世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1189信(2013.11.04)

  • WCC第10回大会が釜山で開幕
  • 教皇、来年2月に枢機卿会議を開催
  • シプリアーニ枢機卿が教理省長官を非難
  • 教皇がスー・チー氏と会見、宗教間の対話強調
  • 米情報機関がバチカンも盗聴か=伊週刊誌
  • 上海の馬司教「軟禁」が緩和?
  • エリトリアでキリスト者締め付け強化?
  • キリスト教系誌をマレーシア空港で一時差し押え
  • 《短信》
  • 《メディア展望》

◎WCC第10回大会が釜山で開幕

 【CJC=東京】世界教会協議会(WCC)第10回大会が10月30日、主題「生命の神、わたしたちを正義と平和に導いてください」のもと韓国・釜山で開幕した。
 開会礼拝は、世界各地の様々な伝統を重んじる連続祈祷が行われた。アジア、中東、欧州、アフリカ、北米、カリブ海地域、ラテンアメリカ、太平洋地域の諸教会の嘆き、叫び、望みが聞こえた。
 最初の全体会議では、釜山市長、大会ホスト委員会議長、WCCのオラフ・フィクセ=トゥベイト総幹事らが、代議員や参加者へ歓迎の挨拶をした。
 トゥベイト総幹事は、韓国の教会、釜山市、韓国政府に感謝の言葉を述べ、加盟345教会から、青年、WCCスタッフ、スチュワード(世話係)、通訳など約3000人、韓国教会から1000人以上が参加している、と語った。100を超す国・地域から参加している。
 総幹事は、前回のブラジルのポルトアレグレ第9回大会以後にWCCに加盟した『ブラジル独立長老教会』『ラオ福音教会』『ヨルダンと聖地の福音ルーテル教会』を歓迎、紹介した。
 大会開会宣言はWCC中央委員会のワルテル・アルトマン議長が行った。
 WCC大会は、1948年にオランダのアムステルダムで開催以来、54年エバンストン(米)、61年ニューデリー、68年ウプサラ(スウェーデン)、75年ナイロビ(ケニア)、83年バンクーバー、91年キャンベラ、98年ハラレ(ジンバブエ)、2006年ポルトアレグレ(ブラジル)で開催された。


◎教皇、来年2月に枢機卿会議を開催

 【CJC=東京】教皇フランシスコは来年2月に新枢機卿任命のための枢機卿会議を開催する。バチカン(ローマ教皇庁)広報事務所長フェデリコ・ロンバルディ神父によると、教皇は10月1〜3日にバチカンで開かれた枢機卿顧問評議会と7〜8日のシノドス評議会の席上、2014年2月22日「聖ペトロの使徒座」の祝日に枢機卿会議(コンチストーロ)を開き、新しい枢機卿を任命したい、と参加者に伝えていた。
 バチカン放送(日本語電子版)によると、教皇は世界各国の枢機卿らが他の会議への参加も含めて全体の予定を立てやすいよう、早めに枢機卿会議招集を発表することを望んでいた。
 枢機卿会議が行なわれる来年2月には、バチカンでは様々な集まりが行われる。枢機卿会議の前には、慣例として枢機卿会による全体会合が開かれるほか、17〜18日に教皇フランシスコが設立した枢機卿顧問(8人)評議会による会合、24〜25日にはシノドス評議会のミーティング、さらに教皇庁の財政・組織問題についての枢機卿(15人)評議会も予定されている。


