世界キリスト教情報

世界キリスト教情報

世界キリスト教情報 第1205信(2014.02.24)

  • 「家庭」をテーマに枢機卿らによる特別会議
  • 教皇が新枢機卿19人の任命式
  • 趙鏞基牧師にソウル地裁が執行猶予付き有罪
  • 北朝鮮がオーストラリアの宣教師拘束
  • 大統領誹謗で韓国人自称牧師に懲役1年6カ月
  • 米で高齢の修道女に禁固3年
  • 教会への銃持ち込みを米ジョージア州下院容認
  • 《短信》
  • 《メディア展望》


◎「家庭」をテーマに枢機卿らによる特別会議

 【CJC=東京】カトリック教会枢機卿らによる特別会議が2月20〜21日、バチカン(ローマ教皇庁)で開催された。
 バチカン放送(日本語電子版)によると、初日の会議は三時課の祈りと共に始まった。教皇は参加枢機卿らへの言葉で、家庭というテーマを説明。人間社会の基盤である家族の素晴らしさ、結婚の大切さに注目し、これほどシンプルであると同時に豊かである家庭のあり方を、今日の状況に照らし合わせながら、神学・司牧の両面から考察したいと述べた。
 そして、家庭の存在意義が軽視されがちな現代にあって、家庭を持ち、それを育てることがいかに素晴らしく良いことかを再認識し、神の家庭に対するご計画を明らかにしながら、夫婦たちが困難を乗り越え喜びのうちに生きることが出来るよう、賢明で勇気ある愛にあふれた司牧が今必要とされていると強調した。
 2日目の21日、教皇フランシスコは、ウクライナの危機で苦しむすべての人々のために祈りを呼びかけられた。
 教皇は自身とすべての枢機卿の名の下、現在、祖国の試練のために苦しんでいるウクライナのヤヴォロスキ枢機卿(リヴィウ名誉大司教)、フザール枢機卿(キエフ名誉総大司教)に精神的一致の挨拶をおくりたいと述べ、同国におけるあらゆる暴力行為の停止と、平和追求へのアピールを行った。


◎教皇が新枢機卿19人の任命式

 【CJC=東京】教皇フランシスコは公開枢機卿会議(コンチストーロ)を2月22日開催、この中で新枢機卿の任命式を行った。
 教皇はコンチストーロに向け、教皇選挙の投票権を持つ80歳未満の枢機卿16人、選挙権を持たない80歳以上の枢機卿3人の、計19人の新枢機卿の名をこの1月発表している。これによりヨーロッパ(イタリア、ドイツ、英国、スペイン)から8人、アメリカ地区(カナダ、ニカラグア、ハイチ、アンティル、チリ、ブラジル、アルゼンチン)から7人、アフリカ(コートジボワール、ブルキナファソ)から2人、アジア(韓国、フィリピン)から2人の枢機卿が新たに誕生した。
 22日は「聖ペトロの使徒座の祝日」とあって、バチカンのサンピエトロ大聖堂にあるブロンズ製のペトロ像は、ティアラ(教皇冠)と祭服で飾られた。
 教皇が執行した儀式には、世界各国の枢機卿らが集まり、中央祭壇前を緋色の衣で彩った。枢機卿団と共に、前教皇ベネディクト16世も姿を見せた。昨年2月の退位後、前教皇が公の場に姿を見せたのは初めて。前教皇はつえを手に大聖堂に入った後、白い帽子をとって、教皇フランシスコにあいさつした。
 バチカン放送(日本語電子版)によると、教皇フランシスコは、新枢機卿一人ひとりを抱擁、枢機卿のシンボルである赤いベレッタ(帽子)と指輪、そして任命書を手渡した。
 新枢機卿の中で98歳と最高齢で、かつて福者教皇ヨハネ23世の秘書を務めたローリス・カポヴィッラ枢機卿は、北イタリアのベルガモから「精神的に参加」、後日、任命書を受け取るという。
 教皇は任命式の説教で、「教会は、皆さんを必要としています。教会は、皆さんの協力と一致を必要としています。教会は、福音を伝え、いかなる時でも真理を証しする皆さんの勇気を必要としています。キリストの羊の群れがよく歩めるよう祈る皆さんの祈りを必要としています。多くの国々が苦しみの中にある今、教会は皆さんのあわれみを必要としています」と述べつつ、皆が「平和の人」として世界の平和と和解に貢献できるよう要望した。
 教皇は23日、サンピエトロ大聖堂で、新しい枢機卿を加えた全枢機卿団と共にミサを行った。


