世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1204信(2014.02.17)

  • 世界福音同盟が今秋開催のソウル総会を延期
  • WCCが無人攻撃機使用を非難
  • バチカンが教会群の世界文化遺産登録で長崎県支援
  • タイでロシア正教会聖堂新設
  • ロシア極東の教会で男が銃乱射し2人死亡
  • エジプトで観光バス爆破し韓国人ら3人死亡
  • ラクダの家畜化は紀元前10世紀ごろ
  • ヘビ使いの牧師が毒蛇に噛まれ死亡
  • 《短信》
  • 《メディア展望》


◎世界福音同盟が今秋開催のソウル総会を延期

 【ニューヨーク=CJC】世界福音同盟(WEA)国際評議会は2月13日、今年10月に韓国ソウルで開催を予定していた総会を延期すると発表した。韓国福音派が分裂的状況に陥りながら、総会開催を進めていることが主な理由としている。発表の要旨は次の通り。
 4年前に国際評議会がソウルでの総会開催を決定した際には、全世界的なキリストの体の中で韓国福音派諸教会の一致推進への期待があった。
 CCK(韓国キリスト教総連合会)の主導により諸教会が総会の準備を進めて来た。WEAも、総会が世界大の連合の発展と教会が一致して証しするという価値ある時となることを期待してプログラム開発と運営開始に着手していた。
 しかし評議会は、総会を今年ソウルで開催することは無理のようだ、と判断、CCKとも延期に合意した。
 6年に1回開催されるWEA総会の役割は、聖霊がその教会に語りかけることを聞き、加盟129連盟など諸団体が運営と各国レベルのリーダーシップを育成すること。総会は、WEAの各委員会やパートナーとしての組織が協働する方向を探り、特定のまた創造的な指導性を発揮する計画を審議する時であり、場所でもある。
 今回の延期は、パートナー組織の会議やWEAの各種委員会の延期を強制するものではない。総会に準備されていたプログラムは、地域別、国別の会議やWEA委員会などで取り組むことも予定されている。総会の新しい開催地、開催日は数カ月以内に発表する。
 評議会は、韓国教会の、国内だけではなく世界宣教における、重要且つエネルギーに満ちたそのビジョンに感謝を表明した。
 WEAのCEO兼総主事ジェフ・タニクリフ氏は、米クリスチャン・ポスト紙のインタビューに「特にこの数カ月間、韓国では論争と教会間の分裂があり、そのためにキリスト者の一致に焦点を当てた総会を同国で開催するのが難しくなった。韓国の教会は国内の問題により焦点を向けることが必要な状況で、総会のホスト国となる前にこれらの問題を解決しなければいけなかった」と説明した。
 タニクリフ氏は、韓国教会の分裂というのは主に組織に関するものだと指摘、「韓国の多くのキリスト教徒は自らが福音派であることを自認している。それぞれの信仰の中核的な部分においてはほとんど同様だが、好みや様式といった点で違いがある。しかし、神学的な違いがあるとまでは言えないと思う」と述べている。


◎WCCが無人攻撃機使用を非難

 【ジュネーブ=CJC】戦争や暗殺計画に使用され、「ドローン」と呼ばれる無人攻撃機は、「国家間の関係にとって危険な事態」を生み出すものであり、「人類への重大な脅威」と「生存権」という問題を提起する、とWCC(世界教会協議会)が指摘した。
 WCC執行委員会がスイスのボセーで開いた会議で2月12日発表した声明の中で示したもの。
 無人攻撃機を使用している米、イスラエル、露、英が、さらに完全自動化を目指していることに触れ、声明は各国政府に「国民の生存権保護という義務を重んじ、認識するよう、また人権侵害に反対するよう、呼び掛けている。
 無人攻撃機は、バルカン地域の戦闘で初めて使用され、その後、アフガニスタン、イラク、イエメン、ソマリアから最近ではパキスタンにまで拡大した、として声明は、国際社会に「不法な政策と実行、特に米国のパキスタンでの使用に反対」するよう呼び掛けている。


