世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1218信(2014.05.26)

  • 教皇フランシスコがヨルダンに到着
  • 教皇がベタニアを訪れ難民や障がい者と会見
  • 教皇、アッバス大統領とペレス大統領を招請
  • 改革目指す教皇フランシスコの下で初の破門
  • 韓国のカトリック枢機卿が初の訪朝
  • ソウルでの教皇ミサに北朝鮮側も参列?
  • 《短信》
  • 《メディア展望》


◎教皇フランシスコがヨルダンに到着

 【CJC=東京】教皇フランシスコは5月24日、聖地訪問の旅に出発、最初の訪問国ヨルダンに向かい、同日13時(現地時間)に首都アンマンのクイーン・アリア空港に到着した。
 空港ではアブドラ2世国王の名代、ガジ・ビン・ムハンマド王子に迎えられ、子どもたちからヨルダンの国花である黒アヤメを受け取られた。
 教皇は、アルフセイニ宮殿に向かい、宮殿前庭でアブドラ国王と並び歓迎式典に臨んだ。教皇は、宮殿内で国王との個人会談を行い、また国王の家族とも親しく言葉を交わした。
 その後、ヨルダンの政府要人および外交団との会見で、教皇は、パウロ6世、ヨハネ・パウロ2世、ベネディクト16世ら、先代の教皇たちに続き、豊かな歴史と、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教にとっての深い宗教的意味を持つ国、ヨルダンを訪れることができた喜びを述べた。
 バチカン放送(日本語電子版)によると、教皇はヨルダンがパレスチナやイラク、シリアなどからの難民を寛大に受け入れてきたことを称賛、これに対して国際社会の支援を呼びかけると共に、カトリック教会の協力を約した。
 シリア国内、イスラエル・パレスチナ間をはじめ、未だ続く中東各地の紛争に一刻も早い平和的解決を呼びかけつつ、教皇は中東地域の平和構築のためのヨルダンの努力に感謝した。
 また、教皇は同国のイスラム共同体にも尊敬の念を表明、国王の指導の下、諸宗教が相互理解のうちに平和に共存していることを大きく評価した。
 教皇は、ヨルダンと同国民に平和と発展を祈られ、この訪問がキリスト教とイスラム教間の友好関係の推進に寄与することへの期待を表明した。


◎教皇がベタニアを訪れ難民や障がい者と会見

 【CJC=東京】聖地巡礼中の教皇フランシスコは5月24日夕、ヨルダン川岸のベタニアを訪問した。ベタニアは、洗礼者ヨハネが活動していた地。イエスがヨハネから洗礼を受けた場所とされる。
 バチカン放送(日本語電子版)によると、教皇はアブドラ2世国王自らの案内を受けながら、ヨルダン川に出向いた。教皇は葦の茂る静かな川のほとりにたたずみ、しばし祈りの時を持った。
 教皇は、川沿いにあるラテン典礼の教会で、難民や若い障がい者たち約600人と会見した。建設中の教会は、2009年にベネディクト16世が現地を訪問した際に礎石を祝別している。
 教皇は挨拶で、中東で続く紛争の悲劇を直視し、特にすでに3年にもわたる市民間の闘争で多くの犠牲者と難民を出しているシリアが平和への道を模索することを強く要望した。
 また、多くの難民の受け入れを積極的に行なっているヨルダンへの協力を教皇は国際社会に訴えると共に、シリアにおける暴力を停止し、人権尊重の下に苦しむ市民への援助を保証するよう訴えた。


◎教皇、アッバス大統領とペレス大統領を招請

 【CJC=東京】教皇フランシスコは5月25日、最初の訪問先ヨルダンを後にし、キリスト生誕の地とされるヨルダン川西岸のパレスチナのベツレヘムに到着、大統領官邸での歓迎式後、教皇はマフムード・アッバース大統領と会談。続いて、パレスチナ政府要人らと会見した。
 パレスチナの要人らへの挨拶で、教皇は「平和の君」イエスの生まれた地、ベツレヘムへの訪問を神に感謝された。
 バチカン放送(日本語電子版)によると、教皇は永続する中東の紛争が人々にもたらした癒しがたい傷、治安問題、否定された権利、隔離や住民の流出などの悲劇に言及、「今こそ、皆が寛大さと、善に貢献するための創造性、平和への勇気を持つ時」と述べた教皇は、二つの国家が国際的に承認された境界のもとに存在し、平和と安全を享受する権利が認められるようにと語った。
 「二つの国家」との教皇発言は、パレスチナを「国家」と明言し、その上で、2国家共存による和平を目指し、双方の指導者が「勇気」を示すよう求めたもの。
 教皇は、ミサ会場の降誕教会前広場へと向かう途中、ベツレヘムとイスラエルを隔てる分離壁の前で車を降り、「パレスチナ解放」「アパルトヘイト(人種隔離)壁」とスプレーで落書きされた壁に手をついてしばらく祈った。その終わりに教皇は壁に額をつけた。分離壁は、イスラエルが「テロ防止」を理由にベツレヘムとエルサレムを隔離する形で建設したもの。視察は当初の訪問予定にはなかった。
 教皇は降誕教会前広場での野外ミサの後で、「マフムード・アッバース議長とシモン・ペレス大統領が共に平和を祈る場所としてバチカンの自宅を提供する」と提案した。予期しない提案に広場を埋めたパレスチナ人キリスト者や巡礼は歓声を上げた。さらに両者がすぐに応諾の意向を示したことも、教皇の提案が、世界から歓迎されるものであることを示している。
 教皇の今回の聖地訪問は「巡礼」であって、政治とは一線を画すと見られていただけに驚きをもって受け止められてもいる。
 ただペレス大統領はノーベル平和賞受賞者であるが、1923年生まれの高齢でもあり、現在は儀礼的存在に留まっている。両者がバチカンで共に平和を祈るにしても、それが中東和平に直結するものとはならないと見られる。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ政権からもコメントはない。


