世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1185信(2013.10.07)

  • 教皇フランシスコがアッシジを初訪問
  • ヨハネ23世とヨハネ・パウロ2世を来年4月27日列聖
  • 「枢機卿8人の顧問団」が初会合
  • バチカン銀行が初めてアニュアル・レポート
  • アフリカからの移民船炎上し死者110人超
  • ケニアでイスラム教聖職者殺害めぐり教会放火も
  • コプト教会ミンヤ主教殺人計画失敗
  • 神学者ハンス・キュンクが安楽死も考慮
  • チャック・スミス牧師死去
  • 《短信》
  • 《メディア展望》

◎教皇フランシスコがアッシジを初訪問

 【CJC=東京】教皇フランシスコは10月4日、自らの名前の由来となったイタリアの守護聖人フランチェスコ(フランシスコのイタリア語読み)の生誕地ウンブリア州アッシジを就任後初めて司牧訪問した。同日は典礼暦で『アッシジの聖フランシスコ』を記念した日。
 ローマ北方約100キロにあるアッシジには、これまで歴代教皇が巡礼しているが、聖フランシスコにちなんだ名を持つ教皇が同地を訪れるのは今回が初めて。
 バチカン放送(日本語電子版)などによると、バチカン(ローマ教皇庁)をヘリコプターで出発した教皇はアッシジ到着直後の7時20分、まず障害者リハビリテーション・センター『インスティトゥート・セラフィコ』を訪問。施設付属の教会で関係者と会見した。
 同センターは1871年、フランシスコ会士、福者ロドヴィコ・ダ・カソリア神父によって、視聴覚障害を持つ子どもたちのために創立された。現在では、視聴覚障害をはじめ複数の障害を持つ子どもたちの診断・リハビリ・社会福祉支援を行なう施設。教皇は、センターでリハビリ治療を受けている子どもたちとその両親ら、一人ひとりに祝福を与え、医療関係者を励ました。
 教皇は続いて8時15分、サン・ダミアノ教会へ巡礼し、祈りを捧げた。
 サン・ダミアノ教会は、フランシスコが十字架のキリストを前に祈っていた時、「行って、わたしの家を建て直しなさい」というキリストの声を聞いた所。
 フランシスコはこの教会を修理し、修道生活の場とした。また、フランシスコは死の2年前、ここで「太陽の賛歌」を作っている。
 20分後、教皇はサンタ・マリア・マッジョーレ教会の近くにある大司教館で、カリタス関係者とカリタスの支援を受けている人々と会見した。
 教皇はこの席で、教会もまたフランシスコのように脱衣するように呼びかけたいと述べ、教会が脱ぎ捨てるべきものは「世俗的な虚飾」であると強調した。
 若いフランシスコが世俗を脱ぎ捨てることができたのは、自分の力ではなく、神の力があったからであると述べた教皇は、主がわたしたちにこの世の虚栄を脱ぎ去る勇気を与えてくださるようにと祈った。
 教皇はこの後、聖フランシスコ大聖堂へ向かい、『コンベンツアル聖フランシスコ修道会』関係者に迎えられ9時30分、上部バシリカから入堂、下部バシリカのクリプタ(地下礼拝堂)にある聖フランシスコの墓に降りた。教皇は墓前に黄と白の薔薇の小さな花束を捧げ、沈黙のうちに祈った。
 この後10時に、教皇は下部バシリカ前の広場でミサを捧げた。イタリアの保護者である同聖人を教皇と共に祝うために、地元ウンブリア州をはじめイタリア全土からおよそ5万人がミサに参加した。
 「平和と善が皆さんにありますように」。教皇はフランシスコの精神を表すこの挨拶をもって説教を始め、「貧しい人々への愛」と「貧しいキリストに倣うこと」が分かちがたく一致したフランシスコの生涯を想起し、「今日の世界に同聖人が証しするものとは何か」を問う中で、三つのメッセージと祈りを提示した。
 教皇は、フランシスコの第1の基本的メッセージは、「キリスト者であるとは、イエスと生きた関係を持ち、イエスを身にまとい、イエスと似た者となること」であると強調した。
 第2のメッセージとして教皇は、「キリストに従う者は、真の平和を得る」ということを示された。ただしその真の平和とは、この世ではなく、キリストのみが与えることができるものであり、フランシスコの平和とは甘い感傷でも、宇宙の力による一種の汎神論的な調和でもないと教皇は注意を促した。
 教皇は聖フランシスコの第3のメッセージに、「神が造られたすべてのものに対する尊重」を挙げ、「自然を尊重し、わたしたちがその破壊の道具となることがないように」、「すべての人を尊重し、流血の闘争を止め、憎しみのあるところに愛を、侮辱に赦しを、分裂に一致を」、「シリアや、中東、全世界で、暴力のために泣き、苦しみ、死んでいく人々の叫びに耳を傾けよう」と呼びかけた。
 11時40分、教皇は『カリタス会議場』へ向かい、ドメニコ・ソレンティーノ大司教や貧困者と昼食を共にした。
 昼食後、教皇は、フランシスコが洗礼を受けたとされる『サン・ルフィノ聖堂』へ向かい、聖職者や宗教者ほか教区代表と会見した。
 教皇は参会者に、それぞれが受洗した日を想起するよう勧め、教会は改宗によってではなく、魅力を通じて成長するのだ、と語った。そして説教が長たらしく、退屈で解りにくいことがある、と指摘した。また親は神の言葉を、子どもに見本として示すように語らなければならない、と語った。またカテキストの心は、子どもたちの心を燃え立たすような熱のこもったものであれ、と激励した。夫婦は常に許し合い、けんかしたままベッドに入ってはならないとさとした。
 教皇はその後、サンタ・キアラ聖堂、リヴォトルト聖堂などを訪問、18時30分、アッシジからバチカンに向け出発、約7時間の巡礼を終え、サンタ・マルタ宿舎に戻った。