◎バチカンが教会群の世界文化遺産登録で長崎県支援

 【CJC=東京】世界文化遺産登録を目指す「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」について、バチカン(ローマ教皇庁)が登録を支援する意向を伝えた文書が長崎県の中村法道知事に届いた。
 中村知事は昨年10月、バチカンに、「信徒発見」から150年を迎える2015年に教皇フランシスコの長崎訪問を要請、世界遺産登録への支援を求める親書をバチカンへ向かう神父に託した。
 長崎県によると返書は2通届き、12月30日付はバチカン国務省総務局から「ご招待いただき感謝申し上げる」という教皇のメッセージを伝えていた。1月8日付はバチカン文化評議会議長のジャンフランコ・ラバージ枢機卿からで、下村博文文部科学相に世界遺産登録を支援する考えを文書で伝えたという内容。
 教皇は1月15日、水曜恒例の一般接見で、長く激しい迫害の時代にも、洗礼によって脈々と受け継がれた日本の「キリシタン」の信仰を紹介した。教皇は「神の民のための洗礼の重要さを語る上で、日本のキリスト教共同体の歴史は模範となる」と述べ、禁教時代の日本の信者たちの苦難の歴史を語った。
 西日本新聞によると、県世界遺産登録推進室の大崎義郎室長は「長崎に深い関心を示しておられ、力強い応援をいただいた」と受け止めている。


◎タイでロシア正教会聖堂新設

 【CJC=東京】ロシアのインターファクス通信によると、タイの首都バンコクの南西約200キロのホアヒン(フアヒン)でロシア正教会殉教者聖堂の起工式が2月10日行われた。モスクワ総主教座の海外施設管理担当マルク・エゴリエフスキー大主教が式典に参加した。
 ホアヒン在住ロシア人は約300人。昨年、オリガ僧院長に対して聖堂建設の嘆願書を出していた。近くの聖堂までは距離がありすぎるためだ。現地のロシア人協会が集めた資金で土地が買収された。
 現在タイではバンコク、パタヤ、プーケット、サムイに正教会の聖堂がある。


◎ロシア極東の教会で男が銃乱射し2人死亡

 【CJC=東京】ロシア極東サハリン州ユジノサハリンスクの中心部にある正教会『キリスト復活聖堂』で2月9日午後、男が押し入り、礼拝に来ていた信者らに向けて、突然、銃を乱射した。修道女と男性信徒の計2人が死亡、6人がけがをした。インタファクス通信などが伝えた。
 現場で拘束されたのは、地元警備会社で働く20代の男で、警備員の服装で侵入、会社から貸与された散弾銃を発砲したという。動機は明らかになっていない。捜査当局が殺人事件とみて捜査している。


◎エジプトで観光バス爆破し韓国人ら3人死亡

 【CJC=東京】エジプト北東部シナイ半島のタバで2月16日、観光バスの爆破テロがあり、内務省は同日夜、死者は韓国人2人とエジプト人1人の計3人だったと明らかにした。負傷者は14人。
 一方、国際テロ組織アルカイダ系のイスラム過激派『エルサレムの支援者』は投稿サイト「ツイッター」を通じて声明を出し、爆破を認めた。さらに外国人観光客に国外退避のための4日間の猶予を与えるとして「退避しなければ(観光客が再び)標的となる」と警告した。
 エジプトでは2011年のムバラク政権崩壊以降、シナイ半島を拠点とするイスラム過激派が活動を活発化させているが、外国人観光客の殺傷を狙ったと見られる事件は初めて。
爆弾テロにあった観光バスには、忠清北道鎮川中央長老教会のキム・ドンファン牧師(53)ら関係者と運転手、ガイドら33人が乗っていた。
教会創立60周年を迎え、国内の聖地巡礼専門観光会社の案内で一行は10日夜に仁川空港を出国し、21日までトルコ・エジプト・イスラエルなどを訪問する予定だった。預言者モーセが十戒を授かったとされるシナイ山のふもとにある世界遺産『聖カタリナ修道院』の観光を終え、タバに近いイスラエルのリゾート地エイラートに向かう途中でテロに遭遇したもの。


◎ラクダの家畜化は紀元前10世紀ごろ

 【CJC=東京】イスラエル・テルアビブ大学の考古学者が発表した研究結果によると、地中海東岸部では、ラクダが最初に家畜化された時期は紀元前10世紀ごろであることがわかった。旧約聖書に記述された時期より数世紀遅い。
 研究を主導したエレズ・ベン・ヨセフ氏とリダー・サピル・ヘン氏は、イスラエル南部アラバ渓谷の銅精錬所でラクダが家畜化されていたという記述に着目、放射性炭素年代測定法と発掘物の調査から、地中海東側の沿岸国でラクダが家畜化された正確な年代を「紀元前930〜同900年に絞ることが出来た」と語っている。
 アラバ渓谷の発掘現場からは、新石器時代(紀元前9700年ごろ)の骨も発見された。しかし野生種と推定され、銅の塊を背負っていた痕跡はないという。
 旧約聖書には、「らくだ」(ヒトコブラクダ)がしばしば登場する。始祖アブラハム、ヨセフ、ヤコブなどが登場する物語には、家畜の「らくだ」に関する記述がある。創世記24章11節には「女たちが水くみに来る夕方、彼は、らくだを町外れの井戸の傍らに休ませて、」と記されている。
 専門家はこの記述について、創世記の内容や、シュメール人の都市ウル(現在のイラク)の遺跡で見つかった考古学的情報、または都市国家マリ(現在のシリア)の遺跡で出土した粘土板の記録などに基づき、紀元前2000〜同1500年の出来事と判断していた。
 研究結果は同大学考古研究所の紀要に昨年末発表された。