◎改革目指す教皇フランシスコの下で初の破門

 【CJC=東京】オーストリア・カトリック教会インスブルック教区のマルタ・ハイツァー氏(67)が5月22日、夫と共に教会から破門された。
 ハイツァー夫妻は、教会の刷新を訴えてきた同教区の信徒グループ『わたしたちは教会』のリーダー。
 夫妻は、自宅で司祭不在の下でミサを行った。それが、「模擬ミサ」を禁止した教会法に違反する、として自動的に破門されたもの。
 ハイツァー代表は「私たち夫婦は未成年者への性的虐待をした聖職者と同じように扱われた」と反発している。
 インスブルック教区のマンフレッド・シュワイア司教は、「自動破門」の責任は夫妻にある、と述べている。
 破門された聖職者、信者は今後、サクラメントとしての聖体を受けられず、教会による婚姻、埋葬なども認められない。


◎韓国のカトリック枢機卿が初の訪朝

 【CJC=東京】韓国カトリック教会ソウル大司教区長の廉洙政(ヨム・スジョン)枢機卿が5月21日、南北が経済協力事業を行う開城工業団地を訪問するため、北朝鮮へ向かった。同国の聯合ニュースが報じた。
 廉枢機卿をはじめ神父6人とソウル教区関係者2人からなる訪朝団は午前6時20分ごろ、ソウル教区事務所を出発した。廉枢機卿は、訪朝目的などについては一切答えなかった。
 ソウル教区関係者は「開城工業団地に入居中の韓国企業で働くカトリック信者に会い、教え導くための訪問」と説明している。
 枢機卿の訪朝は初めて。廉枢機卿は平壌教区長代理を兼任している。


◎ソウルでの教皇ミサに北朝鮮側も参列?

 【CJC=東京】教皇フランシスコが8月に韓国を訪問する際、ソウルの明洞大聖堂で執り行うミサに、北朝鮮のカトリック関係者も参列する方向で調整が進められている。韓国カトリック教会が5月25日明らかにしたと同国の聯合ニュースが報じている。
 韓国カトリック司教会議とソウル教区民族和解委員会が5月中旬、中国・瀋陽で行った北朝鮮の朝鮮天主教協議会の関係者との会合で要請したという。
 ソウル教区の報道担当者によると、廉洙政(ヨム・スジョン)枢機卿は北朝鮮の開城工業団地を訪問した翌日の22日にラジオ番組に出演し、「北の信者の招請を基本に考えている」との考えを明らかにしていた。


《短信》

〇安倍首相が来月バチカン訪問、教皇と会見へ
 安倍晋三首相が6月上旬の欧州訪問の際、バチカンを訪れ、6日に教皇フランシスコと会見する日程が固まった。時事通信が報じた。(CJC)


《メディア展望》

 =カトリック新聞(5月25日)=https://www.cwjpn.com
★教皇、神学生たちに=司祭職に金銭・権力は無縁=「退屈な説教」しないで
★教皇=「世界広報の日」メッセージ=インターネットは連帯のために
★列福へ一歩前進=高山右近、来年にも承認か
★シグニスジャパン=日本カトリック映画賞=『先祖になる』へ贈る
★議員連盟が発足=「夜間中学」拡充目指す

 =キリスト新聞(5月24日)=https://www.kirishin.com
★キリスト教合唱音楽通し福音宣教を=指揮者・小口浩司氏に聞く
★震災遺族の祈りの場所に=宗教超え、石巻市に「祈りの杜」完成
★医療だけでなく平和を作る=JOCSに第20回エキュメニカル功労賞
★9条は世界平和への希望=バプ連初の「憲法フェスティバル」開催
★「辺野古に基地は罪であり恥」=第14回国家晩餐祈祷会で川平朝清氏

 =クリスチャン新聞(5月25日)=https://jpnews.org
★「罪を認め 神に赦しを」=1,000人が招きに応答=北海道・希望のフェスティバル
★北海道キリスト者平和の会の名で反対声明
★日本hi‐ba設立に尽力=ジョン・F・マイヤー氏逝去
★バプ連盟=5月3日に「憲法フェスティバル」開催
★セウォル号沈没事故で悲しむ韓国人へ=日本から励ましのメッセージ


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