世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1206信(2014.03.03)

  • 仏教慈善団体がフィリピン教会を救援
  • 北朝鮮がオーストラリア人宣教師を国外追放
  • 北朝鮮に拘束された韓国人宣教師が記者会見
  • バチカンに『財務評議会』創設
  • WCCがマレーシアの多宗教文化維持を期待
  • ブルネイで宗教用語禁止措置
  • 中央アフリカで司祭がイスラム教徒を保護
  • 《短信》
  • 《メディア展望》


◎仏教慈善団体がフィリピン教会を救援

 【CJC=東京】世界最大の仏教慈善団体『仏教慈済慈善事業基金会』(ツ・チ・フアンデーション=慈済基金会)が、昨年11月に巨大台風により被災したフィリピン・タクロバンシティのカトリック教会再建に援助の手を差し伸べている。
 基金会のモニカ・シュ氏は、どなたの要請にも応じるとして「わたしたちの原則は無国家、無宗教だ」とカトリック系UCAN通信に語った。
 この申し出を教会は大歓迎。「本当に、愛、関心、寛大、親切は宗教を超える」とパロ大司教区の報道担当アマデオ・アルヴェロ神父。
基金会は、タクロバンシティのサント・ニノ教会再建に67万米ドル(約6800万円)を寄付したという。
 基金会のフィリピン代表アルフレド・リ氏とサント・ニノ小教区のモンシニョール・アレックス・オピニアノが合意メモに調印した。「異なる信仰の人が互いにつながり、同じ愛、哀れみと理解の精神で結び合うことを認める」とモンシニョールは語った。
 小教区と基金会とのつながりは、台風被害者に「キャッシュ・フォア・ワーク」プログラムを基金会が提供することから始まった。その後、援助は被災家族のためにテントを教会境内に設置したり、地域の教会や小教区に経済援助することなどに広がった。
 新しいサント・ニノ教会は、「自然の怒りに耐える」デザインになるという。
 フィリピン中部ではカトリック教会の9割が巨大台風で被災した。台風による死者は8000人、住居を失った人は8000人に上っている。


◎北朝鮮がオーストラリア人宣教師を国外追放

 【CJC=東京】北朝鮮が3月3日、拘束中のオーストラリア人宣教師ジョン・ショート氏(75)を国外追放処分にした。国営朝鮮中央通信は、ショート氏が平壌の寺院近くで2月16日、秘密裏に聖書を配布したため拘束した、と報じている。
 報道は、ショート氏が、北朝鮮市民の指導者に対する信頼を損ねる罪を犯したことを認め、謝罪した、と言う。朝鮮中央通信は、追放措置はショート氏の年齢を考慮しての決定としている。
 ショート氏は釈放後、空路、北京に到着したが、非常に疲れている、としてインタビューを断り、オーストラリア大使館に向かった。
 オーストラリアの外務通商省は「明らかにこれはショート氏と家族、それに支持者にとって良いニュースだ。出来るだけ早く、香港の自宅に帰れるよう手配する」と声明を発表した。
 ショート氏はサウスオーストラリア州バーメラ出身。香港居住は50年に及ぶ。中国本土での伝道し、1996年には2年間の入国禁止処分を受けるなど逮捕歴も豊富。


◎北朝鮮に拘束された韓国人宣教師が記者会見

 【CJC=東京】北朝鮮で昨年10月に身柄を拘束された韓国人の宣教師キム・ジョンウク氏が2月27日、平壌で記者会見を開いた。
 AP通信によると、韓国の情報機関に現金をもらい、金正恩政権を崩壊させる目的で、北朝鮮に地下教会を作ろうとしたなどと話し、謝罪した。
 共同通信によると、会場の「人民文化宮殿」には、国内の記者のほか、平壌に滞在していた共同通信やAP通信の記者、中国の常駐記者らが集められた。平壌駐在の外交関係者らも招かれ、出席者は計100人を超えた。
 韓国統一省の報道官は同日「北朝鮮が韓国国民を一方的に拘束したのは遺憾だ」と表明、早期釈放と韓国への送還を要請した。


