世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1201信(2014.01.27)

  • 貧困対策に責任果たせ、とダボス会議の「勝ち組」に教皇
  • 世界改革派教会共同体が本部をドイツへ
  • 教皇が訪韓検討、「アジア青年大会」出席へ
  • インターネットは「神からの贈り物」と教皇
  • ビザンチン帝国時代の教会跡発見
  • 教皇、オランド仏大統領と会見
  • 《短信》
  • 《メディア展望》


◎貧困対策に責任果たせ、とダボス会議の「勝ち組」に教皇

 【CJC=東京】教皇フランシスコは、1月22日から25日までスイス東部のリゾート地ダボスで開催された世界経済フォーラムの年次総会に向け、貧困撲滅へ参加者が一層責任を果たすよう求めるメッセージを発表した。
 教皇は、企業が貧困対策に一定の貢献を果たしたと評価する一方、「社会的に疎外された人を増やした」とも指摘。「負け組」は日々の食べ物に困るような深刻な貧困に直面していると指摘した。
 こうした問題に目を向けることで「全ての経済・金融活動が人間的な倫理観に基づくようになる」と強調。世界の「勝ち組」経営者らが集まるダボス会議で貧困問題に向き合うよう求めた。
 教皇のメッセージは、22日の開会セレモニーの中で、教皇庁正義と平和評議会議長ピーター・コドボ・アピア・タークソン枢機卿によって読み上げられた。
 フォーラムが毎年この時期に開く総会議は、今回で44回目。世界の政治・経済界の代表ら約2500人が集い、「世界の再形成:社会、政治、企業への影響」をテーマに話し合うもの。
 カトリック教会からは、タークソン枢機卿の他、ナイジェリア・アブジャのジョン・オナイケン大司教、フィリピン・マニラのルイス・アントニオ・タグレ大司教、アイルランド・ダブリンのディアミド・マーティン大司教らが参加した。


◎世界改革派教会共同体が本部をドイツへ

 【CJC=東京】世界改革派教会共同体(WCRC)が本部をジュネーブからドイツ・ハノーバーに移転、新事務所の開設式が1月12日行われた。WCRCは、世界の改革派230キリスト教会の連合組織として1875年に設立され、1948年から65年間、ジュネーブに本部を置いていた
 現在、WCRCは100国以上の230教会が加盟、ジュネーブに本拠を置く世界教会協議会(WCC)とも密接な協力関係にあったが、スイスで活動を継続するコストの負担から、常置委員会が移転を決意したもの。
 永世中立国としてスイスは欧州のほぼ中央に位置することから、国際機関の多くがスイスに本部を置いている。キリスト教関係では世界教会協議会、ルーテル世界連盟、世界学生キリスト教連盟、世界YMCA同盟などの本部がスイス西部のジュネーブにある。
 いずれも運営費の高騰、特にスイス・フラン高の影響を受けている中で、WCRCの「脱出」となった。


◎教皇が訪韓検討、「アジア青年大会」出席へ

 【CJC=東京】教皇フランシスコが8月に韓国を訪問する可能性があると、バチカン(ローマ教皇庁)報道事務所のフェデリコ・ロンバルディ所長が1月22日明らかにした。
8月13〜17日に韓国中部の大田で開催される「第6回アジア青年大会」が教皇を招待したのに応じるというもの。訪問を確定すれば、1989年のヨハネ・パウロ2世以来25年ぶりの教皇訪韓となる。
教皇は、昨年ブラジルのリオデジャネイロで開催された「世界青年の日」に出席した際、スリランカやフィリピンから招待されていることを明らかにする中でアジア訪問の意向を明らかにしていた。前任のベネディクト16世がオーストラリア、欧米を訪問したがアジアには行かなかったことも指摘していた。ただロンバルディ所長は、教皇のフィリピン・スリランカ訪問は年内にはないだろうと説明している。
 教皇は1月13日、バチカン駐在の外交団と新年の挨拶を交わした際にも、韓国との外交関係樹立50周年に触れ、朝鮮半島和解という賜物を神に願い、関係者が休むことなく合意点と可能な解決方法を探ることを期待する、と述べていた。
 またソウル教区のアンドリュー・ヨム・スジョン(廉洙政)大司教(平壌教区管理者兼任)を枢機卿に任命したことも、教皇の韓国への関心の強さを示しているようだ。


◎インターネットは「神からの贈り物」と教皇

 【CJC=東京】教皇フランシスコは1月23日、インターネットを「神からの贈り物」と位置付け、信者らに対し「臆することなくデジタル世界の市民になる」よう呼び掛けた。毎年「世界広報の日」に関連して教皇が発表するメッセージで明らかにしたもの。
 2013年の教皇選出後初めて迎えた「世界広報の日」に、アルゼンチン出身の教皇は「インターネットは出会いと連帯の計り知れない可能性を与えてくれる。これは真に良きものであり、神からの贈り物だ」として、「臆せずデジタル世界の市民になろう。われわれのコミュニケーションが、痛みを和らげる薬と心を明るくする美酒となるように」と促した。
 AFP通信によると、教皇は「よく思うことだが、もし通りに出て傷を負った教会と、自分の殻に閉じこもったきり出られない教会のどちらかを選ばなければならないとしたら、私は迷いなく前者を好む。この『通り』こそ、人々が暮らしている世界であり、確実に、愛情を持って人々に接することのできる世界だ。デジタルの高速道路もその一つで、そこは傷ついた人々、救済や希望を求める男女であふれている」と指摘した。
 ただし、デジタル世界に1日24時間つながっていたいという欲求のせいで、かえって社会から孤立することがあってはならないと戒め、「デジタル高速道路に単に『接続している』ことに甘んじ、そこを行き来しているだけでは不十分だ。つながりは、真の出会いへと深める必要がある」と説いている。


