世界キリスト教情報

世界キリスト教情報

世界キリスト教情報 第1202信(2014.02.03)

  • 「ノアの箱舟」は円形だった?
  • 中国共産党序列4位の兪氏が宗教活動管理強化を示唆
  • 「アラー」使用めぐりマレーシアで教会に火炎瓶
  • 教皇が「宣教家族」派遣式で説示
  • 資金洗浄疑惑のバチカン銀行監視を強化
  • 教皇ヨハネ・パウロ2世の遺品盗難
  • バチカン近くの壁に「スーパー教皇」の絵
  • 《短信》
  • 《メディア展望》


◎「ノアの箱舟」は円形だった?

 【CJC=東京】旧約聖書に登場する「ノアの箱舟」とそっくりの物語が記された4000年前古代メソポタミアの石板がイラクで見つかり、大英博物館のアーヴィン・フィンケル氏が解読した結果、箱舟の形が「ノアの箱舟」と大きく異なっており、研究者の間で論議が起こっている。
 フィンケル氏によると、第二次大戦後に中東で取得したものとして、数年前に持ち込まれたもの。同氏は解読の経緯などを著書『ノア以前の箱船』としてまとめ刊行した。
 石板のくさび形文字を解読したところ、神が洪水を起こし、唯一の生存者があらゆる動物を船に乗せたという物語が記されていた。動物はすべて「2匹ずつ」船に乗せたという点まで、「ノアの箱舟」と共通していた。
 大きな違いが、「ノアの箱舟」は普通の細長い船の形をしていて、船体の全長は船幅の6倍、甲板が三つあって側面から乗船することになっているのに、メソポタミアの箱舟は円形で、縄でできた船体に防水のための塗装が施してあること。この記述に沿った模型を作り、実際に水に浮かぶかどうかを調べるという。
 古代メソポタミア地域では、実際に円形の船が川で使われていた。一方、古代の中近東では一般的な舟形の船が描かれている。こうした船は川ではなく地中海を航行していた。


◎中国共産党序列4位の兪氏が宗教活動管理強化を示唆

 【CJC=東京】ロイター通信によると、中国共産党序列4位の兪正声・政治局常務委員(全国政治協商会議主席)が、宗教活動に対する管理を強化すべきとの考えを示した。
 国営メディアが1月27日に伝えたところでは、新疆ウイグル自治区アクス地区トクス県で24日、警察が暴徒6人を射殺したほか、所持していた爆発物が爆発して別の6人が死亡した。爆発は美容室と市場で発生。当局は宗教過激派が事件を企てたとしている。
 党機関紙・人民日報は、兪氏が新疆の事件に直接言及していないものの、宗教活動は政策の範囲内で合法的に行われるべきだとの考えを示した、と報じている。


◎「アラー」使用めぐりマレーシアで教会に火炎瓶

 【CJC=東京】イスラム教徒が大多数を占めるマレーシアで、同教徒以外が神を意味する「アラー」の使用の是非を巡り議論が続いている中で1月27日、ペナン州ジョージタウンのカトリック教会に火炎瓶が投げ込まれた。火災には至らなかった。
 同日未明、バイクに乗った男2人が、「アラーは偉大だ、キリストはアラーの子」と書かれた横断幕を掲げていた教会に火炎瓶を投げ込んだもの。警察が2人を逮捕した。
 ペナン州では事件が起こった教会を含めてカトリック4教会、ルーテル派1教会に同様の横断幕が掲げられていたが、教会側はいずれも横断幕を掲げたことを否定している。


◎教皇が「宣教家族」派遣式で説示

 【CJC=東京】教皇フランシスコは2月1日、バチカン(ローマ教皇庁)の聖パウロ6世ホールで開かれた『新求道共同体』の「宣教家族」派遣式で、参会者数千人に、カトリック教会の総体的な一致こそが、共同体の実践方法の詳細より重要だとして、信仰を地球規模に広めるには、現地の慣習と司教の指導に従わなければならない、と説示した。
 『新求道共同体』メンバーは100万人を超えているとされ、信徒の訓練方法や典礼が独自方式で、また各地に「異邦人への宣教団」と呼ばれる「宣教家族」を派遣することで知られる。前教皇ベネディクト16世は共同体の典礼面での独自性を懸念していたと見られていた。
 教皇は、全世界に信仰を広げる「宣教の教会」を期待しているものの、共同体にはなお説示が必要であることを明確にした、とメディアは報じている。
 共同体の創設者の1人、キコ・アルグエリョ氏は、宣教チームが、現地の司教の要請があった所に送られている、と指摘したとも伝えられる。


◎資金洗浄疑惑のバチカン銀行監視を強化

 【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)は1月30日、聖座財務情報監視局長のアッティリオ・ニコラ枢機卿(76)の退任を発表した。教会の財務を10年以上取り仕切ってきた枢機卿の引退は、フランシスコ教皇の組織改革に沿った人事と見られる。
 ニコラ枢機卿は2002年から教会保有の不動産などを管理。07年から13年までは、バチカンの資産を管理・運用する『宗教事業協会』(バチカン銀行)の監視委員を務めていた。
 世界中からの寄付など約60億ユーロ(8400億円)にのぼるとされる同銀行の資産は、保守政治家やマフィアのマネーロンダリング(資金洗浄)の抜け道だったと指摘されている。イタリア当局も同銀行を捜査している。
 教皇は15日、同銀行の監視委員である枢機卿5人のうち4人を交代させている。国際的な監査法人による監査も進行中。
 聖座財務情報監視局は、マネーロンダリングとテロリズムへの資金供与防止の国際的取り組みにバチカン市国が協力するため、バチカン市国および教皇庁の財務情報を監視する独立機関として、2010年12月30日付の教皇ベネディクト16世の自発教令により設置された。


