世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1217信(2014.05.19)

  • 教皇が24日から聖地訪問
  • 国連事務総長が教皇に「癒しと和解のメッセージ」を
  • イエスが教えたシナゴーグ跡か
  • スーダンでキリスト者女性に死刑
  • ベトナム司教協議会が中国に抗議
  • 教皇フランシスコが神学生13人を叙階
  • 教皇パウロ6世を今年10月に列福へ
  • 教皇の質素さは高位聖職者には伝わらず
  • 《短信》
  • 《メディア展望》


◎教皇が24日から聖地訪問

 【CJC=東京】教皇フランシスコは、5月24日から26日までの3日間、ヨルダン、パレスチナ、イスラエルを訪問する。昨年7月リオデジャネイロで開催された「世界青年の日大会」への参加に続き、教皇フランシスコの2回目の海外訪問となる。
 今回の訪問には、教皇フランシスコがブエノスアイレス大司教時代から親しい、アルゼンチンのユダヤ教ラビ・アブラハム・スコルカと同国の諸宗教対話研究所の事務局長であるイスラム教指導者オマル・アッブードの2人が随行団の一員として同伴する。
 バチカン広報所長フェデリコ・ロンバルディ神父は16日、教皇の聖地訪問を「短いが非常に内容の濃い旅」と述べた。同神父はまた、教皇が今回訪問では、防弾ガラスを装備した専用車を使わない、と語った。
 バチカン放送(日本語電子版)によると、今回の聖地訪問の目的は、1964年に教皇パウロ6世が聖地を巡礼し、アテナゴラス・コスタンティノポリス総主教と歴史的会見を行なってから50周年を記念するもの。
 教皇フランシスコは、初日の24日、ヨルダンの首都アンマンに到着。王宮での歓迎式に続き、教皇はアブドゥッラー2世国王、同国政府要人らと会見する。この後、アンマンの国際競技場でミサを司式。夕方、イエスが洗礼を受けたヨルダン川に行き、パウロ6世がしたように、水を祝別される。ヨルダン川沿いにあるラテン典礼の教会で難民や障害者たちとも会見する。
 25日午前、教皇はパレスチナのベツレヘムでマフムード・アッバース大統領を訪問。降誕教会前の広場でミサを捧げる。午後、フランシスコ会修道院付の巡礼者施設でパレスチナの家族らと昼食。降誕教会で祈った後、難民キャンプで子どもたちと会見する。
 同日午後に、教皇はテルアビブ空港で歓迎式に臨み、すぐにエルサレム入りされる。バチカン大使館でコンスタンティノポリス総主教バルトロメオス1世と会見する。60年前、同じ場所で教皇パウロ6世が、アテナゴラス・コスタンティノポリス総主教と会見している。この後、教皇は聖墳墓教会で総主教と共に祈る。
 最終日の26日、教皇はモスク前広場でエルサレムのグランド・ムフティに迎えられ、岩のドームに一緒に入る。この後、「嘆きの壁」で祈りの時を持たれる。次いでホロコースト記念館を訪問。正午頃、大統領官邸でシモン・ペレス大統領と、ノートルダム・エルサレム・センターでビンヤミン・ネタニヤフ首相と会見。夕方、ゲツセマネ教会で司祭や修道者との出会いを持ち、最後の晩餐が行われた場所とされる所で司教らとミサを捧げた後、テルアビブ経由でローマに戻る。


◎国連事務総長が教皇に「癒しと和解のメッセージ」を

 【CJC=東京】国連の潘基文事務総長が、教皇フランシスコに、「癒しと和解のメッセージ」を、「韓半島」に持って来てほしいと要請した。韓国紙『東亜日報』が報じた。
 潘総長は5月9日、バチカン(ローマ教皇庁)で教皇と会見、旅客船セウォル号沈没惨事で失意に陥っている韓国国民や南北間のため、8月に予定されている韓国訪問の際、「癒しと和解のメッセージ」を伝えてほしいと依頼したと、バチカン放送などが報じた。潘総長と教皇との会談は、約50分間行われ、国連傘下機関のトップ40人あまりも出席した。
 教皇は、潘総長に、国連は貧しい人たちを支援し、富の正当な配分のために努力してほしいと要請、「貧困や飢餓の構造的原因を解決するために、勇気や寛容を持ってこれを進めなければならない。そのため、全ての人たちを尊厳性や生産性のある雇用につかせることも必要だ」と述べた。また、「政治や宗教的信念の違いを離れ、貧しくて疎外された人たちが、兄弟愛や絆を共有できるよう、努力してほしい」と付け加えた。