◎ビザンチン帝国時代の教会跡発見

 【CJC=東京】イスラエル南部モシャブ・アルーマで、1500年近く前、ビザンチン帝国時代の教会跡が発見された。現場は地中海沿岸のアシュケロンとエルサレムの中間に位置し、当時は繁栄した都市だった可能性がある。
 イスラエル考古局の学者が、建築現場の事前調査で長さ約21メートル、幅約12メートルのバシリカ(大聖堂)を発掘した。周辺のキリスト者の礼拝場所と見られる。
 考古局のダビダ・ダガン氏は米キリスト教放送CBNに「一帯でビザンチン時代の発掘を行っているが、教会はこれが最初だ」と語っている。
 教会の床はモザイクで、葡萄の樹が描かれた円形のメダル、動物やイエス・キリストを「P」と「X」の字を重ねるようにして表現した「キリストグラム」もあった。その脇にはギリシャ文字のアルファとオメガが記されていた。礼拝に来た人たちが「踏む」場所であることから、人間としての描写を意図的に避けたと見られる。
 モザイクは慎重にはがして保存、公開も予定している。それ以外は、現場を覆土し、調査は将来に委ねると言う。


◎教皇、オランド仏大統領と会見

 【CJC=東京】教皇フランシスコは1月24日、バチカン宮殿でフランスのフランソワ・オランド大統領と会見した。
 バチカン放送(日本語電子版)によると、会見は和やかな雰囲気のうちに行われ、共通善に対する宗教の貢献が中心的話題となった。
 フランスと教皇庁の友好関係に触れながら、共通の関心問題における建設的な協力のために、国家とカトリック教会の定期対話の重要性が強調された。また、人間の尊厳の擁護と推進について、家庭、生命倫理、宗教共同体の尊重、信仰の場の保護などがテーマとなった。
 国際問題では、貧困・発展・移民・環境などの問題が取り上げられた。中東、アフリカなど紛争地域で、少数派の民族・宗教をはじめすべての社会構成員の参加と対話による、社会の平和的共存の再構築が要望された。
 オランド大統領は、バチカン国務長官ピエトロ・パロリン大司教および外務局長ドミニク・マンベルティ大司教とも会見した。


《短信》

〇米大統領、3月に欧州歴訪、教皇とも会談へ
 バラク・オバマ大統領が3月24日からオランダ、ベルギー、イタリア、バチカンを歴訪すると発表した。バチカンでは教皇フランシスコとも会談する。(CJC)

〇米聖書協会新会長にロイ・パターソン氏
 聖書翻訳団体『ウイクリフ』の関連会社シード社のロイ・パターソン会長兼CEOを、米聖書協会が新会長に選任した。(CJC)

〇リオで4万回の落雷、キリスト像の親指欠ける
 リオデジャネイロは1月16日、激しい嵐に見舞われ、約4万回の落雷があった。コルコバードの丘の上に立つ高さ約40メートルのキリスト像の右手の親指が欠けているのが発見された。(CJC)


《メディア展望》

 =カトリック新聞(1月26日)=https://www.cwjpn.com
★教皇フランシスコ=「日本のキリシタン模範に」=迫害下のキリスト者励ます
★阪神淡路大震災から19年=追悼と新生の祈り 今年も=東北の子どもたちが参加=兵庫・たかとり教会
★すべての子どもたちのために=祈りと支援呼び掛け=教皇庁宣教援助事業・カトリック児童福祉会
★名古屋教区=教区挙げて街頭へ=フィリピン台風の被災者支援
★「武器流入止めよ」=バチカン研究部会 =シリア内戦で声明文

 =キリスト新聞(1月25日)=https://www.kirishin.com
★キリシタンの歴史に学ぼう=〝迫害の中に信仰守る〟=教皇、一般接見で洗礼強調
★教皇が新枢機卿任命=韓国ヨム・スジョン大司教ら
★東日本大震災から3年=被災地で記念礼拝開催
★神秘的な魅力持つロマネスク美術=「人間と神との意思疎通を表現」=オラニェタ氏がスペインから初来日
★「袴田事件」の再審求め=支援者ら約7万4千人の署名提出

 =クリスチャン新聞(1月26日)=https://jpnews.org
★9条にノーベル平和賞を=一人の母の願いに賛同者・推薦人ノミネートへ
★本郷台サッカースクール エスペランサ=砂埃グラウンド 人工芝に=竣工記念セレモニーで交流試合
★祈り会「きんぱち」=為政者、フィリピン台風、東北のため=ただただ主に祈り求める
★心病む人、自死遺族支え=精神科医・平山正實氏を偲ぶ
★生涯キリスト教出版人=元新教出版社社長・秋山憲兄氏逝く


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