世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1174信(2013.07.22)

  • 欧州教会協議会が新憲章採択
  • 英国で同性婚認める法案が成立、来年夏にも施行
  • 同性婚にカトリック司教協など反対表明
  • デモ再燃懸念の中を教皇ブラジル司牧訪問
  • 教皇訪問でブラジルが記念切手
  • ラドワンスカのヌードにカトリック団体困惑
  • 《短信》
  • 《メディア展望》

◎欧州教会協議会が新憲章採択

 【CJC=東京】欧州教会協議会(CEC)はハンガリーのブダペストで7月3〜8日に開催した第14回総会で、新憲章を採択、またジュネーブ事務所をブリュッセルの本部に移転することにした。
 新憲章は、「諸教会が霊的生命を分かち合い、共通の証しと奉仕を強化、教会の一致と世界平和を推進する」ことに重点を置いている。正教会、プロテスタント、聖公会、復古カトリック教会など各国115教派と関係40団体への呼び掛けを強く意識したものとなった。
 新憲章による運動を指導する新会長には英国国教会ギルフォード主教クリストファー・ヒル氏が選出された。
 総会でハンガリーのゾルタン・バログ人的資産担当相は、中東欧で共産主義が崩壊して20年経ち「諸教会間の関係は冷却してきたように見える。1989年に見られた熱意が消えてしまったのと同じだ」と語った。同氏は改革派教会牧師。
 同氏はまた、この新しい時代に「キリスト教的な価値を基盤にした欧州革新」が充分でなかったのを「遺憾」とした。ただ「ジプシー」として知られる貧困なロマ族への差別問題で進められた協力については評価した。
 移住者問題も総会の重要議題だった。人権監視機関として欧州評議会の『欧州社会憲章』が、オランダで不当な扱いを受けている不法移住者の状況を調査すると、総会で発表された。
 新憲章が指し示す方向に沿って、1959年のCEC創設以来、ジュネーブに置いた事務所は、経費が高額に上ることから、ブリュッセルの本部に出来るだけ早期に統合することにした。フランスのストラスブールにある事務所は当面継続する。


◎英国で同性婚認める法案が成立、来年夏にも施行

 【CJC=東京】英下院議長が7月17日、イングランドとウェールズで同性同士の結婚を認める法案が英国議会を通過し、エリザベス女王の承認を得て成立したことを明らかにした。早ければ2014年夏から施行される。正式な施行スケジュールは年内に発表される見通し。スコットランドと北アイルランドには適用されない。
 同法では人前式のほか、宗教施設でも同性カップルが挙式することを認めている。ただしその場合には宗教団体が受け入れを表明し、聖職者が同意する必要がある。同性カップルの挙式を受け入れない宗教団体などが起訴されないようにする措置も設けられた。
 また既婚の男女が性別の変更を望む場合、結婚を解消しなくても性別を変更できることになった。
 同性婚を認める法律は、今年に入って成立したフランスを含め、欧州ではオランダ、ベルギーなどこれまでに9カ国が制定している。米国でも先月、連邦最高裁が同性婚の権利を認める判決を出した。


◎同性婚にカトリック司教協など反対表明

 【CJC=東京】同性婚認める法案が成立したことを受けて、イングランドとウエールズのカトリック教会司教協議会は7月17日、子どもが核心にあることを無視し、信教の自由を危うくする「重大な社会変革」だと指摘した。
 「結婚は、何世紀にも安定した制度と公式に認知されており、男性と女性の間の契約関係のため、またその子どもたちの養育・配慮をするための法的枠組みとして設けられている。それだから、独特でまた法的保護の価値あるものとして正しく認められてきた」と言う。
 プロテスタント79派、3500教会で構成される『福音同盟』は、成立した法案が、民事婚を「流動的、性的区別のない制度、需要と政治的便法から制定されたもの」にすると警告した。


