世界キリスト教情報

世界キリスト教情報

世界キリスト教情報 第1219信(2014.06.02)

  • 教皇がエルサレムでコスタンティノポリス総主教と会見
  • 2025年に「ニケア公会議」?
  • 教皇、聖地巡礼終えてバチカンへ
  • イエスはヘブライ語話したか
  • 北朝鮮が金ジョンウク宣教師に無期労働教化刑
  • 教皇がスリランカとフィリピン訪問へ
  • 「背教」で死刑判決受けたスーダン女性が出産
  • 米国の著名な黒人女性作家マヤ・アンジェロウ死去
  • 《短信》
  • 《メディア展望》


◎教皇がエルサレムでコスタンティノポリス総主教と会見

 【CJC=東京】聖地巡礼中の教皇フランシスコは5月25日午後、テルアビブ経由でエルサレムに入った。
 教皇はテルアビブ空港でシモン・ペレス大統領、ベンヤミン・ネタニヤフ首相らに迎えられ、歓迎式に臨んだ後、エルサレムに移動、バチカン大使館でコスタンティノポリスのエキュメニカル総主教バルトロメオス1世と約30分会見した。
 バチカン放送(日本語電子版)によると、教皇の今回の聖地訪問は、1964年に行われた教皇パウロ6世の聖地におけるアテナゴラス・コスタンティノポリス総主教との歴史的会見から50周年を記念することが主な目的。
 両者は会談後、ローマ司教とコスタンティノポリス総主教の深い兄弟的きずなを確認し、教会の一致に向けた歩みを続ける上で、神学的対話や共通した神の愛の証しなどにおける協力を記した共同声明に署名した。
 続いて、聖墳墓教会で教皇フランシスコとバルトロメオス1世参列のもと、カトリック教会と正教会によるエキュメニカルな祈りの集いを行った。


◎2025年に「ニケア公会議」?

 【CJC=東京】教皇フランシスコとエキュメニカル総主教バルトロメオス1世は5月30日、エルサレムの聖墳墓教会で会談し、共に祈りを捧げたが、紀元325年に「ニケア公会議」(全地公会)が開かれた縁の地、イズニクで2025年に両教会の合同会議開催で合意した。実現すれば、両教会の司教(主教)が集まる「公会議」として注目を集めることになろう。
 合同会議開催は、バルトロメオス1世が、エルサレムから帰還後、イスタンブールでアジアニュースに語ったもの。
 「わたしたち自身と後継者への遺産として、2025年に合同会議開催に合意した。『信条』を初めて公表した最初の真のエキュメニカルなシノドス(司教会議)を、17世紀も経て、記念するため」と言う。
 聖墳墓教会での会談は、カトリック教会と正教会との対話を活性化させ、秘跡と使徒伝承について展望を共有することになった。
 バルトロメオス1世は「カトリックと正教徒の一致のための対話は、エルサレムから始められる。この秋に、カトリック・オーソドックス合同委員会が、ギリシャ正教会総主教テオフィロス3世の主催で開催される。見せかけなしに全員が取り組まなければならない長旅だ」と言う。さらに「エルサレムは、神と人とが対話する地だ。そこは神の言が受肉した所だ。わたしたちの先達であるパウロ6世とアテナゴラスは、この地を、二つの姉妹教会の間に何世紀も続いた沈黙を破る場所として選んだ」と付け加えた。
 「わたしは兄弟フランシスコと聖地を共に歩んだ。ルカとクレオパがエマオへの途上で感じた恐れはなく、わたしたちの主から学んだ生きる希望によって力つけられてのことだった」とバルトロメオス1世。