◎教皇ヨハネ・パウロ2世の遺品盗難

 【CJC=東京】教皇ヨハネ・パウロ2世の血が染みついた布の入った金色のガラス容器が、保管先のイタリア中部山岳地帯ラクイラ近郊のサンピエトロ・デラ・イエンカ村の教会から盗み出されていたことが1月27日分かった。現地警察が30日、男2人を拘束、2人が盗品を捨てたとする現場で容器を発見したものの、中に布片は入っていなかった。
 同教会関係者によると、ヨハネ・パウロ2世の血痕が付いた遺品は世界に三つしかないという。
 ヨハネ・パウロ2世は4月27日に「聖人」に列せられる。このため遺品の価値が上がることを見越した犯行との見方が出ていた。また現地紙『レプブリカ』は、専門家の話として、盗まれた日が悪魔信仰で「新年」に当たるため、黒魔術崇拝者が関わっている可能性があると伝えていた。
 ヨハネ・パウロ2世は1981年5月13日、バチカンのサンピエトロ広場で銃撃された。教会が保管していた遺品は、この暗殺未遂事件の際に血痕が付いた衣服の断片。


◎バチカン近くの壁に「スーパー教皇」の絵

 【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)に近い建物の壁に、空を飛ぶスーパーマンならぬ「スーパー教皇」の大きな絵が描かれ、ローマ市内の格好の話題となり、絵を写真に撮る修道女や、ジャンプして「スーパー教皇」と一緒に写真に写る通行人らの姿もメディアで報道された。
 「Maupal 2014」とサインされた絵は、教皇フランシスコがスーパーマンのように拳を突き上げ、「価値」と書かれた黒い鞄を手に飛び立つ様子を描いたもの。
 ついに広報評議会が1月28日、インターネット上の簡易ぶろぐ『ツイッター』の公式アカウントで「バチカンに近いローマの路上で発見されたグラフィティを紹介」として画像を投稿した。
 教皇フランシスコは、警備を振り切って群衆の中に飛び込んだり、カトリック教会の教えを広めるためにジョークや逸話を使ったりすることで知られている。自身もツイッターを活用、9言語で発信し、全体では1000万人以上のフォロワーがいる。


《短信》

〇「花はどこへ行った」の歌手ピート・シーガーさん死去
 「花はどこへ行った」「ターン・ターン・ターン」「天使のハンマー」などのヒット曲で知られるフォーク歌手ピート・シーガーさんが1月27日夕、ニューヨークの病院で死去した。94歳。(CJC)


《メディア展望》

 =カトリック新聞(2月2日)=https://www.cwjpn.com
★教皇フランシスコ=「分裂はつまずき」=キリスト教一致祈祷週間に
★東日本大震災被災地支援拠点 全ベース会議=必要な支援 多岐に=ボランティアは減少="4年目"へ 方向性協議
★カトリック中央協議会「子どもと女性の権利擁護のためのデスク」=人身取引と性的搾取=被害者の5割、若い日本人女性=東京で講演会
★横浜教区=初の園長会開く=幼稚園協力体制の大切さ確認
★バチカン高官=「真剣に子ども守る」=国連委員会で証言

 =キリスト新聞(2月1日)=https://www.kirishin.com
★「地域福祉」から教会の〝復興〟を=稲垣久和氏(東京基督教大学大学院教授)
★第18回横浜弁護士会人権賞=「カラバオの会」植田善嗣氏受賞=外国人の人権確保に貢献
★コプト正教会・聖マルコ教会=教会堂設立目指し聖歌隊が合唱披露
★観世能楽堂=3月11日にキリスト教題材=能と文楽の競演
★2月にパネルディスカッション=改めて「震災と宗教」問う

 =クリスチャン新聞(2月2日)=https://jpnews.org
★断食祈祷聖会2014=福音宣教阻む教会、指導者の問題=悔い改めから対処始まる
★南三陸で星野富弘詩画展=避難所だった場所でオープニング
★失った人、壊された故郷思う19年=阪神・淡路大震災メモリアル集会 森祐理さんと
★「9条は人類史的意味もつ」=明治学院「平和学」連続講座で浅井基文氏
★「断食祈祷聖会」菅家庄一郎氏=緊張関係の東アジアで神の民として生きる


 ◆世界キリスト教情報◆ご案内
☆活動紹介・メールマガジン(整形テキスト)『週刊・世界キリスト教情報』お申し込みは
https://homepage3.nifty.com/cjc-skj/で。
☆ニュースレター(PDF)・同報メール(無整形テキスト)『週刊・世界キリスト教情報』お申し込みは
ckoriyama@gmail.com=ご連絡いただく際は「@」を半角にしてください
☆『週刊・世界キリスト教情報』既刊号は下の各サイトで
・ニュースレター=PDF
https://www.evernote.com/pub/cjcpress/skjweekly/
・メールマガジン
https://blog.livedoor.jp/skjweekly/
・同報メール
https://cjcskj.exblog.jp/
☆記事検索は『教会と神学』(小原克博氏制作)をご利用ください
https://www.kohara.ac/church/
........................
☆CJC通信(メディア向けですが、どなたでもお読みいただけます。転載使用ご希望の方は巻頭の連絡先までお申し込みください)
https://blog.livedoor.jp/cjcpress/
☆CJC通信速報(Twitterを利用しています)
https://twitter.com/cjcpress/

月別の記事一覧