世界キリスト教情報

世界キリスト教情報

世界キリスト教情報 第1203信(2014.02.10)

  • 国連委が「性的虐待」でバチカン非難
  • 国連委の報告は「干渉」とバチカン反発
  • 英女王が14年ぶりバチカン訪問へ
  • WCCが釜山大会後初の執行委員会
  • スコットランドも同性婚を合法化
  • 論文盗用の前独閣僚がバチカン大使に内定
  • 教皇の「ラテン語」ツイッターが大人気
  • 《短信》
  • 《メディア展望》


◎国連委が「性的虐待」でバチカン非難

 【CJC=東京】国連『子どもの権利委員会』(本部ジュネーブ)は2月5日、世界各地で発覚したカトリック聖職者による未成年者らへの性的虐待問題について「必要な対策を取っていない」と、バチカン(ローマ教皇庁)を非難、過去の全ての虐待事件を調査し、虐待に関わった聖職者の扱いを法執行当局に委ねるよう求める勧告を発表した。
 報告書は、バチカンは虐待の規模を認識しておらず、また子どもの保護に必要な措置も取らず、加害者が罰を受けずに犯罪を続けていることを許しているとしている。
 報告書は具体的に、バチカンが性的虐待を地元の捜査当局に報告していないことと、虐待の容疑者である聖職者を別の教区や別の国に移動させ、問題の対処を回避したことを批判している。それでは虐待防止には不十分であり、関与した聖職者が罪を逃れることを容認したもの、と言う。報告書は何万人もの子どもたちが聖職者から虐待を受けたとしている。
 報告書は、全ての加害者と容疑者の職を解き、疑わしいケースがあれば報告を義務付ける明確なルールの確立を求めている。またバチカンが問題対処のため昨年設立した委員会に民間人や被害者団体のメンバーを含めるよう提案している。
 カトリック教会の聖職者による児童性的虐待問題に関する報告書を国連機関が発表したのは今回が初めて。
 『子どもの権利委員会』のカーステン・サンドバーグ委員長は、バチカンが1989年の「国連の子どもの権利に関する条約」に明らかに違反している、と言う。


◎国連委の報告は「干渉」とバチカン反発

 【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)は2月5日、カトリック聖職者による児童性的虐待問題へのバチカンの対応を批判した国連『子どもの権利委員会』(本部ジュネーブ)の報告に関し、「人間の尊厳の教えと宗教の自由に対する干渉だ」と反論した。
 バチカンのジュネーブ駐在国連オブザーバーであるシルバーノ・トマージ大司教が、報告書が公正でなく、問題があるとの見方を示した。
 トマージ大司教はバチカン放送で5日、報告書が「子どもたちの保護に関する一連の変更を考慮に入れていない。これらの変更の度合いは、他の機関や他の国でさえ見受けられないほどだと私は思う」と述べ、聖職者による児童虐待の頻度は人口全体と比較すると少ないと付け加えた。
 大司教は、委員会報告に「留意する」とし、精査する意向を示した一方で「児童の権利に関する条約」がうたう子どもの人権保護に尽力していると正当性を主張した。
 報告書については、児童虐待を一掃する新たな取り組みが評価されておらず、事実を歪曲していると反論している。
 また、国連の報告書が子ども保護の観点から中絶や避妊に反対する教会の姿勢を見直すべきだと提案したことを批判した。国連は妊娠した少女の生命や健康が危険にさらされているケースについて、中絶に対するバチカンの姿勢を見直すよう求めた。
 大司教は、こういった提案が「カトリック教会の人間の尊厳に関する教義と、宗教的自由の実践に介入しようとする試みだ」と応答した。
 バチカン広報事務所長のフェデリコ・ロンバルディ神父も7日、「国連とバチカンとの間の対立」を否定したが、報告書には聖座(バチカン)自体と、聖座が聖職者による性的虐待を根こそぎ明るみに出した経過についての理解が「決定的に」欠けている、と委員会を批判した。