◎趙鏞基牧師にソウル地裁が執行猶予付き有罪

 【CJC=東京】韓国の聯合ニュースによると、ソウル中央地裁は2月20日、背任などの罪で在宅のまま起訴された汝矣島純福音教会の元老牧師、趙鏞基(チョー・ヨンギ)被告に懲役3年、執行猶予5年、罰金50億ウォン(約4億7800万円)の判決を言い渡した。
 趙被告と共謀したとして起訴された長男で元国民日報会長の趙希竣(チョー・ヒジュン)被告には懲役3年の実刑判決を言い渡し、身柄を拘束した。
 趙鏞基被告は2002年に希竣被告が所有していた株式25万株を想定市場価格の4倍以上の価格で購入するよう汝矣島純福音教会に指示し、131億ウォン(約12・5億円)余りの損害を与えた。またこの過程で約35億ウォン(約3・3億円)を脱税した罪に問われた。
 聯合ニュースは、裁判所が「この犯罪は教会運営の最高意思決定権がなければ不可能であり、趙牧師の地位と役割に合った処罰が必要だ」とした上で、趙鏞基被告が教会名義の各種の虚偽文書作成や書類変造などを承認または黙認し、犯行の中心的役割を果たしたと指摘した、と報じている。
 汝矣島純福音教会は、趙被告が1958年創設したペンテコステ系の教会。信徒約80万人を擁する世界有数のメガチャーチとなったが、趙被告の巨額資産の私的流用をめぐり紛争が続いていた。


◎北朝鮮がオーストラリアの宣教師拘束

 【CJC=東京】北朝鮮の平壌を訪問していたオーストラリア人キリスト教宣教師ジョン・ショート氏(75)が、北朝鮮当局に2月16日夜、滞在先のホテルで拘束されたことが分かった。ショート氏は居住地の香港から入国した。北朝鮮訪問は2度目。ハングルで記された宣教資料を持って行ったという。北朝鮮メディアは拘束について伝えていない。
 カレン夫人はロイター通信の電話取材に「夫が共産主義者におじけることはない」として、「わたしは動揺などしていない。わたしたちはキリスト教宣教師であり、活動には多大なサポートを受けている」と話した。
 香港のサウスチャイナ・モーニング・ポスト紙によると、夫人は、夫が北朝鮮に宗教関連資料を持ち込むことの「リスクは承知していた」と語っている。ただ、1回目の訪朝時も資料を持って行ったが、問題はなかったと言う。
 北朝鮮は、韓国系米国人のキリスト教宣教師ケネス・ベ(韓国名ペ・ジュンホ)氏を、体制崩壊を目的とする宣伝活動をしたとして1年以上にわたり拘束を続けており、外国人宣教師の拘束はショート氏で2人目。ベ氏は国家転覆罪で15年の労働教化刑を言い渡されている。


◎大統領誹謗で韓国人自称牧師に懲役1年6カ月

 【CJC=東京】韓国の聯合ニュースなどによると、ソウル中央地方法院(裁判所)刑事控訴9部は2月20日、朴槿恵(パク・クネ)大統領を誹謗する内容の動画インタビューをインターネットに載せた容疑で起訴された自称牧師チョ・ウン氏(78、実名チョ・ビョンギュ)に対して、1審と同じ懲役1年6カ月の判決を言い渡した。
 チョ氏は昨年2月、インターネットに掲載したインタビュー動画で、朴大統領が以前に平壌(ピョンヤン)を訪問した際、金正日国防委員長に500億ウォン(約46億円)を渡したなどの虚偽情報を流布した容疑で起訴された。
 チョ氏は過去に3回名誉毀損で処罰されている。