◎バチカンに『財務評議会』創設

 【CJC=東京】教皇フランシスコは2月24日、バチカン(ローマ教皇庁)の財政や資産管理などを包括的に監督する『財務評議会』の創設を記した自発教令「フィデリス・ディスペンサトール・エト・プルデンス」を発表した。自発教令の冒頭で教皇は、教会が福音宣教の使命と、特に貧しい人々への思いやりにおいて、自身の財産を関心を持って守り管理する責任を強調した。
 バチカン放送(日本語電子版)によると、自発教令は、バチカンの各省・評議会や、教皇庁とバチカン市国に関連する諸機関の財政運営と管理・財務業務に指示を与えることを目的とした『財務評議会』を設立、8人の枢機卿・司教、7人の専門家の信徒の計15人のメンバーを置くことを記している。評議会の責任者は、議長役の枢機卿が務める。
 同時に、教皇は新しい組織として『財務省』を設立。財務省は教皇に直結し、各組織の財務をチェックする。同省の責任者(長官)は一人の枢機卿が務め、国務省と協力して働く、としている。
 従来、バチカンが保有する不動産などの資産管理は事務部門の『財産管理局』が担当してきた。今後、同局は中央銀行の役割を果たすという。
 さらに、教皇は総監査人を設け、各組織の会計を監査させるとしている。財務評議会と財務省の規約起草の責任を同省長官に委ねる。


◎WCCがマレーシアの多宗教文化維持を期待

 【ジュネーブ=CJC】WCC(世界教会協議会)が、マレーシアの「多宗教共存の基本的価値と長い歴史」を破壊することのないように、との期待を表明した。マレーシアの裁判所がイスラム教徒でないものが神を「アッラー」と呼ぶことを禁止する、と昨年10月判断したのを受け、宗教間対立が深刻化していることを懸念したもの。
 オラフ・フィクセ=トゥヴェイト総幹事が2月27日、マレーシア教会協議会のヘルメン・シャストリ総幹事とマレーシア・シンガポール・ブルネイ・カトリック司教協議会会長のジョン・ハ・ティオン・ホック大司教宛に送った書簡で懸念を表明した。
 「宗教の自由と全ての人の信仰の自由、信仰共同体の間の宗教を超えた対話と協力は社会の結束にとって不可欠な基盤」とトゥヴェイト総幹事は述べている。
 総幹事は、マレーシア始め隣国インドネシアなど、イスラム教徒が大多数な国のキリスト者が何世紀にもわたって、神についてはアラビア語の「アッラー」を使っている、と2010年1月にマレーシアの諸教会に宛てた書簡でも指摘したことを改めて確認した。
 「実際に、この言葉をイスラム教徒とキリスト者が共用してきたことは、神について語る時、宗教間対話の重要な架け橋となっていた」と言う。さらに、WCCも関与して続けているキリスト者とイスラム教徒の対話の中で、「アッラー」に使用が論議されたことはなかった、としている。
 総幹事は、マレーシアの教会がこの問題に取り組み、「多宗教社会の例を回復」するため活動することへの連帯を表明した。
 裁判所の決定に対する不服申し立てをカトリック教会が行っている。総幹事は諸教会に宛てた書簡の中で、「申し立てや、主張が裁判に有効となるように。また諸教会の努力と正義と人間の尊厳にかかる証しが、全マレーシア市民の共通の未来を確実なものとすることに役立つよう祈る」と記している。


◎ブルネイで宗教用語禁止措置

 【CJC=東京】カリマンタン島(ボルネオ島)北部に位置し、イスラム法「シャリア」を施行するブルネイで、イスラム教に関係する用語19語をイスラム教徒以外が使用することを禁止した。同国の『ブルネイ・タイムズ』報道として、米誌『クリスチャン・トゥデー』が伝えた。「信者」「祈り」「コーラン」などの他、キリスト者が神を呼ぶ時の「アッラー」も入っている。
 人口の1割がキリスト者を占めるものの、イスラム教を国教とする隣国マレーシアでは、政府がカトリック系紙のマレー語版に対して「アッラー」の使用を禁じ、同紙が提訴して高裁が2009年に使用を認めたが、上訴裁判所が昨年10月に使用を禁じる逆転判決を下したのを受け、宗教間の対立が深刻化している。


