世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1176信(2013.08.05)

  • ギリシャ人は聖書を読まない!?
  • 聖書の記述裏付ける壺の断片か
  • ツイッターではオバマか教皇か
  • 教皇が来年アジアやエルサレム訪問検討
  • 教皇、同性愛者の「裁き」には慎重
  • 教皇が7月末に司教5人の辞任認める
  • バチカン銀行がホームページ開設
  • 北京の守望教会員34人逮捕
  • 《短信》
  • 《メディア展望》

◎ギリシャ人は聖書を読まない!?

 【CJC=東京】ギリシャ北部のフィリピ近郊で聖書を個別に配布していた57人が7月27日、警察に逮捕された。配布していたのは『オペレーション・ジョシュア』という聖書配布組織。今回の配布には25国からボランティア400人近くが参加している。
 米国の宣教専門ANS通信によると、聖書個別配布は、ギリシャではそれほど見慣れた光景ではない。そこへ現地では支配的な正教会司祭が配布阻止に立ち上がったことが今回の逮捕につながった。その理由というのは、配布される聖書が現代ギリシャ語だったからだそうだ。
 新約聖書はギリシャ語で書かれたとは言え、ギリシャ人で1冊でも所有している人は少なく、読んだことがあるとなると、さらに数が絞られる。それは聖書に記されているギリシャ語が昔のもので、現代ギリシャ人のほとんどには理解出来ないからでもある。聖書は司祭、神学者たちだけが理解し解説すれば良いというのが一般的な考えだ。
 ただギリシャにも「聖書協会」があり聖書を刊行している。中には国教会が承認した現代語訳もある。協会理事には有力主教3人が就任しており、他の理事も国教会の会員だ。『ヘレニック宣教団』が今回の『オペレーション・ジョシュア』で配布したのも現代語訳。現代語訳を。世界正教会の中で総主教4人が推奨している。
 配布される袋の中には、本格装の新約聖書と音声版、ギャンブル人生から福音のメッセージによって生き方を変えられたあるギリシャ人の個人史、聖書の教えと歴史的教会諸信条の教えを守っているキリスト教団体であるとする声明も入れられている。聖書を読み、地域の教会に出席するようにとの「お勧め」もある。
 それなら、このような計画は聖書の真理に従おうとする教会や団体から歓迎されるだろうに、と思われるが、実際はそうならなかった。一般市民や教会指導者から反対されるのは、『ヘレニック宣教団』が分派でありカルトと目されているからだ。
 司祭の中には、ボランティアからもらった聖書を焼き捨てるように指示する人もいる。「異端が配布したものなら聖書ではあり得ない」と言う。法的に訴え,必要なら実力を行使する、と脅しの声を上げた司祭も出てきた。
 『ヘレニック宣教団』会長のヨナタン・マクリス主教(アンティモス)は「ギリシャ正教会司祭が全て完全に敵対的というわけではない。中にはもらった聖書を読むように薦めている人もいる」として、ギリシャが抱えている問題は、経済的なものというよりは、聖霊を顧みなくなったことだ、と指摘したいる。


◎聖書の記述裏付ける壺の断片か

 【CJC=東京】エルサレムで出土した粘土製壺の断片に記されたヘブル語の銘が3000年前のダビデ王やソロモン王の時代のものである可能性が出てきた。
 断片はエルサレムの神殿の丘付近で発掘に当たっていたヘブライ大学の考古学者エイラート・マザール氏が発見した。
 判読した結果、文字は最初期のヘブル語であることが確認された。今後、聖書に書かれている事柄が事実であると「立証」されるかも知れない。「わたしは、聖書を片手に、発掘道具をもう一方の手に持って作業した。聖書が最も重要な歴史資料だからだ」とマザール氏は言う。


◎ツイッターではオバマか教皇か

 【CJC=東京】ツイッターの発言に応答したり言及する「リツイート」ではバラク・オバマ米大統領より教皇フランシスコへの回数が多いことが、報告書『ツイプロマシー』で明らかになった。この報告書は、世界規模で広報支援事業を展開する『バーソン・マーステラ』社が作成したもの。ツイッターが読まれる「フォロワー」の数では720万332人と教皇が大統領の3400万人に次いで2位。
 大統領のフォロワーは圧倒的に多いが、各発言を受けてのリツイートは平均2309回。教皇のツイートに対しては、スペイン語で同1万1116回、英語で同8219回だった。ツイッターと言っても、単に追跡している人と積極的に応答する人では関わり方が違うことが数字面で裏付けられたと見られる。
 教皇のツイッターは、全世界12億人とされる信者とより密なコミュニケーションをとるため、2012年12月に前教皇ベネディクト16世によって英語、イタリア語、スペイン語、フランス語、ドイツ語、ポルトガル語、ポーランド語、アラビア語の8カ国語で始められた。文字を打ち込むのは側近だが、内容は教皇自らの言葉であるとしている。
 日本語への対応は、バチカン(ローマ教皇庁)ではなく、『カトリック中央協議会』が7月23日から、教皇フランシスコのツイートを日本語に訳しリツイートするサービスを始めた。
 チベット仏教の霊的指導者ダライ・ラマへのフォロワーは735万人と教皇を遙かにしのいでいる。ただ今回の調査が元首に限定されているため、対象からは除外されたという。