◎デモ再燃懸念の中を教皇ブラジル司牧訪問

 【CJC=東京】教皇フランシスコ(76)は7月22日から29日まで、ブラジルを司牧訪問する。リオデジャネイロで開催される第28回『世界青年の日』大会(ワールドユースデー、WYD)参加を目的としたもので、教皇フランシスコの初めての海外訪問となる。教皇は初の南米出身者。
 教皇は大会参加の若者たちと交流するほか、リオデジャネイロ司教座大聖堂でのミサ、ジルマ・ルセフ大統領はじめ同国の各界要人と会見、「褐色の聖母」が出現したとされるサンパウロ州アパレシーダへの巡礼、薬物・アルコール依存患者らの更正医療施設や「ファヴェーラ」(スラム街)訪問、青年受刑者たちとの出会いなど、様々な行事を予定している。教皇は28日夕にリオデジャネイロを出発、29日昼にはバチカンに帰着の予定。
 ブラジルではサッカー・コンフェデレーションズカップ開催中の6月下旬に大規模デモが相次ぎ、警察との激しい衝突があったばかりだが、教皇は防弾ガラス仕様の専用オープンカー「パパモビル」を使わないことにした。信者と直接触れ合うことを大切にするのが教皇の意向という。教皇は3月の就任後、バチカンで開いたミサに集まった信者と交流した際も防弾ガラスのない車両を使用している。
 ただ、「世界が注目する中でのデモは、訴える力を増すため、大規模な抗議運動を起こす可能性がある」と懸念する声も強く、ブラジル当局は治安確保に懸命。現地教会もルセフ大統領に教皇訪問中の厳重な警備を要請している。


◎教皇訪問でブラジルが記念切手

 【CJC=東京】ブラジル政府は7月19日、教皇フランシスコのリオデジャネイロ訪問に合わせて、記念切手を発行すると発表した。
 教皇の似顔絵を中心に、『世界青年の日』のマーク、リオデジャネイロの観光名所「パン・デ・アスーカ(砂糖パン)」のイラスト、ブラジル国旗が描かれており、額面1・80リアル(約80円)。23日から発売する。インターネットでも購入できる。発行枚数は120万枚。


◎ラドワンスカのヌードにカトリック団体困惑

 【CJC=東京】米国のスポーツ総合誌『ESPN・マガジン』の「ボデー」特集に、2012年ウィンブルドン選手権女子シングルスの準優勝者アグニエシュカ・ラドワンスカ(24)がヌードで登場した。
 カトリック国ポーランド・クラクフ出身で、自身が堅固なカトリックであることを認めていただけに、同国のカトリック青年運動『クルチャタ・ムロディッチ』(青年クルセード)は困惑、ラドワンスカを除名した。


《短信》

◎ミャンマーの政治犯全員を年内釈放へ
 英国を訪問したミャンマーのテイン・セイン大統領が7月15日、デービッド・キャメロン英首相との会談で、政治犯全員を今年末までに釈放する、と語った。(CJC)

◎駐マレーシア・バチカン大使が「アラー」論議のマトに
 バチカン(ローマ教皇庁)の駐マレーシア大使ヨゼフ・マリノ大司教が,「アラー」という言葉をキリスト者が使ってもよいと発言、同国のイスラム教勢力の反発を招いている。(CJC)

◎『ダビデの墓』管理をバチカンに委ねず、とイスラエル外相
 イスラエルのゼエブ・エルキン外相は7月17日、エルサレムの『シオンの丘』にある『ダビデの墓』管理をバチカンに委ねる計画があるとの報道を否定した。墓の上には「最後の晩餐」が行われたとされる部屋がある。(CJC)

◎キリル総主教がロマノフ王朝400周年記念式典
 ロシア正教会の最高指導者キリル総主教が7月12日、ロマノフ王朝400周年記念式典をサンクトペテルブルクの首座使徒ペトル・パウェル大聖堂で執行した。(CJC)

◎教皇フランシスコが来年11月にトルコ訪問?
 教皇フランシスコが2014年11月にトルコを訪問する、と現地紙『ザマン』が報じた。コンスタンチノープルのエキュメニカル総主教バルトロメオス1世の招きに応じたという。バチカンは同国訪問について発表していない。(CJC)

