世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1175信(2013.07.29)

  • 教皇フランシスコがリオデジャネイロ到着
  • 『世界青年の日』リオデジャネイロ大会開幕
  • 教皇がブラジル訪問終えバチカンに
  • シリアで拉致された大主教すでに殺害か
  • 『国際宗教の自由委員会』新議長にカトリック思想家
  • 米の従軍牧師に無神論者も?
  • 《短信》
  • 《メディア展望》

◎教皇フランシスコがリオデジャネイロ到着

 【CJC=東京】教皇フランシスコは7月22日朝、ローマのフィウミチーノ(レオナルド・ダ・ヴィンチ)空港からアリタリア航空機でブラジルに向け出発、同日午後4時(日本時間23日午前4時)、リオデジャネイロに到着した。ガレオン・アントニオ・カルロス・ジョビン国際空港ではジルマ・ルセフ大統領らが出迎えた。
 今回の訪問は、同地で開催される『世界青年の日』大会参加を目的としたもので、隣国アルゼンチン出身の教皇フランシスコにとって本格的な最初の司牧訪問となった。
 信徒約12億人の4割強が集中する中南米諸国の中でもブラジルは1億数千万人の信徒を擁する世界最大のカトリック国。しかしサッカー・コンフェデレーションズカップ開催中の6月下旬に大規模デモが相次ぎ、警察との間で激しい衝突があったばかり。
 教皇ブラジル到着日のデモは散発的で、「貧者の教会」をモットーに掲げる教皇の清貧の姿勢が、カトリックの信徒でない若者にも好意的に受け止められたと見られる。同国司教協議会は6月下旬、非暴力を条件に「デモに対する連帯と支持」を表明した。こうした教会の姿勢を踏まえ、教皇もブラジル訪問にあたり若者の社会参加を促している。
 バチカン放送(日本語電子版)によると、教皇はこの後、歓迎式典が行なわれるグアナバラ宮殿にまず普通車で向かった。空港から市内に向かう街道では大勢の市民が教皇を歓迎し、教皇一行の車が熱狂する群集に囲まれ速度を落とす場面が何度かあった。
 市街地でパパモービル(教皇用の白いジープ)に乗り換えた教皇は、『世界青年の日』大会に参加する若者たちが多数待つ大聖堂前を一周、ここで人々の喜びは頂点に達した。
 教皇の車は道にあふれる人々の間を進んでいったが、歓迎式の会場到着までかなりの遅れが出たため、最後は当局の勧めに従い、軍のヘリコプターで大統領の待つグアナバラ宮殿に降り立った。
 グアナバラ宮殿で行われた歓迎式で、教皇は最初の海外司牧訪問で愛するラテンアメリカの地に帰ることができた摂理を神に感謝した。
 「わたしは金銀を持って来たわけではありません。しかし、自分に与えられた最も大切なものを持ってきました。それはイエス・キリストです」と述べた教皇は、キリストの名の下に、皆の心に息づく兄弟愛の炎を育てたいと抱負を語った。
 教皇は今回のブラジル訪問の目的を、コルコバードのキリスト像の広げた腕の下に集った世界各国の若者たちに出会うことと説明。「若者という窓を通して世界に未来は入ってくる」と述べ、青少年に人生を築くためのしっかりとした基礎を与え、安全と教育を保証し、生きるに値する永続的な価値観を伝えることが必要と強調した。

◎『世界青年の日』リオデジャネイロ大会開幕

 【CJC=東京】全世界の若い信者たちの祭典としてカトリック教会が定めた『世界青年の日』がリオデジャネイロで7月23日開幕した。同日午後からコパカバーナでとり行われた開幕ミサはリオデジャネイロのオラーニ・テンペスタ大司教によって祝われた。
 28日まで行なわれる今大会のテーマは「だから、あなたがたは行って、すべての民をわたしの弟子にしなさい」(マタイ28・19)。
 リオデジャネイロは雨と風に見舞われ、地下鉄も一時不通になるなど、移動や参加の困難にもかかわらず、開会ミサには約50万人の若者が詰めかけた。
 教皇フランシスコは日程どおりリオデジャネイロ郊外スマレの大司教宿舎で休養、開会式には参加しなかった。