◎米で高齢の修道女に禁固3年

 【CJC=東京】米国の反核運動家ミーガン・ライス修道女(84=聖なる子イエス会)に2月18日、テネッシー州ノックスビルの裁判所で禁固35カ月の判決が出た。原子爆弾を製造出来るレベルのウラニウムを貯蔵している同州オークリッジの国防施設に2012年7月押し入って逮捕、起訴されたもの。同調者のグレッグ・ベルティエ=オベド、マイケル・ワリ氏は62カ月以上の禁固刑。
 ライス修道女らは、『プラウシェアズ・ムーブメント』(鋤運動)を構成している『トランスフォーム・ナウ・プラウシェアズ』(今こそ鋤つくり)という組織のメンバー。鋤運動は聖書イザヤ書にある「剣を打ち直して鋤とし」に由来、武器を平和な道具に作り替えることを目指す平和主義者の反核運動。
 寛大な判決を求める書簡や請願署名が多数寄せられたが、ライス修道女は「情状酌量はしないでほしい。残りの生涯を獄中で過ごすことは、あなたからもらえる最大のギフト」とアマル・セイパー判事に述べた。
 AP通信によると、3人は三重のフェンスを越えて貯蔵庫にたどりつき、「正義の実りは平和」と壁に書き付けたり、小瓶に入れた血をまき散らした。警報がなったものの、3人は逮捕されるまで2時間以上も立ち入り禁止地区に留まり、保安員が到着した時には歌を歌い、パンを分かち合い、保安員に聖書、キャンドル、白バラを差し出した、という。


◎教会への銃持ち込みを米ジョージア州下院容認

 【CJC=東京】ロイター通信などによると、銃規制が大きな政治問題となっている米国で、ジョージア州議会下院は2月18日、バーや教会への銃の持ち込みや、教師らによる中学校への銃携帯を可能にする法案を賛成多数で可決した。賛成119、反対56という。法案は今後、上院に送られる。
 法案では、バーの経営者や教会が銃器の持ち込みの可否を決められるほか、中学校でも教師らが銃器を携帯できるかどうか判断できるようになる。ただし、裁判所や刑務所では引き続き禁止される。


《短信》

〇韓国で宗教者にも課税する法案が国会へ
 牧師、僧侶など宗教者への所得控除をなくし、課税する所得税法改正案(宗教人課税法案)が国会に提出された。しかし今会期中の成立は難しい見込み。(CJC)


《メディア展望》

 =カトリック新聞(2月23日)=https://www.cwjpn.com
★教皇フランシスコ=ミサは人生を変える=他者を受け入れ、自らの罪深さに気付く
★米ニューヨーク州の司教たち=精神障がいのある人への「愛と尊重」呼び掛ける
★宗教者、京都を走る=平和を祈る駅伝 国内外から参加
★横浜教区=春期典礼研修会開く
テーマは「主のみことば」
★"雪の聖母"祝う=北国のフィリピン出身者ら=山形・新庄教会

 =キリスト新聞(2月22日)=https://www.kirishin.com
★もっともっと教会を行きやすく=八木谷涼子さんの著書重版=牧師ら有志が読書会
★WCRP日本委が世界大会報告=「敵意の増大」に注意喚起
★2月22日と3月1日=「死を見つめる心」テーマに=神戸国際大で公開講座
★国連委がバチカン非難=聖職者による性的虐待問題で
★国連委報告にバチカン反発=「人間の尊厳に関する教義と集光的自由の実践への介入」

 =クリスチャン新聞(2月23日)=https://jpnews.org
★各地で「2・11信教の自由を「覚える集い」=預言者として警鐘を=右傾化する日本でのキリスト者の使命
★子どもの再生が地域の再生に=東北ヘルプ=障がい児デイケア施設オープン
★チェルノブイリからフクシマは学べるのか=NCCチェリノブイリ・スタディツアー報告会
★3・11超教派一致祈祷会=子ども支援が教会の使命=「福島に不安、分断、麻痺がある」と木田恵嗣氏
★「憲法九条にノーベル平和賞を」=ノーベル委に推薦済ます


 ◆世界キリスト教情報◆ご案内
☆活動紹介・メールマガジン(整形テキスト)『週刊・世界キリスト教情報』お申し込みは
https://homepage3.nifty.com/cjc-skj/で。
☆ニュースレター(PDF)・同報メール(無整形テキスト)『週刊・世界キリスト教情報』お申し込みは
ckoriyama@gmail.com=ご連絡いただく際は「@」を半角にしてください
☆『週刊・世界キリスト教情報』既刊号は下の各サイトで
・ニュースレター=PDF
https://www.evernote.com/pub/cjcpress/skjweekly/
・メールマガジン
https://blog.livedoor.jp/skjweekly/
・同報メール
https://cjcskj.exblog.jp/
☆記事検索は『教会と神学』(小原克博氏制作)をご利用ください
https://www.kohara.ac/church/
........................
☆CJC通信(メディア向けですが、どなたでもお読みいただけます。転載使用ご希望の方は巻頭の連絡先までお申し込みください)
https://blog.livedoor.jp/cjcpress/
☆CJC通信速報(Twitterを利用しています)
https://twitter.com/cjcpress/

月別の記事一覧