◎ヘビ使いの牧師が毒蛇に噛まれ死亡

 【CJC=東京】米ケンタッキー州の牧師が、毒蛇に噛まれて死亡した。CNN放送が報じた。米南部には、信仰によって毒蛇も危険ではないと強調する独自の伝道が一部で行われている。
 同州ミドルバロ郡の警察によると、ジェイミー・クーツ牧師は2月15日夕の礼拝中、毒蛇に右腕を噛まれたが、治療を拒んで死亡した。毒蛇に噛まれたのは初めてではなく、これまでも治療を拒否していた。祖父の代から受け継いだヘビ使いの伝統を息子にも伝え、教会を継がせたい意向だった。
 『ナショナル・ジオグラフィック』のテレビ番組では、マムシやガラガラヘビなどあらゆる種類のヘビ使い術を披露。ヘビ使いは教会の神聖な儀式であり、「自分の揺るぎない信仰を示す手段として、危険を冒す価値があると考えていた」と同誌広報は明らかにしている。
 クーツ牧師は2013年にテネシー州に毒蛇を持ち込んだ罪に問われ、執行猶予1年の判決を言い渡された。08年には自宅でヘビ74匹を飼っていたとして逮捕されたこともある。テネシー州は2年間で5人が教会でヘビに噛まれて死亡したことを受け、1947年にヘビ使いの儀式を禁止していた。


《短信》

〇バレンタインデーで教皇がカップル1万組に愛の教え
 教皇フランシスコは2月14日、バチカンのサンピエトロ広場に集った約1万組のカップルを祝福した。カップルはみな婚約中で、20カ国以上から来たという。(CJC)

〇韓国・統一教会が2500組の合同結婚式
 韓国統一教会が2月12日、ソウル東方の加平で2500組の合同結婚式を行った。創始者の文鮮明氏が死去してから2回目となる今回の結婚式には、52国から新郎新婦が参加した。(CJC)

〇中央アフリカでキリスト教民兵がイスラム攻撃
 内乱状態となっている中央アフリカ共和国で、キリスト教民兵によるイスラム教徒への攻撃が激化、国際人権団体などが2月12日、イスラム教徒に対する「民族浄化」が起きている、と指摘した。(CJC)


《メディア展望》

 =カトリック新聞(2月16日)=https://www.cwjpn.com
★主日のミサ非常に大切=教皇フランシスコ=聖体についての講話で
★カリタスジャパン=パキスタンを視察=災害対策や諸宗教協力など=支援の成果、現状を確認
★教皇、「新求道共同体」に求める=一致と地元文化の尊重
★国連子どもの権利委員会=性虐待の統計公表=バチカンに要求
★韓国カリタス・インターナショナル=北朝鮮に医薬品=乳幼児、妊婦用の抗生物質など

 =キリスト新聞(2月15日)=https://www.kirishin.com
★「一致祈祷週間」各地で集会=〝キリストに立ち返ることで一つに〟=東京では幸田和生司教が説教
★沖縄宗教者9条ネット=〝辺野古〟埋め立てに反対
★首相の靖国参拝にNCCが議長書簡
★朝祷会年頭集会〈東京〉=「寄留の外国人を自分のように愛する」=小橋孝一氏が記念講演
★日本カトリック映画賞=池谷薫監督「先祖になる」が受賞

 =クリスチャン新聞(2月16日)=https://jpnews.org
★未伝地日本から世界へ=ローザンヌ運動40年・マイケル・オー新総裁就任記念講演会
★生きる勇気届いた=星野富弘詩画展in南三陸
★ノー・ニュークス権提唱=キリスト者も後押し=原発メーカー提訴
★原発輸出は平和生まない=浜矩子氏=アベノミクスの人間不在指摘
★「主の油注ぎある年に」=CBMC東京新年集会で奥田英男氏


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