◎イエスが教えたシナゴーグ跡か

 【CJC=東京】聖地巡礼のため、ガリラヤ地方にリゾート施設を作ろうとしたカトリック教会(修道会『キリスト軍団』)のフアン・M・ソラナ神父が、その昔、マグダラのマリアの故郷とされているミグダルで、シナゴーグ跡に行き当たった。イスラエル考古局の専門家は、聖書でイエスが教えられた会堂(シナゴーグ)の可能性がある、と判断した。米紙ニューヨーク・タイムズ(国際版)が報じた。
 事の発端は、2004年のこと。ソラナ神父は、教皇庁立ノートルダム研究所エルサレム・センターの責任者として、巡礼のための宿泊や会合場所を提供していたが、同様の施設を、イエスが宣教し、また奇跡も行われたイスラエル北部のガリラヤ地方に建設しようと思い立った。
 建設前に遺物があるか、発掘することになっているが、考古局も最初は発掘はすぐに終わると見ていたようだ。ところが発掘を始めてすぐに石製の椅子が出土、1世紀のシナゴーグのものであることが分かった。第二神殿時代(紀元前516年〜紀元70年)のものとされているものは僅か数例で、ガリラヤ地方では初めての発見だ。紀元29年のコインも出てきたが、こうなるとまさにイエスが活動していた当時のものとなる。
 マタイによる福音書(4章23節)に「イエスはガリラヤ中を回って、諸会堂で教え、御国の福音を宣べ伝え、また、民衆のありとあらゆる病気や患いをいやされた。」と記されている。発掘場所は、イエスの活動の中心地だったカペナウムにも近い。またマグダラに近いのではなく、そこがマグダラだったことも明らかになった。
 発掘は続けられ、古代の市場跡も見つかった。シナゴーグ跡は、建造予定のホテル入り口の手前に計画されていたエキュメニカル(超教派)な礼拝堂の場所にあった。
 現場は『マグダラ考古パーク』として、隣接の霊性センターと共に奉献される。


◎スーダンでキリスト者女性に死刑

 【CJC=東京】スーダンの裁判所は5月15日、イスラム教からキリスト教に改宗したのは背教行為だとして、メリアム・イブラヒムさん(27)に死刑を言い渡した。
 イブラヒムさんは首都ハルツームで開かれた裁判で「私はキリスト者です。決して背教行為は犯していません」と述べた。裁判所は11日に有罪の判断を示し、15日までの改宗撤回を勧告していた。
 イブラヒムさんは6歳の時に正教会信徒になったが、父親がイスラム教徒だと、法律上は娘もイスラム教徒と見なされる。
 女性は南スーダン人のキリスト者男性(米国籍)と結婚し、生後20カ月の息子と一緒に拘置されている。第2子を妊娠している。裁判所は異教徒の男性と結婚したことでも有罪を言い渡した。
 米国など4カ国の在スーダン大使館はこれまでに「信仰の自由の尊重」を求める共同声明を発表、裁判を批判していた。
 スーダンはアラブ系イスラム教徒スンナ(スンニ)派を中心とするイスラム教徒が7割を占める。1983年にイスラム法(シャリア)を導入、改宗者には死刑が科される。