◎教皇がブラジル訪問終えバチカンに

 【CJC=東京】『世界青年の日』(WYD)リオデジャネイロ大会出席を目的に7月22日からブラジルを司牧訪問していた教皇フランシスコは29日、バチカン(ローマ教皇庁)に帰着した。
 バチカン放送(日本語電子版)などによると、22日午後4時、リオデジャネイロに到着した教皇は同日、グアナバラ宮殿で行われた歓迎式で、教皇は最初の海外司牧訪問で愛するラテンアメリカの地に帰ることができた摂理を神に感謝した。
 23日を予定通り、宿舎で休養した教皇は、24日午前、サンパウロ州東部にある重要な巡礼地アパレシーダに向かい、聖母巡礼聖堂でミサを捧げた。『アパレシーダの聖母』は、ブラジルの保護者として信者たちの心のよりどころになっている。
 ミサの終わりに教皇は巡礼聖堂のバルコニーから、聖母像を手に人々に祝福を与え、アパレシーダの聖母発見300周年を迎える2017年にこの地に戻りたいと話した。
 教皇は25日、リオデジャネイロ郊外にある「ファヴェーラ」(スラム街)の一つマンギニョス地区で、住民らと交流した。近年のファヴェーラ再生計画の対象であるこの地区では、行政やカトリック教会などの協力のもと、住民の生活環境や治安の向上を目指す努力が進められている。
 教皇の車は住民たちの大歓迎を受けた。所狭しと並ぶ住宅にはさまれて建つ極めて簡素な聖堂、サン・ジロラモ・エミリアーニ教会の前で教皇は車を降り、マルシオ・ケイロス主任司祭やこの地区で奉仕する『神の愛の宣教者修道女会』関係者らに迎えられた。
 教皇は、主任司祭の案内を受けながら、マンギニョス地区の一部を住民との集いが行われるサッカー場まで歩かれた。サッカー場で行われた教皇と住民たちとの出会いでは、この地区で共に生まれ育ち結婚したという若い夫婦が、皆を代表して歓迎の言葉を述べた。住民たちがリサイクル素材を使用して作った教皇フランシスコの紋章が、額に入れられ教皇に贈られた。
 教皇は、社会の不正を前にして現実に失望しがちな若者たちに「希望のともし火を消してはなりません。現実は変えることができます。人間は変わることができます。悪に慣れることなく、それに打ち勝ち、皆さんが最初に善をもたらす人となってください」と励ました。
 教皇は同日夕、コパカバーナ海岸で若者たちによる歓迎式に出席した。『世界青年の日』大会中の教皇参加の最初の公式行事とあって、会場となった4キロにわたる海岸沿いには100万人以上の若者が詰め掛けた。
 イエスがわたしたちを受け入れるならば、わたしたちもイエスを受け入れる必要があると若者たちを促した教皇は、イエス・キリストと御言葉、聖霊を受け入れることで、変容され、未来の歩みを照らされ、自分の中に希望の翼を育てることができると説いた。
 教皇は、ブラジルで言う「信仰を置く・入れる」という表現を若者たちに紹介。料理を美味しくするために塩・油を「入れる」ように、自分の人生の中に「キリスト」と「信仰」を、さらに「愛」と「希望」を入れるならば、人生は新たな味わいを、その未来の歩みはしっかりとした指針と照らしを得るだろうと語った。
 教皇は26日午前、リオデジャネイロ市内のキンタ・ダ・ボア・ヴィスタ公園で、若者たちに赦しの秘跡を授けた。
 その後、教皇は大司教館で若い受刑者たちと会見した。WYDのTシャツを着た、リオの少年刑務所で受刑中の6人の少年と2人の少女は、今回特別な形で『世界青年の日』に参加することとなった。
 教皇は少年たちを優しく迎えられ、「暴力は決していけません。愛だけですよ!」と何度も繰り返された。
 続いて、正午に大司教館のバルコニーからアンジェラスの祈りを唱えられた教皇は、この日の昼食をWYD参加の若者12人と共にした。
 若者たちとの会話で、教皇は特に、一人で閉じこもらず、共同体というものを意識して生きるよう勧められ、神はわたしたちを特別な愛で愛され、わたしたちの使命は他人を愛することにあると強調されたという。
 教皇は26日夜、コパカバーナで若者たちと共に十字架の道行きを行った。参加した若者の数は150万人に達した。世界青年の日大会の中で、十字架の道行きは、恒例の重要行事となっている。
 教皇は、『世界青年の日』のシンボルとして使われている木の十字架について言及。「WYDの十字架」とも呼ばれるこの十字架が、1984年「贖いの聖年」閉幕後、ヨハネ・パウロ2世によって若者たちに託され、その後様々な世界を旅したことを思い起こされた。
 教皇は27日夜、『世界青年の日』リオデジャネイロ大会の閉会を翌朝に控え、若者たちと「祈りの前夜祭」を行った。当初、リオデジャネイロのグアラティバ地区の「カンプス・フィデイ」を予定していた会場だが、連日の悪天候により土壌の状態が適さないことからコパカバーナに変更して行われた。コパカバーナの海岸には約200万人の若者が集まった。
 教皇は、訪問最終日の28日午前、『世界青年の日』リオデジャネイロ大会の記念閉会ミサを行った。会場のコパカバーナ海岸には、「前夜祭」を上回る約300万の参加者の、色とりどりの国旗やTシャツのモザイクがどこまでも続いていた。
 教皇はミサの中で、今大会のテーマ、「だから、あなたがたは行って、すべての民をわたしの弟子にしなさい」(マタイ28・19)を改めて示しながら、世界から集って共に信仰の時を過ごしたこの素晴らしい体験を、イエスの弟子として他の人々にも伝えにいこうと、若者たちに力強く呼びかけた。
 そして、「奉仕のために」「恐れず」「行く」という3つの言葉を掲げて、若者たちの宣教を励ました。
 最後に、教皇は2016年の『世界青年の日』大会の開催地を「クラクフ、ポーランド」と発表、赤と白の国旗を持ったポーランドの若者たち始め会場の参加者から大きな歓声が上がった。クラクフは『世界青年の日』を創始した福者ヨハネ・パウロ2世にゆかりの深い都市。
 同日夜の帰国を前に、教皇は午後リオデジャネイロ・スマレの司牧センターでラテンアメリカ司教協議会の代表司教らと会見した。さらに、コンベンションセンターで大会運営ボランティアに挨拶した後、教皇はガレオン・アントニオ・カルロス・ジョビン国際空港から特別機でブラジルを後にした。