◎英女王が14年ぶりバチカン訪問へ

 【CJC=東京】英国国教会の最高位でもあるエリザベス女王が4月3日、ローマとバチカン(ローマ教皇庁)を訪問する。女王にとってバチカン訪問は2000年以来14年ぶり。教皇フランシスコとの会談で、カトリック教会との和解に向け機運を高めるねらいもあるようだ。
 女王は、ローマでイタリアのジョルジョ・ナポリターノ大統領主催の昼食会に出席したあと、バチカンで教皇フランシスコと会う予定。
 エリザベス女王バチカンを3回訪問しており、2010年には前教皇ベネディクト16世が教皇として初めてイギリスを公式訪問している。
 女王は6月にはフランスを訪問する予定。


◎WCCが釜山大会後初の執行委員会

 【ジュネーブ=CJC】世界教会協議会(WCC)は2月7日、ジュネーブ近郊ボセーの『エキュメニカル研究所』で執行委員会を開催した。12日までの日程で、2013年10月31日から11月8日まで韓国・釜山で開催した第10回大会以後の最初の会合。
 釜山大会は、閉会宣言で「私たちは共に動こうとしている。釜山での経験を踏まえ、私たちは善意の全ての人に、神から与えられた賜物を変革という行動に投じるように、と挑む。この大会はあなたがたに対し〝巡礼〟に加わるよう」呼び掛けていた。
 執行委の開会プレゼンテーションでオラフ・フィクセ=トゥベイト総幹事は、「〝巡礼〟は真実の霊性と人間性に関するもの」として、「わたしは期待し祈る。〝巡礼〟の核心が、わたしたち自身にまた相互に、わたしたちを、より誠実で真の人間となれるようにし、神の霊が、わたしたちを、また世界をあるがままに導くことを受け入れられるように」と述べた。
 総幹事はまた、諸教会の「ムービングトゥゲザー」というコンセプトを強調した。さらに、「ジャストピース」というビジョンを現実のものにする意図で、WCCと加盟教会によって遂行された活動のいくつかの例を上げた。南スーダンとシリアの教会に言及、キリスト教一致、エコロジー、環境、ミッション、経済的正義と権利を扱った重要文献を紹介した。
 教皇フランシスコの最近の発言を受けて、カトリック教会とより密接に働く可能性を総幹事は示唆した。
 執行委は、WCCの活動計画と予算も検討、7月に開催予定の中央委員会に提出するための記録も作成する。


◎スコットランドも同性婚を合法化

 【CJC=東京】英国のスコットランド議会は2月4日、同性結婚を認める法案を賛成105、反対18で可決した。
 ロイター通信によると、スコットランド自治政府は同法案の可決について、平等の権利に向けた重要な一歩であり、年内の同性婚カップル誕生に道を開くとしている。
 カトリック教会と長老派教会はこの動きに反対していたが、法案可決によっても、教会での挙式受け入れは強制されない。
 英議会もイングランドとウェールズで同性結婚を認める法案を可決しており、3月29日から同性間の挙式が予定されている。


◎論文盗用の前独閣僚がバチカン大使に内定

 【CJC=東京】ドイツの次期バチカン大使に、論文盗用疑惑で閣僚辞任に追い込まれた神学者のアネット・シャバン前教育相(58)が2月3日までに内定したことで、人選を疑問視する声が上がっている。
 デュッセルドルフ大学は、シャバン氏が1980年提出した博士論文に盗用があったとして2013年2月に博士号を剥奪した。同氏は野党の批判を浴び、教育相を辞任した。
 外務省報道担当は、「大使は資質で選ばれる。適材適所だ」と述べた。着任はラインハルト・シュウェッペ大使が引退するのに伴うもので今夏の見込み。


