世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1180信(2013.09.02)

  • バチカン新国務長官にピエトロ・パロリン大司教
  • 教皇、ヨルダン国王と会談「シリア解決には対話」を
  • 教皇がローマの聖アウグスチノ教会でミサ
  • 教皇が若者たちと携帯電話で記念撮影
  • 前教皇の「神秘的な体験」は作り話?
  • 故キング牧師演説から50年記念式典
  • マンデラ氏がプレトリアの病院を退院
  • ケリー米国務長官がシリア化学兵器はサリンと発表
  • 《短信》
  • 《メディア展望》

◎バチカン新国務長官にピエトロ・パロリン大司教

 【CJC=東京】教皇フランシスコは8月31日、バチカン(ローマ教皇庁)の新国務長官に、駐ベネズエラ教皇大使のピエトロ・パロリン大司教(58)を任命した。
 教皇はまた現国務長官タルチジオ・ベルトーネ枢機卿(78)の定年による引退願いを受理した。パロリン大司教は、ベルトーネ枢機卿の後任となる。
 また、教皇は同日、国務省総務局長ジョヴァンニ・アンジェロ・ベッチウ大司教、同外務局長ドミニク・マンベルティ大司教、教皇公邸管理部室長ゲオルグ・ゲンスヴァイン大司教をはじめとする、国務省および教皇公邸管理部の上部人事がこれまで通りであることを確認した。
 パロリン大司教は、1955年、北イタリア・ヴィチェンツァ県スキアヴォンの生まれ。80年、司祭叙階。83年、教皇庁立教会アカデミーに入り、86年より外交官としての職務を開始。ナイジェリア、メキシコのバチカン大使館勤務の後、2002年より、国務省外務局次長として、特にベトナム・中国などアジア諸国を担当した。2009年、駐ベネズエラ教皇大使に任命されると共に、大司教に。
 国務長官は首相相当の要職。3月に着座した教皇フランシスコが「最高幹部」の人事を行うことで、バチカンの本格的改革に着手したと見られる。教皇は之までの人事でも、バチカン勤務の長い「官僚派」を避け、世界各地の信者の現実を知る「現場派」からの登用を進めている。
 ベルトーネ国務長官在任中は、「官僚派」の権力闘争のなかで、学者出身のベネディクト16世が孤立し、異例の教皇退位を決断する要因になったといわれる。
 バチカンでは昨年、内部文書をメディアに流していたとして、前教皇ベネディクト16世の執事が窃盗容疑で逮捕された。前教皇の側近で絶大な権力を持つベルトーネ国務長官を追い落とすための権力闘争が背景にあると報じられた。


◎教皇、ヨルダン国王と会談「シリア解決には対話」を

 【CJC=東京】内戦が続くシリアで、化学兵器の使用によって多数の死者が出たことが疑われるなか、教皇フランシスコは8月25日、「残虐な行為が増大している」と述べ、国際社会に解決への努力を促した。
 バチカン(ローマ教皇庁)のサンピエトロ広場で行われた日曜日恒例の祈りの集いで、教皇は数万人の信者を前にシリアの内戦について言及、「シリアで続いている状況に大きな痛みと懸念を持っている」と述べ、戦闘の犠牲になった人たちのために祈りをささげるよう呼びかけた。
 教皇は「最近の恐ろしい映像からも分かるとおり、虐殺や残虐な行為が増大している。武器の使用をやめ、対話による解決を呼びかける必要がある」と述べた。
 教皇は29日、ヨルダンのアブドラ2世国王と会談した。
 会談では、イスラエル・パレスチナ間の和平交渉や、エルサレム問題をはじめとする中東平和の推進が主に話し合われた。
 バチカン放送(日本語電子版)によると、緊張のただ中にあるシリア情勢については、国際共同体の支援の下、シリア社会のすべての構成層を交えた対話・協議の道を開くことが、非武装の市民ら多くの人命を奪う闘争と暴力を終結させる唯一の方法であると確認した。
 キリスト教とイスラム教の共通の聖都エルサレムの帰属に関する問題も話し合われた。
 9月にアンマンで開催される中東のキリスト者が直面する課題を討議する会議開催など、アブドラ国王の諸宗教対話における取り組みを教皇は評価した。また同地域でのキリスト教共同体の社会的貢献についても触れた、という。


◎教皇がローマの聖アウグスチノ教会でミサ

 【CJC=東京】教皇フランシスコは8月28日、ローマ市内の聖アウグスチノ教会(サンタゴスティーノ・イン・カンポ・マルツィオ)を訪問、同聖堂で聖アウグスチノ修道会総会の開会ミサを捧げた。
 バチカン放送(日本語電子版)によると、典礼暦で聖アウグスチノ(アウグスティヌス)を記念したこの日、教皇は説教で、同聖人の著書『告白』冒頭部の「わたしたちの心はあなたの中で憩うまで、安らぎを得ることはありません」を引用した。


◎教皇が若者たちと携帯電話で記念撮影

 【CJC=東京】教皇フランシスコは、8月28日、聖アウグスチノ修道会総会の開会でミサを行った後に若者たちとの記念撮影に応じた。
 AFP通信は、教皇の「自分撮り」にも見える写真がフェイスブックに投稿され、ソーシャルメディア上で瞬く間に広まった、と報じている。


◎前教皇の「神秘的な体験」は作り話?