◎教皇、聖地巡礼終えてバチカンへ

 【CJC=東京】バチカン放送(日本語電子版)によると、3日間にわたる聖地巡礼の最終日の5月26日、教皇は早朝、岩のドームを訪問、次いでイスラム最高評議会の建物内で、イスラム教関係者と会見した。
 教皇は、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教において尊敬の対象とされるアブラハムがこの地で生き、旅したことを想起、神の呼びかけに常に従順であったアブラハムのように、神が計画される未来に向かって常にわたしたち自身を開いていかなければならないと述べた。
 そして、「兄弟姉妹として互いに尊敬し、愛し合い、神の名において誰も暴力を行なうことがないように、平和と正義のために共に働きましょう」とイスラム教関係者に呼びかけられた
 教皇は、続いて、ヘロデ大王時代のエルサレム神殿の遺構、「西の壁」とも呼ばれる『嘆きの壁』に移動した。教皇は自らの手で「主の祈り」をスペイン語で書いた紙を手にしていたが、沈黙の祈りに続いて、この主の祈りを唱え、伝統に従って、祈りを記した紙を壁の隙間に差し込んだ。
 この訪問には、教皇の大司教時代からの友人、ブエノスアイレスのユダヤ教指導者とアルゼンチンの諸宗教対話研究所の事務局長を務めるイスラム教指導者の2人が付き添っていた。
 教皇は、大統領官邸にシモン・ペレス大統領を表敬訪問。大統領との個人会談に続き、庭園で平和を象徴するオリーブの植樹を行なった。
 この後、官邸で、大統領と教皇の公式の挨拶交換が行われた。この中で教皇は、「エルサレムが真に自由の都市であるように」と述べ、全人類の遺産であるそのアイデンティティー、神聖さ、宗教と文化の普遍的価値が輝き渡ることを希望。巡礼者や住民が自由に聖なる場所を訪れ、宗教行事に参加できることを要望した。
 そして、平和はすべての人の自由と尊厳を尊重することから生まれると教皇は述べ、平和の追求と尊重ある共存を妨げるすべてのもの、暴力やテロリズム、民族・宗教上の差別と断固として排除しなければならないと強調された。
 教皇はベニヤミン・ネタニヤフ首相とも会見、ホロコースト記念館『ヤドバシェム』を訪問された。ペレス大統領、ネタニヤフ首相、エルサレムの主席ラビも参列。強制収容所で餓死したルーマニアの若いユダヤ人女性の手紙の朗読に教皇はじっと聞き入った。ホロコーストの生存者6人と会見した教皇は、一人ひとりの手を取り、言葉を交わされた。この中にはカトリックの家族の中で成長したポーランド人男性もいた。
 教皇は、「最後の晩餐の高間」で現地の司教らとミサを行い、3日間にわたる聖地訪問を終えた教皇は、現地時間の夜8時過ぎ、テルアビブ空港を発ち、バチカンに戻った。
 教皇は一夜明けた27日午前、ローマのサンタ・マリア・マッジョーレ教会を訪問、聖母画「サルス・ポプリ・ロマーニ」の祭壇に花を捧げ、聖地巡礼の無事終了を感謝し、祈りを捧げた。


◎イエスはヘブライ語話したか

 【CJC=東京】ロイター通信によると、教皇フランシスコが5月26日、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相とエルサレムで会談した際、イエス・キリストが約2000年前に話していた言語について、首相の説に教皇が異論を挟む場面があった。
 ネタニヤフ首相は、「キリストはこの地で、ヘブライ語を話していた」と述べ、ユダヤ教とキリスト教には強い関連があると指摘したが、教皇はキリストが話していたのは、ヘブライ語に近い「アラム語」だと異なる説を主張。これに対して首相は「アラム語を話していたが、ヘブライ語も知っていた」と補足した。
 ロイター通信は、イスラエルの言語学者ギラード・ザッカーマン氏が、「キリストはアラム語を母国語としていた」としながらも、「ヘブライ語で書かれた当時の宗教文書が現存していることから、ヘブライ語も分かっていたはずだ」と説明したと報じている。


◎北朝鮮が金ジョンウク宣教師に無期労働教化刑

 【CJC=東京】北朝鮮が昨年10月以来抑留中のバプテスト派の韓国人宣教師、金ジョンウク氏に、無期労働教化刑を宣告した。朝鮮中央通信が、5月30日に開かれた裁判で、金氏は平壌に「地下教会」を作るために北朝鮮へ入国した事実など、自身の罪を認めたとして、報じた。
 金氏は、中国遼寧省丹東で数年前から脱北住民らに生活必需品や医薬品を支援する一方、布教活動に当たっていたと見られる。韓国政府は、許可なく北朝鮮に入国することを禁止している。


◎教皇がスリランカとフィリピン訪問へ

 【CJC=東京】教皇フランシスコが「アジア訪問予定が二つある。一つは韓国で、もう一つは1月に2日間、スリランカとフィリピンの津波被災地域を訪問する」と聖地訪問の帰途5月26日、機中記者会見で語った。
 この2月、コロンボのマルコム・ランジス枢機卿がスリランカ訪問を招請した。教皇はバチカン(ローマ教皇庁)を訪問したスリランカ巡礼団に招請歓迎の意向を示していた。
 教皇は8月、韓国大田教区が主催する第6回アジア青年の日に合わせて韓国を訪問することが決まっている。