◎教皇フランシスコがフォード『フォーカス』に乗って
 聖職者は豪華車に乗らないように、と警告していた教皇フランシスコ自身が7月14日、ローマ郊外カステルガンドルフォで行われるミサのため訪問したが、乗ってきたのはフォード社の大衆車『フォーカス』だった。(CJC)

◎カンタベリー大主教が教皇の霊性を称賛
 カンタベリー大主教ジャスティン・ウエルビー氏は、英紙テレグラフとのインタビューで、教皇フランシスコについて「例外的な存在。ヨハネ23世ではないし、他の誰とも違う」としてイグナチオとフランシスコの霊性を備えている」と語った。(CJC)

◎エジプト暫定政権閣僚にキリスト者3人
 エジプトで7月16日正式発足した暫定内閣にはモルシ前大統領の出身母体であるイスラム原理主義組織ムスリム同胞団は組閣を認めていない。キリスト者(コプト教徒)3人が入閣したことが注目される。その1人は環境相に就任した女性ライラ・ラシェド・イスカンデル氏。(CJC)

◎コプト教会教皇が公開カテケーシス取り止め
 エジプト・コプト正教会のタワドロス2世教皇はカイロの大聖堂で毎週水曜日に行っていた公開の祈祷とカテケーシス(教理解説)を7月17日取り止めた。国内緊張を理由としており、中止は3週連続。(CJC)

◎マンデラ氏が病床で95歳の誕生日
 南アフリカのネルソン・マンデラ元大統領が7月18日、プレトリアの病院で95歳の誕生日を迎えた。
 マンデラ氏は6月8日に肺の感染症で緊急入院。7月23日に大統領府が危篤状態と発表したが、容体をめぐる情報は交錯している。(CJC)

◎黒人少年射殺事件無罪評決に牧師も抗議
 米フロリダ州で黒人高校生を射殺したとして殺人罪に問われたジョージ・ジマーマン被告が7月13日、無罪評決を言い渡されたことに対し、テキサス州ダラスの『ポッターズ・ハウス』のT・D・ジェイクス牧師など黒人牧師の中からも抗議の声が上がっている。(CJC)

◎米大リーグが同性愛差別撤廃に協力
 米大リーグと同選手会は7月16日、ニューヨーク州司法長官と協力して、同性愛者への差別や嫌がらせをなくすための取り組みを始めると発表した。(CJC)


《メディア展望》

 =カトリック新聞(7月21日)=https://www.cwjpn.com
★教皇=移住者の処遇に悔い改め訴える=悲報知り地中海の小島へ
★全ベース会議=仙台・元寺小路教会で=活動報告し意見交換=ラジオでの情報発信も
★足踏みミシン贈る=ウガンダの女性自立を支援=埼玉・東松山教会=コズグローブさん
★教皇=「お願いです。しかめっ面の修道女や神父にならないで」
★特別免償を認可=教皇、世界青年の日大会で

 =キリスト新聞(7月20日)=https://www.kirishin.com
★「文明と憲法」テーマに参加者が議論=れからの国のかたち考える=「友愛平和の風」・青山学院大総合研究所共催
★「信仰が支える難民保護」シンポ=「宗教はコミュニティの中心にあるもの」=世界難民の日
★「これからの教育を語る会」=子どもの自発性呼び覚まそう=自由学園主催
★"大規模災害"に水とパン備蓄=ハンガーゼロ自販機プロジェクト
★牧師・写真家の高塚陽一氏=ヒロシマの悲劇伝える=「川の記憶」写真展を東京で開催

 =クリスチャン新聞(7月21日)=https://jpnews.org
★嫌韓デモの街 真実の歴史伝える=私設図書館「文化センター・アリラン」
★「人権とは神の神殿守る戦い」=いのちの尊厳から見る自死、原発、いじめ...=東京信徒会で阿久戸光晴氏講演
★「東北ヘルプ」NPOに=被災地支援長期化に対応
★日本バプテスト連盟=なお続く「改憲危機」発信
★「もう3年自民が野党だったら...」=教会と国家学会で土居隆一氏


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