世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1200信(2014.01.20)

  • 国連、バチカンに児童虐待への対策迫る
  • 日本のキリシタンの歴史に学べ、と教皇
  • 性的虐待で前教皇384人の聖職剥奪
  • 駐バチカン外交団に教皇が人工妊娠中絶で警告
  • 教皇が「バチカン銀行」監督体制刷新
  • ロシア正教会では「神現祭」祝う
  • 教皇がバレンタインに婚約カップル招待
  • 教皇のハーレーがオークションへ
  • 「心の痛み耐え難い」と小銃設計者カラシニコフ氏
  • 情報「風船」を北朝鮮へ向け飛ばす
  • 《短信》
  • 《メディア展望》


◎国連、バチカンに児童虐待への対策迫る

 【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)は1月16日、カトリック教会聖職者の未成年者への性的虐待を抑止のための取り組みついて、スイス・ジュネーブで開かれた国連・子どもの権利委員会に使節団を派遣、6時間に及ぶ質疑に答えた。
 バチカン使節団の、元公益保護官チャールズ・シクルナ氏(マルタ大司教区補佐司教)は、何をなすべきかをカトリック教会が理解していると主張した。AFP通信によると、「特定の事案について、今とは違った対応が必要なことは理解している」などと述べた。
 これに対しサラ・オビエド委員は、使節団に「あなた方(バチカン)は実行に移す必要がある。われわれは具体的な行動を目にする必要がある」と述べた。
 国連が1989年に採択した『子どものための権利条約』締約国は、規則が遵守されているかどうかを示した報告書を定期的に提出することが求められている。報告書提出に同意しているバチカンが同委員会に最初に使節団を派遣したのは、同教会の聖職者の児童虐待問題が明るみに出る前の1995年で、16日の派遣は2回目。
 バチカンが提出した報告書と同日の質疑応答に基づき、同委員会は2月5日までに勧告を行う予定。勧告内容は法的義務ではないが、道義的責任が問われることになる。
 英国に拠点を置く『子どもの権利国際ネットワーク』のベロニカ・イエーツ代表は、AFP通信の取材に対し、「国連からのメッセージは明白。『あなた方(バチカン)は規則を守っていない』『責務を果たそうという意欲がない』『否定し話をそらしている』だ。人権を促進する国際機関がこう言ったのはこれが初めてだ」と述べた。


◎日本のキリシタンの歴史に学べ、と教皇

 【CJC=東京】教皇フランシスコは1月15日、バチカンで、水曜恒例の一般接見を行い、カテケーシス(教会の教えの解説)で、先週に続き、洗礼の秘跡について述べる中で、長く激しい迫害の時代にも、洗礼によって脈々と受け継がれた日本の「キリシタン」の信仰を紹介した。
 教皇は、キリストの神秘体の一部となり、神の民に加わるために必要な洗礼、信仰を世代から世代へと伝えていくためにも重要な洗礼の意味を解説した。
 バチカン通信(VIS)によると、教皇は「神の民のための洗礼の重要さを語る上で、日本のキリスト教共同体の歴史は模範となる」と述べ、禁教時代の日本の信者たちの苦難の歴史を語った。
 「日本のキリスト教共同体は、17世紀初頭から厳しい弾圧を受けました。これによって多くの殉教者を出し、司祭たちは追放され、信者数千人が殺害された。日本に司祭はいなくなった。皆、追放されてしまったからだ。そこでキリスト教共同体は、潜伏生活に入り、隠れた生活の中で信仰と祈りを守った」
 「子どもが生まれると父親か母親が洗礼を授けた。なぜならすべての信者は、特別な状況においては、洗礼を授けることが出来るからだ」
 「そして2世紀半、250年の後、日本に宣教師が戻った時、何千人ものキリスト者が公然と姿を現し、教会は再び花開くことが出来た。彼らは洗礼のおかげで生き残った。これは偉大なことだ。神の民は子どもたちに洗礼を授け、それが続くことによって、信仰が伝えられていく。日本の信者たちは、隠れながらも、強い共同体の精神を保ち続けた。なぜなら洗礼が彼らをキリストにおいてただ一つの体としたからだ。信者たちは孤立し、隠れてはいたが、常に神の民の一部だった」
 教皇は「この歴史からわたしたちは多くのことを学ぶことが出来る」と締めくくった。