◎「背教」で死刑判決受けたスーダン女性が出産

 【CJC=東京】スーダンで、背教行為を理由に死刑判決を受けた女性キリスト者が、拘置所内で出産した。女性の夫が5月27日明らかにした。AFP通信が報じた。
 妊娠8か月のメリアム・ヤヒア・イブラヒム・イシャグさん(27)は5月15日に首都ハルツームの裁判所で死刑を言い渡された。
 イシャグさんは、ハルツーム近郊のオムドゥルマン市にある女子刑務所に勾留され、そこで女児を出産した。イシャグさんには1歳8か月の息子もおり、その男児も一緒に収容されているという。
 父親がイスラム教徒のイシャグさんは、同国で1983年に施行された、改宗者は死刑に処すと定めたイスラム法(シャリア)に基づいて有罪が言い渡された。
 人権団体『国際アムネスティ』によると、イシャグさんの母親は正教会のキリスト者で、イスラム教徒の父が不在だったことからイシャグさんは母と同じ正教徒として育てられたという。イシャグさんは判決に先立ち、「私はキリスト教徒です、背教行為を犯したことはありません」と述べていた。


◎米国の著名な黒人女性作家マヤ・アンジェロウ死去

 【CJC=東京】米国の代表的黒人女性作家で詩人のマヤ・アンジェロウが5月28日、ノースカロライナ州ウィンストンサレムの自宅で死去した。86歳。
 1928年4月ミズーリ州セントルイス生まれ。米国を代表する黒人女性作家の1人。子ども時代にレイプされた経験や1930〜40年代に直面した人種差別を描いた自伝「歌え、翔べない鳥たちよ」(1969年)は米国文学の名著とされている。
 キリスト者としての祖母の影響で、宗教への関心は強かったが、さまざまな遍歴の後、キリスト教信仰を公言するまでになったものの、特定の教派に属すことはなかった。公民権運動に関わり、故マーティン・ルーサー・キング牧師やマルコムXと親交があった。1993年のビル・クリントン大統領の就任式では詩を朗読した。


《短信》

〇中央アフリカの教会襲撃11人死亡
 首都バンギで5月28日、イスラム教徒の武装集団が教会を襲撃、銃を乱射し、手投げ弾を投げ込んで、少なくとも11人を殺害した。(CJC)

〇カンタベリー大主教が16日に教皇と会見
 ローマ訪問の最後にバチカン(ローマ教皇庁)を訪問。人身取引問題を協議する、とランベス宮殿(大主教公邸)が発表した。(CJC)

〇イスラエル・パレスチナ両首脳の祈りは8日
 教皇の宿舎で、とバチカン広報事務所が5月29日発表。(CJC)


《メディア展望》

 =カトリック新聞(6月1日)=https://www.cwjpn.com
★教皇 聖地を訪問
★イエズス会総長=80歳辞任を示唆
★バチカンの評議会発表=諸宗教対話で新指針
★古い教会の新宣教=福祉・人権活動グループの拠点に=山梨・山城教会
★移転先で初ミサ=仙台教区サポートセンター「福島デスク」

 =キリスト新聞(5月31日・休刊)=https://www.kirishin.com

 =クリスチャン新聞(6月1日)=https://jpnews.org
★"ゆるし"から平和へ=シンポジウム「分断と憎しみを超えて」
★宗教者らが集団的自衛権容認に反対の声--平和をつくる者は幸い
★オペレッタで伝道=大阪でイエス・キリストフェスタ2014=BGEA・ハム副総裁が講演
★「友よ歌おう」をみんなで=フェイスブック友達で「歌う会」=山内修一さん追悼の意味込め
★アジアとの和解の遺志継ぐ=隅谷三喜男先生召天10周年講演会=姜尚中氏ら講演


 ◆世界キリスト教情報◆ご案内
☆活動紹介・メールマガジン(整形テキスト)『週刊・世界キリスト教情報』お
申し込みは
https://homepage3.nifty.com/cjc-skj/で。
☆ニュースレター(PDF)・同報メール(無整形テキスト)『週刊・世界キリ
スト教情報』お申し込みは
ckoriyama@gmail.com=ご連絡いただく際は「@」を半角にしてください
☆『週刊・世界キリスト教情報』既刊号は下の各サイトで
・ニュースレター=PDF
https://www.evernote.com/pub/cjcpress/skjweekly/
・メールマガジン
https://blog.livedoor.jp/skjweekly/
・同報メール
https://cjcskj.exblog.jp/
☆記事検索は『教会と神学』(小原克博氏制作)をご利用ください
https://www.kohara.ac/church/
........................
☆CJC通信(メディア向けですが、どなたでもお読みいただけます。転載使用
ご希望の方は巻頭の連絡先までお申し込みください)
https://blog.livedoor.jp/cjcpress/
☆CJC通信速報(Twitterを利用しています)
https://twitter.com/cjcpress/

月別の記事一覧