世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1187信(2013.10.21)

  • 釜山で30日からWCC世界大会
  • スウェーデン教会に最初の女性首席大監督
  • 教皇フランシスコが来年イスラエル訪問へ
  • バチカン国務長官交代で教皇が退任枢機卿に感謝
  • 教皇参加の「四旬節」黙想会をローマ郊外で
  • バチカンで運動会?教皇庁が主催
  • フィリピン中部でM7・1、最古の教会も被害
  • マレーシア高裁もキリスト者の「アラー」使用禁止
  • タイでロシア正教会が新たに2教会建立へ
  • カイロの教会付近で発砲、3人死亡
  • 《短信》
  • 《メディア展望》

◎釜山で30日からWCC世界大会

 【ジュネーブ=CJC】世界教会協議会(WCC、本部ジュネーブ)は第10回大会大会を主題「生命の神、わたしたちを正義と平和に導いてください」のもと10月30日から11月8日まで韓国釜山で開催する。
 オラフ・フィクセ=トゥベイト総幹事は、大会が謙遜、誠実、希望に満たされ世界規模のエキュメニカル(教会一致)運動を革新する機会となる、と期待している。「正義と平和が、単なる言葉ではなく基本的な構想として存在する所には、謙遜、誠実、希望を通じ、わたしたちが人間として共に生き、一つの世界の一つの教会となることが可能だ」から、とノルウェー教会(ルーテル派)牧師でもあるトゥヴェイト総幹事は言う。
 大会にはアジア、太平洋、アフリカ、欧州、中東、北米、中南米の各地から青年を中心に参加者が見込まれている。地元の韓国からはキリスト者数千人が参加すると見られる。
 韓国での開催について、トゥベイト総幹事は「大会が分断された朝鮮半島の再統一を呼び掛けてきた韓国の教会との連帯を表明する地球規模の友好の場所となろう」と期待を込めている。
 またアジアは世界で経済成長している地域の一つなので、グローバリゼーションの現実に対し批判と期待を込めた声と、また正当で維持可能な変革を必要とする開発パラダイムとを提供する場所として大会に大きな可能性がある、とトゥベイト総幹事は見ている。「わたしたち全てが生命の神と出会う場として、正義と平和へ向けての巡礼に共に向かうために祈る」と言う。
 WCC大会は、1948年にオランダのアムステルダムで開催以来、54年エバンストン(米)、61年ニューデリー、68年ウプサラ(スウェーデン)、75年ナイロビ(ケニア)、83年バンクーバー、91年キャンベラ、98年ハラレ(ジンバブエ)、2006年ポルトアレグレ(ブラジル)で開催された。


◎スウェーデン教会に最初の女性首席大監督

 【CJC=東京】スウェーデン教会(ルーテル派)は10月15日、同派の歴史上初めて女性を指導者として選出した、と発表した。
 ルンドのアンティエ・ヤッケレン監督(58)が選挙権者324人以上の55・9%の支持を獲得、現任のアンデルス・ウエジリド首席大監督を退けた。
 「ちょっとクラッとしたが、支持に感謝」とヤッケレン監督は同国のTT通信に語った。「もう50年以上、女性牧師がいるのだから、そんなに驚く事でもない。ちょうど良かったのでは」と言う。1980年聖職叙階、牧師と結婚、子ども2人。
 同派にはスウェーデン国民の約3分の2が所属しているが、2000年には国家から独立している。ルーテル派として、米、加、独、ノルウェーに次いで女性を指導者に任命したことになる。


◎教皇フランシスコが来年イスラエル訪問へ

 【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)は10月17日、教皇フランシスコが来年イスラエルを訪問する計画だと発表した。
 教皇は同日、バチカンでパレスチナのマフムード・アッバス自治政府議長と会談した。アッバス議長が教皇にパレスチナ訪問を招請した。イスラエルのシモン・ペレス大統領は今年3月の教皇選挙の直後に、イスラエル訪問を招請している。
 バチカン報道事務所のフェデリコ・ロンバルディ所長は、アッバス議長からの招請を受けて、「教皇の訪問計画を具体的に検討し始めることができる」とし、訪問は来年行われる可能性があると語った。
 フランシスコ教皇のイスラエルとパレスチナ訪問が実現すれば、教皇訪問としてはパウロ2世とベネディクト16世に次ぐものとなる。
 教皇とアッバス議長は17日の会談で、中東紛争、特にイスラエルとパレスチナの交渉再開について話し合った。