◎シプリアーニ枢機卿が教理省長官を非難

 【CJC=東京】ペルー・カトリック教会リマ大司教のフアン・ルイス・シプリアーニ枢機卿は、バチカン(ローマ教皇庁)教理省長官のゲルハルト・ルードビッヒ・ミュラー大司教が、「解放の神学」に対して好意的な姿勢を示していることは「誤って」いる、と語った。
 ミュラー大司教は10月初め、バチカンと「解放の神学」の間に和解を樹立することが重要、とする声明を発表していた。それへの応答の形でシプリアーニ枢機卿が「彼は間違っていると思う。ミュラー大司教の仕事は、カトリック信仰の健全な教義を擁護することなのだから、無邪気なことは止めなければならない」と述べた。
 ミュラー大司教は、「解放の神学」の唱導者の1人であるグスタボ・グチエレス神父と親しく、『貧者の側に=解放の神学、教会の神学』を共著した。
 シプリアーニ枢機卿は、教皇フランシスコがこの過激運動を支援している、というミュラー大司教の主張にも異議を挟んでいる。
 ペルーでは長老格のシプリアーニ枢機卿は、属人区『オプス・デイ』会員。1996〜97年にかけてリマの日本大使公邸占拠事件では、反政府組織と交渉し、日本人とペルー人の人質の救出に尽力した。
 「解放の神学」は、南米では今も人気がある。教皇ヨハネ・パウロ2世は、「解放の神学」があまりに政治的過ぎるとして、1980年代に中和しようと努めていた。


◎教皇がスー・チー氏と会見、宗教間の対話強調

 【CJC=東京】教皇フランシスコは10月28日、欧州歴訪中のアウン・サン・スー・チー氏とバチカン(ローマ教皇庁)使徒宮殿の教皇書斎で会見した。同氏は政治犯として自宅軟禁されていたが、獄中でノーベル平和賞を受賞した。ミャンマー最大野党『国民民主連盟』(NLD)党首。教皇は、ミャンマーで頻発する仏教徒とイスラム教徒の衝突を念頭に、宗教間の対話の必要性を強調した。
 バチカン報道事務所長のフェデリコ・ロンバルディ神父は「教皇とアジア世界の象徴的存在との間に一致と合意の感覚が満ちていた」と記者団に述べた。教皇はアジア大陸訪問の願いをスー・チー氏に語ったと言う。


◎米情報機関がバチカンも盗聴か=伊週刊誌

 【CJC=東京】イタリアの主要週刊誌『パノラマ』が10月31日発売の最新号で、米国家安全保障局(NSA)がバチカン(ローマ教皇庁)の電話も盗聴していた可能性があるとする記事を掲載した。
 同国のANSA通信が30日、同誌の記事掲載を事前に報じた。
 3月に行われた教皇選挙(コンクラーベ)の際に、選出前の現教皇フランシスコが泊まっていたローマ市内にあるバチカン経営の宿泊施設の通話も盗聴されていた疑いも報じられていた。教皇として後継に選ばれたベルゴリオ枢機卿の通話も盗み聞きされていた恐れがあるという。前教皇ベネディクト16世も対象だった可能性もある。
 バチカン報道事務所は30日、盗聴疑惑について「何も承知していない」とコメントした。米国家安全保障局(NSA)も30日、バチカンの電話を盗聴していた可能性があるとの報道について、「NSAはバチカンを対象にしておらず、報道は真実ではない」と否定する声明を出した。


◎上海の馬司教「軟禁」が緩和?

 【CJC=東京】中国カトリック教会上海教区のタデウス馬達欽(マー・ターチン)補佐司教が10月24日、市内にある葬儀場「龍華殯儀館」で行われたシェン・バオイ氏の葬儀に参列、遺体を祝福した。
 政府公認のカトリック教会『天主教愛国会』のアロイジウス・ジン・ルシャン補佐司教の後継者と見られていた馬司教だが、2012年7月、愛国会に属すことは自分の宣教と相容れないと発表して以来、シャーシャン神学校に軟禁されている。
 シェン氏は光啓出版社編集長を務め、10月20日、90歳で死去した。同社は1970年代後半に宗教活動への規制が緩和されてから最初に設立されたカトリック出版社。馬司教は、シェン氏の遺族に慰めの言葉を掛けた後、退出したという。
 カトリック通信UCANは、馬司教軟禁が「最近になって僅かながら緩和されたようだ」と報じている。この7月には、当局側の同行があったものの、革命の聖地とされる井崗山を訪問している。これが当局への恭順を示す「象徴的姿勢」だったと指摘する向きもある。ただUCAN通信は、馬司教が釈放され、すぐに宣教復帰が許されると見るのは早計としている。


◎エリトリアでキリスト者締め付け強化?