◎シリアで拉致された大主教すでに殺害か

 【CJC=東京】この4月22日、トルコ国境付近を自動車で旅行中、何者かに拉致されたシリア正教会ヨハンナ・イブラヒム大主教(アレッポ)とギリシャ正教会のブーロス・ジャズィジ大主教の行方が不明なまま3カ月が過ぎたが、トルコ紙『フリエット』は殺害容疑者3人が警察に逮捕されたと報じ、拉致直後に殺害されていたのではないか、との推測が裏付けられた可能性が強まった。
 2人はこの2月に拉致されたアルメニア典礼カトリック教会のミケル・カイヤル司祭とギリシャ正教会のマヘル・マーフォウス司祭の解放の道を探ろうとしていたと見られていた。
 容疑者は、中部トルコのケンヤと首都アンカラを結ぶ道路上で警備に当たっていた警察に逮捕された。


◎『国際宗教の自由委員会』新議長にカトリック思想家

 【CJC=東京】米『国際宗教の自由委員会』の新議長に著名なカトリック思想家でプリンストン大学教授のロバート・P・ジョージ氏が選任された。同委員会は独立組織だが、大統領、連邦議会、国務省に報告書を提出、政策発動を勧告する。
 ジョージ氏は7月23日、宗教の自由は「人権の基盤」と語った。同氏は自然法、哲学の専門家。「ヒト胚」に関する著作もある。


◎米の従軍牧師に無神論者も?