◎ヨハネ23世とヨハネ・パウロ2世を来年4月27日列聖

 【CJC=東京】教皇フランシスコは9月30日、バチカン(ローマ教皇庁)で定例枢機卿会議を開催した。教皇はこの中で2人の福者教皇、ヨハネ23世とヨハネ・パウロ2世の列聖式を2014年4月27日(復活節第2主日=神のいつくしみの主日)に行うとの教令を認可したことを発表した。


◎「枢機卿8人の顧問団」が初会合

 【CJC=東京】教皇フランシスコが、バチカン(ローマ教皇庁)改革のために設けた枢機卿8人による顧問団の初会合が10月1日から3日まで行われた。
 バチカン報道事務所長フェデリコ・ロンバルディ神父は、会合が1日午後、「シノドス」(枢機卿会議)の果たすべき役割について協議した、と語った。会議にはシノドス秘書長に任命されたロレンゾ・バルデセッリ大司教も参加した。
 顧問団会議では各枢機卿がそれぞれの考えを述べた。普遍教会と現地教会との関係、信徒の役割、貧者への奉仕などが取り上げられたという。引き続き「統治構造についても検討する」とロンバルディ神父。2日には、ローマ教皇庁、特に国務省について審議すると言う。
 同神父は、顧問団から特別の声明は出ない,と語った。顧問団が教皇へ助言するためのもので、決定は全て教皇がするという。今回の会議は3日間だが、改革計画は「長期作業」になるので、次週以後に継続される可能性がある、としている。
 顧問団8人は、ジュゼッペ・ベルテッロ(バチカン市国行政庁官)、フランチスコ・ハビエル・エラスリス・オッサ(チリ、サンティアゴ・デ・チレ名誉大司教)、オズワルド・グラシアス(インド、ボンベイ大司教)、ラインハルト・マルクス(独、ミュンヘン=フライジング大司教)、ローラン・モンスウェンゴ・パシンヤ(コンゴ民主共和国、キンサシャ大司教)、ショーン・パトリック・オマリー(米、ボストン大司教)、ジョージ・ペル(オーストラリア、シドニー大司教)、オスカル・アンドレス・マラディアガ・ロドリゲス(ホンジュラス、テグシガルパ大司教)。またマルチェッロ・セメラーロ司教(アルバーノ司教)が、顧問団の「事務局長」に任命された。
 ベルテッロ枢機卿以外は、アジア、北米、中米、南米、欧州、アフリカ、オセアニアから1人ずつで、教皇出身の米州を一つと見ると3人になる。


◎バチカン銀行が初めてアニュアル・レポート

 【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)の財政管理組織『宗教事業協会』(バチカン銀行)は10月1日、バランスシートを含む2012年のアニュアル・レポート(年次報告書)を初めて公表した。資金洗浄の隠れみのに使われる例が後を絶たない同行の、透明性を高める努力の一環と見られる。
 総資産が71億ユーロ(9340億円)と見られる同行の12年末現在利益は8660万ユーロ(約114億円)。その内5470万ユーロ(約72億円)を聖座(バチカン)に献金した。
 バチカン銀行は1942年設立。預金者や資金の動きを他国の捜査当局にも公開しないことで、その不透明さが指摘され、欧州連合(EU)などから改善を求められてきた。


◎アフリカからの移民船炎上し死者110人超

 【CJC=東京】アフリカ北部から多くの「不法移民」が漂着するイタリア南部のランペドゥーサ島近くで10月3日早朝、移民ら約500を乗せた船が火災を起こして転覆、移民らが海に投げ出された。
 約150人が救助されたが、死者は110人を超え、さらに増える可能性が高い。
 同島には7月8日、教皇フランシスコが訪問している。難民を運んでいた漁船が島の近海で遭難した事件に心を痛めた教皇は、同島で犠牲者に対するミサを行った。