 【CJC=東京】前教皇ベネディクト16世(86)は「神秘的な体験」をして退位を決断した、とカトリック系通信『ZENIT』が報じたが、それは完全な作り話だと、前教皇の秘書ゲオルグ・ガンスウエイン大司教が8月24日、イタリアのテレビとのインタビューで語った。
 前教皇は、バチカン(ローマ教皇庁)内のマーテル・エクレシア修道院にある居室を訪問した知人に退位に至る経過を説明した、と『ZENIT』が19日報じたもの。
 前教皇は今年2月11日に突然退位を表明したが、バチカン内の権力闘争や不祥事による心労が原因と推測されていた。


◎故キング牧師演説から50年記念式典

 【CJC=東京】米公民権運動の黒人指導者マーチン・ルーサー・キング・ジュニア牧師が人種間の平等を訴え「わたしには夢が有る」と語った演説と「ワシントン大行進」から50年目にあたる8月28日、首都ワシントンのリンカーン記念堂で式典が開かれた。
 黒人初の大統領であるバラク・オバマ大統領は、キング牧師が立った同じ場所で演説。「米国は黒人だけでなく女性やラティーノ(中南米系)、アジア系、障害者などにとってより自由で公平になった」と半世紀の進歩を指摘した。
 式典ではジミー・カーター、ビル・クリントン両元大統領のほか、50年前の演説時の大統領、故ジョセフ・ケネディ元大統領の娘で、次期駐日米大使に指名されたキャロライン・ケネディ氏も演壇に立った。


◎マンデラ氏がプレトリアの病院を退院

 【CJC=東京】一時危篤状態と伝えられていた南アフリカのノーベル平和賞受賞者のネルソン・マンデラ元大統領(95)が1日朝、入院先の首都プレトリアの病院から退院した。
 大統領府によると、マンデラ氏は最大都市ヨハネスブルクの自宅に戻ったという。容体は依然として「重篤で、時折不安定になる」としているが、自宅でも病院と同水準の治療が受けられると判断したという。
 8月31日に、マンデラ氏が退院、ヨハネスブルクの自宅へ戻ったたとの情報が流れたが、大統領府は同日中にこれを否定する声明を出した。医師団と親族との間に連絡の行き違いがあったとみられる。
 南アフリカ初の黒人大統領となり、ノーベル平和賞も受賞したマンデラ氏は今年6月8日に肺感染症で緊急入院し、7月の誕生日も病院で迎えた。同氏はここ数年、入退院を繰り返しており、2010年にサッカー・ワールドカップ閉会式に姿を見せて以降、公の場には姿を見せていない。


◎ケリー米国務長官がシリア化学兵器はサリンと発表

 【CJC=東京】ジョン・ケリー米国務長官は9月1日、テレビ・インタビューで、シリア政府がダマスカス近郊で殺傷性の高い猛毒神経ガス・サリンを使用した証拠を得たと発表した。
 ケリー国務長官によると、サリンが使用されたとする証拠は、8月21日の攻撃後、東ダマスカスで採取された被害者の血液と毛髪のサンプルから検出されたもの。アサド政権が使用した、とオバマ政権は主張している。
 オバマ政権は化学兵器使用で民間人1429人が死亡したとしている。アサド政権は使用を否定している。


《短信》

〇米牧師の44%がデジタル・リーダー利用
 タブレットなどのデジタル・リーダーを利用する牧師は、米国では2010年の14%から12年には44%に増加した。(CJC)


《メディア展望》

 =カトリック新聞(9月1日)=https://www.cwjpn.com
★教皇フランシスコ=信仰は飾りではなく困難な選択伴う献身
★教皇、日本の中学生とバチカン中庭で特別謁見=「対話で平和の実現を」
★アフリカを視察=カリタスジャパン、3カ国訪問

★被災地行事に4ベース参加=郷土の味と踊り披露=岩手・大船渡市の仮設商店街
★岐阜・多治見で「フェスタ・ジュニーナ」=酷暑の中、ブラジル祭り

 =キリスト新聞(8月31日・休刊)=https://www.kirishin.com

 =クリスチャン新聞(9月1日・休刊)=https://jpnews.org


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