 【CJC=東京】米連邦上院は7月23日、軍隊のチャプレン(従軍牧師)に非宗教者を任命することを阻止する法案修正を採択した。ジョン・C・フレミング議員(共和党、ルイジアナ州選出)提出の修正は、チャプレンへの保証をするのは宗教団体に限定するというもの。
 国防総省が現在認めている保証団体は200を超えるが、全部が神への信仰を基盤とする。しかし最近になって、超自然的は神性を認めない「ヒューマニスツ」が無神論者の従軍牧師を保証しようとする動きが出てきた。その最初の1人がジェイソン・ヒープ氏(38)。ブライト神学校とオックスフォード大学を卒業の同氏が『ヒューマニスト協会』の保証を得たもの。
 ヒープ氏の支援者たちは、海軍に『ヒューマニスト協会』を保証団体のリストに加え、ヒープ氏を従軍牧師に任命するよう要求している。
 今回の修正で、ヒープ氏が海軍の従軍牧師になれるかはまだ確定していない。
 今回の修正を、キリスト教チャプレンの組織『宗教の自由のための従軍牧師連盟』が支持している。7月23日に発表された声明で、ロン・クルーズ従軍牧師(退役空軍大佐)は、「無神論者を従軍牧師としようとの動きがあるが、チャプレンという言葉の本質は、個人が神への信仰とスピリチュアルニーズのために奉仕をしたいという願いにあるのだ」と語っている。


《短信》

◎さいたま教区の谷大二司教の退任願いを教皇フランシスコ受理
 教皇フランシスコは7月27日、さいたま教区の谷大二司教(60)が、教会法401条2項の規定に従って提出した退任願いを受理した。 教皇は同時に、東京教区の岡田武夫大司教を、さいたま教区の教区管理者に任命した。(CJC)

◎イスラエルがパレスチナ囚人104人釈放方針
 イスラエル政府は7月28日の閣議で、パレスチナとの直接和平交渉の再開への信頼醸成の一環として、イスラエルの刑務所に収容されているパレスチナ人104人の釈放を決めた。パレスチナ側は交渉再開にあたり、パレスチナ人約4700人の釈放を求めていた。(CJC)

◎英国国教会エキュメニカル担当幹事
 英国国教会はキャノン(参事司祭)・ジェレミー・ワースンをキリスト教一致協議会の『エキュメニカル関係・神学』担当幹事に選任した。
 同氏は2005年以来、『神学教育南東研究所』所長。同研究所はオランダのカトリック神学校と連携している。(CJC)

◎米合同メソジスト『教会と社会』部門の責任者交代へ
 ジェームス・E・ウィンクラー氏の後継者として、スーザン・ヘンリー=クロウ牧師(エモリー大学の『チャペル・宗教生活』部長)が選出された。2014年2月に就任する。(CJC)


《メディア展望》

 =カトリック新聞(7月28日)=https://www.cwjpn.com
★教皇=「神の望みは寛容といつくしみ」
★JOC誕生100年を祝って=記念の全国大会=青年労働者ら 現状を分かち合う
★全国カトリック学校校長・教頭合同研修会=現代社会での使命問う=司祭・修道者、参加者の2割弱=名古屋で開催
★バチカン刑法改正=外交官含む全職員に適用=国際法規に合わせ近代化
★教皇、国外初訪問でリオへ=ワールドユースデー大会に臨む

 =キリスト新聞(7月27日)=https://www.kirishin.com
★10代を信仰へ=日本キリスト教団出版局がセミナー="洗礼・堅信目指す準備教育を""世代超えた信徒の交わり作る"
★東京高裁 北村慈郎氏の控訴棄却="教義・信仰に立ち入らず"
★JEA社会委=世界へ祈祷要請
★"憲法は権力者縛るもの"=宗教者による共同声明 賛同者募る
★「鎌倉宗教者会議」発足=宗教都市の実現目指す

 =クリスチャン新聞(7月28日)=https://jpnews.org
★参院選前に「この国のための緊急祈祷会」=改憲に歯止め まず祈り=JEA社会委=世界・アジア福音同盟にも祈り要請
★震災越え福島で若者立ち上がる=ブレスド・ジェネレーション=僕らは"祝福された世代"
★「他の国にない組織的戦時性暴力」=「慰安婦」事実 動かぬ証拠=第一人者・林博史氏=矯風会で講演
★横浜福音喫茶メリー50年=夜の街に福音の灯をともして
★「ハーザー」笹井大庸氏急逝=行動右翼から回心=聖霊派の出版に情熱


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