世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1214信(2014.04.28)

  • ヨハネ23世とヨハネ・パウロ2世を聖人に、バチカンで列聖式
  • 英国はキリスト教国か首相発言に議論沸騰
  • 教皇の「個人的な電話」にバチカン困惑
  • 教皇の巨大十字架が倒壊し下敷きの男性死亡
  • オバマ一家もイースター礼拝守る
  • レーダーで「ドン・キホーテ」作者の遺体捜索
  • 《短信》
  • 《メディア展望》


◎ヨハネ23世とヨハネ・パウロ2世を聖人に、バチカンで列聖式

 【CJC=東京】教皇フランシスコは4月27日、バチカンのサンピエトロ広場で、教皇ヨハネ・パウロ2世(在位1978〜2005年)と、教皇ヨハネ23世(同1958〜63年)を「聖人」とする列聖式を行った。
 列聖式には、前教皇のベネディクト16世も出席、バチカン関係者は「教会にとって歴史的な出来事」としている。
 27日はカトリック教会の典礼暦で「神のいつくしみの主日」。教皇は、サンピエトロ広場で捧げた荘厳ミサの中で、2人の教皇を聖人として宣言した。ミサに出席したベネディクト16世は、式の始めに教皇フランシスコと抱擁を交わし、多数の枢機卿・司教・司祭らと一緒にミサを共同司式した。
 列聖式のために、北イタリア・ベルガモやポーランドなど、ヨハネ23世とヨハネ・パウロ2世のゆかりの地をはじめ、世界中から巡礼者約100万人がローマを訪問した。ミサ参加者は80万人と推定されている。
 バチカン放送(日本語電子版)は式典の様子を詳細に速報している。
 復活節の喜びに満ちた、「主の復活」から1週間後の日曜日、サンピエトロ大聖堂の正面には列聖された2教皇の肖像が掲げられ、聖歌の合唱が広場を包んだ。
 色とりどりの国旗を掲げた参加者の波は、サンピエトロ広場からコンチリアツィオーネ通りを埋め、さらにサンタンジエロ城を越えて、長くテベレ川沿いに続いた。ローマの各所に設置された大スクリーンの前でも巡礼者らが式の進行を見守った。
 列聖式は、厳かな「諸聖人の連祷」で始まった。続いて、教皇庁列聖省長官アンジェロ・アマート枢機卿が、ヨハネ23世とヨハネ・パウロ2世の列聖申請人2人を伴い、教皇フランシスコの前に進み出た。
 「聖なる教会は、2人の福者、ヨハネ23世とヨハネ・パウロ2世の聖人の列に加えてほしいと願っている」と、列聖省長官がラテン語で「ペティティオ(嘆願)」を3度にわたり教皇フランシスコに述べると、教皇は皆を祈りに招き、会衆は聖霊の照らしを願い「ヴェニ・クレアトル・スピリトゥス(創造主なる聖霊よ、来り給え)」を歌った。
 そして教皇は列聖の「フォルムラ(式文)」を読み上げ、ヨハネ23世とヨハネ・パウロ2世を聖人の列に加え、全教会の崇敬の対象にすると宣言した。その瞬間、この日を待ち望んでいた会衆から、大きな歓声と拍手が沸き起こった。
 この後、ヨハネ23世とヨハネ・パウロ2世の聖遺物が祭壇の隣に持ち込まれた。
 説教で教皇は、ヨハネ23世とヨハネ・パウロ2世は、キリストの傷を見つめ、それに触れる勇気を持った人、真理を告げる聖霊の力に満ちた人であったと述べ、2人の信仰の証しは教会と世界に神の優しさといつくしみを伝えたと話した。
 ミサ終了後、教皇フランシスコはベネディクト16世と再び固い抱擁を交わした。そして、特別車「パパモービル」で広場を一巡、さらにコンチリアツィオーネ通りに沿って会衆を祝福した。
 カトリック青年たちの祝祭「世界青年の日」の創始者であり、若者たちと深い精神的交流があったヨハネ・パウロ2世のために、若い巡礼者たちの姿も非常に多く見られた。青年たちの多くは前夜の祈りに参加し、そのまま会場の近くで朝を迎えた。


◎英国はキリスト教国か首相発言に議論沸騰

 【CJC=東京】デービッド・キャメロン英首相が英国をキリスト教国だと、英国人(ブリトン)は「自分たちの立ち位置をキリスト教国であるという自分たちの位置をもっと確認すべきだ」と発言したことをめぐり、賛否両論が飛びかっている。
 統計から見ると、英国と言ってもイングランドとウエールスでは、2011年の人口調査では59%がキリスト者とされていた。ただ10年前の2001年には、自分をキリスト者だとした人は72%だった。
 キリスト教国ではない、とする側は、11年の数字には、120万人の移民キリスト者も含まれている、と言う。
 英国国教会の霊的最高指導者カンタベリー大主教ジャスティン・ウエルビー氏は、英国がキリスト教国だったのは、歴史上だけのこと、と語っている。「私たちの倫理の主要構造、法と正義の執行方法、私たちの社会の価値、といったものは皆、キリスト教によって形作られ、キリスト教を基盤としている」と言う。そのようにキリスト教信仰の上に築かれているなら、英国がキリスト教国であることは明白、としながら大主教は、教会に通う市民が減少していることからすれば、英国がキリスト教国ではないことは確かだ、と言う。