◎性的虐待で前教皇384人の聖職剥奪

 【CJC=東京】AP通信によると、世界各地で発覚したカトリック聖職者による未成年者らへの性的虐待問題で、前教皇ベネディクト16世が2011〜12年に計384人から聖職を剥奪していたことがバチカン(ローマ教皇庁)の内部文書で分かった。この文書を同通信が入手、1月17日報じた。
 2008〜09年は計171人であることが公表されており、それから大幅に増えた。増加の理由は不明だが、10年に欧州など各地で次々と新たな性的虐待問題が発覚したことが影響している模様。
 教皇庁は虐待を隠し、問題を起こした聖職者をかばってきた、と被害者団体などから非難されてきた。教皇庁は、ジュネーブで開かれた国連子どもの権利委員会でも16日、虐待問題での一層の情報開示を委員から要求されている。


◎駐バチカン外交団に教皇が人工妊娠中絶で警告

 【CJC=東京】教皇フランシスコは1月13日、バチカン(ローマ教皇庁)駐在の外交団と王宮の間で会見、新年挨拶の言葉を述べた。
 教皇は最近の世界情勢を展望しつつ、各地域の平和を願い、家庭、命、宗教の自由、環境などの尊重を呼びかけられた。カトリック教会の「世界平和の日」の今年度のテーマ、「平和への道と基盤としての兄弟愛」を掲げつつ、奉仕の精神と平和的共存を育てる兄弟愛は、家庭において学ぶものと教皇は強調した。
 教皇はまた他、世界で見られる飢餓、人工妊娠中絶、子どもたちへの搾取と暴力、人身売買、自然環境や資源の破壊などにも警告を発した。
 特に人工妊娠中絶について「恐ろしい事で、新たな"使い捨て文化"の一部である」と、厳しい表現で非難した。教皇がこの問題に関し、自身の考えをこれほどはっきりと発言したのは昨年3月の即位後、初めて。
 ロイター通信などは、この発言に注目して報道した。
 2013年2月に南スーダンとの国交を樹立したことで、現在、バチカンと外交関係のある国は180国。外交団にはさらにマルタ騎士団、欧州連合、パレスチナの特別使節が加わる。


◎教皇が「バチカン銀行」監督体制刷新

 【CJC=東京】教皇フランシスコは1月15日、マネーロンダリング(資金洗浄)関与の疑惑が消えない『宗教事業協会』(バチカン銀行)を監督する枢機卿委員会のメンバーを大幅に刷新した。担当の枢機卿5人は、タルチジオ・ベルトーネ前国務長官ら前教皇ベネディクト16世に任命された枢機卿で、任期はまだ1年残っていた。しかしジャン=ルイ・トゥーラン枢機卿(諸宗教対話評議会議長)を除く4人を事実上更迭、ピエトロ・パロリン国務長官らが新たに任命された。
 カトリック教会への寄付金などを管理する『宗教事業協会』は、不正な金融取引に関与している疑いが消えず、欧州評議会は2012年、取引の透明性評価で「不合格」の判定を下している。


◎ロシア正教会では「神現祭」祝う

 【CJC=東京】ロシア正教会は1月19日、「神現祭」(主の洗礼祭)を祝った。イエスがヨルダン川で洗礼者ヨハネから洗礼を受けたことを記念する祭日で、ユリウス暦の1月6日に祝うものだが、グレゴリオ暦では19日に当たっている。
 モスクワおよび全ロシア総主教キリルはこの日、聖水式を行なった。モスクワでは洗礼場所が50個所設けられた。


◎教皇がバレンタインに婚約カップル招待

 【CJC=東京】バレンタインデーを迎えるために特別な場所を捜している婚約中のカップルを、教皇フランシスコが2月14日の一般接見に招待する。
 「ハイと言う喜びを永遠に」というこの企画は「(カトリック教会の)結婚準備講座を修了したか、現在受講している婚約中のカップルを教皇接見に招待する」とあり、1月30日までに教区を通じるか、電子メールで申し込むよう家庭評議会のサイトで案内している。
 バレンタインデーは、結婚禁止令に背き密かに結婚式を執り行ったため273年2月14日に殉教したとされる聖バレンタインにちなんだもの。