◎中央アフリカで司祭がイスラム教徒を保護

 【CJC=東京】カナダの有力紙『グローブ・アンド・メール』の報道によると、中央アフリカ共和国の人口9000人のボアリの町で、新しく叙階された司祭がイスラム教徒700人の生命を救った。 
 キリスト教系武装組織『アンチ・バラカ』民兵により「イスラム教徒が攻撃された時、人々は誰も助けの手を出さなかった」とハビエル=アルノー・ファグバ神父。昨年10月に叙階されたばかりだが、「その時、わたしは彼らの面倒を見ようと決断した。信仰の名においてそうしたのだ」と言う。
 ファグバ神父は家から家を回って、イスラム教徒に危険が差し迫っている、と警告し、教会に避難するよう呼び掛けた。イスラム教徒たちは6週間、教会で生活したが、2月4日、マシンガンの砲火で被害を受け、救援活動もそこで終わった。
 『アンチ・バラカ』は、最初は自衛組織で、イスラム原理主義組織『セレカ』民兵集団がキリスト教組織を攻撃、2013年3月から14年1月まで同国を支配したのに対抗して設立されたもの。


《短信》

〇教皇がウクライナ情勢で「対話と調和へ支援」促す
 教皇フランシスコは3月2日、バチカンのサンピエトロ広場で開かれた日曜恒例の祈りの集いで、ウクライナ情勢を解決するため「対話と調和に向けた支援」を各国首脳らに促した。(CJC)

〇汝矣島純福音教会役員会が教会員に文書
 韓国のソウル中央地裁が、背任などの罪で起訴された汝矣島純福音教会の元老牧師、趙鏞基(チョー・ヨンギ)被告に執行猶予付き有罪の判決を下したことを受け、同教会役員会は2月23日、教会員に前進を約す文書を発表した。(CJC)

〇趙鏞基牧師が汝矣島純福音教会で礼拝説教
 執行猶予付き有罪判決受けた趙鏞基(チョー・ヨンギ)牧師が2月23日、自ら創設した汝矣島純福音教会で、主日礼拝の説教「苦難を克服する三つの道」を行った。コリントの信徒への手紙二4章16〜18節を引用した。(CJC)


《メディア展望》

 =カトリック新聞(3月2日)=https://www.cwjpn.com
★教皇フランシスコ=すぐに「ゆるしの秘跡」を=自由を与え気持ちを軽くしてくれる
★2013年度臨時司教総会=東日本大震災 復興支援継続など決議
★司教協議会=「信仰と現実 異なる」=バチカンへの回答公表
★内戦下の中央アフリカ教会指導者=残る宣教師ら称賛
★教会・地域に役立てば
=2人のメンバーが守る=宣教師の残した共同体=静岡・藤枝市「聖家族の家」

 =キリスト新聞(3月1日)=https://www.kirishin.com
★各地で「2・11」集会=〝「信教の自由」守ろう〟=国家、天皇、教会の歴史検証
★中央アフリカ共和国の宗教間対立=「平和の回復と共存のために尽力を」
★『信徒の友』の投稿欄=川柳・イラスト募集開始
★世界福音同盟=今秋のソウル総会を延期
★無人攻撃機使用を非難=WCC

 =クリスチャン新聞(3月2日)=https://jpnews.org
★東日本大震災国際神学シンポ最終年=震災の教訓 次世代へ=被災地支援・青年の感性で提言
★大雪で教会が孤立
★被災4県の牧師ら集い現状と課題報告=岩手、宮城から福島に支援を
★体制こえ日中韓の若者祈る=東アジアキリスト青年大会
★WEA総会が延期に=韓国教会の分裂が原因


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