◎ベトナム司教協議会が中国に抗議

 【CJC=東京】米紙ナショナル・カトリック・レポーターによると、ベトナム・カトリック司教協議会は5月10日、ベトナムと中国の対立が続く南シナ海における最近の情勢に関して、「カトリック教会の社会教説を実行するべく、ベトナム・カトリック司教協議会は自らの使命において常に平和を促進する自らの道筋を示すとともに、昨今の対立を解決する上で平和と正義が実現されるよう願う」とする書簡を発表した。
 「現状は、武力衝突という極度の危険につながりかねない。中国政府は、侵略行為をすべて停止しなければならない」と司教協議会会長のパウル・ブイ・ヴァン・ドク大司教がベトナム司教を代表して語った。書簡は、紛争は平和的に処理しなければならない、と述べている。


◎教皇フランシスコが神学生13人を叙階

 【CJC=東京】教皇フランシスコは5月11日、バチカン(ローマ教皇庁)のサンピエトロ大聖堂で司祭叙階式を行った。
 新たに叙階された神学生13人の内、7人はレデンプトーリスマーテル神学院の出身で、コレジオロマーノとローマ教区の神学生4人、外国の他教区から委託された被叙階者2人。
 在ローマの『日本のためのレデンプトーリスマーテル神学院』院長秘書の谷口幸紀神父は、自らのブログで、ダビデ・チャンフェローニ司祭とダミアノ・パク司祭の2人が日本に宣教師として派遣予定と述べている。2人とも日本語に堪能という。


◎教皇パウロ6世を今年10月に列福へ

 【CJC=東京】教皇フランシスコは5月10日、教皇庁列聖省長官アンジェロ・アマート枢機卿との会見で、パウロ6世の取り次ぎによる奇跡を承認した。これで、パウロ6世が福者の列に加えられることが確定した。
 列聖省の教令によると、教皇フランシスコは、尊者パウロ6世の列福式を、今年10月19日に行うことを許可した。この日は家庭をテーマとしたシノドス(世界代表司教会議)第3回臨時総会の最終日に当たる。


◎教皇の質素さは高位聖職者には伝わらず

 【CJC=東京】タルチジオ・ベルトーネ枢機卿(79)が、バチカン(ローマ教皇庁)内のサンタ・マルタ館の隣接する建物の最上階に、700平方メートルの住居を新築中とイタリア紙ラレプブリカが報じた。自分と家事に従事する尼僧4人のための「ついのすみか」という。
 このニュースが英テレグラフ紙などによって紹介されると、広すぎ、豪華すぎる、と反発の声が高まった。枢機卿は、司教職にあったジェノヴァ大司教区のサイトに、新居は伝えられた規模の半分の350平方メートルだと明らかにし、高位聖職者にとっては普通のものであり、教皇の承認も得ている、と書き込んだ。
 教皇フランシスコは「聖職者のぜいたくや見栄」を厳しく戒め、「貧しい教会」を訴え、バチカン宮殿内の十数室からなる専用住居は、1人には広すぎると、普段は教皇選挙のために世界中から集まる枢機卿の宿泊施設として1996年改築したサンタ・マルタ館に住んでいる。教皇は、食事も宿泊者と同様、セルフサービスの食堂で済ませている。
 同枢機卿は2006年9月から13年10月まで、教皇に次ぐ地位とされるバチカン市国国務省長官を務めた。


《短信》

〇教皇がソウル・光化門一帯で列福式
 8月14日から18日まで韓国を訪問する教皇フランシスコが執り行う「列福式」の会場が、ソウル・光化門一帯に確定した。(CJC)


《メディア展望》

 =カトリック新聞(5月18日)=https://www.cwjpn.com
★神の計画の理解「聡明」が助ける=教皇フランシスコ=聖霊のたまものについての講話
★バチカンの「教会統計」=信者数は堅調な伸び
★パウロ6世教皇列福へ=式は10月19日、バチカンで
★キリスト者メーデー=「排除される人々」がテーマ=東京
★聖マリアンナ医科大と上智大が包括連携協定

 =キリスト新聞(5月17日・休刊)=https://www.kirishin.com

 =クリスチャン新聞(5月18日・休刊)=https://jpnews.org


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