世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1182信(2013.09.16)

  • 教皇「不信仰でも良心を守れば神は慈悲を」
  • パロリン次期国務長官が妻帯聖職に言及
  • 教皇が「モンシニョール」尊称差し止め
  • 教皇フランシスコが『新求道共同体』指導者と会見
  • 教皇が『ルノー4』を運転
  • 中国は宗教活動重視、と全国政治協商会議の兪議長
  • ウェールズ聖公会が女性主教を容認
  • 世界メソジスト協議会がロンドンで会議
  • 《短信》
  • 《メディア展望》

◎教皇「不信仰でも良心を守れば神は慈悲を」

 【CJC=東京】「神を信じなくても自分の良心に従えば、神は慈悲を施すだろう」。教皇フランシスコは9月11日、イタリアの日刊紙『ラ・レプッブリカ』に送った書簡で言明している。
 同紙の共同設立者でもあるユーゲニオ・スカルファリ元編集長は無神論者として知られる。同氏がこの8月、紙上のコラムで教皇に公開質問した。すると教皇から長文の返事が寄せられたもの。同紙9月11日付1面に教皇書簡が掲載された。
 書簡は非信者の霊的状況を、明快、率直に評価している。「救い」の問題を唯一裁定する制度について、教皇は、罪、両親、赦しがカトリック教会の占有ではないという考えにドアを開いたように見える。
 スカルファリ氏は、教皇に「信じず、信仰を求めない人をも神は赦す」かと質問した。教皇は、信じない人でも神の赦しから外されてしまうわけではない、と答えの中で示唆した。
 教皇は、「真心と懺悔の心を持てば、神の慈悲には限界がない。信仰がない人にとって、問題は自らの良心に従うこと」と述べた。そして、「無神論者たちは、良心に外れる行動をする時、罪を犯すことになる」とし、「良心に耳を傾けてそれに従うことは、善と悪を分けて判断するという意味だ」と述べている。
 教皇にとっては、「関係というものなしに」存在するというのなら「絶対的な真理」といったものは存在しない。
 「真理は、キリスト教信仰によれば、わたしたちの為の、イエス・キリストにある神の愛だ。だから真理は一つの関係なのだ」として教皇は「遅さ、不信仰、過ち、罪をメンバーに対し犯してきて、今も犯しているにしても、教会はイエスと共に生き、イエスを証しする以外に意義も目標もない。わたしを信じてほしい」と述べている。


◎パロリン次期国務長官が妻帯聖職に言及

 【CJC=東京】聖職者独身制問題は、教皇フランシスコが直面する最難題の一つ、とバチカン(ローマ教皇庁)の次期国務長官に任命されたピエトロ・パロリン大司教がベネズエラの新聞『エル・ウニベルサル』とのインタビューで9月8日語った。
 「独身」を現代社会では無意味だとして排除すべきものではないと警告する一方、パロリン大司教は、「独身」は一つの伝統であり、教義ではない、と語り、この問題で教会を一致させるための道を見つけなければならない、と付け加えた。
 「それは教皇にとって大きな課題である。教皇は教会全体を指導しているので、その決定は教会を分裂させるのではなく一致させる方向で行わなければならないのだ」と言う。「それは人々が望むだけでなく、神が自らの教会に欲するものでだ」。


◎教皇が「モンシニョール」尊称差し止め

 【CJC=東京】教皇フランシスコは、司祭を「名誉高位聖職者」として「モンシニョール」と尊称することを暫定的に差し止めた。ただ外交部門で活動している聖職者の尊称は例外として認められる。イタリアの日刊紙『イル・メッサジェロ』が9月12日報じた。
 教皇はこの決定を、選出直後の4月12日には国務省上層部には伝えていたという。尊称要請の承認は同省が行っている。その際、教皇は10月までは承認を保留するよう求めたと伝えられる。
 バチカンと全体教会改革のため助言者に任命された枢機卿8人との会合が予定されているところから、今回の暫定保留が固定化することも予想される。
 第二バチカン公会議以来、尊称認可は激減したものの、ここ数年は復活している。


◎教皇フランシスコが『新求道共同体』指導者と会見

 【CJC=東京】カトリック系ZENIT通信によると、教皇フランシスコは9月5日、バチカン(ローマ教皇庁)で『新求道共同体』(新求道共同期間の「道」)の創始者キコ・アルグエヨ氏、カルメン・エルナンデス氏とマリオ・ペッツィ神父を私的に30分間接見した。教皇は「わたしは、あなたたちが全体教会に対し行っている計り知れない善のためにあなたたちに感謝する」との意向を表明した。
 接見では、全世界へのキリスト教伝達が全世界で進められていることとアジアの福音化の重要性について語り合った。キコ・アルグエヨ氏たちは教皇フランシスコに、福者ヨハネ・パウロ2世が言われたように、第3千年紀の福音化が展開されるアジアの新福音化に奉仕する司祭2万人の養成を目指して各国で「召命の集い」を組織する望みを表明した。