◎バチカン国務長官交代で教皇が退任枢機卿に感謝

 【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)で10月15日、国務長官交代の会合が行われた。教皇フランシスコは、退任するタルチジオ・ベルトーネ枢機卿(78)に感謝を述べると共に、新しく同任務に就くピエトロ・パロリン大司教に歓迎の言葉を送った。同大司教は健康上の理由で参加しなかった。
 バチカン広報事務所長フェデリコ・ロンバルディ神父は、同大司教が「小さな外科治療を受ける必要があったが、幸い重大なものではなく、ほどなく公務に復帰できる」と語った。正式就任は数週間先になると見られる。
 バチカン放送(日本語電子版)によると、教皇はベルトーネ枢機卿への挨拶で、サレジオ会員の精神をもって、教職、教区での司教職、教皇庁の任務に至るまで、教会に寛大に奉仕し、教会と教皇への愛と共にベネディクト16世とご自身に国務長官としての協力を惜しまなかった同枢機卿に深い感謝を表明した。
 ベルトーネ枢機卿はこれまで兼任していた『カメルレンゴ』の職は継続する。教皇が不在となった際には『教皇空位期間管理局』の長官として教皇代理の役職を果たす名誉職と見られている。


◎教皇参加の「四旬節」黙想会をローマ郊外で

 【CJC=東京】2014年度の「四旬節」黙想会をローマ郊外アルバーノ・ラツィアーレで行なう、とバチカン放送が報じた。
 復活祭前の準備期間である四旬節には、教皇フランシスコが参加の下、バチカンの高位聖職者らを対象にした黙想会が催される。
 来年度の「四旬節」黙想会は、アルバーノ・ラツィアーレの聖パウロ修道会の黙想の家『カーサ・ディヴィン・マエストロ』を会場に、3月9〜14日行なわれる。黙想は、ローマ教区のアンジェロ・デ・ドナティス神父が指導する。
 バチカン(ローマ教皇庁)国務省の声明は、黙想会を日頃の職場から離れた静かな場所で行なうことで、より祈りと観想に専念できるだろうと述べている。


◎バチカンで運動会?教皇庁が主催

 【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)のサンピエトロ広場の真ん中『和解の道』に作られた陸上トラックを10月20日、カトリック教徒たちが全力で駆け抜けた。AFP通信が報じた。
 バチカン主催の「100メートル走と信仰」と題されたイベントで、教育的・文化的・精神的なスポーツの価値をたたえるのが目的という。
 約5000人の信者が参加。この異例のイベントに、フランシスコ教皇もバルコニーから行った「お告げの祈り」で「カトリック信者がスピリチュアル・アスリートであることを思い出させてくれた」と参加者らを称賛した。
 バチカン文化評議会によると、100メートル走はあくまで「祈りの場」であり、参加者には「世界に向けた信仰と希望のメッセージ」を携えて走らなければならないとのルールが課せられていた。


◎フィリピン中部でM7・1、最古の教会も被害

 【CJC=東京】フィリピン中部で10月15日午前8時過ぎ、マグニチュード(M)7・1の地震があり、震源地のボホール島や近隣のセブ島でビルが倒壊、土砂崩れで家屋が埋まり、逃げ惑う住民が将棋倒しになるなどの被害が発生、死者も100人を超えた。
 セブ島にあるフィリピン最古のサント・ニーニョ教会の石灰岩造りの鐘楼が倒壊、ボホール島では18〜19世紀建立の複数の教会が全壊した。
 震源は首都マニラから南東約620キロ。


◎マレーシア高裁もキリスト者の「アラー」使用禁止

 【CJC=東京】マレーシア高裁は10月14日、4年前に出されていた下級審の判示を覆し、「アラー」という語をキリスト者が使用することを禁止した。
 キリスト者が「アラー」を使用する時はイスラム教徒をキリスト教に改宗させるのが目的だとして、禁止をイスラム教側が求めていた。
 高裁の3判事は、「アラー」をキリスト者が使用することが「社会に混乱をもたらすのは必至で、平和とマレーシアの多くの宗教の間の調和を乱す」としている。また禁止は少数派宗教の権利を侵害せず、「アラーはキリスト教信仰やその実践に重要な部分ではない」と言う。
 マレーシアの2900万人口の大多数はイスラム教徒。