◎ケニアでイスラム教聖職者殺害めぐり教会放火も

 【CJC=東京】ケニアのモンバサで10月4日、イスラム教聖職者の殺害を機に暴動が起き、暴徒化した人々と警官隊とが衝突し、救世軍の教会が放火された。AFP通信が報じた。
 暴動の発端となったのは前日夜、身元不明の武装した男たちが車から発砲し、4人を殺害した事件で、犠牲者の中にはイスラム教の聖職者イブラヒム・イスマイル師が含まれていた。
 イスマイル師は、イスラム過激派組織『アルシャバーブ』と関係があるとされていたアバウド・ロゴ・モハメド師の後継者とみられていた。ロゴ師も2012年8月、車両からの銃撃で死亡している。


◎コプト教会ミンヤ主教殺人計画失敗

 【CJC=東京】エジプト・コプト教会ミンヤ教区のアンバ・マカリオス主教は、イスラム教徒の暗殺計画の対象になっていたが、危うく難を逃れた。
 同主教が長年閉鎖されていた教会の再興に来たと思い込んだイスラム教徒が殺害を計画したという。
 「教会の存在することにイスラム教徒は怒っており、警察も静観している。コプト教徒としては、イスラム教徒を刺激しないように注意している」とコプト側の活動家。


◎神学者ハンス・キュンクが安楽死も考慮

 【CJC=東京】反体制的なカトリック神学者として知られるハンス・キュンク氏(85)が、バチカンへの最後の「反抗」として安楽死を考えている、とロイター通信が報じた。
 パーキンソン病に悩まされているキュンク氏が、近刊の『回想録』の中で、人には、病気、苦痛、痴呆などで生きながらえることに耐えられなくなった場合、自らの意思で神にその生命を「委ねる」権利がある、と記していることがわかった。
 カトリック教会は安楽死を認めていないが、キュンク氏の出身国スイスを始めベルギー、オランダ、ルクセンブルク、さらには米国の4州などが安楽死を容認している。


◎チャック・スミス牧師死去

 【CJC=東京】米カリフォルニア州コスタメサの「メガチャーチ」『カルヴァリー・チャペル』の主任牧師チャールス・ワード・チャック・スミス氏が10月3日午前3時、睡眠中に死去した。86歳。2012年初めから肺がんとの闘病生活を送っていた。
 スミス氏は1965年、コスタメサで創設した『カルバリー・チャペル』の主任牧師を40年以上にわたって務め、当初25人の教会員を急増させるなど福音派キリスト教で影響力を示した。70年代にはいわゆる「ヒッピー」などを対象にした『ジーザス・ムーブメント』で革新的な青年伝道を展開した。現在、全世界で『カルバリー・チャペル』系とされる教会は1600を越えていると見られる。


《短信》

〇朴大統領が教皇フランシスコの訪韓要請
 韓国の朴槿恵大統領が10月3日、バチカン(ローマ教皇庁)福音宣教省長官フェルナンド・フィローニ枢機卿と会見した際、要請した。(CJC)

〇米ナショナル宗教放送にジョンソン新会長
 ワシントン郊外マナサスに本拠を置く同放送が10月1日、理事会で選任。テキサス州ダラスのクリスウェル大学学長。(CJC)


《メディア展望》

 =カトリック新聞(10月6日)=https://www.cwjpn.com
★教会が一致示すべき=教皇フランシスコ=陰口や うわさ 戒める
★教皇、デジタル宣教語る=技術より優しさを
★部落差別人権委シンポジウム=再審に向け現状学ぶ=「狭山事件50年と国家権力」
★福島「桜の聖母学院幼稚園」=新園舎が落成=屋内運動場も設置
★エリザベト音大=宗教対話のコンサート=真宗僧侶らの合唱団と開催

 =キリスト新聞(10月5日)=https://www.kirishin.com
★いのり☆フェスティバル〝宗教の博覧会〟に300人=宗派・教派超え共有=仏教・神道・イスラム教関係者も=東京
★「96条改定反対」宗教者共同声明=賛同者1万人超える
★ルーテル学院大学図書館=1630年の「ルター訳聖書」発見=挿絵はメリアンの銅板画
★アジア学院創立40周年祝う=「草の根における変革」テーマに
★日本賛美歌学会第13回大会=「ヒム・フェスティバル」で賛美 =歌集『ヨセフのキャロル』も刊行

 =クリスチャン新聞(10月6日)=https://jpnews.org
★アジア学院40年=農村リーダーが世界を変える=荒野の時代こえ未来を問うシンポジウム開催
★あらゆる領域で宣教を=ビジネスリーダー=聖書土台に仕事の意義語る
★「プロテスタントは御利益の臭い」=いのり☆フェス=宮台真司氏 晴佐久神父と〝救い〟トーク
★キリストの愛伝えに来日=日米クリスチャンバンド協働し被災地へもツアー
★大阪府教諭の奥野泰孝さん=「クリスチャンの信仰上従えない」=「国家斉唱義務」条例の違憲性問い提訴

※米南部で公立校でキリスト教の儀式実施を認める州法相次ぎ成立している、と産経10月6日付け『世界おもしろ法律事典=キリスト教の儀式実施を認める州法、米南部州で相次ぎ成立』。


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