◎教皇が『ルノー4』を運転

 【CJC=東京】教皇フランシスコがバチカン(ローマ教皇庁)内とは言え、自ら『ルノー4』を運転する姿が見かけられるかもしれない。このルノーは北イタリアベローナのレンゾ・ゾッカ神父(70)が9月7日、長らく愛用していたのをプレゼントした。20年も前に製造されたもので、走行距離は30万キロに達している。
 「貧しい人のための貧しい教会」を目指す教皇に、同神父は、障害のある人や貧しい人、薬物依存症の人のために労働者居住地区で自身が行っている活動について、教皇に手紙を書いた。すると8月10日、教皇から直接電話がかかってきた。
 カトリック系誌『ファミグリア・クリスティーナ』電子版が9月10日掲載した記事で、神父は「何を話したらよいかわからなかった。息切れがした」とその時の心境を語っている。教皇に何か贈り物をしたいと神父は、『ルノー4』を置いて他にないと思ったという。
 教皇は慈善団体に寄付してはと提案したが、最終的にはプレゼントとして受け取ることにし、バチカンで7日に会うことにした。
 神父が教皇の住居に『ルノー4』で到着すると、教皇は以前、自分も所有していたと話し、車に乗り込んで運転した。
 「トランクには念のため、雪用タイヤも積んでおきました」と神父。


◎中国は宗教活動重視、と全国政治協商会議の兪議長

 【CJC=東京】中国・全国政治協商会議の兪正声議長は9月12日、北京の人民大会堂で、中国キリスト教第9回代表会議に出席した代表全員と会見した。『中国国際放送』(CRI、日本語電子版)が報じた。
 兪議長は、中国キリスト教界のこれまで5年間の活動を高く評価し、「党中央と国務院は宗教活動を大変重視しており、経済社会の発展において宗教関係者と信者が積極的な役割を発揮するよう求めている」と述べた。


◎ウェールズ聖公会が女性主教を容認

 【CJC=東京】ウェールズ聖公会はランピターで開催した総会で9月12日、女性の主教就任を大多数の賛成で認めた。信徒、司祭、主教それぞれの議員の3分の2以上の賛成が必要とされる中、信徒は賛成57、反対14、棄権2票、司祭は37対10、主教は全員が賛成した。
 女性主教になお反対する人たちへの対策も含め、正式実現にはなお1年はかかるものと見られる。


◎世界メソジスト協議会がロンドンで会議

 【CJC=東京】世界メソジスト協議会会議が9月10日から13日までロンドンのウエスレー・チャペルで開催された。加盟教会の代表約300人が参加した。
 会議では2016年9月に米テキサス州ヒューストンで開かれる第21回『世界メソジスト大会』などについて協議した。


《短信》

〇ベルトーネ国務長官は同僚に反発して早期辞任
 バチカン(ローマ教皇庁)のタルジチオ・ベルトーネ国務長官が、予想より早く辞任したのは、自身への批判について同僚の高位聖職者が擁護しなかったからだ、との観測がイタリアで流れた。(CJC)

〇ロンドン武器博阻止行動のキリスト者5人拘束
 ロンドンで9月10日から開催される『国際防衛保安機器博覧会』(DSEi)に搬入する武器を阻止しようと税関入り口で阻止行動に出たキリスト者5人が拘束された。(CJC)

〇『ノルディック・ホテルズ』が客室からポルノ・チャネル撤去
 英紙ガーディアンによると、オーナーのペッテル・ストルダレン氏が、所有する171ホテルの客室からの撤去を発表した。人身売買との関連を考慮したという。(CJC)

〇聖カタリナ修道院を閉鎖
 エジプト当局は、巡礼や観光客が集まるシナイ山麓にある聖カタリナ修道院を閉鎖すると発表。保安上の問題という。(CJC)

〇ナイジェリア聖公会大主教拉致される
 ナイジェリア聖公会のイグナチウス。カッティ大主教が9月6日拉致された。(CJC)

〇米司教協議会がシリア問題の外交的解決を要請
 米カトリック司教協議会運営委員会は9月10日、シリア紛争を外交問題として解決するよう求める声明を発表した。(CJC)
〇シリアの首座主教もオバマ大統領に不介入要請
 シリア・カトリック教会の指導者ジャック・ベーナン・ヒンド・ハッサケ・ニシビ大主教はバラク・オバマ米大統領に、化学兵器使用を理由にシリアを攻撃しないように求めた。(CJC)


《メディア展望》

 =カトリック新聞(9月15日)=https://www.cwjpn.com
★教皇フランシスコ=シリアの平和祈る=戦争の原因は利己主義
★『第二バチカン公会議公文書』=改訂公式訳 9月末発刊=旧訳文を全面的に見直し 用語を統一
★神戸=児童発達支援センター=「しらゆりフレンドリークラブひがしなだ」=レストランで就労訓練
★神山復生病院=記念館 元の姿に=日本初のハンセン病治療所
★「ユニオンヨコスカ」の小嶋武志さん=原発労働者を守る=経験生かし労組で活躍

 =キリスト新聞(9月14日)=https://www.kirishin.com
★元衛生兵・松本栄好氏が証言="つらくても実際に体験"=川崎・「平和を願い記憶しよう八月十五日」
★被爆者の近藤紘子氏="世界に核廃絶を叫ぶ"=日基教団埼玉地区8・15集会
★新宗連="すべてのいのち尊ぶ世界を実現"=千鳥ヶ淵で平和祈願式典
★第42回更新伝道大会=相良昌彦氏「見知らぬ誰かと手つなぎ合う」=柳聖俊氏「正しい教会観と教会哲学が大切」
★「8・15東京集会」で内藤新吾氏="被爆国が核持てば世界の終わり"

 =クリスチャン新聞(9月15日)=https://jpnews.org
★道徳の危機 解決は福音に=アジア教会リーダー会議に中国「家の教会」100人
★中国・台湾の牧師ら台北で合同フォーラム=台湾長老教会=慎重姿勢示す=「互いに祈っていきたい」
★竜巻被害にクラッシュジャパン急派
★関東大震災から90年=9・1を記憶・受肉、和解に参与=追悼合同礼拝
★信仰奨励エリアに1万5千人=山口でボーイスカウト国際キャンプ大会


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