◎タイでロシア正教会が新たに2教会建立へ

 【CJC=東京】インターネット通信『ロシアの声』によると、タイのリゾート地ホアヒン市当局が、ロシア正教会の教会を建立することを認可した。モスクワ総主教座は、同市中心部に土地を購入したことを明らかにしていた。
 2014年2月に、エゴリエフスキー大主教マルクが東南アジア歴訪のなかで起工式を執り行う予定。
 またロシア正教会は観光地チャン島にも教会を建立する予定。タイでは首都バンコクなどにすでに正教会の教会が存在している。


◎カイロの教会付近で発砲、3人死亡

 【CJC=東京】エジプトの首都カイロのギザ地区で10月20日夜、バイクに乗った男がコプト教会付近にいた人々に向けて発砲し、8歳の少女を含む3人が死亡、9人が負傷した。
 バイクに乗り覆面をした男が、結婚式を終え教会から出てきた参列者に向かって手当たり次第に発砲した。犯行声明は出されていない。
 コプト教会指導者が、イスラム同胞団系のムハンマド・モルシ大統領の排除に協力したとして、イスラム教徒の反感を買い、狙撃の対象にされている。
 ベシャイ・ロッフィ司祭は、6月末以後、教会を警察が警備しなくなった、とメディアに語っている。
 軍部の最高指導者アブドルファターフ・アッシーシ将軍が、モルシ大統領の権限は剥奪された、とテレビで発表した際、コプト教会の最高指導者タワドロス2世教皇が,傍らに写っていた。
 タワドロス教皇は、アッシーシ将軍によって示された「ロードマップ」が、エジプトの最善の利益を願う高潔な人たちによって案出されたものだ、と語った。イスラム教徒の中には、これがモルシ政権打倒の黒幕が教会だと見て、コプト教徒を狙い撃ちし、店舗、居宅、事業などを襲撃するようになった。教皇自身も脅迫されている。
 コプト教会は紀元50年にアレキサンドリアで創設された。現在800万人強の信徒はエジプト人口の1割を占めている。


《短信》

〇2016年の「世界青年の日」は7月25〜31日
 大会が開催されるポーランドのクラカフ大主教スタニスラフ・ジビッシュ枢機卿が発表した。(CJC)

〇中国でキリスト教系新興宗教『全能神』が急拡大
 中国政府関係者によると、『全能神』の信者は現在、百数十万人。貧富の格差拡大を背景に勢力を急速に伸ばしている。「組織の規則は非常に厳しく、内部管理も徹底している」という。(CJC)

〇オランダのサイエントロジー教会は非課税に
 アムステルダム租税控訴裁判所は10月17日、アムステルダム・サイエントロジー教会が公益のためにのみ運営され、その活動が本質的に宗教的かつ思想的として、非課税であることを確認した。(CJC)

〇ビリー・グラハム氏が来月7日95歳に
 記念会に600人から700人を招待する、と子息フランクリン氏が10月15日発表した。ビル・クリントン元大統領や富豪ドナルド・トランプ氏も。(CJC)


《メディア展望》

 =カトリック新聞(10月20日)=https://www.cwjpn.com
★札幌教区=勝谷司教叙階=「力は弱さの中でこそ」
★岡田司教協議会会長=教皇訪日招待の書簡=教皇庁大使に手渡す
★普遍は画一ではない=教皇 教会の多様性強調
★武蔵野ダルク1周年 東京=薬物依存者の回復=法人化せずに活動
★福島の原発事故「対象区域外」=〝自主避難〟者の声聞く=国の支援法と被災者の現状=東京でイベント

 =キリスト新聞(10月19日)=https://www.kirishin.com
★ハイデルベルク信仰問答450周年=説教塾・教文館共催で記念講演会
★立教に新パイプオルガン=〝人間の声活かす音色〟=英・仏・独系3台を保有
★〝聖書の言葉ダイレクトに〟=俳優・和泉ちぬさんの聖書朗読がCDに
★日キ販主催「クリスマス見本市」=初参加含め44社
★日本聖書協会総主事・渡部信氏インタビュー=〝苦闘する他国の聖書協会へ継続支援を〟

 =クリスチャン新聞(10月20日)=https://jpnews.org
★「お互い様」の関係 今から=教会ネットワークづくりセミナー=大震災に備え顔の見える防災コミュニティー創出を
★バックストン師来たる!?=九州聖会第100回
★チャック・スミス牧師天へ=70年代米国ヒッピーに起きた「イエス革命」=世界の賛美を変えた源流
★「十字架の福音」深めて=世紀を超え受け継がれる九州聖会
★鹿児島で教会全焼=愛された会堂なくなった=エクレシアキリスト福音教会


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