 【CJC=東京】アフリカ北東部のエリトリア保安当局が、首都アスマラ北郊で行われていた祈祷会に踏み込みキリスト者185人を逮捕した。英字通信『エリトリア・トゥデー』が10月30日報じた。逮捕されたほとんどが女性。
 「教会指導者は今回の逮捕が、キリスト者に対する新たな取り締まり強化の一環であり、さらなる抑圧の波の始まりではないか恐れている」と教会抑圧監視団体『リリース・インターナショナル』のポール・ロビンソン代表が現地活動家の話として伝えている。
 祈祷会は、エリトリアからの出国のために開かれたと見られる。国連人権報告によると、エリトリアからの脱出は「見つけ次第射殺」される危険を冒し、毎月数千人規模に達しているという。
 一方で、キリスト教信仰を理由に逮捕されたキリスト者は現在1500人に及んでいる。
 2002年に、政府は正教会、カトリック、ルーテル派以外の全教会を閉鎖、指導者を逮捕した。また活動を認めた宗教団体に関しても厳しく規制し、率直に発言する指導者には迫害を加えている。正教会総主教は2005年行方不明になっている。


◎キリスト教系誌をマレーシア空港で一時差し押え

 【CJC=東京】「神」を表す語として非イスラム教徒が「アラー」を使用することは認められないとする控訴審判決が出たマレーシア。問題の発端となったキリスト教系週刊誌『ヘラルド』2000部が空輸先のサバ・サラワク州コタキナバル空港で10月24日一時差し押えられた。マレー半島部とサバ・サラワク州で異なる扱いが認められたことからの混乱と見られている。
 教会側が内務省に抗議し、27日に差し押えは解除された。


《短信》

〇タデウシ・マゾビエツキ元ポーランド首相死去
10月28日、ワルシャワの病院で死去、86歳。自主管理労組「連帯」の民主化要求運動をレフ・ワレサ議長(後の大統領)らと率い、戒厳令が敷かれた81年から1年間投獄された。(CJC)

〇捜査員はキング牧師記念碑訪問を
 米連邦捜査局(FBI)のジェームズ・コミー長官が10月28日の就任式演説で、権力乱用への自戒を促すため、盗聴対象になった公民権運動家マーチン・ルーサー・キング牧師の記念碑を訪れるよう新人捜査員に指示するつもりだと語った。(CJC)

〇ロス銃乱射事件はキリスト教原理主義と関係か
 ロサンゼルス国際空港で11月1日、起きた銃乱射事件のポール・シアンシア容疑者(23)が、現場にキリスト教原理主義との関係をうかがわせるメモを残していたことが分かった。(CJC)


《メディア展望》

 =カトリック新聞(11月3日)=https://www.cwjpn.com
★教皇フランシスコ=マリアは信仰の模範=「素朴にキリストと一致」
★ドイツの"ぜいたく司教"=教皇が休職処分を認可
★教皇=ルーテル教会代表らと会見=与え合った危害と犯した罪にゆるし願うこと
★教会関係の被災ないが...=伊豆大島=担当司祭「つながり意識する土地柄」
★カトリックひきこもり支援東京大会=「自分自身の研究」を

 =キリスト新聞(11月2日)=https://www.kirishin.com
★今日、ボンヘッファーから学ぶ=日本初の国際学会、東京と関西で=クリスティアーネ・ティーツ氏が特別講演=〝地上の生をキリストのように〟
★釜山でWCC世界大会開催=主催「生命の神、わたしたちを正義と平和に導いてください」
★「国際ガールズ・デー」イベント=女の子の未来閉ざさないで=明学大ボランティアセンター、プラン・ジャパン
★「世に勝つ信仰」テーマに=東京=朝祷会関東ブロック大会
★「特定秘密保護法案」に反対=キリスト教出版界が共同声明

 =クリスチャン新聞(11月3日)=https://jpnews.org
★「聖書を読む会」のルーツ=バージニア・ボーエン宣教師死去=宣教体験が生んだ「基礎の学び」
★台風26号 伊豆大島土石流被害=教会役員信徒 犠牲に
★めぐみさんは生きている=西岡力氏=菅官房長官の発言など観測=拉致から36年 祈りに希望託し
★知識人の関心が中国史上最高=漢語基督教文化研究所ダニエル・ヤン所長
★キリスト教メディア・出版人ら「機密保護法案」反対で共同声明


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