◎教皇の「ラテン語」ツイッターが大人気

 【CJC=東京】教皇フランシスコのツイッターに持っているラテン語アカウントが予想外の大人気を博し、フォロワー数はドイツ語やアラビア語よりも多い20万5000人に上っている。
 ラテン語で「つぶやき」を始めたのは、前教皇ベネディクト16世。ツイッターに公式アカウントを開設してから2カ月後、熱心な支持者らに促されてラテン語アカウントも開設した。
 AFP通信によると、ラテン語の専門家で、教皇のツイートのラテン語翻訳・投稿担当チームの米国のダニエル・ギャラガー司祭は、ラテン語を「現在もしっかりと生き長らえている国際語であり、国境を越えたコミュニケーション手段」だとしている。
 フォロワーは大学教授やiPadを使いこなす司祭らにとどまらず、大学生などにも及び、宿題に使うケースもあるという。フォロワーが多い国は独、英、米。中国やインド、アフリカにもフォロワーがいる。


《短信》

〇ヨハネ・パウロ2世の「血」回収
 故教皇ヨハネ・パウロ2世の血が付いた布の入った小瓶がイタリア中部で盗まれた事件で、地元警察は1月31日までに、若者3人を容疑者として拘束し、小瓶と布の一部を回収した。薬物常習者という。(CJC)

〇ジンバブエで信者をレイプしていた牧師に禁固50年
 アフリカ東部のジンバブエ共和国で、マーチン・グンブレ牧師(57)が強姦罪で禁固50年を言い渡された。信者の女性たちを強姦していたという。(CJC)


《メディア展望》

 =カトリック新聞(2月9日)=https://www.cwjpn.com
★教皇フランシスコ=子どもたちに堅信を=教会の一員として歩むために
★第26回 仙台教区サポート会議=被災者の取り組み 聞く=岩手・大船渡ベース
★修道者400人集う=「奉献生活者の日」にミサ=東京・麹町教会
★キリシタン史料を調査しデジタル化=バチカン図書館プロジェクト
★名古屋=初春に司教を囲む新成人=信徒使徒職協議会の創立40周年も祝う

 =キリスト新聞(2月8日)=https://www.kirishin.com
★「地域」と「教会」どうつなぐか=プレシンポジウム座談会=阿部志郎氏×河 幹夫氏×稲垣久和氏
★特定秘密保護法に反対する牧師の会=10日にブックレット発行
★「憲法改悪、特定秘密保護法案、靖国神社参拝」断固反対=西川重則
★「袴田事件」公開学習会 鈴木宗男氏「訴えは魂の叫び」
★CCC理事長・今橋 朗氏逝去

 =クリスチャン新聞(2月9日)=https://jpnews.org
★フィリピンの子どもたちに津波の話=涙こらえ台風の記憶 絵に=日本国際飢餓対策機構 比台風災害支援
★イスラエル南部で大聖堂発掘=ビザンチン帝国時代の教会跡発見
★フィリピン台風支援長期化=自立へ援助続ける=医療・衛生状態を質的改善
★置かれた場所で責任を果たす=クリスチャン県人会・北海道
★震災国際神学シンポジウム=100年見すえ次世代と共に


 ◆世界キリスト教情報◆ご案内
☆活動紹介・メールマガジン(整形テキスト)『週刊・世界キリスト教情報』お申し込みは
https://homepage3.nifty.com/cjc-skj/で。
☆ニュースレター(PDF)・同報メール(無整形テキスト)『週刊・世界キリスト教情報』お申し込みは
ckoriyama@gmail.com=ご連絡いただく際は「@」を半角にしてください
☆『週刊・世界キリスト教情報』既刊号は下の各サイトで
・ニュースレター=PDF
https://www.evernote.com/pub/cjcpress/skjweekly/
・メールマガジン
https://blog.livedoor.jp/skjweekly/
・同報メール
https://cjcskj.exblog.jp/
☆記事検索は『教会と神学』(小原克博氏制作)をご利用ください
https://www.kohara.ac/church/
........................
☆CJC通信(メディア向けですが、どなたでもお読みいただけます。転載使用ご希望の方は巻頭の連絡先までお申し込みください)
https://blog.livedoor.jp/cjcpress/
☆CJC通信速報(Twitterを利用しています)
https://twitter.com/cjcpress/

月別の記事一覧