◎教皇が来年アジアやエルサレム訪問検討

 【CJC=東京】初めてのブラジル訪問を終えた教皇フランシスコは帰路、同行記者団と特別機内で7月28日会見し、来年にもフィリピンやスリランカなどのアジア諸国を訪問する可能性があることを明らかにした。
 教皇のアジア訪問が実現すれば、1999年に故ヨハネ・パウロ2世がインドのニューデリーを訪れて以来。
 教皇は、アジア以外ではエルサレム訪問も検討しているという。


◎教皇、同性愛者の「裁き」には慎重

 【CJC=東京】教皇フランシスコは7月28日、同性愛の司祭について「裁く」つもりはないと述べた。初めてのブラジル訪問からの帰路、同行記者団と特別機内で語った。
 カトリック教会は、同性愛聖職者の存在という問題に長年にわたり直面している。教皇は同性愛を認めない姿勢を変えたわけではないが、「神を探し求めている同性愛者を裁くことはできない」と発言をしたことは、教会の「ゆるしの新時代」への扉を開いたとも見られる。


◎教皇が7月末に司教5人の辞任認める

 【CJC=東京】教皇フランシスコは7月27日、さいたま教区の谷大二司教(60)辞任願いを受理した。教会法401条2項の規定に従って提出したものだが、同規定による「若手司教」の辞任願いが続いている。
 同日、ペルー従軍教区のギエルモ・マルチン・アバント・グスマン司教(49)の辞任願いも受理された。
 29日にはカメルーンのヤウンデ教区のシモン=ベクトル・トニイェ・バコト大司教(66)の辞任願いが受理されている。
 教会法401条2項は、教区司教が健康を損なうか、または他の重大な理由により、司教の職務を続けることが困難になった場合、退任の意思表示を行うよう求める条項。
 カメルーンの公営放送は、バコト大司教辞任を「爆弾」と報じ、「この新局面を解明するものは出ていないが、神の人が厳しい公的監視の下にあることを指摘する向きもある」とし、さらに「バコト氏の運営法を批判するニュースを流すグループがいる」とも報じている。
 教皇は31日、スロベニアのリュブリアナ教区のアントン・ストレス大司教(70)とマリボル教区のマルヤン・トゥルンセク大司教(58)の辞任を認めた。ストレス大司教は、同国司教協議会会長の職も辞任した。
 バチカン(ローマ教皇庁)報道事務所長のフェデリコ・ロンバルディ神父(イエズス会)は記者団に、ストレス大司教とトゥルンセク大司教の辞任は財務上のスキャンダルに関連したものだ、と語った。スロベニア駐在教皇使節は、マリボル大司教区が「重大な財務状況」にある、と語っている。
 谷、グスマンの両司教が、司教の職務を続けることが困難になった事情は明らかにされていない。


◎バチカン銀行がホームページ開設

 【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)の財政管理組織『宗教事業協会』(通称バチカン銀行)は7月31日、同行の概要などを掲載したホームページを公開した。同行を経由したマネーロンダリング(資金洗浄)疑惑が絶えないことから、運営の透明性を高めて信頼回復を図る狙い。
 ホームページでは、同行が1942年設立以来71年にわたる歴史を紹介、カトリック関係団体や聖職者らの顧客数が2012年1万8900だったこと、職員数114人なども記載されている。同年の預かり総資産が63億ユーロ(約8249億円)で純利益8660万ユーロ(約113億円)だったことも明らかにしている。
 同行はバチカン資産の管理・運用を担当するが、預金者や資金の動きを他国の捜査当局に公開しないなど不透明さが指摘され、欧州連合(EU)などから改善を求められていた。
 資金清浄の隠れみのに使われる例が後を絶たず、教皇フランシスコは6月に運営状況に関する調査委員会を設置した。教皇は7月28日の記者会見でも「透明性と正直さが必要」と改革の決意を示している。


