウロ2世(1997年)、ベネディクト16世(2008年)とも会見している。


◎2025年の超教派会合をバチカン確認せず

 【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)は、教皇フランシスコとコンスタンチノープルのエキュメニカル総主教バルトロメオス1世が2025年にイズニク(ニケア)でエキュメニカルな会合を行うと合意したことに6月3日現在、確認を避けている。
 バルトロメオス1世は、イスタンブールでアジアニュースに、イズニクでの開催計画を明らかにした。ニケアは「信条が最初に宣言された最初の正当な公会議を開催した」場所。合同会議はニケア公会議1700周年を記念するものとなる。
 しかしバチカン報道事務所のトマス・ロシカ神父は「この催しに関する正式発表とか招集とかをバチカンは行っていない」と注意を促した。同神父はバルトロメオス1世の発言を否定はしないものの、「一気に結論に飛ぶためには、とても早すぎる」と付け加えた。


◎モスクワ総主教は教皇の呼びかけに応答せず

 【CJC=東京】教皇フランシスコがロシア正教会の最高指導者、キリル・モスクワ総主教に、「どこででも会合したい」というメッセージを伝えていたことが明らかになった。
 教皇メッセージは、モスクワで公演中のシスチナ礼拝堂聖歌隊の指揮者によって、私的に伝えられたという。キリル総主教はメッセージに感謝の意を表したものの、応答はしなかった。
 教皇が聖地を巡礼訪問した際に、正教会コンスタンチノープルのエキュメニカル総主教バルトロメオス1世と会見していることから、今回のメッセージの重要さが浮かび上がっている。モスクワ総主教座は、バルトロメオス1世が正教会の指導者であると主張することに神経を鋭敏にしている。
 これまでも教皇とモスクワ総主教との会合を図る動きが見られたが、実現には至っていない。正教会側は、ローマとモスクワ間の緊張が解決するまで「サミット会談」の機は熟さないと言う。
 緊張はこの所、ウクライナ問題でさらに強まっている。ウクライナのビザンチン典礼カトリック教会指導者が政治的緊張に火を付けてきた、と正教会側は苦情を訴えている。ウクライナを自身の「教会領域」とするモスクワ総主教座にとってはカトリック教会の強力さが頭痛のタネなのだ。


◎北朝鮮が聖書残した、と米国人拘束

 【CJC=東京】北朝鮮の朝鮮中央通信は6月6日、4月29日に入国した米国人のジェフリー・エドワード・パウリー氏を当局が拘束し調査していると報じた。観光目的とそぐわない「反共和国敵対行為」をし、北朝鮮の法律に違反したとしている。
 共同通信が在ワシントン外交筋の情報として伝えるところによると、パウリー氏は観光ツアーに個人参加して訪朝したとみられる。北朝鮮側は、宿泊先のホテルに聖書を残していたことを拘束理由に挙げたという。
 米国務省は5月20日、北朝鮮への渡航警戒情報を更新し、訪朝しないよう強く勧告していた。米政府関係者は「金正恩体制は外貨獲得のため外国人観光客の誘致を進める一方で、滞在中の行動監視を強化している可能性がある」と語った。


◎伊オーディション番組で「歌う修道女」優勝

 【CJC=東京】イタリア・ミラノで開催されたイタリア放送協会(RAI)のオーディション番組「イタリアの声」で6月6日、カトリック修道女クリスティーナ・スクッチャさん(25)が優勝した。
 黒の修道服を着て十字架を首に掛けたクリスティーナさんは、『ウルスラ修道女会』会員。AFP通信によると、栄冠を勝ち取るとすぐに神への感謝の言葉を口にし、控えめな口調で「イエスにここに来て欲しい!わたしがここにいることは、私自身ではなく、天上にいるあのお方のおかげです」と喜びを語った。会場ではクリスティーナさんが所属するウルスラ会の修道女らも応援した。
 クリスティーナさんはこの3月に米歌手アリシア・キーズの曲「ノー・ワン」を歌って一躍有名になったが、6日の決勝でもこの曲を歌った。その歌声はアリシア・キーズも「純粋なエネルギー」と称賛しているという。
 クリスティーナさんは既に『ウニベルサル』とのレコード契約を結んでいるが、音楽の道に進むつもりはないとか。

※画像参考=https://i2.wp.com/www.thenewportbuzz.com/wp-content/uploads/2014/03/Sister-Cristina-The-Voice-Italy.jpg?resize=610%2C400


《短信》

〇WCC総幹事が8月訪日へ
 世界教会協議会(WCC)のオラフ・フィクセ=トゥヴェイト総幹事が8月1日から7日まで来日する。東京・仙台・広島・京都を訪問する計画。(CJC)

〇中国内モンゴルで「門徒会」15人の身柄拘束
 中国内モンゴル自治区オルドス市警察は6月6日までに、中国政府が「邪教集団」に指定する門徒会のメンバー15人を拘束した。門徒会はキリスト教の一派を名乗るが、創始者の個人崇拝などを行うなど独自の教義が多い。(CJC)

〇アイルランドで「忘れられた子」800人の集団墓地発見
 アイルランド・ゴールウェイ州チュアムにあった、カトリック修道女らが運営していた未婚の母のための施設『セント・メアリーズ』の近くに、乳幼児約800人が埋葬された集団墓地が見つかったとの調査結果が6月4日発表された。(CJC)


《メディア展望》

 =カトリック新聞(6月8日)=https://www.cwjpn.com
★教皇、機内記者会見で公表=性虐待被害者と面談へ=来年1月にスリランカとフィリピン訪問も
★東日本大震災被災地 復興支援=全ベース会議/仙台教区サポート会議=福島の情報、国内外へ=CTVCが近くサイト立ち上げ
★「自死」の現状知る=NPOライフリンク招き講演会=神奈川・藤沢教会
★殉教400年を記念=福者アダム荒川たたえる=熊本・天草
★名古屋の「AJU自立の家」=〝わだちまつり〟開く

 =キリスト新聞(6月7日)=https://www.kirishin.com
★人の痛み悲しみ共にする宣教を=大原猛神父インタビュー=なぜいま「学習センター」?
★「信仰の起点は〝受け取る〟」=ICUキリスト教週間で内田樹氏講演
★フクシマを共に生き、祈り合う=「宣教フォーラム・福島」の書籍化を記念
★東京基督教大学、2015年度より入学金廃止
★教皇が聖地訪問、紛争の平和的解決訴え

 =クリスチャン新聞(6月8日)=https://jpnews.org
★知識・援助・希望を運ぶ=ロゴス・ホープ号=日本初寄港
★新改訳全面改訂が編集段階へ=教会代表ら訳例検討
★行使範囲はむしろ拡大=宗教者ら集団的自衛権に反対アピール第2次集約集会
★TCU初年度の費用負担軽減=15年から入学金制度廃止へ
★〝ふるさと〟でつなぐ宣教=クリクチャン県人会 国内外の同郷人集まる


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