◎教皇の「個人的な電話」にバチカン困惑

 【CJC=東京】教皇フランシスコが、相手に前もって断ることなく自ら電話をかけることで知られ、イタリア大衆紙からは「いきなり電話の教皇」と呼ばれている。
 ただ教皇の個人的な電話にバチカン(ローマ教皇庁)が閉口している感じもある。フェデリコ・ロンバルディ広報事務所長も、もうたくさんだと思っているようだ。
 AFP通信によると同所長は4月24日、教皇がかける電話はあくまでも「司祭としての個人的な」コミュニケーションであり、「公務の一部をなすものではない」と発言した。さらに、教皇の電話に関する報道が「誤解と混乱のもと」になっていると指摘し、そこでの会話から「教会の教えに関する結論を推察してはいけない」と述べた。


◎教皇の巨大十字架が倒壊し下敷きの男性死亡

 【CJC=東京】イタリア北部にあるアルプス山麓の村チェーボで4月23日、教皇故ヨハネ・パウロ2世の列聖式に先立ち行われていた記念式典中に、同教皇のために制作・設置されていた高さ30メートルの木製の十字架が倒れた。逃げ遅れたマルコ・グズミーニさん(21)が押しつぶされて死亡した。AFP通信が報じた。グズミーニさんは運動機能に軽度の障害があり、そのために逃げ遅れた可能性がある。
 列聖式を祝うために村で予定されていた他の行事はすべて中止となった。
 AFP通信によると、倒れた十字架には、高さ6メートル、重さ600キロのキリスト像が取り付けられていた。十字架は曲線的なデザインで、地面にケーブルで固定されていた。彫刻家の故エンリコ・ジョブ氏のデザインで、第2次世界大戦の傷跡を象徴している。十字架は1998年にヨハネ・パウロ2世がロンバルディア州を訪問した際に制作され、2005年にチェーボ村近くの景勝地に設置されていた。


◎オバマ一家もイースター礼拝守る

 【CJC=東京】バラク・オバマ米大統領は4月20日、復活祭の礼拝を、ミシェル夫人や家族と共に首都ワシントンの19番街バプテスト教会(デリック・ハーキンズ牧師)で参会者250人と共に守った。
 礼拝堂で、ハーキンズ牧師が「合衆国大統領」と呼び、会衆に立ち上がるよう呼びかけた。入ってきた大統領一家は会衆の熱烈な歓迎に精一杯応えていた。赤ちゃんとハイタッチしたりハグしたり、キスしたり...。
 ハーキンズ牧師は「アーメン」と言いながら会衆を席に戻し、「前の方にたくさん座れるとは知らなかった」とジョークを飛ばした。
 銀製の献金皿が回ると、大統領は白い紙か封筒と思われるものを置いた。
 ハーキンズ牧師は、イースターが、人々が一息つき、熟考し、「私は立つことが出来る」と言う時である、と説教した。大統領は左手でアゴを支えたり、説教が最高潮に近づくにつれ、指を組み合わせたりし、最後には拍手に加わった。


◎レーダーで「ドン・キホーテ」作者の遺体捜索

 【CJC=東京】小説「ドン・キホーテ」の作者、ミゲル・デ・セルバンテスの遺体がスペイン・マドリードの修道院教会の床下に埋葬されている可能性があるとして、レーダー探知機を使用した捜索が4月28日から始まる。
 セルバンテスは、貧困の中で1616年4月22日に死去、その翌日に赤レンガでできた『トゥリニターリアス修道院』の教会に埋葬されたとされる。しかし、正確な埋葬場所は分かっていない。
 AFP通信によると、法人類学者のフランシスコ・エチェベリア氏は、「捜索場所は特定してある。あそこに埋葬されたのなら、あの教会の床下にちがいない」と話す。
 捜索の第一段階を指揮する専門家のルイス・アビアル氏によると、レーダーではセルバンテスの遺体かどうかについてはわからないが、埋葬場所は特定することはできるという。
 場所が特定されたら、考古学者が遺体を掘り出し、法医学者が遺体の身元を特定する。
 捜索費用は10万ユーロ(約1380万円)を見込んでいる。


《短信》

〇教皇フランシスコの著作刊行
 米ロヨラ・プレス社は4月20日、『チャーチ・オブ・マーシー(憐れみの教会=仮訳)教会のためのビジョン』を刊行した。教皇フランシスコの就任最初の1年の著作をまとめた。(CJC)


《メディア展望》

 =カトリック新聞(4月27日)=https://www.cwjpn.com
★教皇フランシスコ=復活祭メッセージ=無条件で忠実な愛=キリスト者は具体的に証しを
★教皇=聖木曜日に リハビリ施設で=障がいある男女の足洗う=国籍、年齢、宗教が異なる人も
★教皇=司祭の児童性虐待で謝罪
★集団的自衛権行使に反対の宗教者=参院議員会館で集会
★教会指導者らが声明=「停戦と和平交渉を」=南スーダン

 =キリスト新聞(4月26日)=https://www.kirishin.com
★メディア伝道の可能性探る=太平洋放送協会(PBA)◯CLCブックスお茶の水店
★宣教の実情を分析、提言=東京基督教大に「日本宣教リサーチ」
★集団的自衛権の行使を阻止=宗教者共同アピールに賛同者3千人超す
★「9条持つ日本国民」がノーベル平和賞候補に
★エリザベス女王がバチカン訪問=教会関係の融和も進む?

 =クリスチャン新聞(4月27日)=https://jpnews.org
★「チーム北海道」で全道に福音を=「希望のフェスティバル」本大会へ祈り結集
★国は「神の僕」たれ=憲法改正へ法整備進む国会
★「児童優先」で協力を=4・14運動日本で決起の祈り
★いのちのことば社CS成長センター=教師セミナー大盛況
★パンと福音一緒に=「賀川豊彦と関東大震災」=KGK主事会主催セミナー「キリスト者人物伝」


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