◎教皇のハーレーがオークションへ

 【CJC=東京】米オートバイメーカー『ハーレーダビッドソン』が教皇フランシスコに贈呈したハーレーが、パリで2月6日行われるオークションに出品される。英競売大手『ボナムズ』が1月13日発表した。
 同社によると、出品されるのは、『ハーレーダビッドソン』が創業110周年を記念して昨年6月教皇に贈った1585CCのダイナスーパーグライド。ガソリンタンクに教皇のサインがあり、予想落札価格は1万2000〜1万5000ユーロ(約170万〜210万円)。
 このハーレーは昨年11月に教皇が、イタリアのカトリック系慈善団体『カリタス・ローマ』に寄付していた。オークションの売り上げは、ローマ駅に設けている無料の簡易宿泊所と食堂の改修費用に当てられるという。


◎「心の痛み耐え難い」と小銃設計者カラシニコフ氏

 【CJC=東京】旧ソ連時代にカラシニコフ自動小銃AK―47の設計者として知られ、2013年12月23日、ロシア中部ウドムルト共和国イジェフスク市で94歳で死去したミハイル・カラシニコフ氏が生前、自分が設計した小銃で多数の人々が命を落としたことを悔やみ、「心の痛みは耐え難い」などと、ざんげする手紙を書いていたことが分かった。ロシア紙『イズベスチヤ』が1月13日報じた。
 同氏は13年4月7日、ロシア正教会の最高指導者キリル総主教に宛てて「私の自動小銃が人々の生命を奪ったことは、たとえ敵の死であったとしても、私に罪があるのではないか」と書いていた。
 同銃は旧東側諸国や発展途上国、紛争地を中心に広がり「人類史上、最も多くの人を殺した武器」とも言われる。
 キリル総主教は、「愛国主義の手本で、国に対する正しい行いだ」と返答したという。


◎情報「風船」を北朝鮮へ向け飛ばす

 【CJC=東京】民主主義の宣伝文書を詰め込んだ「風船」を米国の人権団体『ヒューマン・ライツ・ファウンデーション』が韓国の『ファイターズ・フォア・ア・フリー・ノース・コリア』と協力して1月15日、北朝鮮に向けて、非武装地帯の南側から飛ばした。
 厳しい情報統制下にある北の市民に向け、知らされない世界の情報を伝える狙い。
 「風船」は透明樹脂で作成された長さ6メートルほどの筒状のもの20個で、タイマーが働くと「風船」が破れ着地するという。宣伝文書は総数50万冊。
 昨年7月にも飛ばす計画だったが、韓国当局に阻止された経緯がある。


《短信》

〇米長老教会から離脱保守グループ加盟教会100超える
 米長老教会(PCUSA)を2012年に離脱、『エバンジェリカル・カブナント・オーダー・オブ・プレスビテリアン』(ECO)を結成したグループは、13年末に加盟教会数が100を超えた、とニュースサイト『クリスチャン・ポスト』報道。(CJC)


《メディア展望》

 =カトリック新聞(1月19日)=https://www.cwjpn.com
★教皇フランシスコ 今年最初の一般謁見で語る=洗礼の秘跡が与える=希望とゆるし、愛する力
★教皇、5月に聖地訪問へ=エルサレム総大司教が歓迎
★司教と修道会の関係で=教皇、規範の改定命じる
★枢機卿 新たに19人=アジアからは2人=韓国と比の大司教
★神道に新年あいさつ=バチカンのトーラン枢機卿

 =キリスト新聞(1月18日)=https://www.kirishin.com
★〝和解と平和願い努力した人々の心踏みにじる行為〟=安倍首相の靖国参拝に抗議相次ぐ
★「震災復興と宗教」テーマに日宗連セミナー=〝「政教分離」で公的支援受けられず〟
★グテーレス国連難民高等弁務官が会見=「シリア・レバノンは危機」
★ルーテル学院大・神学校=新学長に江藤直純氏=新校長に石居基夫氏
★参加の呼びかけに300人=日本聖書協会主催クリスマス礼拝

 =クリスチャン新聞(1月19日・休刊)=https://jpnews.org


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