◎北京の守望教会員34人逮捕

 【CJC=東京】北京市海淀区にあるプロテスタント守望教会(金天明牧師)の会員34人が7月21日警察に逮捕された。
 カトリック系『アジア・ニュース』によると、逮捕はこれが初めてではなく、礼拝の前後に警察が教会員を逮捕するのは日常的になっている。
 「警察がピラトのようにならないよう祈ろう。彼らが神に立ち返り、罪から解放されるように」と、同日の礼拝の後で発行されたニュースレターに、金牧師は執筆している。「天気の良い日だった。分かっている限り、少なくとも信徒34人が警察に連行された。すぐに釈放された人もいるが、大半は中関村警察署に拘束された」と言う。
 2009年に教会は礼拝などの活動のために1500平方メートルの建物を購入した。しかし当局が使用を妨害したので、個人宅や食堂で教会活動を行ったが、その都度介入された。祈祷会は警察の手入れで終わることが多くなり、特に夏季に入ると頻度が増した。
 11年4月10日以来、日曜礼拝を路上で行わなければならなくなった。当然「無許可」集会とされ、6月には、公安当局が連続7回の日曜日に信徒を逮捕するまでになった。それでも日曜日に指定された場所に集まる信徒はいつも100人を超えた。
 中国では、政府に登録し認可された宗教団体だけが活動を認められる。プロテスタントは『三自愛国運動』が公認されており、約2000万人の信徒がいると見られているが、非公認の「地下教会」信徒は8000万人以上と推定されている。


《短信》

〇スノーデン氏の入国許可を正教会は擁護
 ロシア正教会モスクワ総主教座『教会と社会関係』部門の責任者フセフォロド・チャプリン長司祭は、米CIAの元職員エドワード・スノーデン氏のロシア入国許可に賛意を表明した。(CJC)

〇シリアでイエズス会神父拉致か
 シリアのバッシャール・アル=アサド政権を強烈に批判することで知られたイタリアのパオロ・ダルオグリオ神父(イエズス会)が7月29日、現地で行方不明になった。イスラム過激派グループに拉致された模様。(CJC)

〇イスラエルがパレスチナ囚人104人釈放方針
 イスラエル政府は7月28日、パレスチナとの直接和平交渉再開へ向けて、イスラエルの刑務所に収容されているパレスチナ人104人の釈放を閣議で決めた。
 パレスチナ側は交渉再開にあたり、パレスチナ人約4700人の釈放を求めていた。(CJC)

〇教皇がイスラム教徒へ相互理解呼びかけ
 教皇フランシスコはイスラム教の「ラマダン」(断食月)明けを前にメッセージを発表、世界の全イスラム教徒に対して、教育を通じた相互理解の促進を呼びかけた。バチカン(ローマ教皇庁)が8月2日発表した。(CJC)

〇ケニアの弁護士がキリストの十字架を違法として調査要求
 ケニアのドーラ・インディディス弁護士が、国際司法裁判所に、イエス・キリストの磔は違法だとして調査を求めている。ローマ皇帝ティベリウス、サンヘドリン、総督ポンティウス・ピラトゥス(ポンテオ・ピラト)、ヘロデ王とイタリアに有罪判決を下すよう提案している。(CJC)


《メディア展望》

 =カトリック新聞(8月4日・休刊)=https://www.cwjpn.com

 =キリスト新聞(8月3日)=https://www.kirishin.com
★教皇フランシスコ ブラジル訪問=「世界青年の日」大会に参加
★日本宗教ネットワーク懇談会シンポ=今、この危機を乗り越えるために
★脱核とアジア平和のため=「NNAA‐J」が韓国原発地域訪問
★伴奏アプリ=「こどもさんびかプレイヤー」発売=操作性・音質・息づかいに配慮
★ABC--Tokyoバレエ団「神の道化」上演="人のためにやっていることは神のため"

 =クリスチャン新聞(8月4日)=https://jpnews.org
★参議院選=直前・直後集会=次世代を視野に問題を共有=信教自由の危機迫る
★ネット解禁初の選挙戦=クリスチャン候補はこう戦い、訴えた=藤田幸久、牧山弘恵、羽田雄一郎氏が当選
★なぜ世界宣教をするのか?=アンテオケ宣教会 世界宣教セミナー=高見澤栄子氏=宣教の聖書的根拠を講演
★"ヒロシマ 今も忘れない"=高塚陽一牧師のライフワーク 写真展
★エジプトで相次ぎコプト教徒襲撃


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